和議第132号
北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書(案)

 北朝鮮が日本人の拉致をはじめて認め、謝罪した平成14年の日朝首脳会談以降、5人の拉致被害者とその家族の帰国は実現したものの、すべての拉致被害者の方々の真相究明及び帰国の実現など、いまだ拉致問題の解決に向けた具体的な道筋がついていない状況である。
 これまで、北朝鮮は、我が国の主権ならびに日本国民の生命・安全に関わる拉致問題について、極めて不誠実な態度をとり続けてきた。平成20年8月には、日朝実務者協議における合意に基づき、一旦は北朝鮮が拉致被害者に関する全面的な調査を行うこととなったが、北朝鮮からの一方的な通報により、合意事項が実施されない状況が続いている上、韓国哨戒艦沈没事件や延坪島砲撃事件を引き起こすなど、国際社会に背を向けた強硬姿勢をとり続けており、極めて憂慮すべき状況にある。
 拉致事件の発生から30年以上が経過し、拉致被害者並びに家族の方々の置かれている状況を踏まえると、拉致問題の解決は一刻の猶予も許されない。本県においては、拉致問題に対する県民の関心と認識を深めるため、これまで「北朝鮮による拉致被害者救出のための国民大集会in和歌山」の開催や啓発ポスターの掲出、チラシの配布等を行っているが、一日も早い救出を実現するためには、国、地方及び国民が一体となって取り組むことが必要である。
 よって、国におかれては、政府認定・未認定にかかわらず北朝鮮によるすべての拉致被害者の安否確認と早期帰国を実現するため、さらなる国際協調を図るとともに、制裁措置と併せて二国間での対話も進めるなど、全力で取り組むよう強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 外務大臣臨時代理
 内閣官房長官
 国家公安委員会委員長
 拉致問題担当大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第133号
北方領土問題の早期解決を求める意見書(案)

 択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島からなる北方四島は、1855年「日魯通好条約」によって、日露両国の国境を択捉島とウルップ島の間と定め、以来我が国領土となっている。1945年、我が国がポツダム宣言を受諾し、降伏の意図を明確にしたにもかかわらず、ソビエト軍が択捉島など北方四島に進撃・占拠したが、1951年に関係国との間で締結された「サンフランシスコ平和条約」においては、我が国が放棄した千島列島には択捉島などの北方四島は含まれておらず、我が国固有の領土であることは歴史的な事実である。
 1993年に細川総理がエリツィン・ロシア大統領とともに署名した「東京宣言」では、北方四島の帰属に関する問題については、歴史的・法的事実に立脚し、両国間で合意の上、作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する、との交渉指針が示され、この指針は、その後の首脳による合意等においても確認された両国がよるべき指針である。
 このような中、昨年11月のメドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問以来、ロシア高官の相次ぐ北方領土訪問は、これまでの経過を無視し、ロシアによる四島の不法な占拠を既成事実化しようとするものである。
 また、先般の日露外相会談では、今後の交渉継続は確認されたものの、北方領土問題は平行線のまま終わり、問題解決への道筋すら立っていない。
 さらに、ロシアは、北方領土の開発に、第三国の企業の投資を呼び込む方針を打ち出し、中国や韓国の企業の進出計画が次々と明らかになっているが、北方領土に対する我が国の立場からは、全く受け入れられないものである。
 よって、国においては、このような度重なるロシア高官の北方領土訪問に重大な決意をもって断固抗議し、これまでの両国間の諸合意、諸文書を基礎に、毅然とした姿勢を示すよう強く要望する。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 外務大臣臨時代理
 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第134号
鉄道駅におけるホームドア整備の推進に関する意見書(案)

 平成23年1月16日にJR山手線目白駅において、全盲の男性による線路への転落死亡事故が起きるなど、視覚障害者などの、鉄道駅ホームからの転落事故、列車との接触事故が多発しており、公共交通機関における視覚障害者などへの安全対策が求められている、ホームドアまたは可動式ホーム柵が設置されている鉄道駅は、平成21年度末現在で449駅にとどまっている。
 こうした状況を受け、国においては「ホームドアの整備促進等に関する検討会」を設置し、ホームドアに係る整備促進方策や整備・運用で生じた課題とその解決策に関する情報の共有化の検討を行っているものの、車両の長さやドアの位置、ドアの数などへの対応や駅によってはホーム全体の補強が必要となるなど技術面や費用面での課題があるため、平成23年度以降にホームドアなどの整備計画があるのは、285駅となっており、整備が進んでいない状況である。
 公共交通機関は、誰もが安心して利用できる施設でなければならないため、鉄道駅構内、特にホームから線路への転落防止対策が急務となっている。
 よって、国におかれては、今後鉄道駅のホームにおける転落事故の再発防止など安全対策の向上を図るため、ホームドアの整備を早急に推進するよう強く求める。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 国土交通大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第135号
関西国際空港の再生及び強化に関する意見書(案)

