2005年2月議会 予算委員会での松坂英樹議員の質問と答弁     戻る



企業局の廃止・土地造成事業の含み損について
○松坂委員

通告に基づいて質問に入らせていただきます。来年度予算案では、企業局の廃止に伴い、土地造成事業特別会計を商工労働部が引き継いで、商工施策とあわせて売却、利活用に取り組むこととされています。私は、この節目、再スタートに当たって、この土地造成事業会計の現状認識と、そして今後の運営の基本姿勢についてお尋ねをするものです。

この特別会計については、先日の補正予算審議でも議論しましたが、報道等でも借金なお百五十八億円とか、二十九億三千七百万円の含み損などと、今後の見通しや財政運宮に不安が大きいことが報じられています。この土地造成事業会計が県財政にマイナスの要因を引き継ぐことにならないか、まずこの点について企業局長の御答弁を願います。

○楠本企業局長

お答えをいたします。現在、企業局では和歌山市雑賀崎、西浜、御坊、日高港の四カ所、面積にいたしまして四十五ヘクタールの企業用地を保有いたしております。この四カ所の企業用地の造成に当たりましたコスト、いわゆる造成原価は合計で百八十八億でございます。一方、この土地の現在価格、これはことしに入りまして行いました鑑定評価額でございますが、その後の土地価格の下落もございまして、これは全国的な傾向ではございますが、現在の資産価値は百五十八億でございまして、委員御指摘の差し引き約三十億円の含み損が発生していることも事実でございます。ただ一方、この造成原価百八十八億に関しましては、当時すべて借入金で造成をしたわけではございませんで、当時土地会計が留保しておりました留保金の一部を使用しておりますので、企業債の残高、平成十六年度末予定では百五十七億円の借り入れ残が発生をしておりまして、企業債残高を償還することができる資産を現在保有していることも事実でございます。

ただ、この含み損を現時点で回収をするということは現在の地価情勢ではかなり困難であるということも十分認識をしておりますが、直ちにそれのために現金が必要であると、新たな財源が必要であるということにはなりませんので、そういう意味でのマイナス要因になるというふうには認識しておりません。ただ、今回商工労働部に引き継ぐに当たりまして、早期売却に当たって大変な御苦労をおかけするということにつきましては十分認識をしております。このことに関しましても、今まで商工労働部との間で十分協議をいたしてまいったところでございます。

○松坂委員

局長のお答えは、確かに損をした部分もあるし、苦労もかけるが、トータルで見れば売れればとんとんだと、マイナスではないという説明であったかと思います。しかし、これ余り胸を張って答えられる中身でもないと思うんですね。

答弁では、その四カ所の土地造成原価、合わせて百八十八億円というふうに答弁されていましたけども、今の答弁には造成できずに手つかずのままの山で置いてある御坊第一の分というのは含まれていませんよね。この資料は企業局からいただいたものですけども、この御坊第一の土地というのは九億円で入手をして、周辺整傭や事務費、金利など合わせたら既に現在原価は二十六億円に膨らんできているというふうに書いています。これを合わせて五つというふうにすれぱ、この五つの造成地の造成原価をトータルすれば二百十四億円ということになっていますね。これ、企業局からの資料です。これを見ると、長い間売れ残っていますから、やっぱり金利の負担というのも巨額になってきています。五つの造成地それぞれ見てみますと、御坊第一で五億円、第二で十一億円、西浜で八億円、雑賀崎で九億円、日高港で三億円、これを五つ合わせると三十六億円になっている計算ですね。先ほど申し上げた五つ合わせた造成原価のトータル二百十四億円のうち三十六億円が金利として払い続けてきた累積になっている、こういうふうになっていると思います。

