09年2月県議会 予算特別委員会 松坂英樹
  2009年3月12日



1.雇用問題
 @ 県誘致企業への助成金と雇用問題

2.土地造成事業
 @ 実質債務超過に対する一般会計からの補てん
 A 新年度の土地活用見通し
 B 呼び込み型開発失敗の責任

3.地産地消と学校給食
 @ 田辺市学校給食における産地偽装の問題点と教訓
 A 地産地消をすすめる上で学校給食のあり方

4.私学助成金問題
 @ 国際開洋学園による少年の船協会の「損失肩代わり」をした不明朗な会計処理につい
   て県は見抜けなかったのか


※註 これは質問原稿と当局答弁の要約を基に作成したものです。
   正式な議事録は後日発表されます。



1.雇用問題
@ 県誘致企業への助成金と雇用問題
《質問》 松坂英樹 委員
 一つ目の柱である「県誘致企業への助成金と雇用問題」から質問をさせていただきます。
 和歌山県企業立地ガイドによりますと、これまで県が誘致した企業として約80社が名前を連ねています。これらの誘致企業の多くは地元雇用の拡大に貢献し、企業の森などに積極的に参加するなど、地域の企業として社会貢献をしてきたと考えます。だからこそ県はそういった直接経済効果だけにとどまらない幅広い効果を期待して様々な助成措置を市町村とともに行ってきたわけです。また誘致企業にとっても、行政との進出協定、助成金の交付というようなことを通じて、業績のアピール、市場からの評価や社会的地位の向上につながっています。それだけに、誘致企業には他の企業のいわばお手本になるような、高い企業モラルや社会貢献の姿勢が求められると考えます。
 ところが、県内の誘致企業の中でもいわゆる派遣切りや雇い止め希望退職など雇用削減が進んでいます。ある電子部品製造工場でお聞きしても、契約時期を向かえた派遣労働者から雇い止めをし、秋からトータルすれば50名から60名の派遣労働者を減らした、3月末にも一定数の減が見込まれるという状況です。またある機械工場でも50人の派遣切りと報道がされています。
 そこで商工観光労働部長にお尋ねしますが、県はこういった誘致企業での雇用状況をどう把握し、どう考えているか、答弁を求めます。

《答弁》 商工観光労働部長
   今年1月調査では、昨年4月と同じ対象企業78社の比較で、正社員は4人増、非正社員は225人、11%の減少。新たに操業した企業6社を加えると正社員、非正社員とも増加し雇用の維持拡大が図られている。

《質問》 松坂英樹 委員
   次に誘致企業に対する助成金事業についてお尋ねしますが、この20年度、そして新年度予算において、誘致企業への助成金は何社に対していくらぐらい交付されることになっているのか。商工観光労働部長いかがですか。

《答弁》 商工観光労働部長
   新規に立地した企業に対する助成としては「企業立地促進対策助成事業」として予算化。平成20年度補正後予算は、7億7,375万6,000円。うち雇用で4,530万円。平成21年度当初予算は、11億6,615万1,000円。うち雇用で1億2,450万円。件数は、平成20年度で10件、21年度で26件を予定。

《質問》 松坂英樹 委員
 加えて確認の意味でお聞きしますが、20年度補正予算では、この助成金の財源を国補正の交付金を活用しましたが、その交付金の目的がどううたわれているか簡潔にお答え下さい。

《答弁》 商工観光労働部長
   財源となっている交付金は、「地域活性化・生活対策臨時交付金」。事業目的は、「新規企業の立地の促進」、「雇用機会の拡大と産業の担い手の確保」であり、助成事業が該当する。

《質問》 松坂英樹 委員
 いま答弁いただいたように、経済対策・雇用対策としての財源を活用しながら助成金を交付するわけですね。
 ところが、今年度や来年度の助成金の交付対象となっている企業でも派遣切りなどがおこっているわけですよ。一例を申し上げますと、A社では20年度の助成金の中でトップの金額、約3億円の助成金が支払われる予定になっています。助成対象となった新工場建設によりこの2年間で20数名の雇用拡大がされたわけです、ところがその一方で、この冬20数名の派遣切りがされて年度末でもさらに若干の雇い止めが見込まれていると聞いています。
 雇用を増やすとして助成金を受けながら、片方では人減らしというのでは、これ問題ではないでしょうか。助成金の趣旨からいっても、誘致企業としての企業モラルからいっても、県からは雇用を維持するよう強く働きかけるべきではないかと思いますが、この点については知事から答弁を願います。

