2011年2月県議会 藤井健太郎 一般質問 概要記録
2011年2月28日
1.経済対策について
(1)県経済の現状と先行き
(2)仕事と雇用づくりに向けての新年度予算と施策
(3)官公需の地元中小事業者への発注機会の拡大
@実績の推移、新年度の方針と計画
A目標をもっての取組を
B小額随意契約制度の活用を(要望)
(4)中小企業向け制度融資について
@緊急保証制度終了後の融資制度は
A新規開業資金の充実を
(5)住宅リフォーム助成制度について
@住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果は
A制度創設に向けての検討を
2.行財政改革について
(1)新行革プランと県財政の現状は
(2)あたたかい改革で福祉医療制度の充実を
3.指定管理者制度のあり方について
(1)わかやま館を直営にする理由と今後の方針は
(2)指定管理者制度の実績評価は
(3)総務省通知を受けての検証と今後の方針は
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《質問》 藤井健太郎 県議
議長のお許しをえましたので、一般質問を行います。
質問に先立ち、さる22日、ニュージーランドで発生したマグニチュード6.3の地震では、建物の倒壊により多くの人が犠牲となりました。また、日本人を含む行方不明者の安否が気遣われております。無事に救出されることを祈るばかりです。日本と同様に有数の地震国でもあるニュージーランドですが、今回の地震で耐震基準に対応していない古い建物や地盤の悪い場所の建物、補強されていない石づくりの建物が集中的に倒壊しました。あらためて本県の地盤や構造物の検証と耐震化を急ぐことが重要になっていると強く感じたところです。
また、鳥インフルエンザへの対応では、危機管理の重要性を教えてくれました。素早い対応が被害の拡大防止につながります。昼夜を分かたず奮闘された関係者の皆さんに感謝申し上げます。
1.経済対策について
(1)県経済の現状と先行き
(2)仕事と雇用づくりに向けての新年度予算と施策
それでは、通告にしたがいまして、質問させていただきます。
まず、経済対策について、知事ならびに関係部長にお尋ねします。
今年2月に内閣府が発表した昨年10〜12月期の国内総生産速報に関する報道によりますと、国内の実質成長率は前期比0.3%の減、年率換算では1.1%の減と5四半期ぶりに国内経済がマイナス成長となり、その主たる要因としては、国内総生産の55%を占めている家計消費が大幅減になったということが指摘されています。
家計消費が落ち込んだ理由として、家計の消費力を支える勤労者の所得が長期にわたり減少を続け、そのうえにエコカー補助金や家電エコポイントなどの消費を誘導する政策が終了または縮小したことが響いたということです。
確かに昨年の雇用者報酬は、バブル崩壊直後の平成4年以来の低水準にあり、雇用者に占める非正規での働き方は過去最高の34%に達するなど、家計所得の低迷と雇用の不安定化がすすんでいます。一方、株式上場している大企業の経常利益は5期連続の増益ということです。このことを考えますと、大企業が増益になっても家計の所得や雇用が安定しなければ、経済の自律的な回復にはつながらないことを示していると思います。
持続的な経済成長に結びつけるには、働き方の非正規から正規への転換で安定した雇用を増やし、最低賃金の大幅引き上げなど雇用者報酬の引き上げで家計をあたため、内需を拡大する経済政策がどうしても必要だと強く感じるところです。
果たして、新年度の状況に期待がもてるでしょうか。高卒、大卒の新卒者の就職状況は依然として厳しく、公的年金は5年ぶりとなる0.4%の引き下げが予定され、今年に入って食料品や燃料価格の値上げが相次いでいるなど将来の暮らし向きに不安が増大しています。
知事は、新年度の予算編成の基本的な考え方として、県内産業の活力強化をはじめとする「未来を拓く希望の政策」と県民の暮らしに直結する医療や福祉など「命と今を守る安心の政策」を2つの柱として編成作業を行ったと言われております。