百五十八億円もお借りしていると、幾ら低金利の時代とはいえ、半端な額じゃありません。金利二%としても百五十八億で年間三億円を超す計算ですから、実際、十六年度の金利の払い、これは三億四千万円というふうになっています。十六年度一年かけて苦労して売った西浜と桃山の土地売却で得た利益というのは、三億三千万円です。これ、全部借金の利子払いに消えた勘定にもなるわけですね。必死になって売却に駆け回って土地を売っても、借金の元本は減らずに利払いに消えていく、これはまさに借金地獄です。今、この年度末で土地の値段を下げて現在の土地鑑定評価額に合わせて値下げする、こういうお話もありました。しかし、現実的にはその値段にしたからといって売却の見通しがあるというわけじゃないということもお話ありましたね。私はこの深刻な現状を生んだこれまでの過大な事業見込みや見通しの甘さを批判するものですが、企業局長にもう一度お聞きをしたいと思います。決してマイナスじゃないというふうにおっしゃいましたけども、こういうのを将来の借金とか隠れ借金とかというふうに世間では言うんじゃないでしょうか。県民感情から見ても、この会計が大変なことになっているというのが今の実態です。この深刻な現状をどうとらえていらっしゃるのか。もう一度突っ込んだお話をいただきたいと思います。

○楠本企業局長

お答えを申し上げます。御指摘のとおり、バブル経済が崩壊して以来、土地価格が下落する、あるいは金融機関が破綻をする、あるいは長いデフレ経済が続くという我が国経済が過去に経験をしていなかったような事態というのが相次いで発生をいたしました。それを予測するということはなかなか困難ではあったものとは思います。この間、企業局といたしましても、事業用借地権の設定でありますとか、あるいは価格の見直しでありますとか、晟大限その売却に努力をしてまいったところではございますが、現段階で保有土地を完売できていないということに関しましては、まことに遺憾なことであるというふうに考えておるところでございます。

御指摘のように金利負担というものもかなり大きくなっておりますし、当然、今後のいわゆる借りかえに当たりましての金利交渉、できるだけ低金利に交渉する、あるいはまたそれよりもまず元金を返済するということが大切でございますので、できる限り早期売却することによって当然その分金利の負担をなくしていくということが極めて大切なことであろうというふうに考えております。

○松坂委員

答弁をいただきました。一層その現状と見通しをリアルにつかむというふうなことを要望しておきたいというふうに思います。時間の関係で、次に、引き継ぎ先の商工労働部長にお尋ねをしたいというふうに思います。

この企業用地を持ちごまに持つということは、産業振興の材料であるという一方で、えらい重みでもあるという大変な努力の必要なお仕事になると思います。さまざまな振興策との組み合わせとともに、条件面でも積極的な誘導策が必要になってくるでしょう。またその一方で、企業会計ですから、幾らでもいいから売っちゃえというふうにはならない、そういう採算性も求められます。だから相反する要因ですけども、どちらかだけに偏ったりせずに統一的に取り組む必要があると考えますが、利活用と採算性の問題にどう取り組むのか、御答弁をお願いします。

○石橋商工労働部長

御質問の土地造成事業につきましては、御案内のとおり、四月から商工労働部で所管することになります。引き続き公宮企業会計で会計処理を行いながら独立採算を基本に運宮をしてまいりたいと、このように考えてございます。

土地の利活用を図るために、事業用借地権や分譲報酬制度の活用、また、今商工労働部で行っておりますさまざまな企業誘致策等々を組み合わせましたより効率的な誘致活動をしながら処理をしてまいりた。いと、このように考凡ております。

企業用地につきましては、今申し上げましたように、誘致策とあわせ、積極的な販売ということで取り組んでまいります。採算性につきましては、やはり一つ企業が来れば県内に相当な投資と雇用も生まれますので、これは県の今の採算とはどうかわかりませんが、波及効果も大きいということから、商工労働部としては一生懸命取り組んでまいりたいと、こういうふうに考えております。

○松坂委員

答弁をいただきました。譲り渡す側、譲り受ける側、両方からお聞きをしたわけですけれども、最後に知事にお伺いをしたいと思います。

この問題、和歌山県だけに限らず、多くの都道府県でも同じような問題を抱えているわけで、第三セクターの赤字なども他の自冶体では問題になっているところです。私は、この事業の今までの過大な需要予測や膨大な売れ残りを抱えてしまったということの総括もなしに、将来、売却とか借金返済が困難になったときに、だれも責任をとらない、融資を決定し金利で長い間稼いできた金融機関も知らぬふり、最後に県民が税金でその穴埋めをしなきゃならない、こういう事態は絶対に避けなきゃならないというふうに考えています。将来、県民の税金投入を避けられるのかという点について、知事のお考えをお聞かせください。

