2010年2月県議会 松坂 英樹 一般質問   2010年3月9日
1.中小企業高度化資金の債権放棄について
(1)「付帯決議」を受け止め、県民への説明責任を
   はたすものとなっているか

(2)ずさんな融資の問題点について
  ・坪56万円という高額な土地売買価格
  ・操業後すぐにゆきづまった経営計画
  ・滞納時以降の県の指導・回収姿勢
(3)延滞法人・破綻法人の状況と今後の対応
2.有田の救急医療の再生について
(1)09年の救急受入と搬送状況
(2)地域医療再生計画の中にどう位置づけ、
   来年度からどう取り組むのか
3.和歌山の森林・林業の再生について
(1)和歌山の森林・林業再生の課題
(2)搬出間伐・低コスト林業の見通しと支援
(3)条件の厳しい森林も視野に入れた丁寧な施策を
4.みかん対策
(1)09年産みかんの生産販売状況
(2)「クリスマスオレンジ」など12月の販売戦略強化
(3)生産者を励ます基盤整備
5.県立射撃場計画
(1)計画の進捗状況
(2)町民・県民に計画説明を急ぐべきではないか

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1.中小企業高度化資金の債権放棄について
(1)「付帯決議」を受け止め、県民への説明責任をはたすものとなっているか
《質問》 松坂英樹 県議
 まず最初に中小企業高度化資金の債権放棄についてお尋ねします。同和対策事業として融資をされた中小企業高度化資金の債権放棄問題では、2年前の議会において、24億円もの無利子融資を受けながら、ほとんど返済されずに倒産した「プラスパフーズ」の案件等が全会一致で継続審議となりました。翌6月議会で議案が承認されたときには、県議会から今後の債権放棄案件については「貸付時及び債権回収過程における問題点について徹底的に調査、分析し、県民の理解が得られるよう充分説明を行うこと」等の付帯決議がつけられました。これはたいへん重い決議であると考えます。
 今議会の債権放棄議案も同和対策として新宮市の熊野食肉事業協同組合へ融資されたものです。土地建物あわせて3億6千万円もの無利子融資を受けながら、わずか1200万円、3.5%しか返さずに倒産。土地建物の競売をしても、わずか1300万円にしかならず、残りの3億3千万円を債権放棄するというものです。
 県は議案提案にあたって「調査結果」を議会に提出しています。この調査によると、貸付時の検討会と審査会が開催された公文書が存在しないことや、土地は当事者が直前に先行取得していたこと、建設工事の発注先が親族の企業であったことなど問題点が明らかになっています。プラスパフーズのときも、親子で土地売買をし、土地は2.5倍、建物は2倍高く購入していたのが思い出されます。
 この調査結果の弱点は、この間の調査の事実関係を明らかにしてはいるものの評価がないということなのです。今から検証してみればどうかということがなく、当時は適切であると判断していたとか、手続き的には一応やっていましたという、前回同様・従来型の表現にとどまり、一歩突っ込んだものとなっていません。そして調査の大部分は、債権回収会社による当事者の返済能力がないことの報告となっており、取れるものがないのならすみやかに債権放棄という事務的処理になっていると指摘せざるを得ません。むろん問題にフタをして先送りを続けることは許されず、適切な処理をすべきものですが、債権処理をするのなら県民の前に問題点を明らかにし、その総括をしてこそ理解が得られるものです。
 私は前回の債権放棄のときも、同和の融資については普通では通らないような甘い審査で通された、その結果として融資が焦げつき、債権放棄となってしまったと指摘しました。これはまさに、ゆがんだ同和行政の表れだと批判し、その姿勢こそを反省し改めるべきだと主張しました。
 知事にお伺いします。今回の債権放棄提案には、歴史的経過をふりかえった上で、「今思えば適正な融資だったと言えるかどうか」という評価なり反省・総括がありません。これで附帯決議を受け止め、問題点を徹底的に調査し、分析し、県民への説明責任をはたしたといえるのでしょうか。知事の見解を求めたいと思います。


