2010年12月県議会 福祉環境委員会 奥村規子委員の質問概要記録
12月14日
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福祉保健部

《質問》 奥村規子 委員
 児童虐待を未然に防止することが非常に大事であるが、その点で県が補助を出している社会福祉法人虎伏学園が運営する児童家庭支援センターはどのような役割を果たしているのか。児童相談所の役割を補完する、身近な相談機関としての役割が重要だと思うが、役割や今後についてどのように考えているのか。

《答弁》 子ども未来課長
 児童家庭支援センター「きずな」は、平成21年度に設立した施設で、平成10年の児童福祉法改正によるものである。地域に開かれた子育て支援の拠点として、子どもや家庭等からの相談に応じるなどの支援を行う施設である。児童相談所の委託を受けて、児童や保護者への指導も行っている。1年半の実績の中で、かなりの相談事業を行っており、児童相談所のフォロー的な役割になっている。
 今後の施設の運営については、これまでの実績やこれからの働きを見て検討する。できるだけ利用してもらえるように、パンフレット等を配布し、市町村や関係機関に対し周知を図っている。

《要望》 奥村規子 委員
 電話相談が、1,000件を超えかなり多いが、家庭を訪問するなど身近なところで相談活動ができるように活動を拡げて欲しい。そうなれば子育て支援も安心である。
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《質問》 奥村規子 委員
 介護現場では、少しずつ職員の処遇は改善され、人材確保も進んできていると思うが、特に介護労働の実態調査について伺いたい。
 介護労働の実態調査で何か報告できるものはないか。

《答弁》 長寿社会課長
 介護職場の労働の実態調査については、毎年度、財団法人介護労働安定センターが事業所における介護労働実態調査を実施している。また、介護サービスに従事する職員の過不足についても調査がなされている。この調査結果によれば、16,860事業所に調査を行い、7,515事業所から有効回答があった。
 回答があった事業所のうち、従業員の過不足の状況について、「適当」であると回答があったのが52.3%、一方、「大いに不足」「不足」「やや不足」を合わせた「不足感がある」としたのは46.8%であった。ただし、前年度と比べて、若干不足感は改善してきている状況にある。
 また、訪問介護員、介護職員の平成20年10月1日から平成21年9月30日までの1年間の離職率は17.0%で、前年度の18.7%より若干改善の傾向にあると考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 その結果は、和歌山県としても同じ傾向と理解してよいか。

《答弁》 長寿社会課長
 なかなか判断が難しいところであるが、県内の介護関係の有効求人倍率を見ると、処遇改善交付金の効果だけではないと思うが、社会的な景気の影響も当然あると考えるが、数字を見ると改善の方向にあるということからすれば、先程全国の調査の結果を申し上げたが、県内の状況も全国の状況と大きくは変わらないと考える。

《質問》 奥村規子 委員
 入所施設の夜勤が不安だという言う意見がある。和歌山県としても入所施設の職員の夜勤の実態を調べてほしい。
 夜間帯は人数も少なくなる体制の中で、認知症のある方などの危険防止や安全のために、ベッドから降りた時に感知できるマットをたくさん入れれば入れるほど人手がかかってくる。それが介護の仕事だと思うが、そういった点で、夜勤が大変な状態になっているという意見を聞く。現在は二交代制が多いと思うが、そういった状況を調べてほしいと思う。

《答弁》 長寿社会課長
 県内の介護職員の就労実態について、和歌山県福祉保健研修人材センター(和歌山県社会福祉協議会)で県内の施設関係の実態調査を行っている。
 特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設について調査を実施しているが、夜勤の実態がどこまで見えるかといえば、夜勤手当の支給状況については結果があるようだが、たとえば平均月に夜勤を何回ぐらいあるかというところまではこの調査では分かりかねるので、委員から御要望いただいていることもあり、検討させていただきたい。

要望》 奥村規子 委員
 ぜひよろしくお願いしたい。
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《質問》 奥村規子 委員
 平成22年度から開始している、潜在看護職員の復職支援事業の現在の状況についてはどうか。

《答弁》 医務課長
 この事業は、看護師等の有資格で、現在就業してない潜在看護師を登録するとともに、未就業の方に臨床実務研修をおこない再就業を進めるもので、7月に登録を開始し、現在48名の新卒看護師を含め、143名が登録している。
 退職者、未就業者95名のうち、希望のあった9名に9病院で研修を実施する予定である。

《質問》 奥村規子 委員
 95名の登録で9名の希望者は少ないが、潜在となる理由は様々である。
 事業の内容は否定しないが、参加者が少ない現状や現場の不足状況から、看護師確保対策の大きな柱にはなりにくいのではないか。
 看護師養成所を作っていくことも必要であると考える。日高地方に看護師養成所を設置する要望も聞いている。高校生を対象にアンケート調査を実施したと開いているが、結果をどう受けとめているか。