 関西国際空港は、関西発展のための中核となる国際拠点空港として極めて重要な役割を果たす空港であり、和歌山県にとっても国土軸・国際軸に位置していくために必要不可欠な空港である。この観点から、本県は、騒音問題等多様な意見はあったものの、「大阪国際空港の廃止を前提」とした昭和49年の航空審議会答申や、昭和56年に運輸省から示された関西国際空港の計画案等を前提として、関西国際空港の建設に同意した。
 その後、1期事業はもちろんのこと、2期事業の推進に全面的に協力した結果、関西国際空港は2本の長距離滑走路を備え、完全24時間運用を実現したものの、1兆円を超える有利子負債による高額な空港使用料、滑走路等の航空機の離着陸に必要な最小限の施設のみでの運用、関西国際空港の需要拡大を阻害する構造的要因として大阪国際(伊丹)空港との関係整理など、解決すべき数多くの課題を有している。
 これらの本県の立場及び認識については、これまで再三訴えてきたところであるが、今般、「関西国際空港及び大阪国際(伊丹)空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案」の骨子が国土交通省から示され、関西国際空港に係る有利子負債問題などの課題解決に向けて、国主導のもとで取組が進められていることに対し、地元として大いに期待しているところである。
 法律案成立後は、両空港の経営統合、基本方針の策定、事業運営権の民間への売却等が予定されている。しかし、あくまでその目的は、昨年5月の国土交通省成長戦略会議の報告書においても明記されているように「関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生する」ことである。
 よって、国におかれては、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。


1 国土交通省成長戦略会議の報告書に明記されているように、大阪国際(伊丹)空港については、「跡地の土地利用計画の策定状況等を見通し、廃港・関空への一元化を検討する」ための取組を国が率先して進めること。また、当面は同空港を「関西国際空港の補完的空港として活用」するとしても、当然現行の運用制限の範囲内で行うべきであること。


2 経営統合後に新たに設立される新関西国際空港株式会社及び関空土地保有会社の経営に全責任を持つとともに、経営の抜本的効率化が図られるまでの間、補給金等の必要な財政支援を継続すること。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 国土交通大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第136号
高速道路ネットワークの早期実現に向けた予算確保を求める意見書(案)

 これまでの高速道路整備は、都市部を中心に進められてきた結果、本県をはじめ地方部の整備は遅れており、高速道路の空白地域やミッシングリンクが残されている。
 高速道路は国土の骨格を形成する広域的な社会資本であり、国がその責任において、ミッシングリンクを結合することで空白地域を解消すべきである。
 本県にとって高速道路は、県民の将来のチャンスを保障するものであり、救急医療体制の充実や大規模地震に対する備えとしても必要不可欠である。
 このような中、国の道路事業予算は、前年度から大幅に削減されるなど、厳しい状況となっており、本県が強く希望している、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道などの平成27年紀の国わかやま国体までの供用開始実現が懸念されるところである。
 国においては、高速道路空白地域の早期整備のための財源を確保し、県民の悲願である海南から田辺・白浜までの4車線化の早期実現をはじめ、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道などの幹線道路網を、国の責任において速やかに整備することを強く要望する。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 財務大臣
 国土交通大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(行政刷新)
 国家戦略担当大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第137号
高速道路の新たな料金割引に関する意見書(案)

 2月16日に発表された「高速道路の当面の新たな料金割引について」において、これまでの休日上限1,000円を継続し、新たに平日上限2,000円を導入することなどが示された。
 この中で、昨年4月9日の発表では、上限料金について別料金としないとされていた大都市近郊区間が、今回、現行通り別料金とされたことは、基本的にこの区間を経由しなければ他府県に移動できない本県にとって、非常に不利な扱いとなっている。
 また、阪神高速を通過しNEXCO区間を利用する場合、首都高速とは異なり、前後区間の上限料金の乗り継ぎが適用されない仕組みとなっており、阪神高速を利用する機会の多い本県にとって、このことも不利な扱いとなっている。
 高速道路の料金施策は、例えば、無料化社会実験が実施されている地域とそうでない地域との間に、観光振興や物流効率化などで新たな格差が生じるなど、地域に与える影響が大きい施策である。
 このため、新たな料金施策の導入にあたっては、地域間格差の是正や利用者の負担の公平という観点に加え、フェリーなどの交通機関への影響も含め適切な料金体系とするとともに、影響を受ける交通機関への対策を講じることが必要なことから、下記の事項について強く要望する。