《答弁者》 知事
   この中小企業高度化資金に限らず、県がもっております不良債権の処理につきましては、これはもうきちんとしようということで私は職員をリードしております。一般的ではございますが、ともすると過去の責任を追求されるのは嫌なものですから、嫌なことには蓋をしがちであります。で、職員が萎縮をしてしまうわけであります。いよいよ時効になると、なってしまいましたといって処理をする。これではいかんと思います。価値がないものをあるかの如く掲げておくということ自体問題でありますし、県民にオープンにしなければいけません。それから、返してもらえるものが少しでもあるならば、それは100%追求しないといかんわけであります。
   そういう考えかたで前回、平成20年の2月に私が就任してから第1回目の不良債権処理についての議案を提出させて頂きました。平成20年の6月議会におきまして附帯決議を頂きました。
   それは第1に貸付の際には十分に慎重にやりなさい。それから整理の際に取り漏らすことなくやりなさい、3番目は経緯等きちんと評価をして説明をしなさいということであろうかと思います。私共はこの附帯決議の重みを十分に真摯に受け止めまして、誠実に履行している所存でございます。
   第1につきましては、審査体制をその前も含めましてかなり充実しております。ただこの融資については新規はありませんので、他の分野への教訓としてこのことは活かしていきたいと考えております。
   2番目は、それこそ取り損ないがあるといけませんので、徹底的に調べあげて外部の専門家もお雇いして、どこか仮にいただけるものが残っていないかどうか。そういうものについて徹底的に調査をしているわけでございます。
   3番目に、議案とともに調査結果報告書を議会に提出させて頂いている所であります。その過去の系統の調査の内容につきましては、熊野食肉事業協同組合に係る貸付手続き、債権回収過程の状況、及び組合並びに連帯保証人等の返済能力について保存文書の精査を行うと共に、当時の担当者へのヒアリングを実施するなど徹底的に調査を分析し、それを紙にして開示した所であります。私は結果的に県民の税金を毀損しているわけでございますので遺憾に思っておりますけれども、だからといって臭いものには蓋というのではいかんと思うわけであります。
   今後とも萎縮することなく、債権が貴重な県民の税金であるという認識のもとに可能な限りの手段・手法を駆使して最大限の回収に取り組むとともに、組合資産の徹底的な調査、連帯保証人等への厳しい徴求を行って参りたいと考えております。そしてどうしてもこれ以上は絶対に取り立てられないということであれば、勇気をもってお示しし、報告書できちんと説明するということを今後ともやっていきたいと考えております。


(2)ずさんな融資の問題点について
・坪56万円という高額な土地売買価格
《質問》 松坂英樹 県議
 次に、ずさんな融資の問題点について、具体的に3点にわたって商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 まず1点目に坪56万円という高すぎる土地価格の問題です。新宮市の海沿いの大浜墓地の近くにある土地、これはいかにも高すぎます。これまで県は「不動産鑑定士による鑑定は行っていないが固定資産税の評価額を参考としている」と言ってきました。この土地の固定資産税評価額は坪15万円程度であり、4倍近い法外な価格で融資をしています。聞き取り調査では、「ここらは当時で良くて坪20万円くらいか、今なら坪10万円、いやもっと安いやろう」という近所の評判でした。
 今回の調査で、金融機関の「意見書」なるものが見つかったようです。議場に配布しております資料1表資料1ウラがその意見書、加えて資料2表資料2ウラが半年前に土地を先行取得したさいの売買契約書、資料3表資料3ウラは意見書の半年後に組合が事実上の経営者から土地を買い上げた売買契約書です。これらを根拠にして、土地価格は適当であったと報告されていますが、「意見書」というのは鑑定書とは性格がちがい、参考ぐらいで根拠にはなりえない性格のものです。これらの書類は、高い土地価格取引を認めさせるために、無理に売買実績をつくり、銀行に書類まで作らせたという姑息な手段ではないでしょうか。
 実際、倒産後の競売評価額では20分の1の坪2万5千円としか評価されませんでしたし、売れた値段は坪1万7千円にしかなりませんでした。土地を通常では考えられないような高い値段に評価して高額の融資をしたことに問題はなかったのか、適正だったと言えるのかお答え願いたいと思います。


《答弁者》 商工観光労働部長
   組合用地の取得に関しましては、高度化事業に係る共同施設事業用地として、組合員が地元の土地所有者から昭和57年11月に先行して取得してございます。その後、組合が設立され、昭和58年10月に当該組合員と組合とで所定の売買契約により取引が行われ、所有権移転がなされたものでございます。
   議員ご質問の土地売買価格につきましては、当時、土地、建物、設備等全体の設備投資額を前提として、資金調達計画、販売計画、償還計画等包含した計画診断が実施され、概ね妥当とする診断結果がなされてございます。
   また、その取得価格については、当時の貸付事務要領におきましては、土地の鑑定評価を行うことまでは求められておりませんでしたが、近隣の金融機関から不動産評価意見書を徴取し、その意見書の評価額の範囲内であったというのを確認してございます。


・操業後すぐにゆきづまった経営計画
《質問》 松坂英樹 県議
 2つめに、ずさんな経営計画です。前回のプラスパフーズのときも、操業後わずか2年で経営が行き詰まったことを指摘しました。今回も操業後わずか2年で経営不振により返済が滞り、7年後に不渡りを出している。今回も見通しの甘い経営計画だったのではないか。当時の関係者が「経営は儲かうらんでもええんや、事業を起こすことが金になるんや」と言っていたと聞きます。経済環境の変化というだけでは、借りたお金のほとんどを返さないという事態の説明はつきません。甘くてずさんな事業計画でも審査を通したという実態があるのではないか。いかがでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   熊野食肉事業協同組合は、新宮市内の小規模な食肉業者5名が、組合を設立し、食肉の共同加工、新商品の製造などを行い、併せて、業務運営の効率化や外商を活用した販路開拓を行うことにより、売上拡大とコスト節減による地域の食肉加工業界の発展を目指して、高度化事業を実施したものでございます。
   貸付手続きにつきましては、組合から提出されました事業実施計画書に基づき、昭和58年4月に当時の県の診断機関でございました中小企業総合指導所、商工企画課及び東牟婁県事務所産業課の三者により、販売計画、資金調達計画及び償還計画等を診断いたしてございます。
   当初、組合に対し、販売計画の更なる精査や資金計画の精度向上など改善点を勧告し、組合から勧告意見に対する回答を受理し、その回答が妥当と判断した後、修正計画書の提出を受け、当時の中小企業事業団(現在の中小企業基盤整備機構)の審査、承認をいただいた後、融資を実行したものでございます。
   しかしながら、融資実行後、当地域での経済環境の悪化、近隣スーパーとの競合の激化により売上が低迷したこと、新分野への進出計画が不調などの要因により、約10年の操業の後、残念ながら破綻状態となり、予定した計画の遂行が出来なくなったものでございます。