○木村知事

これはまあ、よほど景気が好転して地価が何倍にもウナギ登りになって、和歌山の土地が引っ張りだこになるというようなことが来ない限りは最終的な処理を考えざるを得ない。その第一段階として企業局を廃止して、そういうふうないろいろな事務的な経費みたいなものを節減してこれ以上雪だるまが大きくなっていくのをちょっとでも抑えて、その次の段階としては、この間コスモパーク加太でーーこれはまあ土地開発公社でちょっと法人格は別ですけども、今度は企業局は一緒ですから、その税金の投入になるのか何になるか、そのやり方はいろいろあるだろうけども、いつまでも問題を先送りしていけるような状況でないということは僕はあると思う。ただこれはもう、御質問に何か絶対的な処方せんがあればこちらが教えてほしいぐらいのところでございまして、売れるようなものは一生懸命売っていくということをしながら単なる先延ばしでないような方策ということもあわせて考えていかなけれぱならない時点に至っている、このように思います。

河川の汚濁対策について
○松坂委員

知事の現時点での決意を聞かせていただいたというふうに思っています。県民が穴埋めをすることのないように、議会としてもきちんきちんとチェックをしていきたいというふうに思っています、その点を要望しておきたいというふうに思います。

次の問題に入らせていただきます。河川の濁水対策についての質問に移らせていただきます。知事は今回の予算説明の中で環境先進県を目指すということで、さまざまな施策に取り組み、また高野・熊野の世界遺産登録を機に豊かな和歌山の自然を守り活用するという姿勢を表明されました。私は、これらの点で和歌山県が大いに魅カを増していくということを願うものです。県内河川の清流の魅力に一層磨きをかけることを願って、濁水対策についてお尋ねをしたいと思います。

世界遺産登録をされた熊野川の濁水長期化問題は、これまでも県議会で取り上げてこられましたし、日高川の濁りの問題では、昨年、漁業組合から公害調停が提起をされています。私の地元の有田川でも、大雨の後、何週間も川が濁ります。

私は、県議会の初質問で水環境保全条例の制定を提案させていただきました。水質という面では有田川でもこの間、ダムによる減水区間解消のために二川ダムの常時放流が実現をして川に水が戻ったと私も大喜びをしましたが、反面、県外からの釣り名人たちから、ダム下で釣りをしたときに、ウエットスーツの中に、かゆい発疹が出るようになったと。ダムからの水が富栄養化しているとか、ちょっとおかしいんじゃないかというような警鐘もお聞きしたところです。この事例は、私が川の水質に関心を持った出発点でもあります。

きょうは、資料として委員の皆さん、当局の皆さんにも写真を配付させていただいていますが、写真の一、二は有田川の濁りの状況です、小さな川ですけれども、本当にいい川なんですね。先ほどの釣り名人からの話は、このマル一の合流地点の少し下側の話です。それからマル三、マル四、マル五は林道工事にかかわっての土砂流出の写真です、林道松根小森川線のマル三のような無神経なものやマル四のように土砂置き場の方からもかなりの土砂が流出しているのを私も見てまいりました。それから林道白馬線、マル五のように市町村も頭を抱えている、そういう問題もあります。これ昨年度完成と書いていますが、一咋年度移管したというふうに聞いています。これ、訂正です。

そんなふうに、こんないろんな事例も含めて、川から海への栄養分補給の話や川の濁りと藻場の減少との関係、ダムの貯水による濁りの長期化、また山間部では山肌の崩壊や森林の荒廃、林道の工事による土砂流出などへの改善要望など、私はさまざまな声をお聞きしてきました。いずれも清らかな川の流れを取り戻したい、こういう願いにあふれたものでした。もちろん、この濁水問題の原因というのは一つだけに特定されるものでなくて、さまざまな要因が絡み合っているわけですが、県土整傭部長、農林水産部長より濁水問題の要因や対応について御答弁を願いたいと思います。

