2012年6月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
6月26日(火)


《質問》雑賀光夫 委員
 西下教育長が就任されたときに、ちょうどきのくに教育協議会の報告書が出され、この場でも議論を行った。この報告書は、1年間かけて学校現場の方やPTAの方、あるいは産業界の方等を含めて論議され、これまでのきのくに教育協議会の報告とは違い、教育委員会事務局で作成したものであった。これについては報告書を出して終わりということではなく、しっかりこれからの議論の軸に据えていただきたいと申し上げたことがある。
 その点で、今回の「動く!和歌山の教育の創造」の10年間の目標を見ると、そういうものを基本的に受け継いでいると思われるが、その点、教育長はどのように考えているか。

《答弁》 西下教育長
 御指摘の点も含め、私自身が民間にいたこともあり、実際に保護者の声、生徒の声、あるいは一般の方々の声をどう行政に反映できるかということが最も大事なことではないかと思っている。審議会等も含めて出された意見、特に文教委員会での意見は非常に重く受けとめており、委員の皆さんのさまざまな助言や指摘を含めながら少しでも前進させたいという思いである。やらなければならないことはたくさんあるが、一つ一つ着実に教育行政を進めていきたいと考えている。
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《質問》雑賀光夫 委員
 盲学校の敷地が都市計画道路によって削られるということが、いま大きな問題になっている。どういうことになっているのか、状況をお話しいただきたい。

《答弁》 特別支援教育室長
 委員御指摘のように、和歌山盲学校の運動場の一部が県道粉河加太線(西脇山口線)の用地になっていることは承知している。現在、運動場には公式ルールにのっとったグランドソフトボールの競技場、視覚障害者の野球場、ローラースケート場がある。いずれも、道路建設した後も運動場の確保は十分かと考えている。多少、移動はしなくてはならないかと思っている。
 また、盲学校であるので、見えないということで音に対して非常に敏感で、教育環境の整備が必要だと考えているので、これについては、盲学校の生徒の学びにふさわしい教育環境の整備の確保が重要であり、学校の要望を十分踏まえ、関係各課と連携して対応策を検討していくことにしている。

《質問》雑賀光夫 委員
 最近この問題を聞いたが、あまりにも唐突である。都市計画道路が決定したのは昭和40年くらいで、盲学校が移転するのとどちらが早いかというくらいの時期であるようだ。普通、道路を1つ造るということになると、基本的なルートは決まっていたとしても、いろいろ条件を勘案し検討して決められていくと思う。
 学校なり教育委員会なりが、この道路がここにかかるということを聞いたのはいつか。

《答弁》 特別支援教育室長
 学校が正式に把握したのは昨年度末と聞いている。

《質問》雑賀光夫 委員
 あまりにも急にこういう話が持ち上がってきて、そしてとにかく問答無用で、この路線はこのままでいくということになっている感じがする。その点で、この道路がこのままの路線で進むことも含めて、海草振興局になると思うが道路関係者との間では、これまでどういう話をしてきたのか。

《答弁》 特別支援教育室長
 今のところ盲学校の方も、環境整備ということで防音壁とかのお話を進めさせてもらっているし、道路についてはもう両側から出来てきているので、変更することはなかなか難しいという話は聞いている。

《質問》雑賀光夫 委員
 この道路ができるので学校に用地を削らせてくれというのは、大変大きな問題である。
 これは結果としてどうなるかという話は別で、いろんな解決方法があると思うが、そういう問題が、とにかく計画があるから仕方がないということで進んでいくことについてどう考えるか。

《答弁》 教育総務課長
 先ほどの件、修正させていただきたい。
 23年12月に道路がかかるという話があり、その後、学校との間で話がされていると聞いている。都市計画決定については、昭和40年の1月28日にされている。
 経緯については、調べたところ、50年近く経っているのでどういう状況であったかわからない。

《質問》雑賀光夫 委員
 都市計画決定がされてから、ほぼ45年経っている。45年前の計画であるので粛々とそのとおり進めるということでいいのだろうか。周りの環境もいろいろ変化してきているし、学校用地を避けて通るという方法はないのかどうか。
 これは、県士整備部のほうに言わなければならないことであるが、教育委員会としては、そういうことを含めて検討できないのか。その上でこういうことがあって、結果としてはこれしかルートのとりようがないとか、そのかわりにこのようにするという、いろんな紆余曲折があってしかるべきだと思う。
 ところが、23年12月に初めて知ったということで、半年前に突然、学校の敷地を道路が通るという話になり、ばたばたと話が進んでいくのはどうなのかという気持ちである。