《答弁》 医務課長
 日高地方の高校生2,000人あまりを対象に調査をしたところ、看護職の希望者は161名で、紀中に養成所ができたら入学を希望する者が、3学年で56名あった。56名が多いか少ないかは一概に言えないが、近年、社会に出てから入学する者も増えており、そのような状況も踏まえた検討が必要であると考える。

《要望》 奥村規子 委員
 調査は日高地域だけだが、将来的に高齢者が増え、看護を担う人材の確保が大切であり、紀中と限定せず、県全体として考えてほしい。
 看護師の養成に力を入れた看護師確保を要望する。
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《質問》 奥村規子 委員
 県立医科大学の不適切経理の問題で、1億3000万円のうち1億円近くがまだ返還されていないと聞いている。時間がかなりかかっている状況の中で、県として今後どのように対応しようと考えているのか。

《答弁》 医務課長
 現在、県立医科大学では、国と協議を行って返還額の最終の確定作業を行っているところであるが、速やかな事務手続きをお願いしている。また、不適正支出の処理結果については、県民に分かりやすい形で公表するよう指示している。

《要望》 奥村規子 委員
 早期に明らかにされるよう要望する。
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《質問》 奥村規子 委員
 県立障害福祉施設の建物譲渡に関する議案が出ているが、譲渡する建物の総額はいくらになるのか。

《答弁》 障害福祉課長
 8施設あり、当課の試算では約40億円となる。

《質問》 奥村規子 委員
 無償譲渡となっているが、県民の財産であり、県民にどのように周知されてきたのか。

《答弁》 障害福祉課長
 昨年度に県立障害福祉施設のあり方検討委員会を設置し、1年間かけて十分議論を行って譲渡の方向を決定し、今議会の一般質問や委員会でも質問いただき、答弁等を通じて県民への周知、理解が図られていくものと考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 あり方検討委員会は、県民への周知が目的とはなっていないと思うがどうか。

《答弁》 障害福祉課長
 あり方検討委員会は民間障害者施設の代表者や有識者等8名で構成され、民間譲渡に向けての様々な議論が行われてきた。今後も周知が図られ、理解が得られていくものと考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 40億円は大きな額であり、それだけでは不十分と思う。多くの県民に向けた周知のやり方が必要だと思う。
 民間譲渡にあたっては、当事者である入所者の気持ちが一番大事だと思うが、十分理解されていると考えているか。

《答弁》 障害福祉課長
 利用者の理解を得ること、福祉サービスを向上させることが民間譲渡に向けての一番大きな問題と考えており、あり方検討委員会において昨年1年間、5回にわたり十分検討してきた。検討委員会のメンバーが全施設に出向き、直接利用者の状況を確認し、保護者の代表者から民間譲渡に向けた意見を聞き、方向を決定しており、保護者の十分な理解が得られ、事業団に対する信頼も非常に厚いと考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 民間譲渡により福祉の後退につながると不安に思う保護者もいる。民間譲渡に当たり、様々なセーフティネット機能を確保されていると言われているが、県が福祉行政に責任をもつという点で後退していくと思うがどうか。

《答弁》 障害福祉課長
 民間譲渡により福祉サービスが低下しないか等の不安を言われるが、事業団は家族会への説明を十分行っており、昭和40年からの運営により培ってきた事業団への大きな信頼により、それらの不安が解消されるものと考えている。
 また、民間譲渡により長期的な運営計画が策定でき、福祉サービスの向上や長期的な雇用の安定が確保できるという面においては、民間譲渡は今の時代の流れの中ではよりよい方向であると考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 入所者の地域移行という方向があるが、地域の受け皿が十分整備されていないことも含めて不安をもっていると思う。地域の受け皿の整備について県の考えはどうか。

《答弁》 障害福祉課長
 グループホーム、ケアホームの整備等を県内で進めており、事業団についても入所者の信頼を背景に、民間譲渡後も地域移行した場合の支援機能を十分果たしていけるものと考えている。

《意見》 奥村規子 委員
 地域の受け皿が十分整備された中で、このような方向性の検討がされるのならよいと思うが、そうではないので賛成しかねる。

◇ 議案に対する採決
議案第145号 和歌山県児童福祉施設設置及び管理条例の一部を改正する条例
議案第146号 和歌山県障害者支援施設設置及び管理条例を廃止する条例
議案第151号 社会福祉法人和歌山県福祉事業団に対する建物の譲与について
は、賛成多数で原案可決。共産党奥村県議は反対。 ※ 奥村規子県議の反対討論