○酒井県土整備部長

本県における河川の濁水長期化問題、これは特に上流域に発電を目的とするダムが設置された河川において認められます。これらの河川においては、ダムによる濁水長期化対策として、ダム設置者において濁水軽減施設の設置、ダム湖上流域の河道に堆積した土砂の除去、洪水時におけるダム運用や発電運用における工夫、これを実施しているところでございます。今後ともこれらの対策の効果を検証しながら、さらなる改善策を検討していきたいと思っております。

抜本的な対策としては、河川に流入する土砂量そのものを抑制する、これが何よりも大事でございまして、今後、そもそも事業そのものの必要性を考えまして必要不可欠なものに限るということ、それから、同じ事業をするにしてもなるべく土砂を下流に流さないような工夫をする、そういうことに配慮していくべきだと思っております。

例えば、林道開設に当たりましては、下流河川への濁水抑制のためのり面の早期の緑化あるいは早期の舗装、こういうことに努めているところでございます。今後とも、降雨時には下流河川において濁水の定点調査等による影響の把握を行うなど、いろいろ工夫していきたいと思っております。

○阪口農林水産部長

森林の荒廃による保水力の低下や土壌の流出についてでございますが、森林には水源の涵養や土砂の流出を防止する働きがございます。世界遺産周辺の森林につきましては、重点的にさまざまな森林整備を実施してまいりました。さらに十七年度につきましては、新たに国で創設されました奥地保安林緊急保全対策事業の導入によりまして、現地発生の間伐材等を利用した土砂の流出を防止する工事とあわせまして、針葉樹と広葉樹の混在した保水力の高い森林を造成するなど、水源林整備について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

また、河川の濁り等によるアユなどへの影響が危倶される場合には、関係部局と常に協議を行っているところでございます。また、事業といたしましては、山に苗木を植えたり樹木の手入れをする漁民の森づくりが全国的に盛んに行われてございますが、本県でも主要河川の上流部ではそのような事業を行ってございます。さらに、海域では漁業者と他の分野の人が協調してアマモ場の造成や沿岸域の清掃など環境の維持改善に努めて、水産資源の増大を図ることに努めていきたいと思っております。

○松坂委員

時間の関係で環境生活部にはお尋ねをできませんでしたが、県行政のそれぞれの担当専門分野からのお取り組みをお聞きいたしました。お聞きした濁水対策や水質、自然環境の問題というのは、雨を受ける森から川が流れ着く海まで大きな視野が必要だと思います。濁水問題はどこが窓口か、どこが音頭をとるのかと、こうなったときに、問題に応じて、やれダムだ、公共工事だ、環境だ、農林だと、その専門性ゆえに譲り合ったりとか押しつけ合う部分もあるんじゃないかというふうなことを今まで感じてきた次第です。

私は、この和歌山は住民の意識も行政の仕事一つとってもやっばり違うなと、レベル高いなと言われるようになりたいなというふうに思っております。和歌山の自然に魅せられておいでた方が、和歌山の人というのは、ここに住んでいる人はこの川の水ほんまに大切に思っているんやてなとか、それから緑の雇用とか公共の工事をとっても和歌山は全国のお手本になるぐらいのことを、今までと違うことをやってるらしいよとか、ダムの水も随分変わってきたらしいねと、水一つとっても物語がついて語られるような、そういうふうになってほしいというふうに願っております。

今議会には、古座川流域住民から清流を取り戻すために流域の協議機関をつくろうというような請願も出されていますが、私も趣旨には大賛成です。国管理の一級河川では、流域委員会等を設置して住民参加で川のことを考えていこうという流れです。全国的には矢作川などの教訓的な経験もあるとお聞きしています。環境先進県を目指し、環境問題に熱心な県としても、また和歌山の豊かな自然環境の魅力を今より一層磨き上げるためにも、そこに住む住民とそして行政が力を合わせて、森から海までのトータルな視野と行動力、これを発揮できる流域委員会のような連携の場、これを県内各河川の実情に合わせて持っていくべきではないかというふうに私考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○木村知事