昨年の県内企業の動向では、県税における法人税収で見ると今年度最終補正、新年度当初予算ともに増額計上されていますが、東京商工リサーチ和歌山支店調べによると、この4年間3桁の倒産が続いており、昨年の倒産件数は148件で、建設業が最多の52件、サービス業31件、小売業27件、製造業21件とつづき、販売不振など売上の低迷による不況型倒産は134件、小売業は前年の倍の倒産と消費が冷え込んでいることがうかがえます。
雇用の動向では、有効求人倍率は昨年12月で年間最高の0.65倍、知事は近畿では最高になっているといいますが、平成19年当時の0.90倍にまでには回復していません。
県内企業のほとんどは中小零細の事業所であり、県民の雇用の場でもあることから、県内に根ざしている地元の中小事業者に活力をつけていくことこそが、県経済を浮揚させていく上で最大の課題でもあると思います。
国の経済対策、生活対策として国の補正予算で措置されたふるさと雇用、緊急雇用などの基金事業や公共事業に活用できる交付金事業はほとんどが新年度で終了するわけですが、それらの有効活用はもとより、県の予算で中小事業者の仕事づくりを支援し、新たな雇用と所得を生み出し、それが購買力の向上となり、地域で消費されるという地域での経済循環を作り出していくことが県経済の浮揚につながっていくのではないかと考えます。
そこで、知事にお尋ねします。
知事は県経済の現状と先行きをどのように見られているのでしょうか。そして、仕事と雇用づくりの新年度予算と施策は、どのようなものとなっているのでしょうか。
知事は、12月議会冒頭の所信表明で県経済の活性化、地域が元気をとりもどすために働く場がもっと必要で、和歌山の元気創造につながる分野で日本一といわれる振興策を講じてまいる、と言われました。それは和歌山経済が抱える課題の解決につながるものであることが求められているところですが、当初予算でどのような施策、予算としてあらわれているのでしょうか。県内事業者の仕事づくりや雇用の拡大などにどのような成果が期待できるのでしょうか。
《答弁》 知事
景気・経済の現況と先行きについては鉄鋼、化学などの一部の業種を除き、回復への懸念要因が払拭されたとはいえない状況であります。中小零細企業が多く、加えて下請け要素が強いこともありまして、グローバル化、ニーズの多様化への対応の遅れなどにより、全般的には、低迷状況が続いているものと考えております。一方、厳しい状況の中にあって、地域資源活用等による新商品開発や海外展示会への出展などによる販路開拓を進める「やる気のある企業」が業種を問わず、数多く出て参りまして、一部にそういう意味で前向きの動きが出てきていると思います。本県経済の活性化、雇用創出のためには、このような県内企業の活力強化が最重点課題と考えております。
新年度予算では、経営相談、金融支援などの下支えの施策とともに、「技術開発」「販売促進」「異業種交流(産学官の連携)」を中心とした競争力の強化政策を進めているところでございます。
この方針のもと、先駆的な研究開発助成の大幅な増額や首都圏での販路開拓、プレミア和歌山の販売促進、地場産業ブランド力強化支援などの新規事業をはじめとした施策に一層取り組んでまいる所存でございます。また、国内外からの企業誘致とともに、雇用基金の活用により、切れ目のない雇用創出に取り組んでまいります。
私は、本県の産業政策が、本県特有の地域の実情に応じた課題について、地域全体の力を結集し、人口減少に苦しむ地域の新たな解決策のいわばモデルともなりうるように、振興策に全力をもって取り組んでまいりたいと考えております。
(3)官公需の地元中小事業者への発注機会の拡大
《質問》 藤井健太郎 県議
つづいて、官公需の地元中小事業者への発注機会の拡大を求めたいと思います。
21年度決算でも審議しましたが、国の経済対策としての交付金を活用して、学校へのデジタルテレビやパソコンを購入する事業で、地元中小事業者への発注割合が13%と全国最低クラスとなったことがありました。同じ事業で同規模金額の発注を100%地元中小企業に発注した県がいくつもあったことを考えると、あらためて官公需のありかたについての考え方をお尋ねしておきたいと思います。
官公需とは、国や自治体などの公的機関が、業務のために使用する備品・消耗品などの物品を購入したり、自ら管理する施設などの清掃や警備などの役務、公共施設の建設、道路・河川の改修などの工事を発注する公共調達のことといわれています。