・滞納時以降の県の指導・回収姿勢
《質問》 松坂英樹 県議
 3つめに、ほとんど催促もしていなかったという問題です。2002年に共産党県議団が質問してこの問題が明らかになってからは、県は償還指導室を立上げて償還指導をし、貸付審査も改善しました。ところが県は、この問題が明らかになるまではまともに指導すらしていませんでした。記録を見せてもらいましたが、87年に延滞となってから、倒産する94年までの7年間にわずか8回しか面談していないし、返済が滞っていても滞納延滞金もまったく請求しませんでした。
 また当時新宮市は、同和対策の融資の利子補給としてこの組合に1700万円の補助金を別途支出しています。融資プラスそういう補助金までもらいながら、県への返済は1200万円と、そのもらった補助金より少ない額しか県に返済しなかったわけです。高度化3億5千万円とは別に、立上げ時の自己資金で約1億円、加えて運転資金も必要でしたでしょうから、あわせて2億円相当が準備されたと見られますが、どうやって工面したのか詳しい資料は残っていないし、登記簿をみると県信用保証協会が土地と建物に根抵当権をつけていたようですが、その融資はどうなったのかも定かではない。競売時の資料から類推すれば7000万円ほどの焦げ付きを県保証協会がかぶったのではないかと思われます。これもいわば県のお金にかかわるわけです。高度化資金融資も焦げつかせ、加えて自己資金の融資も焦げつかせているという実態です。
 融資滞納時以降の県の指導・回収姿勢はどうであったのか。またそもそもこの組合の自己資金、運転資金、市からの補助などがどういう実態であったのかよくつかんで正面から指導していたといえるのでしょうか。ご答弁を願います。


《答弁者》商工観光労働部長
   当該組合については、昭和60年に工場が完成し、設備が稼働いたしましたが、新分野進出のための大手メーカーとの提携やブランド商品化の話も不調に終わり、さらに業況も好転せず、業績不振に陥り、昭和62年9月に延滞組合となったものでございます。
   県といたしましては、速やかな償還指導が必要である、との判断のもと、債権回収に入り、平成6年度までの間、少額ではございますが、4回の返済を得ているところでございます。
   その後、一段と資金繰りが厳しくなり、平成7年2月に銀行取引停止となり、組合は実質的に倒産に至ったものでございます。
   県といたしましては、当時の中小企業事業団(現在の中小企業基盤整備機構)と協議を行い、平成7年11月14日に残債全額に対し、繰上償還命令を出してございます。
   その後、組合の早期償還に向けて組合責任者と協議を進め、平成14年3月に競売申立の後、平成15年5月に最終的な資産売却を行い、配当を得てございます。また、その後につきましては、早期にかつ最大限に回収すべきであるとの観点から、資産調査を含む連帯保証人や相続人への徴求を続けていたものであり、今般、全ての方々に返済能力がないことが判明し、今回、債権放棄をお願いすることに至りました。
   なお、議員ご質問の「自己資金」につきましては、完了検査において、全ての投資案件に係る支出関係の領収書等の証拠書類が確認ができていることから、組合自体が借入金や自己資金を調達したものと考えております。
   「運転資金あるいは市からの補助」についてでございますが、高度化案件につきましては、当時、年一回、経営状況調査を実施しておりまして、添付された決算書の中で資金調達面を含む財務状況の把握に努めていたものと考えてございます。


(3)延滞法人・破綻法人の状況と今後の対応
《質問》 松坂英樹 県議
 この問題の最後に、高度化資金の現局面の全体像について伺います。前回の債権放棄は26億円。今回の3億3千万円を合わせると約30億円もの税金が泡となった計算です。延滞法人の経営状況を見ると、今後も債権放棄が続くのではないかと予想されます。今後のためにも、こんな不十分な総括で次々と債権放棄していっていいのかが問われているのではないでしょうか。
 この高度化資金融資は現時点で、どれだけの融資が延滞となり焦げついているのか、延滞法人数と延滞額を示されたい。またその延滞額の何割を同和対策の融資がしめているのかも明らかにされたい。
 また、返済がとどこおったものの中ですでに破綻したものはそのうちどれくらいあり、破綻予備軍ともいうべき、競売手続きが開始されたものはどれくらいあるのか。
 延滞法人・破綻法人の状況と今後の対応について商工観光労働部長より答弁を願います。


