2008年2月 建設委員会 会議記録抜粋

3月13日
質問 松坂委員
 道路特定財源の問題については、国会ではなかなか議論が進まないが、全国紙のアンケートでは、国民の6割が一般財源化を望んでいるし、NHKのテレビでも、9割が賛成だと報道されたと聞いている。国を二分する議論がされているところに県が作成した暫定税率に関するチラシが世論の批判を浴びたところである。本会議では財源問題で激論が交わされたが、議論がかみ合わなかった。また、予算委員会では、県財政全体から見て健全な財政運営、必要な道路整備のためにも一般財源の確保が大事だという議論もされた。
 チラシの内容については、私どもは、世論が分かれている問題に対して、特定の考え方を広めるために税金を使って行政ルートで全県民に対して広報することには強く抗議を申し入れたところである。
 このチラシは、暫定税率がなくなれば、道路整備が10分の1になってしまうと書いているが、財政課から入手した平成20年度予算での道路事業における財源内訳の一覧表をもらったが、これによると、道路特定財源以外に約20億円の一般財源が道路事業に使われている。これを財源にすれば、道路事業は100億円ほどの事業を実施できるのであり、チラシに書かれている10分の1になるというのは、極めて限定的な条件の下での理論だということを指摘しておきたい。
 また、県民の福祉、教育などのサービスが低下するという見出しがあったが、福祉を引き合いに出した表現はどうかという意見もたくさん出た。道路整備が県民の切実な要望であるということは共通の認識だが、これを盾にして、暮らしよりも道路優先、道路の財源のことのみに固執する狭い考え方ではないかということも指摘しておく。
 このチラシはどこが作成したものか。

答弁 尾花道路政策課長
  和歌山県、県下市町村、道路協会、各種団体などで作成した。

質問 松坂委員
 各種団体等で作成したということだが、実際は以前に県が作成していたパンフレットを基にダイジェスト版として作ったものであり、県が作成したものではないか。

答弁 尾花道路政策課長
   作成にあたっては、県が主に原案を作成した。

質問 松坂委員
 内容については、道路政策課が中心となってまとめたのだと思うが、これは、道路政策課の見解として発行したのか、知事の決裁を経て、県庁全体の意思として発行したものか。

答弁 尾花道路政策課長
   作成にあたっては、各団体、県下市町村、道路協会と相談し、その上で知事とも相談した。

質問 松坂委員
 この内容で作成するが大丈夫だという確認の手順を踏んで発行したということか。

答弁 尾花道路政策課長
   そのとおりである。

質問 松坂委員
 配布規模だが、行政ルートで全戸配布を行ったと思うが、始めから、作成した団体が全戸配布の計画を相談して決めたということか。

答弁 尾花道路政策課長
   各市町村から各家庭への配布については、1月21日に市長会、町村会等で相談し、各市町村が決めたものである。

質問 松坂委員
 チラシは県民の税金を使って作成したものか。

答弁 尾花道路政策課長
   費用は、和歌山県道路協会が負担している。

質問 松坂委員
 費用はなぜ県ではなく、和歌山県道路協会が負担したのか。

答弁 尾花道路政策課長
   各団体等と相談して決めたところである。


質問 松坂委員
 県が費用負担するのを躊躇したのではないか。

答弁 尾花道路政策課長
  そういうことはない。

質問 松坂委員
 全戸に配布するだけの量を作成するということの規模及び内容に関しても、かなりバタバタと決まっていった経過があるように思う。県議会の名前も出ているが、私どもには相談がなかったということも申し上げたところである。
 県は、和歌山県道路協会の会員になっているのか。

答弁 尾花道路政策課長
  県は会員ではない。

質問 松坂委員
 人は出していないのか。

答弁 尾花道路政策課長
   和歌山県道路協会に県から職員は出していない。


質問 松坂委員
 和歌山県道路協会の事務局は、和歌山県道路政策課内にあるのではないか。

答弁 尾花道路政策課長
   和歌山県道路協会は、県内市町村、トラック協会、バス協会、タクシー協会、で構成され、事務局は和歌山県県土整備部道路政策課内に置くとなっている。