《答弁》 知事
   助成金は、立地に対するものと雇用に対するものの2種類ある。県助成金は正規雇用のみが対象で、正規雇用が減れば、助成金を返還してもらうこととなっている。雇用が減ったので意味がなかったということにはならないと考える。

《質問》 松坂英樹 委員
 私どもの所には様々な労働者からの相談がまいります。正社員も派遣もパートもみんなたいへんです。派遣切りにあい、自分を責めつらい思いをしている労働者、正社員からも会社はこの先大丈夫かと先が見えないという声、生産調整をされている職場では、元もとの給料が安いので6割の休業補償では子育てができない、もう少し上げてほしいという声など、一人ひとりの人生があり、家族があります。和歌山県内では、派遣労働者はほとんどが地元から通う「現地調達」の派遣労働者です。正社員もパートも派遣もみんな地元、雇用打ち切りを言い渡す役目の社員も地元です。労働者の顔が見え、後ろにいる家族が見える、そんな中ですから、本社と労働者の板ばさみになって苦しんでいます。
   経済同友会終身幹事の品川正治さんという方が新聞インタビューで語っておられます。「私は基本的には、この不景気をどう乗り切るかによって、その会社の本当の社会的役割、評価が決まると思うんです。調子がいいときには経営理念の立派さは出てこないけど、いまが一番大事な正念場なんです。経営者が人間力を発揮して勝負する。いまがそういうときです」こんなふうにおっしゃっています。財界人の中からもこういう声が出ているんですね。
   本会議で藤井議員が問題提起したように、派遣切りされた人、されようとしている人の中には直接雇用されるべき人も数多く含まれていると思うのです。すでに実際、ある企業では、これまで10数人の派遣労働者が、企業からの直接雇用の申し出をうけて正社員として働いている、こんな誘致企業もあります。
   データを見ると誘致企業も経営状況は様々ですが、助成金交付企業には、このお金は経済対策・雇用対策の県民・国民の切なる願いのこもった税金が原資ですと、株式で損した分の穴埋めなどに使うなんてことはしないで下さいねと。雇用を守ってほしい、この危機を乗り越えるために使ってくださいと、県として胸をはってあつかましく言ってほしい。強く企業にたいして働きかけてほしいと思いますが、知事いかがですか。

《答弁》 知事
   正規、非正規に限らず企業に対し雇用を守っていただきたいということはこれまでもお願いしてきたところである。ただ、雇用の強要をすることで企業の経営が維持できなくなるとこれも大変なこととなる。県としてはできるだけ大切な県民の雇用を守ってほしいということでいろいろな努力をしてまいりたい。

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2.土地造成事業
 @ 実質債務超過に対する一般会計からの補てん
《質問》 松坂英樹 委員
 次に議案第16号の土地造成事業会計予算にかかわってお尋ねします。来年度予算において、この特別会計に対して1億5,700万円の一般会計からの補助金が計上されています。この補助金は土地造成事業の実質債務超過に対する一般会計からの補てんであり、今後見込まれる不足分を長期スパンで手当てするものだと説明されています。
 土地造成事業については、平成17年2月の予算特別委員会、企業局を廃止して商工労働部に引き継ぐという局面で私は質問をしております。当時の企業局に対して、借金が158億円もある、簿価と実勢価格の含み損も29億円あるなどと指摘し、県民にツケをまわすことはないかと質問しました。企業局長は、含み損を認めながらも、損をした所もあるがトータルではトントンでありマイナスではないという趣旨の答弁をし、土地が売れれば借金は返せますとつっぱりました。私は、そんなこと言っても借金の利子払いの分も売れていないじゃないかと、開発見通しの甘さを追及しました。
 そんなやり取りを経て、4年後の今、今回の補助金投入は、実質債務超過を認め、損失補てんに踏み出すというものです。やっと認めたかと思って聞いておりましたが、これまでからの流れですね、「計画通り売れてないのは反省するが、売れれば赤字は出ない」といった4年前の答弁をふまえて、今回の方向を決断した経過について商工観光労働部長から答弁を願います。

