2008年2月県議会 文教委員会 会議記録抜粋
                                                   2008年3月13日

付託議案への態度表明

《質問》 雑賀委員

 まず、最初に今回の議案についての態度を申し上げる。今回の条例議案について、給与条例2件の給料カットについては、残念であるがやむを得ないということで反対しない。定数条例については何度か反対をしたことがある。35入学級140人の県単教員が削られ反対してきた経緯があるが、もう全て削られてしまった後なので、増やして欲しいという要望はあるものの今回は反対しない。予算案の中身について、県立中学校についてはずっと批判してきたが、既に試験も行われ、生徒もいるわけであるから削るわけにもいかない。ただ、学力調査については、予算を削って中吐しても何の支障もないのであるから削っていただきたい。皆さんの同意が得られれば、予算特別委員会の方へ意見を回して頂ければと思うので、委員長の方で取り計らい願いたい。

学校現場から出された意見の共有を

 今年度は、県内6つの地域を回り現場の意見を聴けて大変良かったというのは、皆の共通の認識であると思う。そこで出された意見については、直ぐに対処することができなくとも、共有することが大事である。教育委員の皆さんについても、地域へ出て意見を聴く機会があると思うが、そこで出た意見はこちらも聞きたい。私たちが聴いた意見も教育委員会へ報告して共有していくことが大事であると思う。県内6地域を回ったなかで、出席できなかった会もあるので、メモを頂きたいとお願いしている。
 意見を全体で共有するということについて、教育長はどう考えるか。


《答弁》 山口教育長
  6地方での会を設けていただいたことについてはお礼申し上げる。意見を共有しなければというのは、おっしゃるとおりである。6地方での会での記録については担当が整理し、出席いただいた方には確認の意味も含めて整理したものをお回ししている。 後日、意見を共有できるように箇条書きにしたものを皆様にお渡ししたい。


現教育長にも意見が出されてこそ本物

《質問》 雑賀委員
 今回、6地方を回ってみて感じたことは、現場の校長さんにとって、前教育長の時代に始めたことについては、今の教育長に意見を言いやすかったと思う。議員をしている私の自戒を込めての意味合いもあるが、何年もその職にいる人に対して、現場が率直に意見が言えたら、それは本物である。長く公職にいる者としての自戒の念が必要であると思うが、そのことについて教育長はどう考えるか。


《答弁》 山口教育長
  おっしゃるとおりである。


県立中学校と前期後期制の入試

《質問》 雑賀委員
 各地方では、高校入試の関係、前期後期の問題、それから県立中学校の問題についての意見が多かった。県立中学校の問題については、教育長も、現に生徒がいるわけであるから大事にしなくてはならないと言われ、確かにそのとおりであると思うが、これについて評価する意見や、いろいろ意見が分かれる。私はこれをつくることによる弊害を心配していると前から言ってきたが、その心配が現に起こっていると思う。だからといって潰すわけにもいかない。そういう状況のなかで、いろいろ改革が必要だと思っている。
 県立中学校ができたときに、大きな格差が生まれて、今までの中学校にいろいろな打撃を与えると申し上げてきたなかで、一つの提案として、かつての附属小中学校で行われてきたように、テストをするが抽選もするという、つまり募集定員の何倍かとってその中で抽選するとか、初めから抽選するとかそういうことも含めて考えてはどうかと申し上げたことがある。これしかないと思っているわけではないが、そういうことも含めて検討されてはどうかと思うが、どう考えるか。


《答弁》 西原小中学校課長
  県立中学校の入学者選考についてはいろいろ方策があろうと思う。委員がおっしゃった抽選という方法もとられているところもあるかと思うが、本県の県立中学校の設置の趣旨からもわかるように、中学校3年間と高等学校3年間の6年間の中での教育課程で特色ある教育活動が行われている。それを希望する子どもたちは、内容に興味関心が高く、学習意欲も強い。そういう意欲、適性を待った子どもたちを選考したいとの趣旨で選考検査を実施している。適性検査をして、作文、面接して、その子の適性を見極めたうえで選考しているわけであり、それを抽選とすると、子どもの努力、能力に関係なく行うということになるので、小学校6年生の子どもにそういうことをさせるということは今のところ考えていない。選考という形の広い意味では、いろいろ考えていかねばならないことの一つであると考えている。


