2012年9月県議会 総務委員会 高田由一副委員長の質問概要記録
9月25日
《質問》高田由一 副委員長
一般質問でも取り上げた森づくり基金の問題について、監査委員としてはどういうふうに調査を行っていくのか。
《答弁》 代表監査委員
今後の予定だが、現在、農林水産部で徹底した調査を行っていると聞いているが、その調査報告を受け、確認作業に入りたい。
《質問》高田由一 副委員長
いつ頃調査するのか。
《答弁》 代表監査委員
農林水産部から話を聞いたが、関係資料が膨大であるとのことから時期が明示されていない。監査としては、その調査結果が出てくるのを待ってからということになる。
《質問》高田由一 副委員長
紀の国森づくり基金補助金問題について監察査察課として調査をしているか。
《答弁》 参事監察査察課長事務取扱
紀の国森づくり基金補助金問題については、今まで農林水産部が補助金を受け取る側についての調査検討をしており、概略がつかめたということもあり、補助金を出す側について、先週の末に、農林水産部から資料をもらい、監察査察課で資料を読み解いているところである。
《質問》高田由一 副委員長
農林水産部からの資料を読んでいるところであるということだが、読んだ上で、今後どのような対応になっていくのか。
《答弁》 参事監察査察課長事務取扱
補助金を出す側についての問題がどうであったのかということについて、監察査察課で検討したいと考えている。そのために今、資料をもらって調査を始めたところである。
《要望》高田由一 副委員長
本当に時間も経ってきて、地元で会う人ごとに聞かれるという状況であるので、ぜひ早急に対応をしてもらいたい。
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《質問》高田由一 副委員長
情報公開条例のことであるが、今般コスト負担の不公平という観点で手数料を導入するという提案であったと思っているが、9月19日のこの件に関する一般質問に対し知事は、コスト負担の不公平、請求する人としない人の不公平、これを比べるのはおかしいと答弁した。また、導入する理由としては、一定の負担を願うことによってこの不合理な請求を抑止することに狙いがあるとの答弁だったが、部長も同じような考え方なのか。
《答弁》 総務部長
条例改正を提案する前提として、情報公開制度懇話会から情報公開制度のあり方について提言をもらった。この中では、コストの関係の不公平は2つ指摘されており、一つは、情報公開制度を利用する者と利用しない者の不公平、それともう一つは、同じ情報公開している中でも、写しの交付は一部費用をいただくが、閲覧は無料になっているという不公平である。知事が本会議で答弁したのは、前者の情報公開を請求する者と、しない者の不公平の是正のためにこの条例を提案しているわけではないということである。
もしそれを本当に問うのであれば、現行写しの交付は、1枚につき10円であるが、懇話会の提言書の中でも書かれているが、10円以外の部分で税金で賄っている部分は340円。大半は税金でコストを賄って、情報公開制度が成り立っている。本来この不公平を問うのであれば、340円も、その一部をもっと利用者に負担を求めなければいけなくなると思うが、今回はそういう考え方はとっておらず、引き続き大半のコストは税金で負担をし、情報公開制度を支えている。その内の一部のコストについて、閲覧と写しの交付で差異があることによって、不適正な請求を許してしまっている。
知事も答弁しているが、請求者がどれだけ請求したらいいかわからないので、ここからここまで書類をくれと言う。こちちは、おっしゃるような書類はこういうものではないか、と補正を求めて、対象を絞ってサポートしようとするが、閲覧するだけだとタダなので、全部持ってこいと請求されると、こちらも応えざるを得ない。しかもそれが全部開示情報だったらそのまま見ていただくことも可能だが、中に非開示情報が含まれていると、全部マスキングをして写しをとって、閲覧していただく。これまであった事案では、見にも来ないというような不適正な事案が散見されるので、ここは写しの交付と閲覧の、その差異の部分は埋めていく必要があるだろうということで、今回条例案を提案した。
《質問》高田由一 副委員長
知事の答弁にあった、懇話会の提言をサポートしていない、支持していないという言葉を素直に受け放ったら、結局コスト負担の不公平というものが理由で、懇話会提言はあるが、知事の提案はこれを意図してやっていないというふうに聞こえた。今の部長の答弁だと、負担の不公平を解消する、その一部は認めているということになるのか。
《答弁》 総務部長
