2011年9月県議会
  福祉環境委員会

   奥村規子副委員長の
    質問概要記録





9月22日(木)
1.福祉保健部
2.環境生活部
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1.福祉保健部

《質問》 奥村規子 副委員長
 高齢者の居住の安定確保に関する法律改正等の関係で、特別養護老人ホームが不足している中、高齢者円滑入居賃貸住宅や高齢者向け優良賃貸住宅の登録並びに認定制度の廃止が行われた背景をどう考えているか。福祉の立場から、高齢者の居住環境をよくしていくという立場からどう受けとめているか。また、住宅部局との連携はどうか。

《答弁》 長寿社会課長
 様々な種類の高齢者住宅が、サービス付き高齢者向け住宅にかわるということだが、サービス付き高齢者住宅は最低限の安否確認や生活相談を行う。高齢者が増加し、施設が大きく増えない状況の中で、介護保険施設だけで対応することは難しい。サービス付き高齢者住宅は選択肢のひとつとなる。登録については建築住宅課で、サービスの中身の指導については長寿社会課と建築住宅課と連携し、協力して対応していきたい。

《質問》 奥村規子 副委員長
 高齢者の住居については、特別養護老人ホームなどの施設が十分整備されていない中で、相談を受けるケアマネジャーが困っている。そのような中で、高専賃(高齢者専用賃貸住宅)といったものはある意味ではありがたい制度であった。しかし、今まで自宅で介護サービスを受けていた方がこのような住宅に入ることによって、従来のケアマネジャーやヘルパーを利用することができず、住宅を運営する会社の関連の事業所の介護サービスの利用をすすめられる、いわゆる「囲い込み」といったような実態があるのではないか。そのような実態を把握していることはないか。

《答弁》 長寿社会課長
 サービスの利用について、利用者の自由な意志を妨げるような契約等があれば、県としては指導していく。具体的な事例は把握していないが、今後サービス付き高齢者住宅でそういうことがあれば、是正するよう指導していくことになる。

《質問》 奥村規子 副委員長
 県としてはそういった実態は聞いていないと理解していいか。

《答弁》 長寿社会課長
 予防として、有料老人ホーム等の管理者に対し、利用者に訪問介護サービス等の利用を強要しないよう努めていただいており、自己点検表を出していただいている。

《答弁》 奥村規子 副委員長
 そういうことはないと受けとめていいか。本人の選択で、尊重されてサービスを利用しているということでいいか。

《答弁》 長寿社会課長
 そういう風に受け止めている。

《質問》 奥村規子 副委員長
 特別養護老人ホームが不足している中、それに代わるものになっていく部分があるのかどうか、県としてどのように考えているか。

《答弁》 長寿社会課長
 特別養護老人ホームに代わるとまでは思わないが、サービスの付け方で、論議されている24時間対応の定期巡回・随時対応サービスやデイサービスを組み合わせて利用すれば、近い形になると思う。

《要望》 奥村規子 副委員長
 入居すれば家賃に相当する費用がかかってくると思う。生活保護の場合は一定のきちっとした収入があるが、国民年金だけの方は非常に入りにくいし、厚生年金でも一定以上の収入がなければ入りにくいのではないかという思いがする。そのような状況も含めて、高齢者の住宅環境を整えていく中で、県としても十分な配慮やいろいろな施策をするよう要望する。
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《質問》 奥村規子 副委員長
 台風12号災害に関わる被災者生活再建支援制度の適用について、9月2日に2市3町が適用されたが、和歌山県全体が適用されないのか。2市3町以外でも全壊したところがあるがどうか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 被災者生活再建支援制度で全市町村が対象となるのは、100世帯以上の住宅全壊被害が発生した場合であり、現在把握している状況では、災害救助法と同じ2市3町だが、全県的に100世帯以上の全壊世帯が確認できれば県内全市町村が対象となる。

《質問》 奥村規子 副委員長
 災害救助法に関する質問だが、那智川流域の被災地では洗濯に困っている方が多かった。生活必需品にはどのようなものがあるのか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 災害救助法は応急的に必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としている。生活必需品は法律の趣旨に則り、災害による損失を補填するものではなく、当面、最低限必要なものを給与するとの考えに基づいている。具体的には、地域や時期によって様々なものが考えられる。例示として国で定められているものは、タオルケット、毛布、ふとん等の寝具、タオル、靴下、靴、サンダル等の身の回り品、石鹸、歯磨き用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等の日用品、炊飯器、鍋、包丁、ガス器具等の調理用品等である。

《質問》 奥村規子 副委員長
 それは昭和22年に決まったものか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 法律自体の制定は昭和22年10月18日で、当初どのような品目が例示されていたのか確認はできないが、現在定められているものは先程のものである。