《答弁》 商工観光労働部長
   従来から公営企業会計の健全化を図るという観点からさまざまな経営改善に取り組んできたが、昨年地方公共団体の財政の健全化に関する法律の一部が施行され、財政健全化の判断指標の公表が義務づけられたところである。なお、平成19年度決算については、この判断指標の資金不足は発生していないが、長期的な観点では平成17年度以降景気の低迷が長期化し、地価の下落も続き、資金不足が発生する見込みとなったため、早期健全化を図るため一般会計から土地造成事業会計への補助金繰り入れに至った。

《質問》 松坂英樹 委員
   もう先送りはできないという判断だと、この点ではそのとおりだと思うんですね。
   4年前に29億円と答弁された含み損は、現在の資産価値で再計算すると63億円に達し、山のままの御坊第一を入れると88億円にものぼる含み損という事態になっています。どんどん増えてきた損失、この損失補てんに踏み出すということ、これは赤字のツケを結局県民にまわすという結果であり、重大な一歩だと思うのです。今議会では慎重に議論する必要があると考えます。
 そこでお聞きしますが、土地が全部売れても将来約31億円の不足が生じる見通しであるという説明でしたが、この見込みが甘いとまた計画が狂うことになります。土地の価格や経費はしっかりと現実的なものを積み上げていますか。

《答弁》 商工観光労働部長
   今後20年間で積極的に販売しながら完売できたとして現在の資産価値をもとに厳しく査定した結果、31億4,000万円の補てんの必要がある。

《質問》 松坂英樹 委員
 それでは、これまでの利子負担について伺います。土地が売れず借金の利子払いだけが続き、重くのしかかりました。これもうまく売っていれば払わなくてもすんだお金、また返済にうまく資金をまわしていたら払わなくてすんだお金という面があります。そこで商工観光労働部長にお聞きしますが、借金の利子はトータルどれぐらい払ったことになりますか。

《答弁》 商工観光労働部長
   地価の下落により販売価格に反映できなくなった支払利息については、営業外費用として平成14年度以降18億3,000万円余りである。

《質問》 松坂英樹 委員
   土地が売れなくてこまった14年以降ですね、18億というお話でした。たいへんな持ち出しですね。先の売れ残り企業用地の造成原価のトータル173億円のうち24億円もが金利として払い続けた結果となっています。
   また、平成元年からの20年間をトータルすると90億円を超えるんです。ちゃんと売れたら利子分を販売価格に転嫁できるのですが、そうはならなかった部分がツケになっている。結局、この土地造成事業では金融機関が長期に利子を稼いでずいぶん利益が出たと思います。誰が得をして誰が損をするのかと言いたいと思います。

 A 新年度の土地活用見通し
 次に新年度の土地活用見通しについてお聞きします。今回、長期の計画で債務超過の解消をめざすというのですが、来年度はその初年度にあたります。4億円あまりの土地売却収益を計上していますが、着実なスタートは切れるのでしょうか。部長の答弁を求めます。

《答弁》 商工観光労働郡長
   経済危機の中、業種を絞り込んだり、投資に意欲的な企業に絞ったりして重点的に戦略を進めている。現時点で数件の商談があり、これらの商談を早期に成立させたいと考えている。

 B 呼び込み型開発失敗の責任
《質問》 松坂英樹 委員
   それでは、この問題のもっとも大切な点として、税金投入を余儀なくされた事態をどう総括するか、呼び込み型開発失敗の責任をどう考えるのかという点をお聞きします。
 1億5,000万円の補助金の事業名に資産価値変動調整補てん制度というもっともらしい名前をつけています。県は今回の事態の原因分析を土地価格の低下が最大の理由だとしているわけです。しかし、それだけでは不十分だといわざるをえません。県民に負担を求めるためには、分析すべきは分析し、反省すべきは反省し、そして説明責任を果たして理解を得る、これがどうしても必要となります。
 31億円という不足金額だって土地を全部売り切っての話ですし、支払いを約束したわけでもないが、今後の状況によってはこれ以上になる可能性もあるわけです。
 売れ残りの土地をどっさり残しているという現状や、債務超過を生み出した結果に、どう責任を感じているのかを率直にお答え願いたい。商工観光労働部長いかがですか。