県の21年度官公需契約額は705億円ということですが、発注の原資は税金ですから、発注に際しては、公正性、経済性、透明性が求められ、経済性ということからいえば1円でも安い方がいいということになります。経済性のみを追求すれば、物品購入でいえば競争入札で大量に取り扱う大手業者に一括発注する方が有利となります。
しかし、一方では、「官公需についての中小事業者の受注の確保に関する法律」で、中小事業者の受注機会の増大をはかることが定められています。これにもとづき、国は毎年、官公需についての方針を閣議決定し、官公需額のうち中小事業者への発注金額と比率などの目標を発表し、翌年、実績を公表することになっています。ここに官公需には経済性の追求だけではない、中小企業施策や地域の振興策などからの要請にこたえなければならない社会的側面があります。官公需法では、地方自治体に対しても同様の施策を講じるよう求めています。また、官公需は単に中小事業者への発注割合を増やせばいいというものだけではありません。際限ないダンピング競争がおこなわれていれば、中小企業振興とは言えず、地域経済を潤していることにはつながりません。そういう点も加味しておくことが必要だと思います。
群馬県、千葉県など、いくつかの県では官公需のありたかについての方針と計画をもち、全庁的にとりくんでいるところもあります。
中小企業庁の資料によりますと、21年度の和歌山市を含んでの本県の官公需総額に占める中小企業向け発注額の割合は77.4%で、全国で32位という状況です。発注割合が85%をこえている自治体が16団体あることからも県において改善の余地があるようにも思えます。
官公需の地元中小事業者への発注の機会の拡大について、どのようにとりくんでいるのか、お尋ねします。
@実績の推移、新年度の方針と計画
実績の推移はどうか。新年度の方針と計画はあるのか。
A目標をもっての取組を
発注割合を高める工夫をするうえで、目標をもって取り組むことを求めたいがいかがでしょうか。
中小企業振興につながるという点から商工観光労働部長の見解をお伺いします。
あわせて、少額随意契約制度の活用を要望しておきたいと思います。
地方自治法で、少額随意契約制度の定めがあります。入札参加資格の要件に満たない小規模零細事業者に直接発注できるしくみです。あくまでも発注の原則は、競争入札であり少額であっても可能な限り競争入札する方が望ましいわけですが、それでは小規模事業者を公共調達から排除することになりかねず、中小事業者振興という立場から見れば、できるだけ多くの事業者に仕事がいきわたることが求められています。
B小額随意契約制度の活用を
公共施設や学校の地域など小さい範囲での少額発注についてのありかたとして検討してもらいたいと思います。これは要望としておきます。
《答弁》 商工観光労働部長
官公需の実績推移でございますが、平成19年度は、県の中小企業者向け契約比率79.9%、平成20年度は、70.7%、直近の平成21年度は、77.5%で、金額ベースでは、和歌山県の官公需総額705億4100万円のうち547億300万円が中小企業者の契約金額となっております。
また、平成21年度の国の中小企業者向け契約比率53.1%、全都道府県平均75.9%となっており、いずれも和歌山県の契約比率は上回っております。
新年度の方針と計画につきましては、県ではこれまで同様に、国の方針に準じて中小企業者の受注機会の増大のための措置を徹底するよう庁内等に周知を図り、一層の契約比率の向上に努めていく所存です。
目標設定については、国の実績及び全国平均とも上回っていることから、現在のところ独自に目標を定める予定はありません。
しかしながら、地元中小企業者への発注の増大を図るためには、庁内等への徹底的な周知は欠かせないと考えておりますので、引き続き粘り強く取り組んで参ります。
《要望》 藤井健太郎 県議
方針をもってはどうかと聞きました。現在のところ、その考えはないということです。
全国的には、11都道府県が独自の方針をもっています。
受注件数、受注金額については、目標をもってもこれは結果の問題となります。
要は、中小企業向けの発注機会の拡大をどうはかるかが課題です。
