金田真議員の一般質問と答弁   (2月25日)

※質問は全文掲載、答弁は要約しました。



1.自然と健康を守る環境行政の実現を

2.同和高度化資金の疑惑解明

3.新宮港第二期工事の反省と住民参加の振興策

4.子どもたちが希望の持てる未来をつくる教育

5.紀南地域の住民要望



1.自然と健康を守る環境行政の実現を

 松山地区の住民のみなさんは、熊野の自然や生活環境が破壊されると新宮市松山での建設会社「松原組」の資材置き場での中間処理業や自社処分を名目にした産業廃棄物の違法処理問題に住民運動を続けられておられます。私も県議会毎にこの問題を取り上げ、昨年の11月には知事の改善命令が「松原組」に出され、改善されていると思っていました。

 しかし、1月15日和歌山 県警 環境機動捜査隊(エコポリス)と新宮警察署が、合同で関係箇所の捜査を行い「松原組」の社長松原丈保と現場責任者田畑稔両容疑者を廃棄物処理法 違反容疑で逮捕しました。松原組が、県知事の改善命令を受けながら、逆に改善への期待を裏切る行為を行ったことは残念です。

 今回の逮捕は、和歌山県警察がわかやまの自然を守るため、ますます悪質・巧妙化する産業廃棄物の不法投棄や野焼きなど、環境を破壊する"環境犯罪"に対処するために粘り強い捜査を行った結果です。今回の逮捕と知事の改善命令は、地元住民の県は何もしてくれないと言う不信感を取り除き、環境犯罪や自然と環境に対する行政の姿勢を示したものであり、関係者の方々のご努力と奮闘に感謝するものです。

 さて、2月8日付けの地方新聞には「弊社取締役松原丈保はこの件に関して、起訴に及ばずとの決定が下されました。しかしながら弊社としてはかかる事態を招来したことについて道義的な反省をすると共に、今後熊野環境保全部を廃部し、初心に戻り建設業一筋で努力し信頼回復に努めて参ります」との広告をしています。

 これまでの捜査状況について、警察本部長にお尋ねします。

◆岩井良行県警察本部長

 ご指摘の会社は産廃処分にかかる知事の許可を受けず、昨年11月から12月にかけて同社の業務として木くず等を焼却処分した容疑で本年1月15日、関係箇所を捜索するとともに、同社社長と現場責任者の2名を逮捕。その後の捜査で同社が許可を受けている事業範囲は、保管を含まない収集運搬業であるにもかかわらず、その事業範囲の変更許可を受けずに他の業者から処分を委託されていた木くず等を同社で保管していた事実が判明し、当該事実について検察庁に送致した。この2件の事実により2月5日、法人である同社と現場責任者が廃棄物処理法違反で起訴され、社長は起訴猶予処分とされた。詳細は現在公判中のため差し控える。

 

◇金田

また、松原組は土木や建築の県発注工事入札参加業者の上位30社の内の1社ですが、今回の逮捕に土木行政や環境行政からどう対応をされたか、部長にお尋ねします。

 昨年11月に知事の改善命令が出され履行期限は1月31日まででしたが、現時点でも完了していません。知事の改善命令とは一体なんなのか、期日までに改善されていなことを放置するのではく、改善命令違反として、告発するのが知事の責任ではありませんか。また、完全なる原状回復の見通しをお尋ねします。

◆大山耕二土木部長

 「和歌山県建設工事等契約に係る指名停止等の措置要綱」に基づき、株式会社松原組に対し、1月24日から4月23日までの3ヶ月間の指名停止措置を行っている。

◆秋月成夫環境生活部長

 この業者に対して、2月17日に行政手続法による聴聞会を実施し、2月20日付けで産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消した。

 平成14年11月1日付けで、新宮市松山の作業場内にある土砂に混入している産業廃棄物を、平成15年1月31日までに処理基準に従い適正に処理するよう改善命令を行い、それに従い分別処理を実施していたが、1月15日に代表者及び現場責任者が逮捕されたことにより作業が遅れている。事業者から処理の遅れ理由と今後の工程を説明した申立書が提出された。それらを勘案し、期限変更の改善命令を行い、早急に原状回復させる考えだ。

 

