2012年2月県議会 農林水産委員会 高田由一委員の質問概要記録

2月24日(金)補正予算等議案
3月13日(火)付託議案等

2月24日(金)補正予算等議案
《質問》 高田由一 委員
 一般会計の補正について、農作物鳥獣害防止総合対策事業の2868万円の減額の内容を教えてほしい。

《答弁》 農業環境・鳥獣害対策室長
 主なものは、国庫事業の確定に伴う減額である。

《質問》 高田由一 委員
 農林水産振興資金特別会計の補正について、就農支援費で8772万6,000円の減額補正となっている。先日、果樹試験場での研究成果の発表で、新規就農へのひとつの大きなハードルになっているのが初期の投資費用であると聞いた。就農支援資金がこれだけ減額補正されるのは、需要が見込み程ないということと思うが、この原因は何か。そもそも需要がないのか、制度として利用しにくいものなのか。

《答弁》 経営支援課長
 就農支援資金は、県が直接貸し付けるのではなく、県農業公社を通じて貸し付けている。年間1億円の融資枠をとっているが、本年度は3000万円くらいの貸付しかなく、公社が国や県から貸付原資を借り入れる必要がなかったため、減額補正となっている。
 就農支援資金は、新規就農者に無利子で貸し付けるが、保証人や担保を提供していただいている。また、県で確実に専業農家として就農していただけることを審査しており、5年後の所得見込み400万円を1つの基準としているので、それがハードルとなっている可能性がある。もう1つは、新規就農者そのものが少ないことが原因と考えている。

《要望》 高田由一 委員
 せっかく予算措置もされているのだから、よりよい利用しやすい制度にしていくように検討をお願いする。
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《質問》 高田由一 委員
 議案第70号の土地改良事業施行に伴う市町村負担金について、県営ため池等整備事業や、県営中山間総合農地防災事業等の防災の意味合いが強いものについては、県の努力で地元負担金を減らしていく必要があるのではないか。

《答弁》 農業農村整備課長
 防災事業に関しては、通常の土地改良事業に比べ、市町村負担が少なくなるようにしている。県営ため池等整備事業については、市町村負担は10%で国が示すガイドラインよりも県の負担を多くし、市町村の負担を軽減している。
 ただ、県営中山間総合農地防災事業については、総合的に防災対策をするということで、水路等直接受益者に関連する附帯部分があり、5%高くなっている。

《要望》 高田由一 委員
 更に努力をするよう要望する。

議案に対する採決
議案第70号 平成23年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は、賛成多数で原案可決
日本共産党高田由一委員は、市町村負担金のいっそうの負担軽減を求める立場から反対

議案第17号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第18号 平成23年度和歌山県農林水産振興資金特別会計補正予算
は、全会一致で原案可決


3月13日(火)付託議案等
《質問》高田由一 委員
 今回の農林水産総合技術センターの廃止や、班の改編といった組織体制の見直しについて、全体として評価したいと思うが、これまでの問題点と見直しのポイントは何か。

《答弁》 農林水産総務課長
 農林水産総合技術センターについては、農林水産総務課が管理しているという屋上屋的な部分があり、また、センターが県庁から離れているということで、情報共有や意思疎通に若干影響がある部分があった。今回の組織改編でこれらを解消し、新しく作る研究推進室の試験研究機関への指揮命令系統を明確にすることにより、研究や普及の迅速化を図っていく。

《質問》高田由一 委員
 県全体として行革プランに基づき、かなりの人数が削減されてきた中で、新たに研究推進室を作り、現場では普及専用のグループを作るということだが、人員的にこれからもこの体制を確保していけるのか。

《答弁》 農林水産総務課長
 人員体制については、試験研究機関では一部減員を考えている。試験研究の内容見直しや、終了した研究等を十分考えて体制を見直した。その代わりに、研究費において賃金部分を足したり、支障の出ないようにしている。

《要望》高田由一 委員
 今度の組織改正の在り方が、変な形で人員の削減につながっていかないように強く要望しておく。
 現場は、本当に農業者とつながった方がいることが一つの強みだと思うので、そういう体制の削減がないように是非お願いしたい。
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《質問》高田由一 委員
 青年就農給付金について、国全体で年間2万人の青年農業者を確保することを目指して、国の事業が始まるとのことだが、和歌山県内では何人くらいの新規就農者を予定しているのか。

《答弁》 経営支援課長
 新年度の予算として、市町村への聴き取りや農業大学校や就農支援センターの研修生数等の試算から準備型で48人、就農した場合に支給する経営開始型で230人を計上している。経営開始型については、対象者を平成20年4月に就農した方まで遡ることになっており、過去に就農した人数と市町村が調査した平成24年度の就農予定人数を合わせた約340人が対象となるが、既に離農した方や対象とならない250万円以上の所得のある方を勘案し、対象人数を準備型と経営開始型を合わせた計278名と試算し、予算を計上している。

