10年2月和歌山県議会 意見書(案)に対する反対討論  雑賀光夫
                                                  2010318
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   日本共産党県議団を代表して、和議第72号および第73号についての反対討論を行います。

   和議第72号は「選択的夫婦別姓制度導入に反対する意見書(案)」です。
   日本以外の主要な先進諸国において、夫婦同氏姓を定めている国はありません。国連女性差別撤廃条約は姓の選択について、夫と妻に同一の個人的権利を保障すべきだと定めています。日本では妻の96%が夫の姓に変えていますが、改姓により「同一人物と思われず仕事の機会を失った」などの不利益を被ることがあります。一定の職場で旧姓使用は認められてきたものの、パスポートや免許証などは戸籍名が原則で、不便さや不利益は続いています。改姓を避けて事実婚をすれば、相続権はなく、子どもは婚外子となります。
   意見書には、選択的夫婦別姓制度への動きの背景に「結婚後も同じ姓で仕事を続けたいと望む女性が増えたことや個人の権利の尊重等がある」としていますが、そのとおりで、これを否定することは男女平等の立場と個人の尊厳という、憲法の理念の否定にもつながるものです。
   選択的夫婦別姓制度の実現は、真の男女平等の社会を築くための一歩であると考え、この意見書に反対するものです。 

   次に和議第73号は「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書(案)」です。
   日本共産党は、永住外国人に対し、都道府県と市町村レベルの議員と首長の選挙で、選挙権と被選挙権を付与するべきだと考えます。
   憲法第93条は、自治体の長および議員は「その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」と定めています。地方自治法は、その住民について「市町村の区域内に住所を有するもの」と規定しており、これらの規定に照らして、自治体の運営は、本来、その地域に在住するすべての住民の意思にもとづき、すすめるべきものです。永住者のように外国籍をもっている住民であっても、他の日本国籍の住民と同じように、地方自治と切り離せない生活を送っている人々に参政権を付与することは、こうした地方自治の精神から、当然のことだと考えます。
   意見書は、憲法第15条の規定と、1995年2月28日の最高裁判決をあげて、憲法上問題があるとしています。しかし第15条の「国民固有の権利」とは「国民から奪ってはならない」「他人に譲り渡してはならない」権利と解されるもので、外国人に参政権を付与することを禁じた条項と解すべきものではありません。憲法で「国民」と定めている条項には、納税の義務のように外国人を対象にしたものもあります。
   またこの最高裁判決は「『住民』とは日本国民を意味するもので、外国人に地方選挙権を保障したものではない」というと同時に、地方公共団体と緊密な関係がある永住外国人に、地方議員と自治体首長についての選挙権を与えることは、憲法上禁止されていない、国の立法政策の問題だ、と指摘しています。
   いまや憲法学会でも外国人の地方選挙権は合憲とする説が多数派となり、外国人の地方参政権は、世界のすう勢であり、時代の要請になっています。
   以上の立場から、和議第73号には、反対するものです。
   同時に国民の間には、さまざまな疑問や意見があることも事実であり、十分に議論することを否定するものではありません。

   以上で討論を終わります。

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