《答弁》 学校教育局長
 私が把握している範囲で説明したい。
 23年12月というのは多分、学校への説明として入ったと思う。私の耳に入ったのは今年の3月ぐらいである。実際、道路の関係については海草振興局の問題であり、私たちは把握していない。聞くと、昭和40年の都市計画であった。ずい分昔の話で、私どもの立場から言うと、周りは田んぼがあるので迂回できないのかと思った。そのことも関係部署と協議して、できればそうしてもらうように指示した。
 ところが、後で航空写真を見せていただくと、実は近くまで道路が両サイドから来ていることがわかった。確認してみると、都市計画で随時進めていて、私どものところにきたのは、これから具体的にしないといけなく、こうなっているので説明会等も開いたということで耳に入ってきた。この計画については、都市計画に基づいて淡々と進んできた問題であって、この部分の迂回云々という問題ではないという説明を受け、それであるならば、盲学校であり、音を頼りにソフトボールをするので、防音壁であるとか、そういう手当をしないと困るということで、現在、変更がやむを得ないのであれば次善の策として何とかならないかとの協議をしている。

《質問》雑賀光夫 委員
 学校からの話を聞くと、その前の年にグラウンドの改修の予算がつき、改修の話もいろいろと進んできたが、そういう情報があって変更したと言う。
 学校という大事なものがあるのに、そのことを道路行政の側が教育委員会に対しては正式にこの3月にしか通知をしないまま、ふたを開けてみればもうそこまで迫ってきていると言う。
 結果的にそこを通るということになるとしても、学校というものがあるのだから、早くからちゃんと協議をしてもらわなくては困る。早くから道路行政の側から「こういうことになっているが」という話があってしかるべきである。それが直前まで知らされていないということに対して教育長は怒らないといけないと思うが、いかがか。

《答弁》 西下教育長
 特に特別支援学校という障害のある子どもを抱える学校にかかわって、このような問題が起きていることについては、弁解の余地がない。私も、詳細な把握ができていなかったということもあるが、3月あたりでこういう状況になっていると聞いた。そのときに、そこまでいって変えられないのかとの話を担当課の方にしたが、現実には非常に難しい状況との報告を受け、それであれば次善策として何かできないかと協議をしているが、それにしても、御指摘のとおり、教育をどのように考えているのかということについては、私も非常に遺憾だと思っている。
 今後、この件だけでなく、さまざまな面で、県、知事部局とも、もっと連携しながら、報告、相談、協議というものをしていかなければ和歌山の子どもをきちんと育てることにならない。障害があるないの問題ではなくて、一人ひとりの親にとってはかけがえのない子どもであるので、特に障害のある子どもに対しては事前に配慮していただかなければ親は困るし、ましてや子どもにとっては大変なことになるということは十分承知している。今後、関係部局ともきちんと話をしていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 来週でも現場へ行って現地の視察もして、まだ道路関係の話を聞いていないので、私なりに聞きたいと思っている。現場の意見を大事にしながら対応していただきたい。とりあえず、ここには道路関係の方はいないので、教育委員会だけにはお願いしておきたい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 PTA会費の問題が本会議で取り上げられたが、学校教育についての経費は県が支出すべきことは基本だと思う。これはPTA会費の使い方の問題というより、本来県費で負担すべきものを父母負担にしていたという、そういう性格の問題である。現在、調査中だということであるが、調査した結果は報告していただけるのか。そして、補正予算などは当然組まなくてはならないと思っているが、そういう姿勢で調査をしているのか。

《答弁》 教育総務課長
 PTAはそれぞれ独立した団体である。予算と制度の部分があり、現在、精査しているところである。調査結果については報告させていただく。必要な経費については補正予算で要求していきたいと考えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 PTA会費もあるが、授業料無償化になったときにいろいろ調べたところ、PTA会費も高いものの、それ以外に父母負担で学校を応援するような寄附がある。例えば、入学寄附とかいろいろな名前があるが、そういうもの全体を含めて把握しているのか、あるいは調査をするのか、その点はどうか。

《答弁》 教育総務課長
 全体を含めて考えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 和歌山県の場合、教育行政の足りない分を補うということを前提にしてPTA会費が高いと聞いたことがある。会費でいうと1万5,000円から2万円余り。大阪府では4,000〜5,000円と聞いたことがある。その辺、PTA会費の水準についてはどのように考えているか。

《答弁》 教育総務課長
 大阪、東京については低い状況にある。ただ、それ以外の府県については和歌山県とそんなに変わらないととらえている。

《意見》雑賀光夫 委員
 調査が終わった上で、改めて考えもお聞きして議論をしたいと思う。
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《質問》雑賀光夫 委員
 教員採用検査の時期が来ている。毎年、採用検査に当たり、学校現場に必要な教員は採用検査で確保してください、合格した先生が足りないので定数内講師という1年きりの方で埋めなくてはならないような状態はなくしてほしいとお願いしているが、今年の教員採用検査の採用予定人数は、定数内講師をなくせるようになっているか。