《答弁者》 商工観光労働部長
   まず、延滞法人・破綻法人の状況でございますが、現在、高度化資金貸付組合が41組合ございまして、平成20年度末の延滞組合は、28組合、延滞額約79億5,900万円となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は、21組合、延滞額約63億9,900万円となってございまして、延滞総額の約80.4%でございます。
   今回ご審議いただいている熊野食肉事業協同組合を除く延滞組合は、27組合、延滞額約76億2,700万円となっており、このうち地域改善対策に係る延滞組合は、20組合、延滞額約60億6,700万円となっており、延滞総額の約79.5%となってございます。
   また、熊野食肉事業協同組合以外の破綻法人は、現時点で4組合となっており、事業を廃止し、競売手続に着手している延滞組合は、4組合となってございます。
   次に、延滞法人並びに破綻法人の今後の対応についてでございますが、破綻法人4組合につきましては、組合資産の売却が完了しており、今後は連帯保証人等の償還指導を早期に進め、可能な限りの債権回収を進めてまいりたいと考えてございます。
   また、競売手続中の延滞組合については、組合資産売却を行い、償還能力を徹底的に調査し、連帯保証人、相続人に対し強力に徴求を進めてまいりたいと考えてございます。
   いずれにしましても、今後は、附帯決議に基づき、考え得る最大限の債権回収措置を講じてまいりますが、債務者の返済能力が全くないと確認された場合には、今回と同様、貸付時及び債権回収過程における問題点を徹底的に解明を行った後、最終的には議会に議案を上程さして頂きたいと考えてございます。


《再質問》 松坂英樹 県議
 知事に債権放棄の説明責任と調査報告への姿勢について再質問をさせていただきますが、その前に、この問題で要望を1点しておきたいと思います。それは調査資料を整理して全容を議会に出していただきたいということです。
 今回の熊野食肉の案件については、2003年の情報公開請求でこれだけの分量の資料が公開されています。これに加えて、今回の調査により、銀行の「意見書」のような新たに発見された資料もありました。担当課は、私が資料提供をお願いしたものには、個人情報等のルールはしっかり配慮した上で「調査結果は包み隠さず明らかにすることになっています」と、丁寧に公開していただきました。その点は高く評価したいと思います。調査のまとめ的文書は、これはこれとして必要ですが、議会に対しては、今回の案件に関してこれだけの資料がありますと、新たな調査結果資料はこちらですと、議員全員にその一覧を配付し、本体はきちんとまとめて閲覧できるようにしてこそ、慎重審議ができるのではないでしょうか。
 なぜなら、破綻した食肉組合が山林を27筆、登記簿上の面積でも2万平方メートル以上の山林と雑種地を所有したままです。また組合員の中には、固定資産評価が630万円もある分譲墓地の一部の土地を所有したままです。この食肉組合の事実上の経営者は、食肉の仕事以外に、墓地の分譲や葬祭式場の事業にも手を出し、砂利採取や産廃にも手を出して事業をし、色んな問題をおこした人物です。まさにその痕跡だと思うのです。借りたお金も返さずに、肉ではなくて土地を次々に買いもとめていた熊野食肉への指導はどうだったのか。資産価値がないからと、こんなままで債権放棄していいのか。地方税回収機構では国保のわずかなお金が払えなくて差し押さえをされる県民が一方でいます。税と金融債権ではちがいますが、なんともやりきれない気持ちなのは私だけでしょうか。
 この資料をととのえること、これはすぐできることです。まだまだ委員会審議もあるわけですから、議会と県民の前に、全貌を名実ともに明らかにしていただくようこの場で要望するものです。
 さて、再質問として、知事に土地価格の総括にしぼって伺います。知事はこの調査報告を知事として受けて、当時の固定資産評価額との大きな差、加えて銀行の意見書なるものをわざわざつけているという特殊な状況、その意見書の内容を見てどう感じましたか。当時としての手続きはととのっていた、では済まされない問題ではないでしょうか。
 わざわざ資料配付させていただきましたが、銀行の意見書は、熊野食肉から銀行に求めて提出されたものです。表のページには立地条件がいいと色々持ち上げておいて、裏のページの結論部分では、市内の土地は「坪14万15万を下らないといわれている」なんて書いていますが、これは市内の便利なところをさした一般的な評価であって、今回の海沿いの大浜墓地の近くにあるこの土地の個別評価ではありません。そして「付近での取引事例はないが」云々と、明確な根拠はないことをなんと自ら告白しながら、1平方メートルあたり18万2千円(坪60万円)は妥当だと、結論だけははっきり書いているんですね。
 これは論理的に無理があります。一般的に新宮の土地は高いですよ、でもここは実績がないですよ、だから値段は坪60万円、この3段論法は通りません。これは無理やり作ったものですよ。銀行にとっては、意見書を書いたからといっても、意見書ですから責任は問われません。よく考えたなと私は思います。そんなに固定資産評価と実態に差があるものを審査で認めてもらおうというのなら、義務ではなくても鑑定をとったらよかったんですよ。意見書ですませたところがミソだと思うのです。他の案件で銀行の意見書なんてとっているところないでしょう。特別あつかいですよ。
 また土地を直前に先行取得している問題でも、2段階の売買契約書を配布させていただきました。よく見ると、なんとどちらの契約書にも日付が入っていないんですね。手付金1500万円の領収書のかわりにするなんて書いてあるのに日付がないというのもどうなんでしょうか。不動産屋さんも入っていないようですし、資料2なんか日付を消したのではないかと思えるような痕跡が、うっすらとありますね。
 わざわざ先行取得せずとも、組合が直接買えばよかったんです。それをせずに事実上の経営者が先に買った形にしてある。これは「組合員もこの値段で買っています、組合員が買ったその値段からは高く買っていません」という、いわば審査を通す書類上のテクニックではないでしょうか。こんなことをする合理的な理由が、審査の中でも調査の中でもないのです。
 私は、高い土地売買価格を合理化するために、売買実績を作り、銀行にも無理を言って意見書を書いてもらった、かなり知恵をつかったと見ています。知事はこれちょっと問題だなと思いませんでしたか。私は県の調査にはこう書いてしかるべきだと思うのです。「実態よりも高い土地価格の評価と融資が、破綻時の担保不足と多額の欠損を生んだ」と、なぜ素直に総括できないのか。ご答弁願います。