《要望》 奥村規子 副委員長
 今の生活には洗濯機、ラジオ、電話は最低必要と思うので、県独自で検討して頂きたい。

《質問》 奥村規子 副委員長
 台風12号に関連して、医療ボランティアの支援は現地市町村からニーズが出てきていないと言われているが、応急処置、巡回診療など医療面の支援を考える必要があると思うが、どのように考えているか。

《答弁》 医務課長
 医療支援については、当初、被災地へ県立医大のDMATチームを派遣し、その後、日高病院、南和歌山医療センター、那賀病院等のDMATチームも入り支援した。
 医療救護所については、田辺市本宮中学校や新宮市熊野川行政局等に設置し、救護活動を行っている。

《質問》 奥村規子 副委員長
 なかなか救護所に行けないとか、2〜3週間たって体力を消耗したとか、お年寄りも熱中症にかかりかけている方もあるかと思うが、そういう方々を支援する体制も考えてほしいと思うが、どうか。

《答弁》 医務課長
 医療救護所については、必要に応じて訪問診療している。
 保健所と市町の保健師が合同で健康調査を行い、援護の必要な人には医療を提供できる体制をとっている。

《要望》 奥村規子 副委員長
 被災者の健康管理も含めてよろしくお願いしたい。
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《質問》 奥村規子 副委員長
 障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例が提案されているが、障害者基本法が改正される中、都道府県で審議会(合議制の機関)を設置していくことに加えて、身近な市町村で当事者も参加した審議会の設置を考えてもらいたいが、県の考えはどうか。

《答弁》 障害福祉課長
 今回の条例改正は、現行の県の協議会を審議会に改編するものである。
 市町村については設置は義務ではないが、県としては障害者基本法の改正の趣旨について市町村に周知をしながら設置についても働きかけていきたい。

《質問》 奥村規子 副委員長
 県の審議会は合議制の機関のことか。

《答弁》 障害福祉課長
 そうである。

《要望》 奥村規子 副委員長
 改正の趣旨を活かした審議会の設置を進めてもらいたい。

◇ 議案に対する採決
議案第101号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第105号 和歌山県障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例
議案第118号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決

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2.環境生活部

《質問》 奥村規子 委員
 台風12号による被災地域のボランティアについてであるが、具体的にどのような事をしているのか。

《答弁》 NPO・県民活動推進室長
 今現在私どもが聞いているのは、個人宅の泥かき、畳上げ、家具の運び出しである。

《質問》 奥村規子 委員
 ボランティア活動を行う中で、住民の方々の困っていること等を聞くことがあると思うが、そういった情報をどこで集約し、対処していくのか。

《答弁》 NPO・県民活動推進室長
 被災した市町には、市町の社会福祉協議会が中心となって立ち上げている災害ボランティアセンターが設置されており、県の社会福祉協議会や県職員等も応援に行っている。住民の方からの要望等については、公共でやる部分、ボランティアでやる部分、県民相談等で対応する部分等多岐にわたるため、市町やボランティアセンターで集約、整理していただいている。

《質問》 奥村規子 委員
 市町が掌握して、県で対応する部分については県へ上げていくという形で考えてよいのか。

《答弁》 NPO・県民活動推進室長
 そのような形になる。

《要望》 奥村規子 委員
 被災者の方に情報が確実に届くようにお願いする。
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《質問》 奥村規子 委員
 御坊市塩屋町森岡地区の廃棄物処理施設の設置許可申請が県に出されている件について、想定外の雨が降ったりするような時代で、設計雨量21ミリでいいのか。えん堤の構造についても、県ではどのように考えているのか。大栄環境からあがっている堰堤(えんてい)の構造が安全といえるのかどうか、県としてどのように考えているかお聞きしたい。また、堰堤の材質を教えていただきたい。

《答弁》 循環型社会推進課長
 申請書を審査中であり、事業者等の間で補正の協議を行っているところである。今後、協議が整ったら、専門家の意見を聞いたうえで、最終的に許可基準をみて適合しているかを判断する。21ミリという具体的な数字が出たが、これは間違いではないかと思う。申請書によると、本県の県土整備部の基準に準拠した設計になっており、過小な雨量の設定にはなっていないと考えている。
 また、堰堤は土を圧縮してできており、これについても、申請書によると、廃棄物が流出しない構造上の安定が確保されている考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 設定の雨量は何ミリなのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 30年確率で、時間雨量で約163.3ミリという基準での設計である。