《答弁》 学校人事課長
 定数内講師については、将来の定数減も含めて一定の部分は残さざるを得ないところもあるが、当然のことながら、県教育委員会としては定数内講師の減に取り組んでいる。今年度の採用検査の募集予定人員は325名と、過去最大となっている。

《質問》雑賀光夫 委員
 質問するたびに、「定数内講師は完全になくすことはできないが、減らす方向で努力する」という回答は、私も県議会議員になって3回か4回もらったが、現在、定数内講師は小・中・高で何人いるのか、5年前あるいは10年前の数字と比較してどうなっているか示してほしい。

《答弁》 学校人事課長
 今年度の定数内講師は、昨年と比較して51人増で、過去最大となっている。

《意見》雑賀光夫 委員
 減らすと言いながら急には減らせない、300人もある定数内講師をすべてゼロにするにはその年に採用人数を増やさなければならない、そうすると教員の年齢バランスが崩れる、質が下がると、いろいろな言い訳を聞いた。しかし、今聞くと増えている。教育委員会がうそを言ってはいけない。減らすと言ったからには、減らしてもらいたい。昨年の採用予定人員に比べて合格者の数は多少増やしている。次に聞いたときには50人分を埋めて、さらに一昨年より減少したと答えられるようにしてもらいたい。

《答弁》 学校人事課長
 委員御指摘のとおり、教育委員会としても定数内講師の削減に努めてまいる。
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《質問》雑賀光夫 委員
 次に、教員採用検査で英検合格者について、教職教養検査を免除するとなっているが、小学校でも英語を取り上げる中で、英語能力の堪能な方の採用数を増やしたいというのは理解できるが、それが教職教養検査の免除になることについて県民からも疑問の声を聞く。

《答弁》 学校人事課長
 委員御指摘のとおり、本県では、国際人の育成を大きな教育の目標の一つとしている。そのため、英語教員だけでなく、すべての校種・教科で英語の堪能な教員を採用したいと考えている。
 委員の御指摘では、教職教養というお話であったが、免除するのは一般教養となっている。一般教養の選考基準は、上位から選考するのでなく、基準点方式、はっきり申し上げると、採用検査要項にも記載しているが、平均点を基準としている。この場合において、自分の専門分野と英語分野で高得点が期待できる。押しなべて言うと、基準点をクリアできるものと考えている。
 英検の準1級、それと同等のTOEFL、TOEICの点数を基準としているが、このレベルは、英語の先生が英語で英語の授業ができるというレベルであると文部科学省も報告書を出している。
 したがって今回、英語科以外の教員志願者数は1,832名であるが、過日、委員の皆様にも連絡したとおり、今回、免除対象となったのは9名であることから、今回の免除規定のハードルが高いということを示している。そういったことからも、一定クリアできるのではないかと考えている。

《意見》雑賀光夫 委員
 英語ができるのであれば一般教養もできるだろうということであるが、一般教養を免除するというより基準点以上の点を取ってもらって、英語の能力がある方はそれなりの優遇をするのもいいのかなとも思ったりするが、今年はこれで発表しているので検討課題にしていただければよい。

《質問》雑賀光夫 委員
 次に、教員採用について、本会議でも教員にふさわしい人を採用してもらいたいという話があった中で、講師経験者を採用する問題があった。これは非常によいと思う。教員の資質は、ペーパーテストの点数や面接だけでわかるわけではない。優秀な成績で採用検査を通過した人でも子どもとトラブルを起こす場合もある中、現に子どもと取っ組み合いをし、現場で周りの先生から評価をされるということを経験してきた人は間違いのないフィルターをくぐったといえるのではないかと思う。
 これをどのように生かすのかは難しいが、一般の周りの先生の評価を吸い上げるのは難しいし、校長に気に入られればというのも問題がある。しかし、講師を経験し、何年も苦労している人はできるだけ優先して採用できるようにしてほしいという気持ちがある。

《答弁》 学校人事課長
 現在、本県で実施している採用検査においては、講師経験を特別に評価している。具体的に言うと、小学校及び特別支援学校を受検する者に対しては、過去6年間で、通算48ヵ月以上県内の公立学校で講師経験があり、かつ受検する校種で24ヵ月を超える講師経験がある者は、一次検査の筆答検査のうち、一般教養と教科専門を免除するという形で実施している。

《意見》雑賀光夫 委員
 それはよい。講師として経験をして、子どもと取っ組み合いをしたという経験は面接の中でもにじみ出ると思うので、そういうものを生かしてよい教員を集めていただきたい。

議案に対する採決
議案第86号 平成24年度和歌山県一般会計補正予算
議案第93号 和歌山県南紀スポーツセンター設置及び管理条例を廃止する条例
は全会一致で原案可決


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