◇金田

この場所は都市計画法の第一種中高層住居専用地域であり、土木部長は以前の答弁でも、「中高層住宅に係わる良好な住宅環境を保護するために定める地域」とされています。この場所での破砕機などを使用したクラッシャープラントは、この間の使用状況から、都市計画法での周辺地域に悪化をもたらす恐れがある工作物として使用させるべきでなかったと思います。特に、騒音規制法などに関わる特定施設 設置届出が必要ですが、無届けの操業です。

 騒音レベルも1月31日の騒音測定結果では、基準値の55デシベルに対し、等価騒音レベルは79、単発騒音暴露レベルは87で、騒音規制法第一条の目的に反し、明らかに許容範囲を超えています。県は、以前撤去を指導したことからも、今後使用中止を指導することは都市計画法の主旨からも必要ではありませんか。

 法の不備を突いて続けられていた産廃の違法処理によって、熊野の自然と生活環境は破壊されました。都市計画法の「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべき」との主旨を県行政が最大限活かせば、この問題は起こらず、自然も環境も守れたはずです。知事、県の指名業者の違法行為だけに、行政の指導責任も問われます。今回の事件をどう教訓にし、今後どう生かしていくのかお尋ねします。

◆木村良樹知事

 産業廃棄物の処理は法の厳正な適用なくしては地域の安全はないという信念に基づきこの問題に対処していく。移動式破砕機は建築基準法では工作物には該当しないという解釈になっているが、これを規制できるよう、今後国に対して提言していきたい。

◆大山土木部長

 移動式破砕機は土地に定着しておらず、建築基準法上の工作物に該当しないため規制できない。規制できるよう国に提言していきたい。

 

◇金田

 私は、この間何度か世界遺産登録にふさわしい熊野川の姿について、質問しました。

 何故なら、熊野地域における母なる川・熊野川が、ダムの濁水や砂利採取、ゴミの不法投棄などの自然破壊によって「死の川」となっている熊野川を、清流に戻す時期にきていると思うからです。それは、河川法が平成9年に従来の河川管理の目的の「治水」、「利水」から、「河川環境」を加えて、水質・景観・生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されたことでも解ります。

 清流に戻すとは、水質基準や見た目だけの濁水解消だけでなく、自然環境まで視野に入れた内容であり、そこに魚や動物、人間が経済活動を含めて共存することを意味し、魚も住み 人も親しめる川にすることです。その為に、抽象的な要求や理念ではなく、要求は具体的なものが常に必要です。「熊野川を元の清流に戻せ」という悲願をかなえるためには、まず、その歴史的役割を果たした、濁りのひどい十津川水系のダムの撤去を要求することが必要です。

 その要求の1つとして根本的な濁水解消の第一歩となる二津野ダムの撤去や発電停止を国や電源開発に求めるべきと2000年9月議会で要望しました。その後、県は電源開発に「実効性のある長期化対策を求める要望書」を出し、抜本的解決にはなりませんが、電源開発から発電停止期間の延長など提案され、前進だと思います。

 しかし、砂利採取などの環境問題も取り上げ、熊野川の将来の姿について質問をしてきましたが、県は「今後策定する熊野川河川整備計画において」と云うものであり、これは国の河川整備計画待ちの消極的姿勢だと思います。

 そうではなく、積極的な国への働きかけと同時に、県が河川管理者として熊野川の将来の姿を県民に示し、住民の意見を聞き、それらをまとめ 方針を持つべきです。

 例えば、ダムの撤去もそうですが、水利権の短縮についても検討が求められるのではないでしょうか。国土交通省は「一級河川における発電水利使用の許可期限について」の通達で、河川環境との整合性を確認する必要があるものなどの期間短縮を認めています。「許可期限は、おおむね30年」ですが、30年はあまりにも長すぎます。

 水利権の期間短縮を含め、世界遺産としての熊野川の将来の姿を描くことへの木村知事の考えをお聞かせ下さい。

◆木村知事

 熊野川の水利権短縮は許可権者の国に申し入れを行う。

 ダム管理者の電源開発では県の申し入れを受け、濁水対策を実施しているが、その対策効果を検討しつつ今後も世界遺産にふさわしい熊野川が創出できるような方策を積極的に進めたい。

 

