2009年2月県議会
         反対討論

          松坂英樹






2009319
●日本共産党県議団を代表して、議案第1号、3号、7号、16号、50号、78号、79号、94号の計8議案に反対する立場から討論をさせていただきます。
   新年度予算は、急激な経済情勢と雇用情勢の悪化に対応し、県民のくらしや地域経済を底ざさえする予算であることが望まれています。知事のいう「県民生活の根底をささえるとりくみに重点投資」になっているのかどうかが問われていると考えます。経済効果の高い内需の拡大につなげていくためにも、雇用の維持と安定、社会保障制度の充実、農林水産業はじめ地場産業の活性化が欠かせない課題です。

●新年度一般会計の歳出規模は6年ぶりに増額となり、5228億8100万円で前年当初比2.3%、117億円の増となっています。新年度予算では県税や地方交付税が大幅減額となり、財源不足分を臨時財政対策債、退職手当債、基金からの取り崩しに頼らざるをえない状況となっています。県債管理基金からの取りくずし額は行革プランの範囲内としていますが、県債残高は過去最高額へと膨らみ、特定目的基金も含めた基金残高の減少は、将来の財政運営をよりいっそうきびしいものとするのではないでしょうか。国は地方財政対策として、別枠で地方交付税を1兆円あてたとしていますが、地方交付税そのものは減額となっていて、三位一体改革で失われた地方交付税はとりもどせていないというのが現実の姿です。

●予算配分の主なものに注目すると、総務費は36億5800万円の増で、紀北分院整備25億円、医療情報システム整備20億円。労働費では24億1600万円の増で、ふるさと雇用再生特別基金活用事業15億7000万円、緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業6億円。商工費では122億7800万円の増で、中小企業融資制度の金融機関への預託金が105億8500万円の増となっています。国の交付金を活用した雇用創出事業、金融不安への対応としての中小企業融資制度の枠拡大など、経済対策を求める県民の期待にこたえようと努力をしている点は評価するものです。

●しかしその一方で、農林水産業費、教育費が大幅減となっています。和歌山県の強みでもある農林水産業の振興をはかることが、県経済の立て直しや雇用の場の確保にもつながる基本的な問題ではないでしょうか。新年度予算において農林水産業予算が前年比1割近く減額され、行革方針により農山村整備や沿岸漁業への補助が5%カットされていることはたいへん残念であります。市町村財政へのしわよせや事業量確保が、より困難とならないか懸念されるところです。
   医療、介護、福祉などの分野は、まさに県民生活をささえるセーフティーネットです。ところが、国の悪政による県民負担に対しては「国に軽減を要望してゆく」という姿勢にとどまる一方で、高齢者居宅改修補助事業の補助金や生活福祉資金の補助金をカットするなど、最も支援が求められる低所得者や生活困窮者への補助・支援策を削ろうとしています。また、福祉医療制度の一部自己負担金の徴収は、県民の声でストップしたものの、当初予定されていた精神医療を加えることも見送られてしまいました。介護の分野での人材不足・待遇改善のために県独自の有効な手立てをとろうとしないこともたいへん残念です。
   教育の分野では、学級規模縮小のための県独自の教職員定数改善は実施されていません。また、格差と貧困の広がりの中で「子どもの貧困」が大きな問題になっています。そうした中で、定時制・通信制の教科書補助金に所得制限を加え、定時制補食費補助にも制限を加えることは問題だと考えます。
   県土整備部予算では、国直轄事業負担金が151億円にも上り、道路事業費関係予算では24%をしめるにいたっています。その直轄事業負担金を捻出するために財政全般がいっそう窮屈になっているのではないでしょうか。国直轄事業負担金の負担割合軽減や維持管理負担の廃止、国事業の精査をすれば、負担が軽くなった分、身近な生活道路の整備に県予算を回せます。いっそうの負担軽減を求めるべきだと指摘しておきます。
   コスモパーク加太のカゴメ加太菜園に対しては、年間1平方メートルあたり583円で借り上げた土地を100円で貸し与え、来年度もその差額1億7800万円を県が負担する予算となっています。行革で県民への負担、市町村への負担を増やそうとするわけですから、企業にも適切な負担を求めるべきだと考えます。

●次に、議案第3号は中小企業振興資金特別会計予算案、議案第94号は債権放棄議案であります。昨年の中小企業高度化資金貸付金の債権放棄に際し、付帯決議により、貸付や債権回収、今後の債権放棄について、特段の注意と適切な執行をもとめたところです。08年度予算は前年の2倍の回収目標も立てて努力をし、09年度予算でも10億円余の債権回収に取組む予算となっており、関係者の粘り強い努力には敬意を表するものです。しかし、昨年に続いて設備近代化資金での時効案件の最終処理を余儀なくされ、高度化資金の貸付や債権管理の実態が未だ不透明なものを残しているという点では、県民の理解を得ることはできないと考えます。

●議案第16号は土地造成事業会計予算です。この特別会計では、長期的に見て資金不足が発生する見込みだとして、新年度より一般会計から1億5700万円の繰入を行うものです。これまで企業用地の開発では、高速道路南進や関空開港による効果を過大に描き出し、少なくない「塩漬け」用地と含み損をかかえるに至りました。それなのに県は、土地が売れてしまえば赤字は出ないと失敗の責任を正面から認めようとはしてきませんでした。
   今回の税金投入は、実質債務超過を認めて、県民の税金によりその損失補てんにふみだすものです。もとより、発生してしまった損失は、隠したり先送りすることなく、無理のない形で処理するのは当然です。しかし、営利目的の企業会計に県民の税金を補てんするには、呼び込み型開発失敗の責任を反省し、県民に充分に説明責任をはたした上で理解を得ることが前提となります。今議会の審議では、この点で県が説明責任を果たしたとは言えず、認めるわけにはいきません。

●議案第79号は建設事業施行にともなう市町村負担金を求める議案です。新年度予算では、農林水産部所管の県営ため池等整備事業などで市町村負担割合を軽減しており、このことを前進面として評価するものです。一方で、県土整備部所轄事業は負担率が据え置きとなっています。県土の整備保全・災害防止対策は、市町村の財政力とは無関係に発生するものであり、市町村負担金は基本的には廃止すべきだと考えます。いっそうの市町村負担の軽減を求めるものであります。

●議案第7号は公営ギャンブルに反対の立場から、また議案第50号は県立青少年の家の利用料金を、議案第78号は県立看護学校の入学金等の使用料・手数料の値上げを求めるもの等が含まれており反対であります。以上をもちまして反対討論を終わります。




09年2月県議会

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09年2月議会、松坂英樹 反対討論=3月19日