《質問》高田由一 委員
 県内への新規の就農がきちんとした収入のバックアップの支えのもとにされていくのは本当に良いが、一方で、これまで就農してきた方への支援と比べて差がついてくるが、これをどのように考えているのか。

《答弁》 経営支援課長
 各制度は、その時の対象となりうる方が決められており、不公平感はあると考えている。今回の制度は、対象となる方の年齢が45歳未満と制限されているが、平成20年4月以降に就農した45歳未満の方は給付期間が5年間あるため、来年1年間は支給されるなど、国も対象者を過去に遡っているので、その部分でフォローされている。

《質問》高田由一 委員
 年間150万円を何でもかんでも渡したらいいということではなく、集落単位で、「人・農地プラン」という経営計画を立てなければならないとあるが、この計画はどういったものか。

《答弁》 経営支援課長
 「人・農地プラン」では、集落単位若しくはもう少し広い単位で、集落の農業者や関係者が集まって、その集落の今後の担い手や新規就農者をどのように確保して、優良農地を誰に集約していくかの経営計画を立ててもらうことになる。
 経営計画が認められれば、計画に位置づけられた新規就農者に対して、給付金が給付され、その新規就農者が、今後十分営農できるように地域ぐるみで支援していくという形になっている。

《質問》高田由一 委員
 きちんとした集落単位の中で新規就農者が位置づけられるということだが、若者のいないところに新規就農者を意図的に配置するということをこの事業の中で実施していけるのか。

《答弁》 経営支援課長
 初めに計画ありきではなく、計画と同時に新規就農者がいなければダメなので、仮定で新規就農者を入れる計画にはならない。新規就農者が確実にあるということで、人の名前まで入れる形になる。過疎集落に新規就農者が入ることになれば、「人・農地プラン」をその都度修正して、その人を給付対象に指定する形をとっていくことになる。

《質問》高田由一 委員
 この青年就農給付金は年150万円と非常に大きいのだが、もし農業を続けられなくなったら、あるいは本人は農業を継続しているつもりでも、周りがそうではないと判断されるようなことが起こった場合について、どういう基準で考えているのか。

《答弁》 経営支援課課長
 この給付金については、市町村のプランに基づいて入るので、県から市町村を通じて農業者に給付金が交付される。市町村はその農業者がきちんと農業を継続しているか、毎年調査することになっているので、その時点で確認して、農業を継続していなければ給付金の返還対象となってくる。その時点時点での対応になってくる。

《要望》高田由一 委員
 多額の国の予算、税金を使って行う事業なので、最初の時点できちんと経営計画や、その人の就労意欲をきちんと見ていくことが大事ではないか。給付金でいったんお金をあげるわけで、返せと言われても生活費等に使っているから出てこない。税金などの債権ではないのだから、強制的に戻せということも難しい。そういう意味で、市町村との連携あるいは事前の計画の具体性をきちんと見ておくことが大変大事であると思うので、その点は要望しておく。
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《質問》高田由一 委員
 地域農業支援対策事業の概要と、今年度どういう地域で何を予定しているのか教えてほしい。

《答弁》 経営支援課長
 被災地域の3戸以上で組織する任意組合等で、放棄地になりそうな農地を30a以上、借り受ける又は受託して営農を再開する場合に必要な共同利用の農業機械の整備に、県単独事業で1/3補助支援を行っている。
 平成23年度は、12月補正で500万円を補正し、現在、那智勝浦町太田地区の1組合がコンバインなどの水稲の機械整備を既に終了している。事業費が約1000万円、補助金が350万円程度である。
 平成24年度は、2000万円を予算計上しており、現在、田辺市、新宮市他1町の5地区から、事業活用の申し出があり市町で調整中である。
 今後、出来るだけ早く事業に取りかかりたい。

《要望》高田由一 委員
 より多くの地域が参画し、あわよくば平成24年度で補正予算が組めるくらいに取り組んでほしい。
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《質問》高田由一 委員
 業務用野菜産地化推進事業について、業務用の野菜を出荷する生産者や生産団体に対しての支援ということもあるが、平成23年度事業にもあった基金事業が実施できていないと聞いた。この事業の内容と、なぜ基金事業が執行できていないのか教えてほしい。

《答弁》 果樹園芸課課長
 業務用野菜産地化推進事業は、加工業者に契約販売して価格は安いが省力・低コストで安定収入を目指す事業である。平成23年度は4JAでハクサイやキャベツ、レタスなど6品目について取り組んでおり、漬物業者や外食、総菜加工業者等に出荷している。初年度は試験的な販売ということもあり、展示圃の設置やソフト事業等が主になっている。
 基金の活用については、平成23年度は取組が開始されたばかりであることや出荷時期が遅くなったことに加え、どういうものができて、どのくらい出せるかわからないこともあり、業者との正式な契約は出来ず試験的な出荷がほとんどであったため、基金の積み立てまではできていない。基金事業は3年継続になっているので、平成24年度は本格的に実施できるように取り組んでいく。