2.同和高度化資金の疑惑解明

 昨年の3月末で同和の特別対策は基本的に終了しました。しかし同和行政の負の遺産が残り、これを取り除くが同和問題の真の解決には必要となっています。

 例えば、同和中小企業高度化資金では、国の県に対する貸付金の内全国で171億円が滞納で、その内の1/3・56億円が和歌山県の滞納分で全国一位です。

 和歌山県では、この国の分と県の分を合わせると約100億円が焦げ付いています。 ある組合は24億円借りて2千万円しか返さずに倒産したり、1円も返さないまま倒産した組合もある程です。

 私は、12月議会でもこの問題を取り上げ、特に新宮市の熊野食肉事業協同組合への融資はおかしいと、質問しました。この熊野食肉は20年前の昭和58年に創られ、総事業費4億5千万円の内、3億6千万円を同和高度化資金として借金をしながら、1250万円3.5%を返しただけで平成7年倒産しました。結局、3億4千万円が返されないまま放置され、現在裁判所の競争入札にかけられています。

 組合の資産は、県が融資の担保としていますが、本来4億5千万円の担保物件が、裁判所の評価では2121万円と1/20ですから、過剰貸付の疑惑が生まれます。

 組合の土地は組合員の一人が組合を造る一年前に事前に購入し、坪56万円で組合に売っています。しかし、裁判所の評価は坪23万円ですから、組合には高く売り、高い担保価値にして融資を受けたのではないかと、具体的な数字も上げ「貸付審査は不備でないか、又過剰融資でないか」と質問しました。それに対し「事務手続上問題はなかった」「特定の組合についての答弁は差し控える」と、県は疑惑解明にフタをしました。これでは疑いは晴れませんし、納得も出来ません。

 今回の平成14年度県商工労働部における貸付金の執行状況、管理状況に関する包括外部監査結果報告書では、私が指摘した内容が他にもありましまた。

 例えば、桃山町の協業組合プラスパーフーズは、平成7年に創られ23億9660万円を同和高度化資金として借金をし、2175万円0.9%を返しただけで平成14年自己破産しました。結局、23億7千万円が返されないまま、裁判所の競争入札にかけられます。外部監査では、土地の取得価格ついて標準地価格は4億9千万円だのに、実際の取得価格は12億5千万円の2.5倍で買ったこと、建物の取得価額は4億6千万円が妥当だのに、実際は8億6千万円と2倍で買ったこと、この土地建物の購入先が、当時の組合代表理事の子が経営する建築会社であると指摘しています。

 また、外部監査は、全体的に貸付の際に担保物件の鑑定評価を行っていない点や、担保価値の下落に対する追加担保を設定してない異常さを指摘。さらに、よりきめ細かい審査していれば多額の延滞はさけられたとの指摘もある程です。次々と実態が明らかになれば、審査の不備や過剰貸付の疑惑を抱くのは当然です。それでも、「問題はなかった」と、疑惑解明にフタをするのですか。部長お答え下さい。

◆石橋秀彦商工労働部長

 貸付審査は事務手続き上問題はなかった。完了検査の時点で売買契約書、請求書、領収書、現金出納簿等関係資料を確認しており、会計検査院の検査も受けている。専門家の助言を受けながら、より厳正な審査会を開催し、適正な審査に努める。

 

◇金田

 また、組合が返済を遅れた場合に年10%の違約金を支払う契約であるのに、違約金はゼロ・ありません。その理由は、返済に十分に誠意があれば、違約金の支払を後回しに出来るからとして、滞納組合の違約金は計算していません。

 違約金の充当順位は一定の条件で変更できます。しかし、免除は倒産などの特別の場合で、違約金をナシにすることは出来ません。違約金は、債権として発生するもので、例えば、熊野食肉の場合は貸付額より多い3億96百万円の違約金が発生するはずです。それを、違約金を計算していないで0円としているだけでも問題であり、県は借金の1割も返済しない組合を返済に「十分に誠意がある」と判断した事も含め、納得することはできません。部長の納得出来る説明をお願いします。

◆石橋商工労働部長

 充当順位の変更では違約金は消滅しない。債務者に一定期間ごとに通知したい。

(金田議員の再質問)

◆石橋商工労働部長

 償還があった時点で額の決定をし、誠意があったかどうかの判断をする。一定期間ごとに額を通知し、償還を促すよう改善していきたい。

 