商工観光労働部では、結果のとりまとめをしているということです。発注は他の部局でも行われています。方針を持つことが目的ではなく、方針を作成する経緯の中で、全庁的に官公需の果たす役割の再確認、中小企業向け発注についての意識づけにつながります。
受注は地元業者であっても、製造を県内でできるにもかかわらず県外に出している問題や、ISO認定取得工場での製造を条件にするなど地元業者の受注機会をせばめるような条件をつけることなど、これまでも指摘してきましたが、全庁的に見直していくことも多々あるのではないか。
そういう意味で、方針づくりは地元中小企業向け発注機会の拡大についての課題の洗い出しなど全庁協議の契機にもなるわけですから、ぜひ考えてもらいたいと思います。
(4)中小企業向け制度融資について
《質問》 藤井健太郎 県議
つづいて、中小企業向け制度融資の問題について
中小企業の経営破たんの回避や資金繰りに応じるため、国の景気対策として実施されていた景気対応緊急保証制度が、今年の3月末で終了することとなっています。中小企業のほぼ全業種を対象として、長期、低利の融資を信用保証協会が100%保証するもので、県内事業者の資金需要にこたえてきました。4月以降は、原則として100%保証を打ち切り、金融機関が2割のリスクを負担する責任共有制度にもどすということです。激変緩和措置として指定業種を約6割の48業種にしぼりこみ半年間実施し、10月からは業種指定要件を元の20業種に戻すとしています。結果、保証承諾額は現行の緊急保証制度の4割に減じるとも言われています。
中小企業の景況は、平成20年のリーマンショック以前にもどったのでしょうか。業種全体としては、売り上げ高が減少していなくても、個々の事業者においては、売り上げ高が大きく減少している事業者もあります。業種指定からはずされれば、100%保証の対象にはならず、セーフティネット保証を最も必要とする事業者の資金繰りが緊急保証制度の終了によって苦境に立たされることになりはしないか懸念がされるところです。
そこで、商工観光労働部長にお尋ねします。
@緊急保証制度終了後の融資制度は
国の全業種を対象とする緊急保証制度が終了、縮小していくことになりますが、資金需要がなくなったわけではありません。今後の中小企業向け制度融資のありかたはどうなるのか。資金需要にどのように対応していくのか。
《答弁》 商工観光労働部長
議員ご指摘のとおり、本年3月末で国の緊急保証制度が終了する訳でございますが、業況の特に悪化している業種に対するセーフティネット保証(5号)制度は、段階的に縮小されるものの存続することから、これらの方々には、引き続きこれまで同様の手厚い支援を行ってまいります。
また、4月以降セーフティネット保証5号の対象から外れる業種の方々に対しては、まずは、3月末までに緊急保証の利用を検討いただくよう周知徹底を図るとともに、4月以降は、小企業応援資金といった信用保証協会100%保証の制度を活用した有利な資金の利用促進をはじめ、経営支援資金・一般枠など、既存の責任共有制度対象資金でも支援してまいります。
加えて、金融機関に対しましても、これまで同様、円滑に資金供給を行うよう、機会を捉えて要請してまいります。
A新規開業資金の充実を
《質問》 藤井健太郎 県議
2点目、新規開業資金の充実を求めたいと思います。
新規開業資金の必要額の確保と借りやすくするためへの対応を考えてもらいたいということです。職を失った人や転職を考えている人から開業してみようかという相談をうけることがありますが、現実的にはなかなかハードルが高く、元手が少なければ保証協会の保証も得にくくなります。新規開業をめざす人への応援をより強化していくために、開業にあたってのノウハウの助言はもとより、とりわけ開業資金の手立てを厚くしていくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
《答弁》 商工観光労働部長
平成23年度から、新規融資枠を10億円から20億円に引き上げ、必要額の確保を図ってまいります。
また、金融機関への預託と保証料補助により、近畿府県の中でも最大規模の利用者負担の軽減策を講じるとともに、1000万円までは自己資金要件を緩和するなど、これまでも有利で使い勝手の良い資金となるよう必要な見直しを行っており、引き続き、金融機関や信用保証協会と連携して、新規開業者の資金需要に的確に対応してまいります。
