2008年2月県議会 福祉環境委員会 会議記録抜粋

2008年3月13日


(1)

《質問》 奥村委員
 本会議で後期高齢者医療制度の質問をさせていただいているので、内容については省くが、高齢者の保険料の負担になることや、また、75歳で区切るということで、診療報酬の内容をみても、包括制などが導入されて、疾患によっては負担が軽くなる場合があるかもしれないが、年齢で差別するような医療制度ではないかと思っている。後期高齢者医療制度について進めていくという答弁をもらったが、和歌山県の自治体でも、30自治体のうち16自治体が何らかの意見書を出している。そういった状況をどのように考えているのか。

《答弁》 井畑福祉保健部長
 後期高齢者医療制度であるが、増大する医療費をどのような形で負担をしていくか、世代間の負担をどういう形にするのかという議論のなかで、75歳以上の方で、保険料を一定の割合で負担してもらおうと、そう考えて導入されたと理解している。和歌山県議会を含めて、全国の地方の議会から意見書が出されているということも十分承知しており、今回、被用者保険の被扶養者に対しての保険料は、半年間は免除で、半年間は9割減免、残りの1年間は、5割減免という制度も導入して、一定の見直しもされているものと認識している。

《質問》 奥村委員
 そういった状況の中で、国としても一定の措置をしなければいけないというくらい、国民にとって、お年寄りにとって、負担が大きい制度であると言えると思う。それは、一時的なものであって、今後、やはり基本は負担するということになるので、そういった点も含めて、今、4月導入目前になっているが、各自治体での説明や周知徹底をされているか、住民の方が本当にこの制度について、どのように理解されているのか、また、どんな意見が出されているかということを、把握しているか。

《答弁》 幸前健康づくり推進課長
 後期高齢者医療制度の住民への説明、周知については、県の広報紙、テレビのお知らせ、広域連合の作成したパンフレットの市町村を通じた配布、市町村広報などもされており、3月中には、2回、全国紙への折り込みが予定されている。住民の説明会の開催に関しては、老人クラブや民生委員への説明会、あるいは地区住民への説明会の開催など、市町村ごとに取り組んでいる。参加者からの主な意見としては、保険料がどうなるのかといったことが多いと聞いている。

《質問》 奥村委員
 開催数とか、どれくらいの方が参加されたのか。

《答弁》 幸前健康づくり推進課長
 参加者については、住民説明会を開催している市町村に聞くと、余り多くないということであるが、老人クラブ等への説明であれば、団体を通しての周知の働きかけもされると考えている。より一層周知がされるように取り組みたい。

《要望》 奥村議員
 参加される方が、高齢ということで、外出されるのが困難な方とか、いろんな方がいると思う。広報といっても、意識的にみないとなかなかわからないし、また自分がどうなるのかというところが、なかなか分かりにくい点があると思うので、今後ともさらに十分周知徹底できるように、考えていただきたいと思う。
 もう一点、後期高齢者医療制度自体の、年齢で線を引くという問題について述べたい。包括制度、終末期の医療についても制度が出されているが、私も医療現場で働いていたなかで、現場で働いている者にとっては、年齢には関係なく、命の前で、医療行為なり、医療スタッフが頑張るといった中で、終末期医療に対して点数化する面などというのは、75歳以上の方の、医療の内容を制限することにつながっていくのではないかと強く思う。そういった点で意見を述べさせていただく。


(2)
《質問》 奥村委員
 少子化対策を大きく前進させるには、第1子からの施策にしていくべきと考えるが、なぜ第3子からの経済的支援なのか。また、各市町村への保育料支援について、県と市町村半分ずつ負担である。15市町村が実施すると聞いているが、県として、半数未実施についてどのように考えているか。
 また、妊婦健診の回数についても国は5回の交付税措置をしているとのことであるが、和歌山県内の状況は、5回実施が5自治体、海南市が3回で、ほとんどの市町村が依然として2回のままである。市町村が実施主体ということもあるが、この点についても県はどの様に支援していくのか。

《答弁》 大西幼保・少子化対策推進室長
 3人目の3人っこ施策の理由ですが、まず第1子については、結婚後、子どもが生まれるとき、就業の支援が必要で保育所の整備がある。第2子については、夫婦間の家事・育児の分担といった面から男女共生や、国が取り組んでいるワークライフバランスなどが重点になってくると考えている。特に、第3子以降については、教育費や保育料の経済的負担が大きくなってくると考えている。そういった中で、限られた財源の中から、効果的な少子化対策を推進するには、第3子以降の出生について、経済的な負担軽減である3人っこ施策という考えをとっているということである。
 保育料助成の市町村での実施数については、平成20年度当初予算では15と確認しているが、今後、平成20年度で補正予算等で対応して頂くよう働きかけ、要請していく。

