2011年12月県議会 総務委員会 松坂英樹委員の質問概要記録


12月13日(火)

《質問》松坂英樹 委員
 大滝ダムの試験湛水が再開されたということで、今議会で万一の場合、今後の負担金を心配する声もあった。
 実は、今回の台風12号の災害で、この大滝ダム周辺が大きな被害を受けた。川上村役場のある迫地区では、非常に大きな山腹崩壊があり、国道が崩落、谷を渡っていた橋もダム湖へ落ちてしまうという大きな被害があった。
 この大きな山腹崩壊は、問題になっていた白屋地区で手当した所とはまた別の所であり、その後、追加工事で何ヵ所か工事をしたが、その場所ともまた別の所である。迫地区のトンネルを出た所の山を強化したが、トンネル手前の山が崩れたということで、何ヵ所か工事をしたから大丈夫という話の信頼性がどうかという声も出ている。
 さらに、台風によってダムサイトの地盤が不安定になっており、深層崩壊の危険性もあるなかで、試験湛水を急いでは危険だという不安の声も地元では上がっていると聞いている。
 私も、もう少し山が安定するまで試験湛水はまさか始められないだろうと見ていたが、そのまさかが始まってびっくりしている。
 だから、試験湛水はぜひ中止を要望すべきものであり、こういうことを続けていれば、過去の失敗を繰り返すことにもつながると思うが、県に対して国から試験湛水開始に当たりどのような説明を受けているのか聞きたい。

《答弁》地域政策課長
 今回の雨による被災については、直接ダムに被害を及ぼしておらず、周辺の国道で土砂崩れがあった。若干ダム湖に土砂が流れ込んだが、基本的にダム湖の崩落があるような危険地域については調査しており、その公共工事が終わっている。台風12号による直接の影響は、ダム湖に与えていないということで、国のダム管理事務所からは予定通り試験湛水をやっていくという話を聞いている。

《要望》松坂英樹 委員
 直接ダム湖に関係ないと国の説明を受けているということだが、ダム湖のすぐ近くだと思うし、地元の人もそう思っていると思う。だから、議会で、試験湛水の安全性を危惧する声も出ているし、中止を求める意見も出たということをぜひ国に対しても伝えてもらいたいし、しっかりと安全監視をするよう要望してほしい。
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《質問》松坂英樹 委員
 議案第131号紀の国森づくり税条例の一部を改正する条例案は、森づくり税を延長するためのものだが、5年前の紀の国森づくり税創設時の議論を振り返ると、県民に税金を納めてもらうことでこの税の意識付けをすることができるという提案説明に対し、それは違うと反論したのを思い出す。県が実施した森づくり税に関する県民アンケートで、この税を初めて知ったという県民が、アンケートをとった3,000人で65%を占めている。森林の持つ役割や森林整備に対する県民の理解は、啓発活動や県民自身による魅力的な取り組みによってこそ、広がってきたものであり、徴税先にありきということで広がってきたものではないと考える。
 森づくり税に対する県民の理解という点で、この税を初めて知ったという県民が、65%あるということをどう見ているのか、また、今後、県民にその理解をどう広げていくのか。

《答弁》税務課長
 紀の国森づくり税については、納付してもらった税で森づくり事業に参画してもらうことが大切で、納付された税が森づくりに使われているという認識を県民自らに持ってもらうことが重要であると考えている。そのため、広報を行っていくことは大変重要であると考えている。
 これまでも、各種広報を実施してきたが、アンケート結果でこの税を知っている県民が約35%ということは残念に思っており、今後も、機会あるごとに一生懸命広報に取り組みたいと考えている。
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《質問》松坂英樹 委員
 地域防災計画の見直しについて聞きたい。
 東日本大震災や台風災害等、直面する課題の対応に奮闘され敬意を評する。
 さきほど、災害に強い県土づくりということで、新政策について総務部長の説明があったが、大きな枠組みや計画の見直しという全体を踏まえた取り組みも大事になると思う。
 この地域防災計画の見直しがどんなふうに進められているのか。