議案第134号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第155号 和歌山県立和歌山すみれホームの指定管理者の指定について
議案第156号 和歌山県立白浜なぎさホームの指定管理者の指定について
議案第157号 和歌山県立若竹園の指定管理者の指定について
議案第158号 和歌山県障害児(者)・高齢者歯科口腔保健センターの指定管理者の指定につ
        いて

議案第170号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第173号 平成22年度和歌山県立こころの医療センター事業会計補正予算
議案第176号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第177号 和歌山県ワクチン接種緊急促進基金条例
は、全会一致で原案可決

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環境生活部

《質問》 奥村規子 委員
 ノーレジ袋運動の問題であるが、事業者よりも消費者側の理解を広げていくことが非常に大事であると思う。消費者の意識を向上させるというようなことも含めて、今後どうしていくのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 レジ袋の今後の取り組みとして、現在のところコンビニ各社、ドラッグストア、ホームセンター等多くの業態から参加の意向が示されている。これまで以上に多くの店舗で、ポスター掲示や声かけ等を行うことで、レジ袋の削減や更には環境意識の高揚を図っていきたいと考えている。協議会には、NPOや市民団体に参加していただいている。そうした団体の皆様と連携しながら、多くの事業者に参加を呼びかけ、引き続き粘り強く運動を続けていくことで、消費者の皆様に、生活の様々なシーンでごみの削減やC02の削減を意識した取り組みを実践していただけるという取り組みを進めてまいりたい。

《要望》 奥村規子 委員
 ごみの減量としては、事業者も努力し全体としてやっていかなければならないが、ノーレジ袋の問題としては、消費者側が窓口で断る運動を広げていかなければなかなかうまくいかないと思う。そういう点で、県としても積極的に消費者運動と関わって広めていくことが大事である。
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《質問》 奥村規子 委員
 青少年の未成年者喫煙防止条例の関係で、成果や状況はどういったことになっているか。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 現在、未成年者の喫煙による補導件数が大幅に増加している。その要因としては、昨年、街頭犯罪が大変増加し、その一環で警察が街頭での職務質問や青少年に対する声掛け活動を強化した結果、補導件数もそれに比例して増加したと伺っている。
 これに対し当課では、警察、教育委員会と連携して街頭での合同補導やコンビニを含む小売店へのポスターやステッカーの配布による年齢確認徹底の依頼、たばこ小売り組合、コンビニエンスストア協会への未成年者にたばこを売らないという要請を行っている。
 他にも、警察と連携し、マナーアップキャンペーンで駅頭や電車内等で、たばこを含む全体的なマナーについて、青少年に対する注意喚起を行うなど地道に活動している。

《質問》 奥村規子 委員
 将来にわたって効果が出て、喫煙が減っていくということが望ましいと思われるが、そのためには教育委員会との連携による禁煙教育といったことが非常に大事と思われるが、その点では、今実際にどういうことがなされて、これから一層どういったことを強められるのか。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 現在の具体的な教育委員会との連携ということでは、先ほど申し上げた合同補導やマナーアップキャンペーンなどを中心に行っているが、未成年者喫煙防止条例の中には、教育の現場における未成年者の喫煙防止に関する教育に対する知事の協力条項もあり、今後、教育委員会とも話をしながら、未成年者の喫煙防止が促進されるように努めてまいりたい。

《要望》 奥村規子 委員
 是非、よろしくお願いしたい。
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《質問》 奥村規子 委員
 男女共同参画の取り組みで、男女平等の考え方はどう広がっているか。その点での取り組み状況はどうなっているか。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 男女共同参画の取組については、県民向けの啓発事業等を男女共同参画センターにおいて、様々な講座・セミナー等を通じて、啓発を行っているところである。
 意識の変化ということでは、4年に一度、県民意識調査を実施しており、国の男女共同参画社会基本法ができる以前の平成10年の調査では、「男は仕事、女は家庭」という固定的性別役割分担を否定する意見が、男性で約33%、女性で約46%であった。法が施行されて7年後の平成18年の調査では、固定的性別役割分担に否定的な意見が、男性で約45%、女性で約56%というようにそれぞれ約10ポイント増加しており、着実に意識は変わってきているという認識をもっている。

《要望》 奥村規子 委員
 まだまだ男女格差ということでは、賃金体系とか、働き方でも非正規では圧倒的に女性が多いと思うが、そういった点も含めて今後改善していってもらえるように発信していただきたい。

◇ 議案に対する採決
議案第144号 和歌山県消費生活条例の一部を改正する条例
議案第154号 和歌山交通公園の指定管理者の指定について
議案第170号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決

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