2009年2月県議会 文教委員会  概要記録   2009年3月16日

◎ 議事 議案4件、請願(継続審査分)1件、調査議案2件

   継続審査を要する所管事務調査6件
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《質問》 雑賀委員
 最近、新聞・テレビ等を騒がせた、高校で授業料を滞納した生徒の卒業証書を回収したという事件があったが、こういうことは和歌山県ではないと思っているがいかがか。

《答弁》 県立学校課長
   本県では授業料未納と卒業認定は別と考えているので、そういったことがないように校長会で指導してきている。

《質問》 雑賀委員
 全国的にこういうことが起こってきている背景に、貧困の広がりという問題があると思う。授業料が払えない生徒の減免措置は県下ではどうなっているのか。

《答弁》 総務課長
   授業料の減免制度は、生活困窮等により授業料納入が困難な生徒に対して授業料の減免を行い、修学機会の確保をはかる対策の一つである。授業料の減免基準は、生活保護基準に準拠して定めている。生活保護基準に準ずる世帯については、全額免除、収入が生活保護基準の1.2倍までの世帯については半額の免除を行っている。

《質問》 雑賀委員
 私たちのまわりでは教育の問題に関わらず、生活保護の問題を見ていると、生活保護ぎりぎりだが、生活保護を受けていない世帯が一番厳しいという現状にある。私は本会議でも、どうしてワーキングプアで生活保護以下の家庭ができるのかを取り上げたこともある。生活保護を受けられれば医療費も無料になるが、ぎりぎりのところで一番しんどい思いをするということがあるから、やはり高校の授業料減免というのは、生活保護基準より少し上のところで減免するというのが必要だと思うがいかがか。

《答弁》 総務課長
   委員がおっしゃるように生活保護基準は年々厳しくなる方向にある。減免基準の改定については、生活保護基準をベースにしているが、その影響の度合いを見極めながら、慎重に対応する必要があると考えている。現在の社会経済情勢を考えると大変厳しい状況にあるので、来年度の授業料の減免基準については、生活保護基準は厳しくなっているが、今年度の基準のまま据え置きたいと考えている。

《要望》 雑賀委員
 生活保護基準が厳しくなっている中、授業料については従来の基準でがんばってもらうというのは結構だが、私としてはさらに基本的な考え方として、生活保護基準よりも柔軟に考えてもらいたいという意見を申し上げる。

《質問》 雑賀委員
 この前の委員会で私が取り上げた行革プランに、定通制の教科書等の有料化の問題、定時制の補食費の有料化の問題が含まれているが、その点は今度の予算でどうなっているのか。

《答弁》 総務課長
   教科書の無償給与の問題であるが,この事業は勤労学生の経済的負担の軽減により修学を奨励し、教育の機会均等を図るものである。しかし、社会情勢の変遷や定時制通信制課程の入学生徒の変化・多様化という状況を踏まえ、就学のためにより積極的な支援を必要とする生徒を対象とするという事業として、行革プランの中で議論されたところである。本制度を維持するために、今回は見直しを行っている。具体的には、本事業の対象者を経済的理由により就学が困難な者とし、無償給与の基準に所得制限を設けることとした。なお、経過措置として今回の見直しの後の基準による教科書無償給与制度の適用は、平成21年度の新入学生からとし、それ以前の入学生については従来どおり無償給与とする。

《答弁》 健康体育課長
   夜間定時制高校に学ぶ勤労青少年に対し、補食給食の提供を行っているが、この制度の維持を第一に考え、補助対象者の絞り込みによる運用の見直しで、制度を存続していこうと考えている。

《質問》 雑賀委員
 実際に働いている生徒に対しては補食を補助するが、働いていない場合でも求職中の場合は補助するとしていたものを打ち切ると聞いたが、それについてはどうか。

《答弁》 健康体育課長
   本来、勤労青少年の教育の重要性に鑑みて実施している事業であり、従来、職に就く意志はあるが、職がなく求職中の者を対象としていたが、今回見直しにより新入生から求職中の者は認めず、就職した後の申請で補食給食を支給するとした。