                              記

以上

1 他地域への移動で大都市近郊区間を通過せざるを得ない地域が不利にならないよう、上限料金は大都市近郊区間を別料金としないこと。

2 阪神高速をより有効に利用するため、通過利用の前後NEXCO区間に上限料金の乗り継ぎを適用すること。

3 阪神圏の利用しやすい新たな料金体系の検討については、本県など周辺自治体の意見を聴くこと。

4 本四間フェリーを利用した場合の上限料金の乗継特例の導入にあたっては、南海フェリー「和歌山徳島航路」も対象とすること。

5 イコールフッティング確保に必要なフェリー料金引き下げに係る運航補助制度を創設すること。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 財務大臣
 国土交通大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(行政刷新)
 国家戦略担当大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第138号
地球温暖化対策税(環境税)導入について慎重な対応を求める意見書(案)

 政府は、平成22年12月28日に開かれた「温暖化問題に関する関係閣僚委員会」において、地球温暖化対策の主要3施策に関する基本方針を決めた。
 温室効果ガスの削減策として浮上している排出量取引制度の導入については、慎重に検討するとの方針が確認されたが、再生可能エネルギーの全量買い取り制度については、平成24年度からの導入を目指すとし、地球温暖化対策税(環境税)については、税制改正大綱で決まった平成23年度から導入することを明記した。
 本年10月から段階的に導入する地球温暖化対策税(環境税)は、ガソリンや軽油といった全ての化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税にCO2の排出量に応じた税率を上乗せし、幅広く負担を求めるものである。
 現在、我が国の経済情勢は、持ち直しつつあるものの、雇用情勢は依然として厳しく、円高やデフレなど、景気を下押しするリスクが払拭されていない状況にあり、さらに、中東情勢が緊迫する中、原油高騰が国内経済に深刻な打撃を与える懸念も高まってきている。
 そうした中で、地球温暖化対策税(環境税)を導入すれば、国民生活や産業活動に悪影響を及ぼし、我が国産業の国際競争力を低下させ、ひいては国内経済と雇用情勢の悪化につながりかねない。
 よって、国におかれては、現在の厳しい経済情勢を踏まえ、地球温暖化対策税(環境税)導入について、慎重に対応するよう強く求める。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 環境大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(行政刷新)
 国家戦略担当大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
和議第139号
南極海における鯨類捕獲調査事業の継続等を求める意見書(案)

 わが国が1987年から実施している鯨類捕獲調査は、「国際捕鯨取締条約第8条」に基づく、国際条約により認められた行為である。
 しかし、米国の反捕鯨団体「シーシェパード」による南極海の捕獲調査に対する妨害が年々過激さを増し、今季の調査では、乗組員の安全を守るため、切り上げを余儀なくされた。
 2006年、2007年の国際捕鯨委員会(IWC)総会において、全会一致でシーシェパードの妨害行為に対する非難を決議し、2008年の中間会合で抗議船の船籍国に対応を要請しているにもかかわらず、抗議船の船籍国や寄港国は、シーシェパードの妨害活動を容認しているのが現状である。
 また、本県の太地町は、捕鯨発祥の地として400年以上の歴史があり、現在も小型捕鯨業や鯨類追込網漁業が営まれているが、海外からやってくる反捕鯨団体等のターゲットとなり、漁業の妨害や精神的な攻撃を繰り返し受けてきた。
 さらに、昨年3月に鯨類追込網漁業を隠し撮りした映画「ザ・コーヴ」の米国アカデミー賞受賞以来、町にはシーシェパード等のメンバーが常駐し、漁業者を執拗に挑発するなど反対活動がエスカレートしつつあり、漁業関係者の方々の置かれている状況を踏まえると、早急な対応が必要である。
 よって、国におかれては、次の事項について、所要の措置を講じられるよう強く要望する。


1 鯨類資源を把握し持続的に有効利用することの正当性を反捕鯨国に訴え、反捕鯨団体の活動を排除し、来季以降の捕獲調査を継続して実施すること。


2 地元漁業者が安心して操業できるよう、適切な支援を行うこと。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  平成23年3月9日

              様

                    和歌山県議会議長 谷  洋一
                      (提 出 者)
                       向 井 嘉久藏
                       松 本 貞 次
                       雑 賀 光 夫
                       角 田 秀 樹


(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 外務大臣臨時代理
 農林水産大臣
 水産庁長官

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    2011年2月議会    和歌山県議団TOP