答弁者》 知事
   ただいまの資料提供についての見解でありますが、松坂議員が読まれなかった所がありまして、全部読みますと「新宮市は平地が少なく昔より比較的地価の高いところであり、現在、自動車の進入出来る道路に面しておれば住宅地で平方米当たり14〜15万円を下らないといわれて居り、附近での取引事例はあまり聞かれないが、当該物件は幹線道路に面しており将来性を見越して売り物も少ない状態であり、不動産業者の風評及び、他地区との諸条件をくらべて本物件の1平方米あたり182,000円を妥当なものと考える。」と書いてある。私はこの文書を読むと、議員がおっしゃったように、明らかに間違いとかごまかしとかそういう風には文章上はとれないと思います。
   ただ附帯決議にございますように、それから私自身がその時にこれをみて審査を担当してたわけではないので、貴方はこれを見て真実と思ったかどうかについてはなかなかお答えしにくいわけです。しかしながら、まさに附帯決議の御議論もありましたように、単にこういう文書がでてきた時につじつまが合ってて論理的である、ということだからもういいということではなくて、もっと別の専門家にも調べてもらおうとか、そういう慎重審議はやった方がいいということは正しいと思います。
   したがって、今は少なくともそういう形に体制が整っていて、今後こういうものが出てきたら、それを色んな角度から正当性を評価できるようにはなっているということを申し上げておきます。


要望) 松坂英樹 県議
 知事の再答弁をいただいたわけですが、納得いく答弁はいただけませんでした。
 高度化資金全体の焦げつき結果からみても、同和対策の融資が通常融資よりもずさんな融資の実態があったという点、また今回の個別案件についても、貸付時と債権回収過程の具体的な問題点の解明と評価にはメスを入れられていない、このことを厳しく指摘して終わります。


2.有田の救急医療の再生について
(1)09年の救急受入と搬送状況
《質問》 松坂英樹 県議
 続きまして、2つ目の柱である有田地方の救急医療の再生について質問をさせていただきます。昨年度の議会で有田の救急医療体制について質問し、「有田地方は救急医療の谷間だ」という関係者の声も紹介しました。特に夜間休日の救急患者が有田管内で対応されずに、8割近くが和歌山市内の医大・日赤へと搬送されている実態を数字も示して指摘し、改善の取組にあたって県がしっかり役割をはたしてほしいと強く求めたところです。
 それから1年たった今、状況はどう改善されたかと、この間消防や医療機関からお話をうかがいましたが、残念ながらその状態にあまり変化はないということであります。データもいただき比較してみましたが、若干改善されているとはいえ、ほとんど変化は見られませんでした。有田地方の09年の救急患者受入と搬送状況について、県はこの間どんな努力をし、今の現状をどう認識しているのかをまずお答え下さい。

(2)地域医療再生計画の中にどう位置づけ、来年度からどう取り組むのか
 次に、今議会の議案では、50億円が地域医療再生基金として準備され、今後取組がすすめられようとしています。有田地方の地域医療と救急医療の改善について、地域医療再生計画の中にどう位置づけ、来年度からどう取り組もうとしているのかお示しいただきたいと思います。以上2点、福祉保健部長に答弁を求めます。


《答弁者》 福祉保健部長
   有田保健医療圏の救急患者につきましては、深刻な医師不足の中、圏域内の二次救急医療機関において、受け入れを促進しておりますが、依然として約半数が圏域外へ搬送されております。さらなる受け入れ体制の強化が必要な状況であると認識しております。
   県といたしましては、有田保健医療圏を含む、紀北地域の救急医療体制の課題を解決するため、医療機関、医療関係団体、消防機関、市町村等との協議を踏まえ、持続可能で安定的な救急医療体制の構築に向けた地域医療再生計画を策定したところでございます。
   今後、同計画に基づき、県立医科大学附属病院、日赤和歌山医療センターが有する救命救急センターの救急外来機能を強化し、適時適切に地域の病院に転院搬送する管制塔機能を推進するとともに、二次救急医療機関の受け入れ体制の強化、拠点病院勤務医と開業医との連携確保等によりまして、紀北地域の救急医療体制を充実強化して参ります。
   有田保健医療圏におきましても、三次救急医療機関への患者集中を防止し、救急告示病院などの各二次救急医療機関の診療機能も踏まえながら、病院群輪番制の再構築など、地域の実状に即した、最適な救急患者の受け入れ体制を整備して参りたいと考えております。