《要望》 雑賀委員
 今、雇用情勢が悪化しているときに、この間も貧しい家庭で学校に行くのが大変だという問題をNHKの「クローズアップ現代」で取り上げていたが、そういう状況の中でこういうものを削っていくのはどうかなと思う。教育委員会も決して削りたくて削っているわけではなくて、行革プランで何かを削れということで削ったものと思うが。この問題は委員の皆さんの同意を得て、予算の問題ではこれは削らないようにという意見を出してもらえれば大変ありがたい。後で委員長からお諮り額いたい。

《質問》 雑賀委員
 今までの教育改革について総括するべき時にきている。学区全廃については前回の文教委員会で取り上げられたし、今回の本会議では中高一貫の県立中学校の良かった点、悪かった点を総括すべきではないかという意見が出された。高校再編や小中学校統合の義務教育ニュービジョン研究会議の報告などいろいろ問題になった。一つ一つについて今、詰めた議論をする気はないのだが、例えば中高一貫教育では、導入されるときに私は、一般の中学校との格差が生まれると申し上げた。当時の課長は、入学試験ではなく適性検査を行うと言われたが、定数の3倍ぐらいとって抽選をするのも格差を大きくしないための一つの選択肢ではないかということも申し上げたが、その意見は受け入れられなかった。今度の検討にはそのようなことも選択肢の一つとして入ってくるのではないかと思っている。全国的にみて、そのようなやり方を採用しているところはないか。

《答弁》 小中学校課長
   そのような方法をとっている学校はあるように聞いている。

《質問》 雑賀委員
 またじっくり議論してもらいたい。それも選択肢の一つだと思う。田辺中学校で話を聞いたとき初めて気づいたが、中高一貫では2クラスで入学し、そのクラスはずっと変わらず高校も一緒ということである。本会議でも議論があったように、そのクラスの子どもが別の高校を受験したら穴が空いたままで埋まらないということになるが、選択肢の一つとして、高校から外部進学者と一緒にしてクラス編成をする方法もあるのではないか。ただ、今は中学校で高校の課程を先にやってしまうので、途中で組み替えできないということも聞いたが、外部進学者と一緒にクラス編成するのも一つの方法ではあると思う。そのようなことをやっているところが全国的にあるのか。

《答弁》 小中学校課長
   外進生と内進生を高校で一緒にするところはあると聞いている。本県では、6年間の一貫教育として教育課程を編成しているので、外進生と内進生の混合学級は実施していない。

《要望》 雑賀委員
 この間題はいろんな場所で議論したが、委員の皆さんと一緒に橋本へ行って現場の意見を聞いたときに、教育長がいろいろ出された意見に対して、実際入学した子どもたちがいるのだからその子どもたちを大事にしなければならないというのは、そのとおりだと思う。そういう中で、今さら潰してしまうわけにはいかないが、いろんな改革の選択肢があると思うので検討してほしい。

《質問》 雑賀委員
 義務教育ニュービジョン研究会議の報告書の中の、小中学校の適正規模化の問題についてであるが、小中学校の適正規模化を決して否定するわけではなく、必要な場合もあると考えるが、適正規模化と通学距離の間に問題があると思っている。最近、和歌山市で適正規模化の中間報告が出たが、小学校で4キロ、中学校で6キロで通学距離として適正であるとなっている。ところが、義務教育ニュービジョン研究会議の報告では、へき地の学校ではもっと長距離の通学距離のところがあるが、距離の問題については全く触れていない。距離が長い場合は、スクールバスの導入が必要であるとだけ書いている。以前、例えば田辺市に新しく編入された地域を機械的にシミュレーションすると、あの広い地域で中学校が1校しかいらないということにならないかと申し上げたことがある。私は義務教育ニュービジョン研究会議の報告書は統廃合ありきで書かれたものだと批判した。このことについて、もう一度検討してはどうかと思うがどうか。

《答弁》 教育長
   距離の問題については、義務教育ニュービジョン会議の基準の中では触れていないということであったが、逆に和歌山県は、他府県にはない県単でスクールバスを支援するという予算措置をとっている。距離のことは書いていないが、予算措置によりきめ細かな配慮が行われていると評価されていると考えている。適正規模がどうかということやいろんなご指摘の点について、教育委員会の方でこれまでの取り組みについてきちんと評価していこうということを始めており、その中でいろいろと考えていきたい。