《要望》 奥村規子 委員
 あたご池が崩壊したところにも行ったが、堤の部分が粘土質で、隙間があるのではないか。そのことが関連あるかどうかもわからないが、材質も含めて、後世に向けて安全であるといえるのかを心配しているところである。住民の皆さんの声を聞いていただきたいと思う。
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《質問》 奥村規子 委員
 土壌汚染の問題について、粉河中学校移転計画があり、8月27日の毎日新聞の記事によると、紀の川市が検査したところ、(移転計画地で)砒素などにおいて基準値以上の結果が出てきたとのことであった。
 県との関係で、この場所での土壌調査はされていると思うが、住民からこの点について心配であるとの声がある。調査結果も含めて教えて欲しい。

《答弁》 環境管理課長
 粉河中学校の建設予定地の問題について、環境生活部との関係では土壌汚染対策法に係る部分があり、この土地の形状変更を行うにあたって、昨年6月に紀の川市から法令に基づく届出がなされている。
 この届出があったことにより、その土地の履歴、かつてこの土地の上物に有害物質を使用していた工場などの建物がなかったのかどうかをできる範囲で調査した。その結果、土壌汚染につながるようなものはなかったということを確認した。
 その後、紀の川市の方で市民からの声があったということで、土壌調査を実施した。その結果、土壌の含有試験では基準値以内で、溶出試験では砒素とフッ素が基準値を超えていた。しかし、地下水調査では基準値を満足していた。
 溶出試験では基準値を超えるものが出てきたが、地下水調査の結果が基準を満足しているということから、有害物質が地下水へ溶け出し、その水を人が口にするという健康リスクといったものがないということで、問題はないものと判断した。
 8月の新聞の報道では、5月に再度、紀の川市が調査をし、その結果に基づいて、紀の川市が土壌を撤去するということである。従前から、土壌を処理をするのであれば、土壌汚染対策法の射程外の事由であるが、この法令に準じるような形で処理・処分をしてほしいと助言してきている。
 今後も、紀の川市から話があれば、また必要があれば、いつでも相談なり、助言なりをして参りたいと考えている。

《質問》 奥村規子 委員
 県としては市の結果に対し、検査をもっとしっかりしてほしいということにはならないのか。

《答弁》 環境管理課長
 法律上はその様なことをしなさい、との事由に当たらないと考えている。
 紀の川市の方で自主的に検査をやり、自主的に土壌を撤去するということであり、具体的な内容は聞いていないが、それでよいものと考えている。

《要望》 奥村規子 委員
 土壌汚染への対応に係る法律は、その意味では、土地の履歴だけで十分ではないのではないかと考えるが、それ以上に県で何かできないということはわかった。
 紀の川市から県へ相談があれば応じるというだけではなく、県も積極的に関わっていき、土壌汚染に対して住民への安全、安心を得られるようにしていただきたい。
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《質問》 奥村規子 委員
 放射線測定器の活用問題について、各保健所のサーベイメータの活用について具体的にどうするのか

《答弁》 食品・生活衛生課長
 9月から各保健所にサーベイメータを1台ずつ配備しており、県産農水産物についてできる限り頻繁にスクリーニング検査する予定である。サーベイメータの検出限界を超える数値を検出した場合は、環境衛生研究センターに新たに設置するゲルマニウム半導体検出器で精密検査を実施する予定である。検査体制は、保健所の食品衛生監視員に対して9月にサーベイメータの取扱いについて研修を行っているので、保健所の食品衛生監視員4名の内、複数名は取り扱え、同様にゲルマニウム半導体検出器についても環境衛生研究センターの複数の担当が取り扱える状態である。

《質問》 奥村規子 委員
 スクリーニングの費用、ゲルマニウム半導体検出器の検査費用はいくらか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 モニタリングは、行政検査であるので、抜き取りにより実施するところである。ただし、依頼検査については、サーベイメータの検査は、一件当たり5,540円で、ゲルマニウム半導体検出器の検査は、核種、これは、例えばヨウ素とかセシウムのことであるが、1核種当たり1万3,860円と、県の手数料条例で定めている。

《質問》 奥村規子 委員
 小さい子どもを持つ親などが母乳や食事を心配しているが、県の対応はどうか

《答弁》 食品・生活衛生課長
 母乳は、検査に必要な量を確保するのが難しいと考えているところである。
 子どもの食事については、放射能汚染の恐れのある17都県が国の指示に基づき農産物の出荷前検査を実施しているので、安全なものが流通すると考えているところである。県産農産物については、環境水準調査の状況も、原発事故後の数値は事故前と比較して変わりがないので、スクリーニング検査は検出限界値を超えるようなことはないと予測するところである。

《要望》 奥村規子 委員
 健康に被害がないと言うが、牛肉の事例もあり不安を感じている。消費者の不安に積極的に対応してほしい。

◇ 議案に対する採決
議案第101号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第118号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決

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福祉環境委員会で質問する奥村規子副委員長=9月22日、和歌山県庁