◇金田

 私が県議会で追及していく事で、借金回収など一定の前進は見られますが、県は県民の前に融資の実態を明らかにしませんし、責任も取ろうとしません。

 外部監査では、実質的な延滞債権39件について貸付金残高192億円のうち、延滞は107億円で、回収不能 見積額は68億58百万円としています。

 しかし、回収不能額は、もっと多額になると思います。何故なら、熊野食肉の担保評価額は外部監査では5848万円ですが、実際の競売価格は2121万円と1/2です。これほどの回収不能の実態が見込まれており、これはすべて国民の税金、県民のお金です。こうした事態に携わった県職員の責任が問われるのは当たり前です。

 県は既に倒産し競売も終わった組合名すら明らかにしないなど、融資の実態を隠し続けています。私は、文書開示をしないことに異議申立をしていますが、外部監査でも「貸付資金の財源が県民からの税金を中心としている以上、今後債権回収の見込みのない回収困難な債権について県民の理解を求めることが必要であり、この説明責任を果たすことなく、貸付金事業を継続して実施していく事はできないと考える。したがって、徴収停止処理のみでは十分とは言えず、今後、議会承認を経て不納欠損処理を行っていくことが事業維続のためには必要である」としており、情報公開を行うべきです。 責任と公開について知事の答弁をもとめます。

◆木村知事

 貸付原資が税金だという認識のもと、可能な限り債権回収に努め、回収不能額が発生した場合、徴収停止を行い、最終的には議会承認を得られるよう努めたい。説明責任を果たすことが重要との意見を踏まえ、情報公開の開示部分を再検討していきたい。

 

3.新宮港第二期工事の反省と住民参加の振興策

 美しい佐野海岸を埋め立てる新宮港第二期整備事業〓佐野湾埋立ては、将来の見通しもない自然破壊のムダな港湾事業であり、土地造成によって多額の借金を残す開発計画だと、多くの人が反対し中止を求めました。それでも、貨物量が増えるからと反対を押し切って埋立が行われ、平成17年には供用開始されます。  その為、事ここに至っては埋立も進み、今更工事を中止しても自然は元に戻りませんから、例え新宮港が自然破壊の無駄な公共事業でも、県民に役立つものにするために、新たな振興策や利用計画も必要として、地震対策の備蓄基地も提案しました。

 しかし、その前提には、今までを総括し、反省と見直しを行うことが不可欠であり、その事から佐野湾埋立に反対や不安をもつ地域の方々の納得と協力がえられ、新たな振興策もうまれると、昨年の9月議会で提案しました。

 その立場から、今までは新宮港第二期工事に関連する予算には反対しましたが、今回の補正予算には消極的ですが賛成しました。なぜ、消極的かと云えば、9月議会において計画の反省も貨物量の見直しも不十分ものだからです。

 この当初計画は破綻しています。何故なら、貨物量は増えるどころか、逆に貨物量は95年の87万dをピークにして2000年は49万dと最高時の6割に減少しています。それでも計画貨物量は現在の3倍以上の167万dのままです。この数字がいかに現実離れしているか主要な取扱貨物チップを見れば明らかです。 現在の取扱量は4万dですが、計画では72万dと18倍になると見込んでおり、荷さばき地も含めチップに頼ったのが第二期整備計画だからです。

 その肝心のチップは、市内にあった巴川製紙も王子製紙も今はなく、何を根拠に貨物量が増え、生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待できるのか、具体的にお答え下さいと9月議会で質問しました。

 それに対し、「計画貨物量の実現に向けて振興ビジョンの策定を行うとともに、企業訪問などのポートセールスを行っており、チップも含めて、新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組む」との具体性のない答弁でした。

 再度伺います。計画貨物量の見通しは、どこにあるのですか。現在でも新宮港を利用しない三重県の紀州製紙が新たに利用する事を期待するならば、現実となることを説明下さい。紀州製紙は、現在隣接する三重県の地方港湾鵜殿港を利用していますが、平成13年度の総貨物量72万dの内の8割61万dがチップです。このチップすべてを新宮港に持ってきても足りませんし、それほど簡単に他の港で扱っている貨物をもってこれますか。そんなことが可能なのですか。紀州製紙との契約については平成8年から確約をとることを新宮市議会でも求められていますが、いまなお実現していません。

 それらも含め供用開始を目前に控え、当初計画が破綻しそうだから新しい振興ビジョンが創られようとしているのではありませんか。また、三重県の一企業のために、莫大なお金をつぎこむ事になる港湾整備事業をすすめるならば、港湾管理をする県の説明責任が一層問われます。 反省と見直しについて、親切な説明をお願いします。

