08年2月議会反対討論
2008年3月18日
《反対討論》藤井 健太郎 議員
日本共産党県議団を代表して、議案第1号、3号、7号、43号、46号、49号、61号の7議案について反対の立場から討論いたします。
議案第1号は平成20年度一般会計予算です。
新年度、県民をとりまく状況は昨年に引き続き、依然として厳しいものがあります。住友金属など一部大企業での活況はみられるものの、給与所得者、自営業者、農林水産業者などの多くは所得の低迷がつづき、これまでの庶民増税と社会保障負担の増大がより可処分所得の減少を招いています。そこへ昨年からの石油関連製品の価格高騰をはじめ、穀物価格など諸物価の値上げが県民のくらしと経営をいっそう脅かすことが懸念され、将来に対する不安感が広がっています。
新年度予算が、将来への不安を少しでもやわらげることをめざし、県民のくらしや地域間の格差拡大に歯止めをかける、県民のくらしのセーフティネットの役割をしっかりと果たせる予算であり、また、地方分権をいいながら地方の一般財源きりつめをすすめる国に対しては、毅然と物申す行政姿勢であることが求められていると考えます。
特に、新年度予算は新長期総合計画の初年度の予算でもあり、10年後の本県の将来像への到達をめざす上からも、国との関係では解決しなければならない幾多の問題点を指摘することができます。
一つは、新年度予算が一般財源が強化されたといえる予算なのかということです。平成16年度から始まった三位一体改革による国庫補助負担金の削減が税源移譲で賄えきれず、地方交付税等の大幅削減が行われた結果、本県の経常収支比率が85%から90%台に一気に悪化、財政の硬直化がすすみました。
財源不足を退職手当債など赤字地方債の発行と基金からの取り崩しをせざるをえない状況となっており、新年度もそのことは基本的には変わっていません。
一般財源としての地方交付税、臨時財政対策債あわせて54億円の増額となっていますが、これは、後期高齢者医療制度の創設に伴う県負担金、臨時財政対策債の償還にあてられるものであり、本来の自由に使える一般財源が増えているとは言えない状況です。
「健康長寿日本一」や「子育て環境ナンバー1」をめざすことなどをはじめ新長期総合計画で示された多くの自治体らしい独白施策の前進をはかるためにも、国に地方交付税を柱とする一般財源の拡充を強く求めるものであり、特に自主財源の乏しい本県においては、知事はその先頭にたって奮闘すべきであります。
国との関係でいえばもうひとつ、国直轄事業負担金に対する問題があります。新年度148億5000万円が計上され、県単独事業は前年度比3.3%の削減に比べ、1.6%の伸びとなっています。
国管理の主要国道、河川の維持費、修繕費にまで負担金があり、20億円以上も一般財源での負担となっています。県管理の道路や河川の修繕費にこそ回されてしかるべきものだと考えます。
また、住友金属沖埋立地では、いつ来るともわからないLNGタンカー接岸に向けた防波堤築造工事がすすめられており、新年度においても県負担金が6100万円計上されていますが、不用不急といわざるをえないものです。
新年度の歳出予算、事業について、予算面やとりくむ姿勢について、これでいいのか、と思われる点について述べておきます。
行財政改革の断行として、新年度において、295項目の事業見直しで21億円の削減効果といわれています。行政内部の努力により経費削減をすすめることは当然のことでありますが、市町村事業への補助、小規模な福祉団体への補助、直接、県民生活にかかわる事業の廃止、縮小などは県民生活に少なからぬ影響を及ぼすものとなります。当該団体や県民の理解を得ることが必要となってきますが、そのことについては県からの詳細な説明はされず、そういうものもあるかもしれないというような認識でしかなかったことは残念であります。
中には、市町村の防災対策にかかわる県補助金の削減など、県民生活への影響が懸念される問題が見られます。県単独の障害児保育の助成金のカットもされています。
また、森林・林業教育にかかわる予算が廃止され、森づくり税を使っての事業に振り返られるなど森づくり税が既存事業の財源にあてられることもおこっています。
財政が厳しいときだからこそ、県民生活に影響するような事業の廃止、縮小や補助金削減については、県民へのていねいな説明が不可欠だと考えます。
