2011年2月和歌山県議会


  議案に対する反対討論

          雑賀光夫

   議会中継録画 (21:50〜)



201139
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  日本共産党県議団を代表いたしまして、議案第1号、第3号、第7号、第41号、第56号、第57号、第59号、計7つの議案に反対する立場で討論をさせていただきます。

  議案第1号、「平成23年度和歌山県一般会計予算」についてです。仁坂知事にとっては再選なさって最初の当初予算であります。 
 個々の問題に立ち入る前に、和歌山県財政がかかえる基本的・歴史的な問題について整理しておきたいと思います。
 第一は、国政との関係での問題です。
 「三位一体の改革」といわれた小泉財政改革、さらにはその以前からの国の財政政策によって地方財政は圧迫をうけてきました。地方からの批判で、多少のゆり戻しはありましたが、その問題は基本的には変わっておりません。国からの負担金の押し付けもあります。そんななかで、国に対して言うべきことをはっきりいうことが求められています。
 提案された予算には、大滝ダム負担金6億円が含まれています。大滝ダムについては、当初の計画から15倍にも予算が膨れ上がっても欠陥ダムしかできなかったのは国の責任ですから、追加負担は国で負担するべきです。
 第二は、歴代県政の負の遺産の問題です。
 コスモパーク加太に象徴される開発行政。莫大な借金をつくった。20億円かけて造成した上で、県民の税金をつかって法外の安い地代で貸し出している。「それでも雇用があるからいいではないか」という論議もあったれども、カゴメの都合で、三期工事は中止になりました。こんな中でも、コスモパーク加太の土地を安く貸すための予算が提案されているわけであります。
 乱脈な同和行政の結果、100億円をこす高度化資金の焦げ付き、一部返済されているものもありますが、数十億円単位の欠損処理がはじまっています。その反省をすることなく、事実上の同和行政の継続である特定の子ども会への法外な補助金を出し続けている問題を指摘してきました。
 過去の県政の負の遺産であっても、その反省がなくては、過去の問題だと不問にすることはできません。

 そんな中で、本年度の一般会計の予算規模は5426億円で、3年連続の増額予算です。
 歳入を見ますと、法人二税は、昨年度と比べれば43億円増の158億円となっています。地方交付税は前年当初より150億円増の1611億円となり、いろいろの出入りはありますが、補正予算の関係もあって、「新行革プラン」の財調・県債管理基金の残高は、23年度末には22億円とされていたものが、200億円まで積みあがっています。
 この財源を、不要不急の支出をおさえ、県民のくらし・福祉・教育のためにどう有効につかうのかが問われています。

 歳出では、投資的経費1055億円を計上しました。国体関連施設、医療施設耐震化緊急整備、道路や河川の整備、津波対策事業など必要なものが多くありますが、国直轄事業では、依然として完成年度も定まらない住金沖の南防波堤の建設、船が入る見通しもないままの日高港湾整備を続けることなどは不要不急であり、直轄負担金を払い続けていることは問題です。 

 耐震補強、バリアフリー、太陽光発電、紀州材利用など各種の補助がおこなわれるのは、それぞれ大切ですが、経済対策の側面から見れば、それが「点」になっているために大きな効果をあげることになっていません。そのワクを外した「住宅リフォーム助成制度」を繰り返し要望してきましたが、受け入れられていないのが残念です。

 ワクチン公費負担や感染症病床の整備は県民の期待に応えるものです。しかし、懸案になっている看護師養成施設を増やすことについては、「検討する」としながら、まだ予算が計上されていません。乳幼児医療費助成事業や国保運営などについて市町村への支援を強めるべきです。

 有害鳥獣対策は、対策予算を倍加し、約3億円を計上しました。積極的な予算ですが、「まだ足りない」という声もあり、より一層の、積極的対応を望みたいと思います。

 「国際人育成プロジェクト」として新たに予算が計上されています。趣旨としてはいいことですが、画一的な押し付けにならないように、学校の自主性を尊重して実施していただきたいと考えます。

 議案第3号は中小企業振興資金特別会計予算案であります。先に申し上げた「負の遺産」に、今年度予算でも回収目標を立てて努力をしており、関係者の粘り強い努力には敬意を表するものですが、高度化資金の貸し付けや債権管理の実態がいまだ不透明なものを残しており、県民の理解を得ることはできないと考えています。

 議案第7号は、公営ギャンブルは認められないという立場から反対です。

 議案41号は、認定子ども園の認定基準に関する条例の一部を改正し、給食の外部搬入を広げるものです。政府の保育指針でも、自園調理が望ましいとしています。外部搬入の拡大は指針に反するものです。アレルギー児などへの細かい対応に安全が充分確保できるか疑問です。

 議案第56号は、使用量手数料条例の一部を改正する条例で、その中に県立高等学校専攻科の授業料を値上げする内容が含まれています。公立高校授業料の無償化、私学授業料の負担軽減がはかられるもとで、高校専攻科についてのみ授業料をあえて値上げしなくてはならない必要性はありません。

 議案第57号は、建設事業についての市町村負担金をもとめるもので、その廃止を求める立場から反対です。

 議案第59号は紀の川流域下水道の費用負担を値上げするものです。下水道の接続や流入量が計画通り進んでいないツケを県民にまわす結果となったことを指摘しなければなりません。

 年金にかかわる二つの請願について不採択の委員長報告があったことは大変残念です。戦後日本を支えてこられた高齢者のみなさんの少なからぬ方が、無年金・低年金で苦しんでおられることを放置できません。また、最低保障年金制度の制定は急務であり、その財源を庶民への増税である消費税に頼ることは論外であります。よって、不採択には反対です。

 以上で、反対討論を終わります。

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議案に対し反対討論する、雑賀光夫県議=3月9日、和歌山県議会