《要望》高田由一 委員
 初年度は残念であったが、平成24年度は頑張って、積極的にこの予算が使われるように要望しておく。国の野菜の価格安定制度と併せて、県としてこのような価格安定の取組があるのは大事なことと考えている。
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《質問》高田由一 委員
 大きなエリアをとって搬出間伐と組み合わせれば、伐り捨て間伐ができるということだが、ある森林組合から、伐り捨て間伐が十分できるような計画が立てづらいと聞いた。県としてどう捉えているのか。

《答弁》 林業振興課長
 現状の森林資源の構成から見て、これからは伐り捨てではなく、利用できるものは利用していくべきといった考え方のもと、今回、国において制度の改正がなされた。公共事業においては、伐り捨て間伐は単独ではできないが、計画の中で大きなエリアで取り囲んで搬出間伐と組み合わせることで伐り捨て間伐もできる。計画の策定がどうしても困難な場合は、それ以外の事業で対応していくことになる。

《質問》高田由一 委員
 伐り捨て間伐等については、使い勝手の良い制度にしていってほしいが、別の事業での対応というのは、どのようなものがあるのか。

《答弁》 森林整備課長
 加速化基金事業がある。これも搬出する必要があるが、枠であるエリアをより大きく設定することができ、その分対応しやすい事業であると考えている。それと、紀の国森づくり基金の事業でも新たに間伐ができるようになる予定である。

《要望》高田由一 委員
 加速化基金事業もあるということだが、組合からは集約化実施計画の計画が立てづらいという意見もあるので、今後対応を検討してほしい。
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《質問》高田由一 委員
 「紀の国森づくり基金活用事業」について、公共の事業で「木の国森林づくり事業」があるが、どちらが基金の事業か一般の県民にはわかりにくく、名称の工夫をしてほしいと思うがどうか。

《答弁》 森林整備課長
 「紀の国森づくり基金活用事業」については、平成19年から実施しており、一方「木の国森林づくり事業」は造林関係の統括した事業である。継続して行ってきた経過もあるので、できればこの形でお願いしたい。

《要望》高田由一 委員
 今年は仕方がないが、わかりにくいので来年に向けて名称の変更を検討してほしい。
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《質問》高田由一 委員
 熊野牛の優良系統を育成し残していくことは、大変有意義だと思うが、それを求めるあまり遺伝的な多様性などが人間の経済行為の中だけで考えられて、他に重要な遺伝子がどこかにあるのではないかと思う。遺伝子資源の確保や種の保存をしていくことは、畜産に限らず果樹や野菜でも大事なことであるが、試験研究全体の問題の中でおろそかにならないのか。

《答弁》 農林水産総務課
 基本的に試験研究は、産業振興を目的に行っているので、遺伝資源の確保については、範ちゅうの外と考えている。特に重要なものについては、ケースバイケースで対応したいと考えており、熊野牛は固有種ではないので保存していくべきとは考えていない。
 一方、龍神の固有種である龍神地鶏については、数が減ってきて品種の維持が難しい状況になってきており、養鶏研究所で平成24年度から数十羽飼育して品種の維持に協力したいと考えている。

《要望》高田由一 委員
 北山のジャバラは、地域固有の品種であり、花粉症に対して効能があると後で付け加わって注目されてきた。当面は注目されない形質や遺伝子でも、後で重要な資源になることがあるので、こうした点についても配慮しながら試験研究の中で位置付けてほしい。
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《質問》高田由一 委員
 先日、水産試験場に行った際に、漁業調査船「きのくに」で、国の委託事業も受けながら海洋調査、海峡調査を行っているが、その委託金があまりにも少ないため、かなりの持ち出しがあり、運営に困っているという話があった。このような大切な基礎研究の部分がないがしろにされているということで危倶しており、もっと国に強く迫ってほしいと思うがどうか。

《答弁》 農林水産総務課長
 基礎研究、基礎調査、実用研究、それぞれが重要だと考えている。予算配分の問題にもなろうかと思うが、その上で各研究の重要度等を考え、比較検討しながら課題選定や予算配分を行っている。調査船の運営については、国の予算も活用しながら行っているところだが、国としては、交付税に算入しているという考え方をもっているかと思う。調査船の運航については、燃油価格が高騰傾向にあるので、必要な調査に支障が出るようであれば、対応策を検討したいと考えている。

《要望》高田由一 委員
 現場が困らないように強く要望してほしい。

議案に対する採決
議案第69号 平成24年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は、賛成多数で原案可決
日本共産党高田由一委員は反対→高田由一県議の議案に対する反対討論

調査議案に対する意見聴取
日本共産党高田由一委員から、議案第1号「平成24年度和歌山県一般会計予算」について
 「ため池等の防災にかかる地元負担金については、さらなる軽減を図るべきである」と意見

調査議案についての採決
議案第1号 平成24年度和歌山県一般会計予算
は、適当と認めるが意見を付すことに全会一致で決定
議案第号 平成24年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
は、「適当である」旨、報告することに決定


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