《答弁》総合防災課長
 地域防災計画には基となる様々な計画がある。例えば、職員の防災体制措置要領や災害対策本部応急対応マニュアルなどがあり、そういったものを東日本大震災から先日の紀伊半島大水害までの教訓を全て取り込み、見直しを図っている。
 ただ、非常に詳細な事項まで見直しを進めているので、若干時間は要すると考えている。
 また、消防庁においても、地域防災計画の見直しに係る検討が行われており、その中で、「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」が開催されており、本県もその委員の一人として参加している。
 昨日の最終会議で検討内容が取りまとめられ、例えば、安全レベルごとの避難所の見直し、水門・樋門の調査、非常用電源の確保、家具の固定等、本県が4月から取り組んできた総点検の内容をかなりの部分で取り上げてもらい、それが年内には全国に通知されると聞いている。
 取りまとめた中には、和歌山県以外の事項もあるので、それも含めて見直しを行いたいと考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 しっかりと引き続き取り組んでほしい。

《質問》松坂英樹 委員
 きのくに防災力パワーアップ補助金の申請状況について聞きたい。
 先の9月議会の補正予算で、地震・津波対策の防災・減災対策総点検によって取り組まれる避難路の整備等を一気に進めようということで、きのくに防災力パワーアップ補助金が当初予算の5000万円程度から1億円上積みをされた。
 これは県民の要望に沿ったタイムリーな予算付けだったと思っているが、当初予算に加えての大型補正であるので、市町村も機敏な事業化や対応が求められたと思うが、県内の市町村からの補助申請がどんな状況なのか、進んでいるのか。

《答弁》総合防災課長
 きのくに防災力パワーアップ補助金については、9月補正で1億円の増額をしている。当初の5000万円については、市町村が当初予算で組んでいた事業について申請があり、これについてはほぼ満額を交付決定している。
 9月補正の1億円分については、本県が総点検で見直し、緊急点検で挙げた様々な項目について市町村が取り組んでもらえるならと考え、緊急性の高い事業を中心に申請してほしいと市町村に通知したところ、1億2000万円ほどの要望が出されている。ただその中で、若干緊急性の観点から優先順位の低いものもあったため、概ね予算の範囲内の1億円で収まるものと考えている。

《質問》松坂英樹 委員
 次に、新年度予算の津波防災教育センター「稲むらの火の館」の活用・充実について聞きたい。先日、平成24年度の新政策の主な施策案を説明してもらったが、その中に津波防災教育センターの活性化という項目が出ている。東日本大震災を受けて、この施設の一層の活用が期待されていると思うが、この間、「稲むらの火の館」の来館者数がずいぶん増えていると聞いているので、来館者数について聞きたい。

《答弁》総合防災課長
 平成19年4月に開館され、来館者数については、昨年までの3年間で最も多かったのは初年度の3万906人となっている。それ以後は若干減少していたが、今年度については、11月末時点で初年度の記録をすでに上回っており、11月30日現在で3万3,073人と非常に多くなっている。特に10月・11月は各7,000人を超える来館者数となっている。

《質問》松坂英樹 委員
 そのように注目も期待も高まってくるなかで、展示内容とか映像とかを以前のスマトラ沖地震等のものではなくて、東日本大震災のものに更新することが求められていると思うが、今回の活性化事業はどのようなことを検討しているのか。

《答弁》総合防災課長
 これだけ来館者数が増加しているのは、東日本大震災、津波対策新法の制定、紀伊半島大水害などを契機に防災意識が高まっていることの現れだと思う。
 「稲むらの火の館」については、今年の東日本大震災の状況を十分取り入れるようにし、3Dの映像コンテンツの見直し等を現在検討している。

岸本委員長
 他の常任委員会の審議・採決が終了していないため、本日は採決を行わず散会とし、次回の委員会は、12月15日の本会議休憩中に開催することに決定。

12月15日(木)
◇ 議案に対する採決
議案第131号 紀の国森づくり税条例の一部を改正する条例
については、賛成多数で原案可決
日本共産党松坂英樹委員は反対 →雑賀光夫県議の議案に対する反対討論
議案第122号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第130号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第138号 当せん金付証票の発売総額について
議案第142号 和歌山県立情報交流センターの指定管理者の指定について
議案第158号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第159号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
については、全会一致で原案可決
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