3.和歌山の森林・林業の再生について
(1)和歌山の森林・林業再生の課題
 引き続き、和歌山の森林林業の再生について質問をいたします。
 林業は地域経済を支え、低炭素社会を実現する不可欠な産業として、環境の面でも、雇用の面でも、国および和歌山県の政策にしっかりと位置づけて取り組むべき、まさに今日的課題です。
 私達共産党県議団は、この間、県内森林組合を訪問し、林業研究会の方ともお会いして、森林・林業政策に対する要望をお聞きしてきました。その中で話題提供させていただいたのが、ドイツの林業です。森林面積が日本の4割のドイツが、林業木材関連産業に自動車産業の雇用の2倍の130万人の雇用を生み出していることです。ドイツと日本では地形や生産基盤確立の歴史がちがいますが、日本もドイツのように林業・木材産業を国の大切な産業として政策にしっかりと位置づけとりくむことが必要です。また、一方で日本と同じように急傾斜地の多いオーストリアでも、作業道がよく整備されて、日本の2倍の生産性をあげているというのもたいへん参考になります。
 そもそも、日本が工業製品の輸出に重きをおいて、木材や農産物の輸入自由化を受け入れてきたところに根本的な要因があります。現在、丸太やチップ・パルプの関税は無税、製材、合板などでも6%です。自動車や電化製品と同じような鉱工業製品あつかいになっているのが問題です。その結果、木材需要の8割が外材でしめられ、価格も外材主導となり、立木価格は10分の1程度になってしまっています。林野庁のデータや県ホームページのグラフでも見て取れるように、一昨年からは経済危機により急激な価格低下もあり、外材よりも国産材の方が安いという状況すら起きているのです。
 いま日本の山は、1年間の木材成長量が、年間の木材消費量に匹敵する量に達しています。必要量をほぼ自給できる数字をあげている、ここに現在2割台の自給率を大幅に引き上げる条件があります。和歌山の山も、人工林の約3割が木材として利用できる状態であり、今後10年でそれが倍の6割に達するという時代をむかえています。今こそ、輸入材から国産材への転換させる仕組みづくり、そして木材価格の下支えをする仕組みづくり、この2つの仕組みづくりがどうしても必要ではないでしょうか。
 山村の基幹産業として林業を再生し森林をよみがえらすためには、基盤整備、住宅や公共建築・土木事業への需要拡大、雇用の確保・育成、持続的経営など課題は多いわけですが、和歌山の森林・林業再生の課題を県はどのように考えているかまずご答弁願います。

(2)搬出間伐・低コスト林業の見通しと支援
 次に、搬出間伐・低コスト林業についてお尋ねします。この間県は、搬出間伐、低コスト林業へと転換をすすめてきました。作業道ができて搬出コストが下がれば、切りすて間伐を減らして木材を活用する産業も雇用も生まれ、森林所有者の収入向上させることもできます。
 急峻な地形が多い中、日本型・和歌山型の高性能林業機器と技術の開発普及、そして支援が今後より一層求められてくると思いますが、現状と今後の方向についてお答え下さい。

(3)条件の厳しい森林も視野に入れた丁寧な施策を
 次に、新政権が、森林・林業再生プランにもとづいて林業政策の転換をはかろうとしていることは歓迎するものです。しかし一方で森林組合の位置づけや補助事業の採択要件などに、不安の声も出されています。これまでも、年間の間伐面積を確保するために、ともすれば間伐しやすい山を優先し、条件の悪い山や個人の小さなところは後回しにされてきたという反省があります。そこへもって、この先、搬出間伐でないと補助事業にならないとなれば急峻な山や小規模な山林はどうなるのだろうか、切捨て間伐なども場合によっては認めてほしいなどの声が出されています。森林整備の改革を進めると同時に、条件の厳しい森林もしっかりと視野に入れた丁寧な施策をすべきだと考えますがいかがでしょうか。以上3点、農林水産部長よりご答弁願います。


《答弁者》 農林水産部長
   森林・林業の再生に向けましては、本県の急峻な地形に対応した作業道等の基盤整備をはじめとして、間伐等森林整備の推進、また木材需要の拡大などが大きな課題であると考えてございます。
   これまで、保育のための、いわゆる切り捨て間伐が中心でございましたが、現在、利用可能な森林が増加しておりまして、また一方補助制度が充実してきたことなどもございまして、作業道の整備や機械化等による効率的な搬出間伐等を行う低コスト林業を進めてございます。その結果、森林組合の間伐材生産が、平成19年度の約1万1,000立方メートルから、20年度には2倍以上の2万5,000立方メートルに増産をされるなど、着実に成果も上がってきてございます。今後とも、紀州材生産販売プランに基づき、紀州材の利用拡大にも取り組みながら、平成24年度には6万立方メートルの増産を目指しまして、取り組んで参りたいと考えてございます。
  また、間伐をはじめとする森林整備につきましては、効率的な事業実施に向けまして、森林の団地化を進めてまいりますが、お話しございましたように、条件の厳しい森林につきましても、国の補助制度を有効に活用しながら、きめ細かな森林整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。