(5)住宅リフォーム助成制度について
《質問》 藤井健太郎 県議
つづいて、住宅リフォーム助成制度について、お尋ねします。
住宅の改築や増築の際に経費の一部を補助する制度が、建築関連の中小事業者の仕事づくり、地域の経済対策として全国約1,800自治体の中で1割を超える自治体が取り組むまでに、急速に広がりを見せています。本県でもすでに実施している耐震改修、太陽光発電、紀州材の活用、合併浄化槽の設置などへの補助制度や国が実施する住宅エコポイント制度にとどまらず、広く一般的な住宅改修に対応する補助制度として、地元業者への発注を条件に、補助対象工事、補助率、補助限度額などを定めて実施されています。
昨年2月議会でも紹介しましたが、県としては秋田県が、昨年3月から住宅リフォーム緊急支援事業を立ち上げ、リフォーム工事に要する費用が50万円を超える工事に対して10%相当額、20万円を限度として、当初12億6千万円の予算で、7,000戸を対象としてはじめました。半年足らずで6,939戸の実績、工事出来高152億5000万円に達したということです。秋田県では当初予算を上回る見こみのため8月の臨時議会で8億4600万円の増額予算を組み、目標15,000戸、予算額を21億6000万円に増やし、目標を達成すれば県経済への波及効果は約240億円と推計しています。本県の耐震改修制度が60万円を限度としているにもかかわらず6年かけて376戸の実績であることを考えると、一般的な住宅リフォーム助成制度がいかに活用されているかがよくわかります。
山形県では、新年度、耐震化、省エネ、バリアフリー、県産材活用のいずれかを含む一般的な住宅リフォーム工事に対して、6,000戸分、6億3100万円の当初予算を組むなど、それぞれの自治体で特色はあるものの、リフォームを促進させるものとしての経済効果、事業効果に着目し、地域振興や省エネに資する事業として取り組まれています。
近畿では奈良県が、新年度から国の住宅エコポイント制度を利用してエコリフォームを行う住宅で、県の景観計画への適合、耐震改修、県産材の活用のどれかを行うか、それ以外で50万円以上のリフォーム工事を、県内事業者に発注した場合、補助を行う制度をスタートさせるとのことで、当初予算に1億400万円を計上しています。
本県において、耐震改修制度を創設した時期には1年間に500戸の改修を目標に1億5000万円の予算を組んだ時期もありましたが、その年度の実績は48戸、1440万円の執行に終わったこともありました。予算の有効活用を考えれば改修の対象を一般的リフォーム工事に拡大すればいいわけです。
そこで、県土整備部長にお尋ねします。
@住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果について
住宅リフォームへの補助はリフォームの促進につながることから住宅関連産業の仕事づくりなどの経済効果、安全安心で快適な居住の確保など県民生活にとっても事業効果が期待できると思われますが、どのように考えられるか。また、県制度としての耐震改修の促進、県産材の利用促進にもなり、今議会に提案されている景観条例・景観作り協定などによる改修の推進などにも寄与できると考えるがどうでしょうか。
A制度創設に向けての検討を
ぜひ、制度実現に向けての検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
《答弁》県土整備部長
住宅産業は関連する業種が多く裾野の広い産業であり、経済に及ぼす効果は大きいとされており、国は省エネルギー対策としての住宅エコポイントや、地場産材を用いた長期優良住宅への助成などを、緊急経済対策に盛り込んでいるところでございます。
県としては、県民の安全・安心な居住の確保のために、耐震化やバリアフリー化のリフォーム助成制度を設けるとともに、国及び県の助成制度をわかりやすく説明するパンフレットの作成や、総合的な相談窓口の設置など、助成制度の周知に努めているところでございます。