和歌山はやっぱり、幾つかの清流というふうなのが和歌山県の私は特色だろうというふうに思っています。そういうふうな中で、確かに濁水の問題とかいろいろ河川に係る問題が出てきているのも事実なんで、そういうのを河川管理者であるとか砂防の工事をする人とか、ダムの人とか、もうばらばらにやるんじゃなくて、今おっしゃったように一体として、管理委員会ですか、こういうふうなものを設けてやっていくというのは非常にいいことだというふうに思いますので、これは思いますというだけじゃなくて実行していきたいというふうに思っております。

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人権課題の現況調査について
○松坂委員

知事から御答弁いただきました。ぜひ今までよりも一歩も二歩も進んだ努力というのをお願いしたいというふうに思います。

次の三つ目の質問に移らせていただきます。人権課題克服のための調査支援事業についてお尋ねをいたします。企画部の今年度の新規事業として、約一千二百万円がこの事業に予算化をされています。現況調査による人権課題の現状把渥を目的とするとありますけれども、同和問題を含めた現況調査というのは非常に難しい問題だと思うんです。こにあるのは、湯浅町が法期限前の平成十二年度に隣保館モデル事業として国と県の援助のもとで実施した同和地区の実態調査の報告書です。この調査に当たっては、この調査そのもののあり方についてとか、方法、調査項目などについて地元でも大論議がありました。例えば、この中に調査票があるんですが、調査票の一ぺージ目の設問を見ますと、出生地はどこかという設問があって、一、この地区、二、他の同和地区、三、同和地区外、四、わからない、という回答を選択しなけりゃならないとなっています。続いて、配偶者はどうですかと、同じような、この地区とか、他の同和地区とか、同和地区外、わからないと選ぶようになっているんですね。わずか四年前の調査です。この調査票は表紙に整理番号も入っていて、後からその個人が特定もできかねないということになっているわけで、こんな設問というのはプライバシーの問題としても行政がこんなことをいつまでも続けていてもいいのかというような問題でも大問題だというふうに思っているんですが、私どもは、今日的には同和行政を続けることが、行政の側がこの垣根をいつまでもつくることになって解決をかえっておくらせるという立場で指摘をしてまいりましたが、実態調査ということで、こういうことが繰り返されては困るというふうに考えています。そこで、企画部長にお尋ねをいたします。今年度予算化しているこの調査支援事業というのはどういう事業でしょうか。調査対象や規模、調査項目はどういうものを考えておられるのか、お示しいただきたいと思います。

○高嶋企画部長

人権課題克服のための調査でございますが、すべての人の人権が尊重される社会の実現を目指しまして、さまざまな人権課題の現状を把握し、施策を検討するための調査を行うというふうなことでございます。今回の調査は、和歌山県人権尊重の社会づくり条例を根拠に実施するものでありまして、同和問題を初め、高齢者でありますとか、障害を持っていらっしゃる方、あるいは子供、女性等に係るさまざまな人権課題の現況を調査することでありまして、かつての同和問題の実態調査とは違った視点、手法で行うこととしております。それから、調査対象とか調査項目というふうなことでございますが、それにつきましては現在さまざまないろんな考え方がある中で検討中でありまして、当初予算、今回四百五十三万七千円の部分をお願いしておりますが、実施事務のための予算をお願いしているというふうなことであります。今後、調査内容等につきましては、案が確定した段階で予算を含め議会にお諮りしたいというふうに考えております。以上でございます。

○松坂委員

これから検討ということですので、今後引き続きやりとりをすることになろうと思うんですが、女性の人権の問題とか高齢者の問題とか弱者の問題とかはずっと広いわけで、そういう調査をするのは一般的にずっと全体を対象にやったらいいわけですが、同和問題が提起する調査をしようと思えば、それはやっぱり地域を限定して調査をするということにもなってくるというふうに思いますから、今申し上げたような心配がないように、人権課題の今回の調査や、また一緒に予算化されている就労ナビの調査、また他の調査なんかも含めて要望しておきたいというふうに思います。