4.みかん対策
(1)09年産みかんの生産販売状況
《質問》 松坂英樹 県議
 4つ目の柱であるみかん対策についての質問に移らせていただきます。09年産みかんはここ10年来の中で1、2を争う低価格となり、1キロあたり100円台前半、業者あつかいでは50円、60円という値段もあり、農家手取りは極端に減少し、産地では悲鳴がまきおこっています。このことは有田地方の地域経済にも大きな影響を与えています。まず一点目に、県は今年度のみかん生産販売状況をどう分析しているのか農林水産部長よりお答え下さい。


《答弁者》  農林水産部長
   この2月27日現在の出荷量は、前年比で110%の7万8,000トン程度でございまして、一方、市場価格につきましては、前年比69%のキログラム当たり143円と前年を大きく下回ってございます。
   その要因についてでございますが、本年産みかんにつきましては、果実品質は良好であるものの、表年ということもございまして、市場出荷量が前年を上回ったことに加え、景気低迷により消費者の節約志向が強まる中で、嗜好品的な性格が強い果実が買い控えられているというふうに考えてございます。
   今後、JAグループとの連携をさらに強化をいたしまして、和歌山ブランドのPRに向けた体制づくりを進めるなど、競争力の高い産地づくりに取り組むこととしてございます。


(2)「クリスマスオレンジ」など12月の販売戦略強化
《質問》 松坂英樹 県議
 次に販売戦略にかかわっての質問です。私はこれまでも、県としてのみかんの販売戦略強化や販路拡大への支援を訴えてきました。
 この間も、トップセールスやFOODEX JAPANへの出品、これらには私もごいっしょさせていただきましたが、こういった取り組み等も通じ、みかんの生果や加工食品など、県内産品・食品の販売強化に行政・生産者が力を合わせてこられました。
 実はこの冬のトップセールスの会場で、12月は月初めからイベントや売り場が「クリスマスセール」一色で、なかなかみかんが割って入る状況になくて苦労しているという話を耳にしました。クリスマスといえば、温州みかんはカナダなどでは「クリスマスオレンジ」と呼ばれ、クリスマスには欠かせない果物になっているといわれています。インターネットで「クリスマスオレンジ」で検索すると色んな所に紹介されています。県の広報紙「和」(なごみ)やJAのホームページなどにも紹介されていたのですが、なかなか一般的な言葉にはなっていない状況です。
 12月の商材としては、県として、温暖化に対応した中生の新品種の開発に努力を続け、登録までもう少しというところに来ていますし、最近は「完熟早生みかん」も12月に市場で高い値段がつくなど、今後の和歌山県産みかんの展開が期待される状況にあります。イチゴも元々は12月のものでもなく、クリスマスケーキと合わせて12月が販売の中心になったものです。ですから和歌山の「クリスマスオレンジ」にはこんな魅力的なみかんがたくさんありますと、キャンペーンをはって浸透させる努力を、各方面と目的意識的に強めてはどうかと提案するものです。クリスマスオレンジなど、12月の販売戦略強化について、知事の考えをお聞かせ下さい。


《答弁者》 知事
   温州みかんの販売を取り巻く状況は大変厳しゅうございます。生産・販売の両面でさらに戦略の強化をはかる必要性を感じておるところであります。
   生産面では、他の産地に負けない競争力を身につけるため、これまでの成功体験に甘んじることなく、「ゆら早生」など県オリジナル品種の育成・選抜に努め、市場で高い評価を得ているのをもっともっと高い評価にしたい、こういうふうに考えております。議員ご指摘の12月の主力となり得る品質の良い新品種の選抜、それから、さらなるブランド力向上を目指して参りたいと考えてございます。
   また、みかんの消費拡大を図るためには、子供たちにみかんを食べていただくことが大事であると考えまして、昨年の12月に、JAグループの協力をいただき、食育の一環として、あるいは一種の市況対策としても、県内すべての小学校等にみかんを配布するキャンペーンを実施したところでございます。
   こうした取り組みが他のみかん生産県でも実施され、全国規模の取り組みとなるように、国に対しても、その体制づくりや支援策について今後働きかけていきたいと考えております。
   また、議員ご指摘のように12月は、商戦が最も盛んになる需要期でございますので、通信販売や若い世代も意識したギフト需要の開拓、高級銘柄品の百貨店、高級スーパーへの提案などのほか、豊富なビタミンなど機能性を前面に出したPRなど、県産みかんに対する消費者のイメージを高めていく取り組みを進めてまいりたいと考えております。