さらに来年度より、木造住宅の耐震改修をより促進するため、補助要件の緩和を行うとともに、地域材の振興のため、新築、増築を対象とした紀州材を用いた住宅に対する補助戸数を倍増してまいりたいと考えております。
これらの各種助成制度をフルに活用することにより、喫緊の課題である東南海・南海地震や、高齢化社会への対応を図るとともに、地元業者の仕事づくりなど、地域経済への効果も見込まれるものと考えております。
今後とも、現行の各種制度をより多くの方にご利用いただけますよう積極的に取り組んでまいります。
《要望》 藤井健太郎 県議
住宅産業の及ぼす経済効果は大きいとの認識を示されました。現在の助成制度の充実と周知に取り組むとのことですが、それはそれで取り組んでいってもらいたいと思います。
今、なぜ住宅リフォームなのかということです。耐震改修、太陽光発電、産地材の活用など多くの自治体で取り組まれています。その上に一般的なリフォームまで助成対象を広げて取り組む自治体が増えてきている。それは、補助金の活用をしていく上で、経済効果、事業効果がけた違いに大きくなるということへの着目が一つあります。
また、リフォーム工事そのものの促進につながることによって、耐震改修、県産材の活用の促進にもつながるということです。
耐震診断は16年度から21年度の6年間で8,035戸の実績がある中で、耐震改修が必要とされた構造評点0.7未満の住宅は6,199戸、77%あるということですが、耐震改修補助制度が使われたのが376戸です。この6年間の耐震改修予算は総額で5億2800万円の予算を組んでいますが、1億1266万円の執行で予算の8割が不用額となっています。
新年度で補助要件を1.0未満に拡大するとのことですが、耐震改修がより必要な家屋の早期の耐震化こそが望まれています。予算の有効活用していくうえでも、耐震改修を含む一般リフォームまで広げていけばいいわけで、住宅リフォーム助成制度への取り組みの検討をしていただきたい。
それとあわせて、耐震改修工事の助成対象範囲についても、柱のシロアリ被害、壁の剥落やひび割れ、梁のやりかえなど幅広く耐震に関連するものとして使えるものにしてもらいたいと要望します。
2.行財政改革について
《質問》 藤井健太郎 県議
次に行財政改革について、知事にお尋ねします。
長期総合計画の策定にあわせ、平成20年3月に平成20年度から24年度までの5年間を計画期間とする新行財政改革推進プランが策定されています。
平成24年度最終年度に歳入歳出の収支不足額ゼロをめざすもので、収支の均衡をはかるために、職員定数の削減、給与抑制など人件費の縮減、事務事業の見直し、投資的経費の抑制、県債の償還期間の長期化などを行うことで、5年間で687億円の歳出削減をはかり、歳入確保として県税収入の確保、退職手当債・行革債などの財源対策のための県債の活用、未利用県有財産の処分などをあげ、歳入で690億円の確保を行い、合計1377億円の改善をはかるとしています。その間、各年度で生じる収支不足額を財政調整基金と県債管理基金からの取り崩しで補い、23年度で基金からの取り崩しは終わり、収支均衡のはかれた24年度には、両基金残高を22億円と見込む計画となっています。
新年度の行革推進プランの予定では、収支不足23億円を基金からの取り崩しで補い、県債管理基金・財政調整基金の残高は22億円としています。新年度当初予算を見ますと収支不足が16億円出ると見込み、県債管理基金から取り崩すこととしていますが、両基金の新年度末の残高は200億円を見込んでいます。プランでは両基金残高は毎年の取り崩しにより減っていく計画となっていましたが、しかし、実際には基金を積み上げてきています。
そこで、知事にお尋ねします。
(1)新行革プランと県財政の現状は
1点目、新行革プランと比較して県財政はどのようになってきていると考えておられるのか。
新行革プランの数値が持続可能な財政構造の確立をめざすというものであるならば、基金残高がすでにプランの22億円から200億円へと10倍近くになっていることから、すでに前倒しで確立できているのではないでしょうか。
《答弁》 知事
私はこれまで、新行財政改革推進プランに基づく人件費の抑制や事務事業の見直しなどにより収支不足額の縮小に取り組むとともに、地方交付税をはじめとする地方税財源の充実・碓保について、国に対して強く働きかけてまいりました。