《答弁》 商工観光労働部長
   現在販売中のそれぞれの企業用地は、開発当時に企業への需要調査を行うとともに、平成6年9月の関西国際空港の開港や平成8年3月の高速道路の御坊インターまでの延進等企業誘致条件の向上に併せ、県勢浮揚のため開発したものである。現在、企業誘致については、地域間競争が激化しており、県としては財政が厳しい折ではあるができる限り受け皿整備をしながら誘致を進めていきたい。しかしながら、バブル経済崩壊後の長期の景気低迷等により、早期の完売にいたらなかったことは非常に残念であり、申し訳ない。今後支払利息が過重な負担となるので、早期に完売できるように誘致活動に邁進したいと考えている。

《質問》 松坂英樹 委員
 部長の答弁では、県政浮揚のためにがんばったんだと、しかし景気の悪化で計画どおりいかなかったと、景気動向の判断ミスという点で反省点を述べられました。しかしこれでは、外的要因で「いたしかたなかった」というトーンがどうも耳につくんですね。
 確かに土地価格低下は客観的原因だけど、プラスもあればマイナスもあったという結果ではありません。それいけドンドン式で、政治家も求め、県も号令を出し、議会も認めてきた、その見通しの甘さがしっかりと反省されなければならないと思うのです。
 部長の答弁はお聞きした上でですね、この問題を政治家としての知事に再質問をしたいと思います。再質問にあたって3点私の方から責任について指摘をさせていただきたいと思います。
 第1は高速道路南進に合わせた見通しの甘さです。御坊第一工業団地は造成もされずに山のまま残りました。もう塩漬けならぬ雨ざらし放置状態であります。高速をみこして結構高く買い上げ、地元周辺対策も遅れた、企業立地ガイドというカタログにも載せられない、まるで「裏メニュー」という哀れな状況です。日高港の企業団地もほとんどが売れ残り、きわめて深刻です。
 第2には、関空開港にあわせて和歌山県への経済効果を過大に超バラ色に描き出し、進めた雑賀崎や西浜の企業団地、ついでに港湾用地までプレゼントしていた大盤振る舞い。先の日高港もふくめ、これらバブルがすでにはじけてから突っ込んだ部分はアウトですね。
 第3には、開発優先行政の便利な道具になったという点です。先に例に出したマリーナシティー。わかやま館の建設に37億円もかけてしまった。そして建設に合わせて企業局が12億5,000万円も出しています。このわかやま館も新行革プランではやっかいなお荷物あつかいで処分対象、まさにこんなムダ遣いをしていなければ、赤字を出さなかったのにということがいっぱいあります。
 この件でおまけをつければ、このわかやま館は、今、違法献金容疑で注目されている西松建設がJVで23億7,930万円で建築工事を受注しています。調査していて、こんな所にも西松が入っていたのかと思いました。まさに開発事業や公共事業が自己目的化し、大儲けや癒着の原因になったという面も指摘しなければなりません。
 色々口いっぱい申し上げましたが、仁坂知事にしても、自分のやったことでないものを次々言われてもと思うでしょうし、今回の政策判断を決定する際にも「なぜ、こんなことになったのか」と、深く掘り下げたことだと思うのです。
 責任を取るということは、きちんと説明するということです。繰り返しになりますが、今、県庁として、分析するものは分析し、反省すべきは反省し、納税者である県民にしっかり説明をして理解を得る、このことなしに負の遺産の処理はできません。知事の答弁を求めます。

《答弁》 知事
   県民に対してはすべて現状を報告し説明しなければならないと考えており、新行財政改革推進プランで分析している。この間題については現時点ではこの方法がベストだと考えている。開発をしたことについては総開発面積602ヘクタール中560ヘクタール売れており、投資をして県の財産を増やしたことがおかしかったとは考えていない。また、企業誘致には意思決定のスピードが大事であるので、雑賀崎等の企業用地は重要であった。ただ、委員ご指摘のとおり開発が自己目的化しては意味がないので、今後とも戦略をたてて県民に説明し理解を得ながら積極的に開発を進めていきたい。