◆大山土木部長

 新宮港では既にチップの輸入や移出の実績があり、一方で非効率な輸送形態をとっている背後圏の製紙会社に対し、県と新宮市とで連携してチップ貨物の誘致に努めたい。当初計画としての港湾利用に加え、産業や観光の振興策などを総合的な観点からとりまとめた。今後も引き続き新宮市、地元経済界等と一丸となり、チップも含めて新規貨物の獲得や新規企業の誘致に取り組みたい。

 

4.子どもたちが希望の持てる未来をつくる教育

 中央教育審議会の「中間報告」は、はじめに見直しありきのようです。そもそも、今日の教育の深刻な荒廃が、教育基本法の「教育の理念や原則が不十分である」とすること自体になんの根拠も道理もありません。それは反対に、教育基本法の定める教育の民主主義的な理念や原則にそむく、長年の教育政策のゆがみがもたらした結果です。

 現行の教育基本法は、教育の目的に「人格の完成」をすえ、「平和的な国家及び社会の形成者」の育成を期すことをかかげました。これは、公権力が教育に特定の立場や人間観を持ち込むことを戒めたものでもあります。ところが「報告」は、「たくましい日本人」の育成、伝統・文化の尊重、「国を愛する心」の醸成などを「教育の理念」にするとしています。これらは本来、国民一人ひとりの見識や社会での自主的な判断にゆだねるべきものを、法律で上から押しつけるやり方で、国策にそった人材づくりをねらった時代錯誤もはなはだしいものと思われます。

 また、教育基本法は憲法と一体のものであり、基本法「改正」論は、憲法「改正」が狙いではないかとさえ思われます。「21世紀という新しい時代に入っていくとき、50年前につくられたものはもう古い。新しい感覚で見直そう」と言います。「もう古くなったから新しいものが必要だ」という議論は、庶民の感覚からすれば、「たしかに、そうじやないの」となりがちです。しかし、新しいものが必要だと言うならば、その未来像はどう様なものなのでしょうか。今、進められている憲法や教育基本法の「見直し」やその先取りの政策が、「21世紀は知が支配的になる時代であり、すぐれたエリートを早く発見し、養成して大競争の時代に備える。そのためには今の学校制度は間尺に合わなくなっている」という大競争に打ち勝つという発想では困ります。

 「教育はすべての人間の権利である。子どもの学ぶ権利を保障することが必要であり、機会均等が大事だ」という立場から、「子どもたちが希望の持てる未来をつくる教育」をどうつくるかということに教育基本法の精神と力が発揮さるべきです。

 そうしたとき、赤松教育委員長は、文教委員会という公式の場で、現在の教育基本法は「非常に古いもので戦後のアメリカ占領下の社会情勢の中でつくられ、今日的に見ると色々問題があると思う。社会情勢は変わってきており、今回の中間報告には愛国心、家庭教育等色々な面で、当然やるべきであろうことが記載されており、教育委員会として全面的にこれに取り組んでまいりたい」との発言しました。個人の考えは色々あって当然ですが、教育委員長の立場での発言ですから、教育基本法の成立過程をゆがめるものとして撤回を求めるものです。同時に、県教育委員会において、合意がないのに「全面的に取り組む」との発音は、教育委員会の合意制度を否定することになりませんか。答弁を求めます。

◆小関洋治教育長

 教育基本法に関しては今後の最終答申や国の動向を注意深く見守っていきたい。先の文教委員会における教育委員長の発言は、「学校・家庭・地域社会の連携」や「日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心」など、新しい時代を生きる日本人の育成のために何が必要かという観点からなされたものだと考えている。

 

5.紀南地域の住民要望

 「佐野川・荒木川」の河川改修については、厳しい財政状況の中にあって14年度補正予算で5千万円、15年度当初で1億円の予算が計上されました。 しかし、佐野川は、1974年から、河川改修が進められていますが、改修計画約3キロに対して約半分程度の進捗状況であり、同時に進められている荒木川の改修についても、900bの計画に対して3分の1程度しか改修が進んでいない状況です。このような調子で改修工事を進めれば、あと何年かかるのか、という声が聞かれます。水害をなくし、安心して生活するために、河川改修は緊急の課題で、住民の長年の願いです。 今後の佐野川、荒木川の改修計画をお尋ねします。