質問 松坂委員
 和歌山県道路協会の仕事を道路政策課は、業務として行っているのか。

答弁 尾花道路政策課長
   道路政策課の職員は、和歌山県道路協会の事務を補助している。


質問 松坂委員
 補助とはどういうことか。企画立案とか、政策的にどういうものを作成するとかに関し、県がリードして行っているということではないのか。

答弁 尾花道路政策課長
   基本的に、県として市町村の意向を踏まえて国などへの要望活動を始め、支援を行っている。


質問 松坂委員
 県の職員は、和歌山県道路協会の役員にはなっていないのか。

答弁 尾花道路政策課長
   役員等にはなっていない。


質問 松坂委員
 和歌山県道路協会の会員にはなっていないのか。

答弁 尾花道路政策課長
   和歌山県道路協会の会員にはなっていない。


質問 松坂委員
 和歌山県道路協会は市町村からの分担金だけで運営されているのか。

答弁 尾花道路政策課長
   費用は各団体の会費で運営されている。

質問 松坂委員
 費用は各団体からの会費で賄われ、事務局は県庁道路政策課内にあり、そこから色んな指示が出ているということだと思うが、私は県も事務局的役割を果たしている思う。和歌山県道路協会は、これまでも道路特定財源の堅持ということでは、一般財源化阻止という意見書を各地方議会でも上げてくれという働きかけを行っているが、市町村や市町村議会にとっては、県から言われたと言っている。県の職員がそういう働きかけを行うことは問題がないのか。

答弁 尾花道路政策課長
   和歌山県道路協会長の依頼文を事務局から送付したものである。


質問 松坂委員
 事務的に発送だけを行ったという答弁だが、私は納得がいかない。
 今回のチラシの問題については、道路財源最優先の姿勢の一面が生んだものだと思う。その背景には、和歌山県道路協会の運営に見られるように、県職員の業務のあり方が問われていると思う。遅れている和歌山県の道路整備をしっかり進めるにあたっては、一般財源を始めとするしっかりした県財政の背骨を確保することはもちろん、無駄な大型公共事業を続ける自動装置となっている道路予算の仕組みや、税金の集め方、使い方、これを根本的に転換する必要があると思っている。意見として、今後とも、県民の立場に立った冷静で公正な県土整備部の行政運営を求めるものである。

答弁 茅野県土整備部長
   道路の問題は狭い問題ではなく、県にとっては非常に重要な問題で、知事以下広い視野に立って必要な情報を県民にお知らせしているものである。暫定税率がなくなることでの我々の受ける影響を皆さんにお知らせし、あるいは、国にも和歌山の現状、それから、道路整備が道路特定財源によって安定的に供給され、効率的に整備がされていく必要性を、県、各団体、全市町村が一丸となって取り組んでいるという状況であるので、そういう我々の活動について、是非ご理解をいただきたい。

質問 松坂委員
 道路占用料について、以前から「合併で、村から市になったんで道路占用料が4倍になった」と相談を受けたことがあって問題意識を持っていた。
 合併で新市になった町村で特に過疎地指定をされている所と和歌山市内のような都市部の所が、同じ面積当たりの占用料金というのが矛盾だと考える。
 県はどのように考えているか。今回の占用料の改訂の内容と併せて答弁願う。

答弁 平田道路保全課長
   道路の占用料の改正については、本年4月施行の道路法施行冷の一部改正に伴い、和歌山県道路占用料徴収条例の改正を行うものである。現行の占用料は平成8年4月に改正されて以来、見直しを行っていない。この間、地価が全国的に下落傾向で、また、町村合併により新たに市となった町村においては、占用料が高くなったことに配慮して行ったものである。その結果、占用物件によって減額率は異なるが全体的に市と町村を比べると、市の方が減額率が大きくなっており、市町村合併による配慮がなされているものと考えている。

   それから、今回の歳入歳出のことだが、約3割の7,800万円が減額となっている。歳出としては、道路維持事業の減額である。

質問 松坂委員
 市の区域と町村の区域と二つのくくりしかないのでそういうことがあったと思う。そういう配慮も一定今度はあるという話だったが、資料をいただいて、2億何千万円というお金がどこから入ってくるのか調べてみた。占用料の大部分というのが電力会社の電柱とか、通信事業者やガス会社の電柱や配管によるものだということだが、県民個人の分と会社で使っている分とではどのような割合になるのか。

答弁 平田道路保全課長
   電気、ガスの占める割合が、約95%を占めている。


質問 松坂委員
 県民個人が占める割合が5%、あと会社が占めるのが95%という話だった。
 年間7,800万円、10年間で10億円近くの歳入減は財源不足の中で大変痛い話だと思う。
 歳出面で、歳入が減ることによって、歳出のどこを削り、どういう影響が出るのか。

答弁 平田道路保全課長
   主に道路維持費事業で、内容は、道路の修繕オーバーレイ、崩土除去、除草、剪定等道路維持にかかる経費に影響が出る。


   質問 松坂委員
 部長にもご意見うかがいたい。例えば、農家が道から畑に入るための側溝の上に床板をかけているような場合の占用料については、合併して市になったところでも、過疎指定を受けているような所では、町村並みの価格でもいいと思う。逆に、歳入の大部分95%を占める大企業の占用料については、道路財源がこれだけ焦点になっているなかでは、引き下げを留保してもかまわないし、そうすべきだと思っている。過疎地域の指定を受けながら市になっている所は、暫定的に当面の間、町村の価格を適用すると一文条例に付け足す。それ以外の部分については、今後10年間は県としても大切な時期だから、暫定的に従前の価格を据え置く。そういったことをすることは、各県がそれぞれ県条例で決めるんだから、理論的にできないことはない。東京都などは、道路に張り出している看板の面積に応じた占用料を取っていると聞く。道路財源の確保が勇ましく叫ばれる中、今回のいわば財源放棄とも言うべき話には、先程の道路政策課からも抗議たるやすさまじいものがあったのではないかと案じるわけであるが、10年間で10億円近い財源があれば50億、100億円の、県民にとっての事業が進む。電力会社等から、「和歌山だけが不当に高い」と訴えられているわけでもなし、こちらのほうからみすみす貴重な財源を差し出すことはない。これを県土整備部全体で議論したのか。何としても財源を守ろうという姿勢が部長にあるのか。