それでは、最後の質問に入らせていただきます。教育予算にかかわって、教育事務所統合にかかわる指導主事の配置についてお尋ねをしたいと思います。来年度からは教育事務所が廃止をされて、各地方教育事務所や各市町村の教育委員会に配置をされていた指導主事の配置が大きく変わることになります。私どもの有田地方で申し上げますと、教育事務所、この振興局の建物には、五名だったと思いますが指導主事の先生がおられて、一市五町の教育委員会にそれぞれ一人ずつ、全部で六名の指導主事を配置されていました。この教育事務所がなくなるのにあわせて市町村教育委員会に、今まで一人ずつだったのを来年から複数持ってくださいよということで合わせて十名指導主事を配置するというふうに聞いています。しかし、その人件費ですが、これまで例えぱ郡部の五町で二名分の人件費を持っていたわけですけれども、来年からは一町ごとに一人分は自前で出さなければならないというふうに聞いています。これでは市町村の側にとってみれば、教育事務所にいた指導主事の分が市町村に振り分けられたというか、打ちつけられたみたいに映るわけですね。この一人九百万円の人件費の負担増、今のこの自冶体財政では本当に苦しいという声が上がっております。教育事務所廃止に伴ってこの指導主事の配置がどう変わろうとしているのか、教育長からの御答弁をお願いいたします。

○小関教育長

都道府県並びに市町村の教育委員会には教育指導の専門職としての指導主事を置くということが地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法で決められているわけです。ところが、今日までの本県の実態を見ますと、確かに小規模な市町村が多いということもあるし、財政的な基盤が必ずしも強くないということもあったりして、市町村の教育委員会で独自に置いている指導主事が極めて少ないという実態があったわけです。今例に挙げられた有田郡市は、県内で見れば最もその配置率が高かった方なんですね。それ以外は極めて弱体であったと、まあ人的な面では申し上げざるを得ない。それをカバーしていたのが教育事務所であったわけです。七つの教育事務所は、それぞれ市町村が本来やってもらわなきゃいけない部分を相当いわば引き受けていたということがある中で、いつまでもこれを続けていくことは市町村教育委員会の体制の強化に果たしてつながるのかどうかということがありましたので、何年か前から計画的に事務所の役割を今までとは同じようにはいきませんということで最終的には廃止すると、段階的にここまで来たわけです。

その点からいきますと、合併の機運が高まっている時期と全国的に地方分権が進んできているという権限の移譲のその流れの中にうまく位置づけることによって、市町村の教育委員会の体制の強化、特にこれは義務教育を受け持つわけですから、義務教育まですべて県教委がという形にはやっぱりなるべきではないという考え方から、できるだけ市町村に主体的にやってもらおうということで進めている、その過程のことでございます。

○松坂委員

教育長からは、もともと市町村がやるべきものだったんですよという趣旨の原則論の御答弁をいただいたわけですけれども、もともとやるべき市町村が、じゃ我々の市町村としては指導主事を一人置こうとか、二人置こうとか、三町寄って二人にしようとか、そこら辺を自分とこの自前の身丈に合わせて考えていくのが権限移譲であり地方分権だと思うわけですよ。

ところが、今回の教育事務所の廃止と一緒にやってしまうと、どう見ても市町村へ放りつけたふうに映るわけですね、市町村に複数配置がいいということで、今回有田なんかでは、二人ずつ置いてやと、一人は県が出しますよと、もう一人は市町村がというふうなことになっているようですが、例えば市町村としても中学校一校、小学校あと数校というようなぐらいの規模の市町村にとっては、複数の先生が現場を離れて役場で机に向かっているというのはやっぱり地域の実態に合わないというふうに思うんですね。三十人学級の推進など、子供たちに直接かかわる教育予算の方に使う方が絶対いいというふうに思います。今後のあり方については、市町村教育委員会の自主性をよく尊重して相談して進めていただきたいということを要望申し上げて、今回の質問は終わりたいというふうに思います。

○平越委員長

以上で、松坂英樹委員の質疑は終わりました。

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