◆大山土木部長

 佐野川本川は計画的に事業を進めている。支川荒木川は用地難航のため休止している。事業再開には地権者の協力が不可欠である。

 

◇金田

 新宮市の高田と蜂伏を結ぶ林道高田蜂伏線の工事に、4億8千万円が投じられまししたが、度重なる法面崩壊で130b進んだだけであり、14年度で休止されることになりました。そのため、高田の住民は、生活道路としての林道への期待が裏切られ、県道高田相賀線への想いは一層強くなっています。その高田第1号トンネルの工事着工が決まり、初年度として1億円が予算化され地元は大変喜んでいます。着工されれば、後は完成を待つだけですが、今後の県道高田相賀線の延伸について、県当局の考えをお聞かせ下さい。

◆大山土木部長

 県道としての必要性や路線の位置づけ等について整理する必要がある。今後の検討課題だ。当面は現在計画している整備区間の促進に努めたい。

 

◇金田

 現在、熊野川には国道42号の新宮市内の熊野大橋から国道168号の熊野川町日足の三和大橋までの約20qのあいだ橋がありません。このことは、日常生活の上で、不便さだけではなく、特に、現在の旧熊野大橋は昭和10年に架けられた橋で老朽化しており、新熊野大橋が災害などによって使用出来なくなれば、交通が遮断され、近くに迂回路すらないでは大変な事態になります。地域活性化対策や交通や震災防災対策からも新たな橋の必要性が問われており、国や県にとって重大な課題です。

 新たな橋が架かれば、車の流れが分散し、渋滞が緩和されるだけではなく、熊野大橋のバイパスや迂回路としての役割を果たすことができます。新しい橋の必要性やどこにかけるのが効果的かなどの調査研究や、三重県や地元自治体との協議をお願いし、知事の答弁をお願いします。

◆木村知事

 近畿自動車道紀勢線の早期整備が重要であり、今後も三重県と協力し引き続き国に働きかけをしていく。

 

◇金田

 紀南地域の医療体制についてですが、新宮保健医療圏域内に、24時間体制の県立救急医療センターを早期に建設することを地元は要望しています。しかし、県は施設・設備 整備や医師等の人員の問題、財政負担等の問題から、現状では県立救急医療センターの設置は困難とし、ドクターヘリによる救急医療への対応を云います。

 ドクターヘリはその活躍を大いに期待し評価するものですが、それはあくまでも救急医療の一つの手段であり、気象条件による規制もあり、夜間は搬送できません。

 また、県の災害拠点病院である新宮市立医療センターでは、ヘリーポート施設を一旦敷地内に造りながら現在は駐車場になっており、2001年2月議会で計画のズサンサと税金のむだづかいを指摘し、県の指導を求めました。しかし、未だヘリーポート施設はありません。ドクターヘリの夜間運行やヘリーポート施設は必要であり、高次救急医療体制の整備を求めます。

 次に、初期救急医療体制においても、以前から要望していますが、昭和49年から県下に休日夜間急患センターが設置されましたが、新宮広域には未だ設置されません。

 県民が「いつでも」「どこでも」「等しく」保健医療サービスが受けられる事は基本理念であり、県民一人一人の命の重さは同じであり、その生命と健康に関する県の施策も公平に行われるのは当然ですが、ここまでくると不公平感は払拭できません。

 新規事業の「あんしん子育て救急整備事業」について、県民が安心して子どもを産み、育てられる目的からすれば、その整備を心から期待するものです。しかし、その整備のネックになるのが紀南地域ではないかと危惧しています。何故なら、紀南地域では、小児科医が不足しており、県は小児救急医療体制については休日夜間急患センターにおける対応を基本としており、紀南地域にはそのセンターはありません。

 こうして話をしていくと暗い気持ちになってしまいます。

 知事、 ドクターヘリ・休日夜間急患センター・小児救急・災害拠点病院新宮市立医療センターへの援助など、紀南の医療体制についての考えをお聞かせ下さい。

◆木村知事

 ヘリの夜間運航の可能性についても検討したい。新宮市立医療センターのヘリポートも早期に整備できるよう協議をすすめている。休日・夜間の比較的軽症な急病患者に対応する休日夜間急患センターや小児の病院群輪番制は、各二次保健医療圏に必要なので、関係機関とも協議し、早期に体制の整備を推進したい。