平成23年度当初予算においては、こうした取組の成果もあり、収支不足額を16億円に圧縮し、将来の財政需要に的確に対応するために必要となる基金の減少を最小限に留めることができたと思っております。現状では基金残高については、当初の新行財政改革推進プランを想定したときの水準よりも上がっておりますが、基金残高だけの問題ではありませんで、来年の収支構造も変えていかないと、この基金を取り崩してしまって終わりということになりかねません。従いまして、この収支構造については、今のところ当初の想定のような形で推移しているという風に考えております。
しかしながら、先行き不透明な社会経済情勢や社会保障関係経費等の一層の増加が見込まれる中で、「元気な和歌山」を実現するためには、引き続き、持続可能な財政構造の確立と新政策の推進、和歌山を元気にするためにもっともっと色々なことをやりたいという2つの目標を両立させていく必要が依然としてあると考えております。
(2)あたたかい改革で福祉医療制度の充実を
《質問》 藤井健太郎 県議
2点目、福祉医療制度の充実を求めたいと思います。
知事は、福祉や教育、過疎対策など後退させることなくさらに伸ばしていく、あたたかい改革をすすめるといわれています。県単独の福祉医療制度についての取組みについてどう考えているのか、お尋ねします。
これまでに県は、老人医療費助成の所得制限の強化による対象者の縮小、重度心身障害者医療費助成の対象者から65才以上で新たに重度障害となった人を除外し、重度心身障害者医療や一人親家庭医療については自己負担の導入の検討がおこなわれてきました。これらは知事の言うあたたかい改革とは逆の方向だと思います。今日の経済状況のもとでは福祉医療制度の拡充、底上げこそ望まれる方向だと思いますが、いかがでしょうか。今年度の最終補正予算では福祉医療制度などに対応するための福祉対策基金へ新たに30億円が積み立てられ、残高も85億円となっています。基金に積み立てるばかりではなく、関係者からの要望も強い精神医療や訪問看護の福祉医療制度への追加を求めたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
《答弁》 知事
重度障害のある方やひとり親家庭等を対象とする県単独医療費助成制度がございますが、これについては、平成20年度に、新行財政改革推進プランの趣旨に基づき、見直しを検討いたしましたけれども、県議会をはじめ市町村長及び関係団体の皆様からのご意見を十分踏まえて、一部自己負担の導入という案があったんですが、それを見送りまして、平成21年度以降も現行制度を維持しているところであります。
本プランでは、財政状況を考慮しつつ、見直しを検討していくこととしていますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、今後も安心して医療を受けていただくためには、県単独医療費助成制度を将来にわたり持続可能なものにするということが重要であると考えています。
また、精神障害のある方々や訪問看護療養費を重度心身障害児者医療費助成制度の対象に加えて、本制度を充実させることにつきましては、現行の対象者を含めた県単独医療費助成制度全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。
3.指定管理者制度のあり方について
《質問》 藤井健太郎 県議
最後に、指定管理者制度のありかたについてお尋ねします。
平成15年の自治法改正により、公の施設の管理主体の範囲を出資法人に限定していたものを民間事業者にまで広げる指定管理者制度が導入され、県は平成18年度からこれまで管理委託に出していた施設について指定管理者制度に移行させました。指定管理者制度は、民間事業者にまで管理委託を拡大することで、住民サービスの向上がはかれ、かつ行政経費の削減が図れることを目的に創設されたものです。
施設の使用料は、指定管理者の収入となることから利用者が増えれば増えるほど収入は増えることとなります。一方、経費の削減は人件費の削減が中心となり、施設を管理する職員は常勤職員から非常勤職員やアルバイトへの置き換えがすすめられました。利用者増と経費削減を追及していくもとで、全国的にも指定管理者制度へのとりくみについて問題点も指摘されるようになり、昨年12月に総務省自治行政局長名で全国の自治体に対し、改めて指定管理者制度の運用について8項目にわたる留意事項を指摘し、適切な運用を求める通知を出しています。