原油価格高騰問題への対応であります。県は昨年12月、原油価格高騰対策にかかる庁内対策会議を設置し、相談窓口の開設、融資の対象枠を国よりも拡大するなどの取組みをはじめましたが、既存の事業のフル活用をはかることを基本におきました。今年に入り、事態はいっそうの深刻さを増そうとしていますが、新年度においてより強化された予算措置がされていないことは残念であります。国に対する対策強化の申し入れは当然のことでありますが、県としても国の制度活用をはかりながら独自の対応に積極的に取組み、県民生活の安定化をはかるべきであります。
後期高齢者医療制度が新年度4月から実施される予定で、必要経費が計上されています。
後期高齢者医療制度は、その目的に高齢者の医療費抑制をかかげ、75才以上という年齢による区分で独立した医療保険制度をつくるという、皆保険制度はじまっていらいのものです。加入者一人一人から保険料を徴収し、保険料が滞れば資格証明書の発行など保険給付を差し止める、給付される内容も定額制を導入し終末期医療を制限するなど独自の診療報酬体系となっているなど、まさに高齢者にとって重大な問題を多くはらんでいます。家族が加入する健保、国保から脱退することで、高齢者自身の負担が新たに増えることは明らかです。
県は、制度実施を適切にすすめるというだけで、国の政策を無批判に受け入れ、県独自で高齢者の意見聴取や問題点の把握、負担軽減策にとりくもうとしていません。
環境対策として、排ガス規制への助成1億円、県トラック協会への助成となっていますが、大阪に流入する排ガス規制条例の対象車両すべてが助成の対象となっているものではありません。県民の税金を使うことにもなることから、県の助成を必要とする中小零細規模の事業者を対象として、県トラック協会加盟事業者に限らず等しく利用できる制度であるべきと考えます。
新年度も学力診断テストの予算が計上されています。新年度で5年目となりますが、毎年、悉皆調査としての学力診断テストは不必要であり、学校別に正答率を公表することは無用な学校間競争を招き、好ましいことではありません。
議案3号は、中小企業振興資金特別会計予算です。
19年度最終補正では償還指導室の奮闘もあり、貸付金回収金額を増額補正し、新年度予算でも前年度当初比で2倍の回収をすすめる予算となっています。そのことについては、多くの苦労もありその努力を評価するものです。
しかし、問題は、過去の貸し付けとはいえ、国民の税金を原資とする貸付であり、多額の不納欠損や債権放棄という事態にいたる原因、経緯を思うとき、県民の納得できる説明が必要なことは当然のことであります。特に高度化資金においては、延滞法人34法人108億円という未償還額があり、償還率0%または6.5%で事業破綻、その結果、債権放棄を提案という事態となっています。回収に全力を尽くすことは当然のことでありますが、貸し付けのありかた、償還指導、債権保全など行政の説明責任が果たされているとは思われません。
議案7号は、県営競輪事業特別会計予算です。
公営ギャンブルには反対の立場であり、自治体の財源としてギャンブルに頼るべきではないと考えるものです。
議案43号は、心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例です。
加入者の掛け金を大幅引き上げにひきあげる内容となっています。結果、加入をためらうものになったり、加入者の生計を圧迫することになるのではないか懸念されます。国の補助こそ増額させて、共済事業の安定運営をはかるべきと考えます。
議案46号は、後期高齢者医療財政安定化基金条例の設置です。
後期高齢者医療制度に反対する立場から認められません。
議案49号は、道路占用料徴収条例の一部を改正する条例です。
電柱や配管などの占用料を国に準じて改定しようとするものです。市町村合併による県民負担への配慮という点では理解するものですが、そもそも、この占用料改定は「規制緩和」の名のもとに、占用料収入の95%までをしめる電気・通信・ガスなどの大企業が負担軽減を求めてきたものであり、県財政の歳入確保の立場から、機械的に引き下げる必要はないものと考えます。
最後に、議案61号 平成20年度建設事業に伴う市町村負担金について。
県工事に伴う市町村負担金で、事業ごとに負担率が10%から30%まで設定され、30億5200万円余が見積もられています。
県土の整備保全は本来、県の責務であり、市町村の財政力、地形の違い等により、事業量も異なり、負担感もちがったものとなってきます。基本的には廃止すべきであり、市町村負担の軽減をすすめるべきであります。