(3)生産者を励ます基盤整備
《質問》 松坂英樹 県議
 3点目に基盤整備の質問です。新政権は農業の戸別所得補償に順次取り組んでゆくと表明しています。果樹農家など園芸農業にも所得補償の拡大を求める声がある一方で、美味しさなどを競い合う果樹栽培などには所得補償はなじまないという意見も根強くあります。
 私は、農家の意欲や気持ちにピッタリくるような、所得補償と価格保障を組み合わせた制度づくりが必要だと考えます。中山間地での持続的な農業をささえる基礎的な所得補償に加えて、みかんで言えば糖度いくら以上であればこれくらいの値段では売れるとか、農薬を減らした特別栽培ではプラスこれくらいの値段がつく、そういった仕組みづくりの中でこそ、意欲を持った後継者が育ってゆくと提案するものです。、いずれにしても、果樹王国和歌山の園芸農業ではどんな農業政策が求められるのか、国政ともあわせて大いに議論してゆくべき時期にきていますから、この問題は今後の議会質問で議論することにして、予算審議の当初議会として今日は基盤整備の問題を質問させていただきます。
 所得補償や価格補償での意見の違いはわきにおいてでも、基盤整備の必要性は共通認識であり、中山間地の農地で後継者難に悩む農家にとって、園内道路や運搬機の普及・更新、選果場の整備などは重要な課題です。みかん対策として生産者をはげます基盤整備という点では、和歌山県として新年度予算の中でどう取り組み、県としてどういう方向をめざし、国に対しても何を求めてゆこうとしているのか。農林水産部長よりご答弁願います。


《答弁者》  農林水産部長
   傾斜地での栽培が中心である産地の実態を踏まえますと、作業の省力化やコストの削減を図るための園地整備が重点的な課題であるというふうに考えてございまして、これまでの園内道の整備等に加えまして、平成22年度からは急傾斜地園地に乗用型モノレールを導入するなど、傾斜度などの条件に応じた園地整備を進めて行くことにしてございます。また、果樹産地につきましては選果場を中心とした産地形成が図られてございまして、その核となる選果場の整備も当然重要と考えてございます。
   県といたしましては、こうした基盤整備に対する支援を通じまして、産地の活力強化に繋げて参りたいと考えてございます。なお、政権交代に伴う政策の流れが変わりつつある中で、農業農村整備予算が削減されるなど非常に厳しい状況にはございますけれど、必要な予算の確保を図るために、国に対し強く働きかけて参りたいと存じます。


5.県立射撃場計画
(1)計画の進捗状況
《質問》 松坂英樹 県議
 最後に、湯浅町山田山に計画されている県立射撃場計画について。昨年9月に補正予算化された湯浅町山田山への県立射撃場計画ですが、私どもは射撃場の必要性などは認めながらも、鉛対策や運営の見通しなどに不透明な面が多く、とうてい前提条件をクリアしたとはいえないとして、拙速な補正予算化に反対をいたしました。12月議会では、銃弾の飛距離により新たな用地の確保が必要という問題が出てきたと状況報告されましたが、今回の2月補正予算では、射撃場建設のための予算がとうとう全額来年度に繰越をされています。予算繰り越しにあたって、射撃場計画の進捗状況と現状についてお示しをいただきたいと思います。


《答弁者》 農林水産部長
   県では、鉛対策、あるいは防災対策を盛り込んだ基本構想を策定いたしまして、昨年の11月上旬に地元の湯浅町や関係団体である猟友会等に説明を行ってきてございます。
   事業実施の前提条件といたしましては「国からの補助金の活用」、「地元市町村の応分の負担」、「市町村による住民同意の取り付け」、「運営主体の存在」の4つの条件が整う必要がございまして、改めて湯浅町や関係団体に対し、条件整備について責任を持って対処するよう申し上げたところでございます。


(2)町民・県民に計画説明を急ぐべきではないか
《質問》 松坂英樹 県議
 加えて計画説明についてですが、私は9月の一般質問でも、住民合意が大前提だと主張し、予定地となる湯浅町まかせにすることなく、県が主体的に住民に計画を説明し、不安点には答え、意見を聞いて計画案を改善すべきは改善すると、そういう努力をしてこそ住民合意の条件をクリアできると申し上げてきました。
 この間、建設予定地のある山田区で住民説明会が開催されましたが、この射撃場建設計画は、決して当該地区・自治会だけの問題ではありません。一日も早く、全町民にむけた説明会を各地で積極的にひらき、町民・県民に開かれた計画説明をするべきではないかと考えますがいかがでしょうか。以上2点を農林水産部長にお尋ねます。


《答弁者》 農林水産部長
   住民同意のための地元説明にきましては、町からの要請があれば、県も積極的に参加をすることとしてございまして、本年の1月21日には、町からの要請に基づきまして地元に対する事業説明会にも出席をいたしまして、これまでの取り組み経過をはじめ心配される鉛、防災などの安全対策面や施設の内容などについて説明を行ったところでございます。
   しかしながら現在のところ、「地元同意」等が整っていない状況でございますが、町や関係団体からは迅速に実施条件を整備していくという声もございましたので、今議会で予算の繰り越しをお願いしたところでございます。
   いずれにいたしましても、時間的な余裕があまりない中でございますが、今後とも、地元の動向や関係団体等の意向を踏まえながら取り組んで参りたいというふうに考えてございます。

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10年2月議会

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10年2月県議会、松坂英樹 一般質問=3月9日
10年2月県議会、松坂英樹 一般質問