答弁 古谷道路局長
   確かに減額にはなる。ただ、全国的に地価が大幅に下がっておるということ。それから先程申し上げたように、市町村の合併。そういうこともあって、今回の道路法施行令の改正ということにつながったと思う。また、電線等についても大企業ではあるが、改正の議論の中で、最近の情報通信に対して電力会社等も寄与しているということで、規制緩和という議論もあって今回の改正に至ったわけであり、減収は残念ではあるが、総合的に判断して、今回条例を上程させていただいた。

質問 松坂委員
 局長の方から詳しい説明をいただいたわけだが、今の説明にあったように、この間題はそもそも国における規制緩和の議論の中で「引き下げろ」という話があって、それが出発点になっていると思う。そういう国の議論について行かざるを得ないと事務的に思っているのか、部長にお伺いする。

答弁 茅野県土整備部長
   占用料の答えについては、今、局長がお答えしたことに尽きていると思う。

   財源のことについては、この占用料のことと占用の地価の下落に伴う改訂とは別のことだと思うので、それと同じような議論にはならないと思う。いずれにしろ、この占用料についても適正な考え方の中で、市町村、あるいは企業等も勘案して設定しているものであるのでご理解いただきたい。

意見 松阪委員
 あっさりと、別のことだとお答えになったが、私はどうにも納得できないが、この間題はこれでとどめておきたい。

質問 松坂委員
 来年度の切目川総合開発の予算が15億円計上されている。他の河川改修等の事業費が前年度と比べると軒並み減額となっているが、河川の安全対策や改修に支障がでないのか。

答弁 鈴木河川課長
   予算の件については、委員のご指摘のとおりです。今後の安全対策や改修に支障がないかということですが、財政状況が厳しい状況ですが、特に支障となる箇所など緊急性の高い箇所から優先的・重点的に対策を進める。


要望 松坂委員
 切目川ダムは治水優先のダム建設であり、利水負担は1%と低い。しかし、このダムは洪水調節用のゲートをもたない「穴あき坊主ダム」と言われているダムである。勝浦にある小匠ダムも穴あきダムだが、このダムは本体の一番下に穴があり魚の遡上などができ、また水も貯めていないので環境に負荷の少ない構造である。今回の切目川ダムは、その穴がダム本体の真ん中にあって真ん中から下には、貯水量550,000m3もの水が貯まることになっている。集水面積の中に豊かな山をもっているほど有機物質が流入する。それは、ダム湖の底で無酸素分解されることによって環境への影響も出る。もう一つは、穴あきダム計画では、全国でも流木等で穴がふさがれることが心配されている。そのような対策なども講じられているダムも見受けられるが、切目川ダムはその様な設計になっていない。ダムによる洪水調整の必要性については私どもの認めてきたところである。洪水調整能力や環境への負荷の問題等、地元住民や専門家の方々の意見を取り入れながら慎重に取り組んでほしい。


3月17日
要望 松坂委員
 追加議案77号は訴訟の提起の議案であり、これまで調停という公の場で相談・約束してきた条件を、一方的に反故にするような金融関係業者の姿勢は、社会的にも批判されるべきだと考える。県としてもしっかりとルールに基づいた処理を主張されるよう要望する。
 また一方で、議案の背景というものを考えてみると、今回の土地区画整理事業は、災害復旧目的や公的施設・道路目的の区画整理事業ではなく、山林を造成して宅地にするという、いわば「宅地開発」的な開発事業となっており、土地価格の変動という経済的外部的要因によって収支基盤が大きく左右される事業だ。土地が思ったように売れるかどうかは計画通りにいかないというリスクを当初から負った計画なわけで、土地区画整理事業という公の事業として適当かどうかという判断、売れなかったときのリスク管理というものはしっかりと考えられていなければならない。
 今回の事態は、県が1億円を無利子融資し、売れなかったので1,800万円しか戻らないと頭をかかえていたら、債権者間の約束を無視されて1円も返ってこなくなるかもしれないというひどい話だ。
 1億円の融資のお金は、国民・県民の税金である。県民に説明がつくように、必要な情報開示や明確な県の主張をきちんと行うよう、今回は要望をしておく。

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