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3.地産地消と学校給食
 @ 田辺市学校給食における産地偽装の問題点と教訓
《質問》 松坂英樹 委員
 3番目の柱である「地産地消と学校給食」の問題でお伺いします。今、食の安全・安心や食への信頼回復が叫ばれ、地産地消をすすめるべく新年度予算の中でも数多くの取組みがなされているところです。
 そんな中、田辺市学校給食センターでおこった学校給食への豚肉・牛肉の偽装はたいへん残念な問題だと考えます。地産地消・地元食材優先を目的としたはずの発注方法にも実際に無理な問題点もあった。そして、かたや納入業者による豚肉伝票の偽造や牛肉個体識別番号の使いまわしは絶対に許されない行為です。関係法令に照らしてきちんと調査指導し、業者や県内自治体にも教訓を生かすよう指導すべきであると考えますが、問題点と教訓を県はどう認識しているのか。まず環境生活部長より答弁を願います。

《答弁》 環境生活部長
   田辺市の学校給食における産地偽装については、JAS法の適用対象外である。牛肉の個体識別番号の伝達については、法を所管する国(和歌山農政事務所)が調査を実施している。食の安全・安心への関心が高まる中、事業者は如何なる場合にあっても、食品の情報を正確に伝達しなければならないことを肝に銘ずるべきである。偽装行為は、経営者のモラル、企業姿勢が問われる問題である。県として、適正表示を推進するための講習会を実施しており、今後は、講習会を通じ、事業者のモラルの向上とコンプライアンスの徹底を図っていく。

質問》 松坂英樹 委員
 ミートホープの事件などを通じて、業者間取引にもJAS法が適用拡大され、今も法改正の議論がされているところです。給食センターが外食産業といっしょの扱いというのは、私は不十分だと思います。直接子どもが食べるんです。モラルの問題やコンプライアンスを重視するのであれば、学校給食をもっと重視してほしいと思います。
 いずれにせよ、今回の問題は、当該自治体での徹底した対応が求められます。何よりも、いまだ不透明な事実関係を調査し明らかにして、事実に基づいて教訓を導き出してほしいと願います。そのためにも関係機関の協力が求められます。県内市町村が今後、こういったことを未然に防止できるように、指導や取組みを強めてほしいと思います。
   JAS法と牛とレーサビリティー法について説明がありましたが、全国的な問題事件となったものでは不正競争防止法や詐欺罪での適用がされています。法を所管する警察本部長から法適用の考え方を示していただきたいと思います。また、今回の事案についても関係機関と情報交換をされているか答弁を願います。

《答弁》 警察本部長
   食の安全に係る事案については、健康被害やその虞のある事犯、不正利益目的や行政指導を無視した事犯など悪質事犯について、関係法令を適用して取締りを行っている。関係機関との情報交換については、昨年4月22日、関係機関による「和歌山県における食品表示監視協議会」を設立しており、今回の事案についても相互の意見交換と情報の共有を図っている。

 A 地産地消をすすめる上で学校給食のあり方
《質問》 松坂英樹 委員
 次に教育長にお尋ねします。地産地消を進める上で、学校給食のはたす役割はたいへん大きいと考えるがいかがでしょうか。県の計画にも学校給食の地元食材調達率を40%に引き上げる数値目標をもっています。どうにも県教委の対応を見ていると、市町村まかせの感がぬぐえないんですね。県としてこの学校給食にどう取組もうとしているのか伺います。

《答弁》 教育長
   地産地消をすすめるうえで、学校給食の役割については相当のウエイトを持っていると感じている。そのことが県の食育推進計画の中に学校給食が位置づけられている意味であると理解している。給食をとおして子どもたちが地産地消の意味を理解することは、将来にわたって地産地消を進めていくうえで大きな意味を持つと考える。食育推進計画に盛り込まれた40%という目標達成のための取組について、市町村任せとなっているのではないかという印象を持たれていることに対しては反省すべきことだが、実施者である市町村教育委員会をとおして、市町村任せにならないように積極的に働きかけていきたい。また、学校給食関係の様々な研究会、研修会で栄養職員、給食関係職員の方々に十分理解していただいて、地産地消をすすめていく協力体制を作りたいと考える。