《答弁》 山本子ども未来課長
 妊婦健診の公費負担については、3人っこ施策ではなく、市町村事業として実施しているものである。現状は、委員ご指摘のとおり大半の市町村は2回であるが、公費負担の5回実施に向け取り組みが推進されるよう、県としては、側面的支援として、本来、自由診療であるが妊婦健診の公費負担にかかる費用等について、医師会等と調整を行い、各市町村が取り組みやすくなるよう支援させていただいている。いずれにせよ、妊婦健診の5回の公費負担については、交付税措置されていることもあり、早い時期に実施されるよう引き続き要請していく。

《要望》 奥村委員
 今後第3子の問題については、少子化を根本から解決するということから、今後対象を拡大していただきたい。


(3)
《質問》 奥村委員
 看護師の養成の問題だが、2年課程通信制が2005年から実施され、2008年で一応事業は終わるのか。その後どうする考えか。需給計画では700人ほど不足すると出されている中、働く条件や学ぶ条件が厳しい中で看護師の資格をとっていくという点でどうか。
 実際にそこに行かれた方の話を聞いたが、実習期間中は自分の指定休・年休をとり、全く2ケ月休みがなかったとのこと。働きながら学ぶという困難な状況の中での学生の意見をどのように把握しているか。

《答弁》 若宮医務課長
 和歌山看護専門学校で、平成17年度から通信制課程を設置、毎年250人、4年で1,000人に看護師資格をとってもらうという制度である。
 中間時点において制度をどうしていくかの検討を一度したいと思っているが、年々250人の定員を割っている状況もある。
 現状どれだけ要望があるか、再度確認しながら検討していきたい。

《要望》 奥村委員
 是非実態を把握して、できるだけ「看護師になっていきたい」という願いを実現できるよう考えてほしい。


(4)
《質問》 奥村委員
 6月議会に質問したが、軽費老人ホーム「無憂園」の件で、建物自体が震度6強の地震に耐えられないため、今入られている方の命を優先してということで、他の施設を紹介している。一定の期間が経って、最初は8、9月に移転などあったが、移ることが入所されている方の心労につながったり大変な状況もあって、移転を延期してほしい、建て替えてほしいなど色々意見があったと思う。そういうこともあって、退所期限を来年度の3月まで延期ということで対応していただいている。その間、1年経った中で、入所されている方の状況がどのようになっているのか、自分自身利用者さんの声をお聞きする機会があった。保証人と話をして非常に関係がまずくなったり、元々心臓の病気をもたれている方が具合の悪い時に転居の話をされて、その後、病状が悪くなり入院されたなど、色々事態が起こったりする中で、どうしても無憂園に居たいという願いが強いということが入所者から出されている。これ以上難しいと思うが、その点どうか。

《答弁》 山東長寿社会推進課長
 無憂園の入所の状況ですが、昨年4月1日時点で20名の入所者がいましたが、直近では先月29日に1名退所し、併せて7名の方々に他の安全な施設へ転居していただき、現在では、13名となっている。また、来月中にも1人が他の施設へ転居できる予定となっている。そのほかにも、現在、数名の方々が他施設への申込みの準備中である。
 なお、昨年12月から1月にかけまして、転居先の希望アンケートを実施しましたところ、14名中11名の方々に移転先の希望をいただいたところです。
 転居に際しましては、これまでも入所者一人一人の意向を十分お聞きし、懇切丁寧に他施設の紹介に努めている。今後も引き続き、委員のご意見を十分念頭におきながら、入所者の方々と併せて県福祉事業団や無憂園の職員の方々にも十分ご理解とご協力をいただき、スムーズに転居できますよう誠心誠意取り組んでまいります。
 なお、委員のお話にありました入院された方の件だが、当課の職員がお邪魔させてもらうときは、部屋に入る時、まず「お話させてもらってよろしいですか。」とご了解をいただいた上で入室させてもらっていますし、見学に行った施設について、「部屋の間取り等気になる点がいくつかある。」とおっしゃっておられたのですが、当課の職員も「体調のこともありますから、無理をしないでもう少し体調が良くなってから再度見学に行きましょう。」と話していたところです。このように、入所者全員に対しましては、大変気を遣いながら応対しておりますが、今後なお一層注意しながら、ご理解いただけるよう取り組んでまいります。