《要望》 雑賀委員
   私もこれが唯一と思っているわけではない。しかし、今起こっている問題の解決に向けていろいろ考えなければならないと思っている。適性検査というのは、実際は入学試験と同じであるので検討する必要がある。


《質問》 雑賀委員
   前期後期の問題については、昨日の予算委員会でも制度を元に戻すことも含めて検討するという答弁があった。元に戻すとは、従前の推薦という形に戻すのか、それよりもっと前の状態に戻すのか等いろんな問題がある。推薦については、学校現場ではどの子を推薦するかが難しく、事務作業も大変である。もっと前に戻すとなると、もともとは高校間格差の問題が県教委としての一番の悩みであったと思う。学区制が撤廃され高校格差の輪切りというような言われ方もされ、歴然たる格差が生まれ、その解決のため試行錯誤されてきたはずである。拙速は駄目だが、今、あまりにもひどい状況が起こってきているので、現場の先生も含めた検討の場をつくってはどうか。


《答弁》 山口教育長
  元に戻すというのは、あらゆる選択肢を除外しないということでの発言であるとご理解いただければと思っている。今、全国で行っている入試の状況を提示しながら検討していく予定である。検討委員会の構成メンバーは、中学校、高等学校長会、PTAの代表を考えており、その代表の方々に現場の意見を反映できるよう配慮していく。また、別の事業でフォーラム等を開催し、直接現場と対話できる機会をつくっていくので、現場の声も聞けると考えている。


《要望》 雑賀委員
 十分な検討をお願いする。


「和歌山県教育史 史料編」

《質問》 雑賀委員
   「和歌山県教育史 史料編」の中に非常に貴重な資料がたくさんある。たとえば、県議会との関係では、盲学校・ろう学校に県議会からスクールバスが贈られたという史料が収録されている。これは、盲学校・ろう学校の先生が小野知事にスクールバスの購入を依頼し、知事が県議会議長に頼んで県議会のバスを贈るという大英断を下され皆が喜んだという新聞記事である。このような記事をよく見つけたなと感心する。こうした史料の掘り起こしやそのままにしておくとなくなる可能性のある史料の散逸を防ぐことが『史料編』を編さんする意味だと思うがどうか。


《答弁》 山口教育長
  基本的には、後世に語り継いでいくべきものとして、編纂委員会で一定の基準を設けて史料収集を行っている。

《質問》 雑賀委員
 以前の一般質問の中で、史料の中には年表の一項目として扱えば十分な史料があることを申し上げた。例えば、高等学校再編整備計画が8ページに渡って載っている。それから現行の青少年育成条例、文化財保護条例、平成17年度版の『和歌山県教育関係諸規程集』から収録した高校生の運転免許証取得に関する通達などは、史料として載せる必要はないのではないかと思う。歴史的な評価というのは10年、20年経って定まるものである。編さんに当たっては、県教育委員会が行った施策の自画自賛にならないよう、本当に歴史的評価の定まったものを載せ、今どこにでもあるものは年表の一項目でよいと申し上げた。今回の一般質問で取り上げられた元教育長からの意見については、元教育長と前教育長、どっちもどっちであると感じた。天皇陛下のたちばな養護学校への訪問についても、史料としてよりも年表の一項目として掲載するのがよいのではないかと思うがどうか。 


《答弁》 山口教育長
   個人的な意見としては、編さんの期間を戦前か黒潮国体開催の頃までにすべきであったのではないかと感じているが、編纂委員会で決定されたことなので、今更申し上げるべきことではないと思う。委員ご指摘のとおり歴史というのは後から評価されるのであるから、現存されている方に関わる事柄について、歴史的評価をすることは非常に難しいことではあるが、編纂委員会では『史料編』に掲載するもの、『通史編』で記述するものと区分けしながら編さんしていただいているので、それを尊重したいと考えている。


《要望》 雑賀委員
 歴史的評価の問題は、教育長の言われたとおりだと思うので、今から20〜30年以内の事柄については慎重に扱っていただきたい。


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