《質問》 松坂英樹 委員
   今回のことでいっそう明らかになりましたが、大規模給食センターでは地元食材の調達が困難な傾向があり、地産地消に逆行するのではないでしょうか。
 例えば、ある町に最近給食センターができたので、地元のお豆腐屋さんが少しは納入できるのではと期待されていたらしいんです。ところが人数分のお豆腐の料理を作ろうと思えば、いちいちパックに包丁を入れて小さく刻むという手間がまったく出てこない。結局センターでは、冷凍のさいの目切りの豆腐を使うことになっているという話を聞きました。
 今回の牛肉や豚肉でも、それぞれ5トンぐらいの納入です。トラック何台分もの肉を現地へ納入するのは本当に困難なわけだし、そういう点では、地元の顔の見える農家の方や業者さんから短い距離で、融通もしてもらい、いろんな工夫もできるという関係が大事であって、大風呂敷を広げて地元産でとれると言った人が入落札できるというようなことになっては元も子もないと思います。
 今回、学校給食と給食センターと地産地消という関係ではマイナスの面が大きいと思いますが、教育長いかがですか。

《答弁》 教育長
   学校給食の調理形態について、自校方式と給食センターの2つの方法があるが、実施者である市町村教育委員会が、それぞれメリット、デメリットを勘案し実情に応じて採用していただいている。自校方式の方が、子どもたちや地元に近い、おふくろの味に近い、という点についてはご指摘のとおりであるが、一方、給食センターの中でも学校や地元の生産者と連携、協議をして、地元の食材を積極的に取り入れているところがあり、また、農業、水産業など様々な体験学習をとおして、子どもたちと生産者がふれあう機会を設けているところもある。したがって、一口に給食センターだから取組が難しいと言い切れない。給食センターの方式であっても、市町村教育委員会を通じ、給食の意味、地産地消の意味を十分理解していただいて教育的な配慮を求めていきたい。

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4.私学助成金問題
 @ 国際開洋学園による少年の船協会の「損失肩代わり」をした不明朗な会計処理に
   ついて県は見抜けなかったのか

《質問》 松坂英樹 委員
 最後に、私学助成金にかかわってお尋ねします。先日、一部報道によりますと、県内の私立「国際開洋第二高等学校」を経営する学校法人である「国際開洋学園」が、同一人物が理事長をつとめる財団法人「少年の船協会」の事業損失、3億円4,000万円を肩代わりさせられた「不明朗」な会計処理があったと報道されています。
 県は例年この高校に私学助成金約2,400万円余を交付していますし、来年度も交付予定です。学校側、法人側からは、これまで会計書類が常々提出されているはずですが、この会計処理を県は見抜けなかったのでしょうか。私学助成金を所轄する総務部長にお答え願います。

《答弁》 総務部長
   学校法人と第一高校の所轄庁は静岡県であり、第二高校の所轄庁は和歌山県である。県は私学助成金が補助目的どおり適切に使われているかどうか学校で検査しながら補助をしている。学校法人の財務諸表は和歌山県にも提出されている。学校法人の所轄庁は静岡県であるので、静岡県と連携しながら学校法人の運営状況について報告をもらっている。静岡県も学校法人の検査に入ったし、本県からも過日、職員を静岡に派遣し、学校法人の調査に入った。結果、両県とも学校法人会計処理上は適切であったと認識している。

《質問》 松坂英樹 委員
   知らなかったとはいえないが、問題だとは思っていなかったということになると思います。今回、改めて静岡まで行って調査をされたということですが、今回行われたような損失肩代わりは、不適切じゃない、悪いことではないという判断ですか。総務部長どうですか。

《答弁》 総務部長
   会計処理上を言ったが、(財)少年の船の特別会計が不適切であったことを報道でも聞いているが、学校法人の会計処理上は適切であったとの認識である。

《質問》 松坂英樹 委員
 公認会計士が認めたから不適切ではないというのは、ずいぶんな答弁だと思いますね。では、結果として学校経営を困難に至らしめたこの事態に対して、今後どう指導監督して行くのかを、部長お聞かせ下さい。

《答弁》 総務部長
   経常費補助金の目的は、学校の教育環境の維持向上と保護者の負担軽減にある。県としても、何よりも現在学んでいる生徒が安心して授業を受けられることが最も大事であると考えているので、今後、学校法人から、経営改善計画の提出を求めたうえ、その運営状況を見極めながら、学校法人の所轄庁である静岡県との連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと思っている。


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