《要望》 奥村委員
 そのように丁寧に対応している中で、その中でも入所者が今のところに居たいという思いをもたれているのは、なかなかこれ以上進めていっても非常に困難なように感じた。
 平均年齢86歳の方々ということですが、家族や色々な状況、例えば独り身であったりなどの状況がある中で、移転することを更に進められていくということが非常に心身共に大変ストレスを感じると思うが、そういった点で対応を考えていただきたい。


(5)
《質問》 奥村委員
 自然公園の保護及び利用の見直しも含めて、子供達にとって自然公園の利用は、生きた教材としても重要となる。その点で活用等について、また教育委員会との連携について、どのように考えているのか。県立自然公園の抜本的見直しの内容について尋ねたい。

《答弁》 木村自然環境室長
 今回の県立自然公園の見直しのコンセプトとして、「自然の風景」、「生物多様性の環境」、「歴史的景観」を挙げており、これを基に再編が予定されている県立自然公園は、全て子供達の教育に必要な「生きた教材」であると認識している。県としては、田辺市に「ふるさと自然公園センター」を環境教育のための施設として整備し、田辺市に管理していただきながら、子供たちの教材として活用している。国立公園内にも、那智勝浦町の宇久井において、国の施行委任を受けてビジターセンターを整備し、同様に活用している。
 教育委員会との連携については、自然公園内に文化財の指定がなされているものもあり、教育委員会との関係もあるが、今後、改めて素晴らしいものを県立自然公園として指定していく中で、連携を強化してまいりたい。


(6)
《要望》 奥村委員
 環境家計簿カレンダーを各家庭に配ってもらい、大変よかったと思う。啓発活動に非常によいと思うので、1回きりではなく今後も引き続いてお願いしたいと思う。

《答弁》 小谷参事(環境生活総務課長事務取扱)
 環境家計簿カレンダーについては、昨年度に引き続き、今年度も作成していくこととしている。


(7)
《質問》 奥村委員
 アスベストの問題であるが、県有施設の調査や撤去作業はどのような状況か。

《答弁》 守吉環境管理課長
 アスベスト対策について、前回は平成17年度に問題となり、県有施設については県立学校を含め全体で506施設の設計図書を調べ、疑われるものはもちろん、不明なものについても目視で調べるということを行った。最終的に検査が必要だと判断したのは103施設であった。
 この当時は、白・茶・青の石綿の3種類があると言われており、他は恐らく日本では使われていないだろうと当時は言われており、この3種類について調べた結果、22施設に含まれているということが分かり、これらについては既に適切に対応が完了している。
 ところが、今年に入って、トレモライトという、無いと言われていたアスベストが日本でも使われていたとの報道がされ、こちらのアスベストについては当時に調べておらず、調査を行う必要がある。
 県立学校も含めた県有施設全体で、前回の調査で既に対策処理済みの施設については、3種類のみの調査ではあったが、仮に含まれていたとしても対策は終わっているので心配はないが、そこから漏れている、すなわち検査を行いアスベストがないとされていた施設については再度調査を行う必要があるため、新年度に入って動き出せるよう、ただいま準備を進めているところである。


(8)
《質問》 奥村委員
 食品表示の問題では、偽装表示が多発した。輸入食品も各家庭ではよく利用しているが、不安がある。食品表示は難しいので、食品表示に関して事業者等への啓発についてどのような取組をするのか聞きたい。

《答弁》 野添食品安全企画課長
 食品表示については、事業者にとって複雑なものであり、充分な知識をもっていない例が見受けられる。そのため、平成20年度から、JAS法も当課の所管とし、各法令を一括して講習し、受講者を食品表示推進者として、事業所で活躍していただく制度を考えている。
 表示の知識を身につけた推進者が、事業所で表示のチェック、従業員等への研修を行い、消費者への情報提供に取り組んでいただく。県においては事業所の公表、ポスター等でのPRを行い、消費者が安心して食品を購入できるよう図っていきたい。


(9)
《質問》 奥村委員
 石油高騰の問題があるが、いろんな作物や物価の値上げのチェックをどのようにするのか。また、どの程度が便乗値上げなのか県民にはわかりにくいと思うが、監視をどのようにしていくのか。

《答弁》 佐竹県民生活課長
 原抽価格の値上げや小麦などの原材料の値上げによる食料品への影響はある。消費者物価指数において全国的に見ても、また和歌山市においても上昇している状況にある。県民生活への影響では現時点では便乗値上げなどについての情報は入っていないが、今後については、部長も本会議で答弁したが、便乗値上げや不当な価格のつり上げについては十分監視していきたいと考えている。


    2月議会へ
    奥村規子プロフィール、質問一覧へ