《要望》 雑賀委員
 検討委員会を設けるということだが、以前のいろいろな取り組みを総括すべき時にきている。保護者の代表や学識経験者等を含めていろいろな人に入っていただき、今までの教育改革について検討してもらいたい。新しい教育委員長の挨拶の言葉の中で、「教育に拙速はいけない」というのがあって大変うれしく聞かせていただいた。じっくり検討すればよい。

《質問》 雑賀委員
 教育問題の国際的な基準としてILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」があり、出されたのは1966年で相当古いものであるが、最近、それが注目されている。文部科学省のやっていることがこの勧告に合わないのではないかということで、ILO・ユネスコの共同調査委員会が日本にやってきて、文部科学省に事情聴取し、職員団体にも意見を聞くなどした。少し日本の教育政策は、66年勧告が尊重されていないのではないかと、直接的には指導力不足教員に関わる問題であるが。私は和歌山では指導力不足教員について勧告に反することはやっているとは思わないが、このILO・ユネスコの勧告というものが改めて注目されている。私は前から大事だと思っているのは、教育政策を決定する上で、教員団体が専門職の団体として、それにふさわしい地位を与えられるべきではないかということであり、このことが勧告の「指導的諸原則」の9番目に書かれている。これから見直しを検討する場合には、ILO・ユネスコの66年勧告というものも大事にしていただきたいと思っているがどうか。

《答弁》 教育長
   今回出されているILOとユネスコの共同調査機関CERATの勧告であるが、ここに触れられている内容は、日本における教育改革の進め方にも触れている大変意味のある勧告であると思っている。ただ、この勧告は、ILOとユネスコから調査を依頼されてそれを受けて、まず、ILOとユネスコに報告を出し、こういう内容で日本政府に対して勧告を出しなさいという文書となっている。この件について、日本政府と勧告の間で、実態の解釈の仕方についてかなりズレもあると思っており、CERATの勧告の中では、日本政府の対応の仕方について一定評価もされている部分もあるので、今後、このことについて、改めてILOとユネスコから正式に勧告があった場合、日本政府としてどう対応していくのかを十分見ながら、和歌山県としての対応を考えていきたい。

《要望》 雑賀委員
 CERATの勧告がどうこうという話ではなく、66年勧告が尊重されていないということが今議論となっており、66年勧告が持っている非常に大事な意味について、尊重してほしいということを意見として申し上げた。

《質問》 雑賀委員
 市町村対抗の駅伝の問題だが、議員も地元が頑張っていたらうれしいもので、海南市や紀美野町が非常によく頑張っているのでうれしく思っている。ただ、文教委員の皆さんと一緒に橋本へ行って話をしてきたときに、高野町教育長が「子どもが少ないんでチーム編成が大変だ」と話していたことが気にかかっている。今年もラジオで聞いていたが、「皆ゴールをして後2人来ません」と、相当時間がかかっていたようである。前から気になっていたが、教育委員会の方で順位が上がったら表彰するようにしているが、果たして子どもが喜ぶかどうか、なかなかそうはいかないと思う。場合によっては、よく行政では広域連合というのをやるが、もし、そこの町に足の速い子がいて大会に出たいが、その機会が奪われてしまってはどうかと思うので、そういう近隣の市町村の連合について何とかうまく行かないかという気がするが、検討しないのか。

《答弁》 スポーツ課長
   本件に関しては本会議でもご質問があり、教育長から答弁させていただいた。ジュニア駅伝は、今年8回目を迎えている。市町村対抗の代表とオープンチーム10チームを加え計40チームが参加し、昨年より4チームが増加して、年々活性化している。委員ご指摘のとおり様々な課題もあると認識しており、平成21年度の第9回大会については、コースの変更や少子化によりチーム編成が困難な市町村への対応を含めて、現在、その実施要項の見直しを行っているところである。今後、本大会がより一層充実した大会として継続できるよう工夫していきたいと考えている。





◎ 議案第71号、議案第72号、議案第73号及び議案第74号は、全会一致で原案の
  とおり可決すべきものと決定

◎ 調査議案に対する意見聴取
   雑賀会員から議案第1号について賛成できない意見表明
◎ 意見付記についての採決宣告賛成少数により意見を付さないことに決定
◎ 議案第1号及び議案第5号について適当である旨報告することに決定
◎ 請願に対する審査・質疑・採決議請第7号は、継続審査すべきものと決定



09年2月県議会

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