通知の特徴的な内容としては、施設の設置目的を効果的に達成するために活用できる制度であること、事業者選定は公共サービスの水準の確保という要請を満たすものであり、単なる価格競争による入札ではないこと、事業者が労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮をしているか留意すること、など公の施設の設置目的が十分達成され、そこで雇用されている労働者の労働条件にも目配りすることを求めています。時期にかなった通知だと思いますが、関係部長にいくつかお尋ねします。
(1)わかやま館を直営にする理由と今後の方針は
1点目、わかやま館を直営にする理由と今後の方針について。
今議会にマリーナシティにある「わかやま館」を指定管理者からはずす議案が提案されています。わかやま館の有効活用をということで指定管理にしたと思うのですが、施設の設置目的が効果的に達成されていなかったのでしょうか、また、指定管理料1億812万円に対して直営にした場合の管理運営経費を7045万円と安く見積もっていますが、直営にした方が経費節減となるのでしょうか。どのような運営を考えているのでしょうか。
また、わかやま館の今後の方針はどうするのか、どういう見通しをもって運営にあたろうとしているのか、お尋ねします。
《答弁》 商工観光労働部長
わかやま館は平成6年に開催されました「世界リゾート博」の本県パビリオンとして開館し、以降、本県の文化の発展、観光の振興に大きな役割を果たしてまいりました。
平成18年度からは指定管理者制度を活用し、サービスの向上に取り組んでまいりましたが、時代の流れとともに、県の施設としての必要性が低下する中で、平成21年2月に策定した「新行財政改革推進プランの実施方針について」では「建物を存続しながら売却又は貸付手法等を検討する」と決定したところです。
そのため、平成23年度は必要最小限の維持管理にとどめることにより経費を大幅に削減した上で、県による直営の施設として管理、運営するとともに、売却等の検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
(2)指定管理者制度の実績評価は
(3)総務省通知を受けての検証と今後の方針は
《質問》 藤井健太郎 県議
2点目、指定管理者制度のこれまでの実績についての評価はどうか。
指定管理者制度を実施して、すでに5年が経過しています。これまでの実績についてのどのような評価をされているでしょうか。
3点目、※総務省通知についての検証はされたのでしょうか。指定管理者制度には経費の削減の追及のみが目的ではなく、サービスの質量の向上と同時に適切な労働条件の確保が求められているところですが、総務省通知を受けての今後の方針についてお尋ねします。
《答弁》 総務部長
指定管理者制度につきましては、導入施設において利用者の増加や利便性の向上が図られるなど、住民サービスの向上に寄与するものと評価しております。
昨年12月の総務省通知は、指定管理者制度の運用面での留意点等を周知するものでありますが、本県におきましても、住民サービスの向上という目的に絶えず留意しながら制度の運用を行っており、毎年、施設の管理状況や利用状況、利用者意見等についてモニタリング調査も実施しているところであります。今後とも、施設の運営状況等を十分把握しながら、指定管理者制度を活用してまいります。
なお、議員ご指摘の適切な労働条件の確保につきましては、指定管理料の上限額の設定にあたっては、サービスの質の確保やこれまでの実績等を十分に踏まえるとともに、指定管理者の選定にあたりましては、制度の趣旨にそって、金額面も含め、総合的に判断しているところであります。また今後、協定書締結時などに労働法令の遵守等について徹底を図ってまいりたいと考えております。
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2011年2月議会 藤井健太郎プロフィール、質問一覧