先ほども答弁したが、確かに懇話会の提言を全部そのまま行政として条例で議会に示すわけではない。懇話会の提言の中で入れるべきものは入れ、ある部分は将来的な課題ということで置いていくものは置いていく、そういう意味では、知事が答弁したように、利用する者と利用しない者の不公平については、そこはサポートしていない。それをサポートすると、もっと請求者に負担を求めるという方向で議論が進むと思うので、現状ではそういうことは考えていない。
《質問》高田由一 副委員長
よくわかったような気がする。知事は提案理由の説明の中で、情報開示にかかる行政コスト負担、不公平の是正を図るために改正するとはっきり言っている。その不適正な請求云々ということを本会議で部長も知事も強調していたので、これちょっと趣旨が違うのではないかという感じがしたので発言した。
問題になった不適正な開示請求であるが、今、部長も不適正な請求が散見されると言ったが、9月19日の一般質問の際には、昨年は不適正な請求に当たるのは1件ということだったと思う。その1件は、権利の濫用ということで民法を適用して棄却したと聞いたが、散見される事例としては、実際何例ぐらいあってどんな中身になっているのか。
《答弁》 総務部長
1件だと申し上げたのは、請求者が1名ということであり、この請求者が請求した内容で権利濫用で、非開示決定したのは、請求としては14件である。この者の請求については、非開示決定をする以前も、これは開示したが、たくさんコピーをとったが見にも来なかったということがあった。
非開示決定なので、そこは慎重に扱うべきで、最終的には訴訟される可能性もあるから、気軽に非開示と決定するわけにはいかない。例えば、超大量請求で、あきらかに県に害意があるというようなものについては非開示決定できるが、そこに至るまでのグレーの部分というのは、どちらかというと、開示せざるを得ないということであり、14件の前に、県はずっと同一の請求者の請求に対しては、開示をしてきた。そういったケースを、この制度を改正することによって、未然に防いでいきたいということである。
《質問》高田由一 副委員長
そういう開示の請求を大量にして見にも来ないというのはとんでもない話で、そういうのはきちっと力を使って排除していくというか、非開示でいいと思う。本会議での議論を聞いていたら、やはり不適正な請求がたくさんあるように県民は解釈したと思う。ただ、本当にそのごく限られた部分で、しかも全く良識がないというか、見にも来ないというような、誰が考えてもおかしいと思うので、現在の条例の中でも適切に規制がかけられると、私は思う。
それで、この情報公開について全国的な状況を教えてもらいたいが、東京都と香川県はこういう手数料を取っていると聞いたが、前はもっと多かったと聞いている。だんだんなくなってきたというがどんな具合か。
《答弁》 総務学事課長
現在、都道府県レベルで閲覧手数料を導入しているのは、東京都と香川県である。それ以外に国は実施している。市町村レベルにおいてはかなりたくさん、神戸市であるとか、横須賀市とかも実施しているという事実がある。都道府県については、委員から、過去にはもう少しあったという話であるが、それについては、多分静岡県のことであると思うが、静岡県がやめたという経緯はあるものの、傾向として、どんどん減っているということはない。
《質問》 高田由一 副委員長
あったのは、静岡だけか。
《答弁》 総務学事課長
勉強不足で申し訳ないが、私が把握しているのは静岡県だけである。
《意見》高田由一 副委員長
全国的な状況で、静岡県が止めになったというような答弁をもらったが、実は静岡県で閲覧手数料が廃止になったのは、前に官官接待とかいろんなことで食糧費の情報公開をたくさんされたことがあり、全国的に大きな問題になった。そのときの請求の中で静岡県のあるページを見れば、閲覧手数料で20万600円、コピー代で5万3,250円、合計25万3,850円を徴収したという例があって、先ほど行政の無駄遣いをチェックしようという機運が市民の中から出ている中で、これはないだろう、というような話が出て、実際廃止になったというように聞いている。であるから、全国的な状況を考えても、今なぜ和歌山県が導入しなければならないのかというのは、懇話会の提言にも少し意見として出ているが、私はちょっと先走りしすぎているな、という気がする。
実際の状況で考えたら、4枚見たら10円。実際その場で10円ずつ払うわけではないが、4ページめくるごとで10円となると実際、本当に閲覧しようか、ということになり、その辺りが積極的に県民に情報を公開していくという立場からすれば適切でないと思う。
《質問》高田由一 副委員長
あと大事な点で、条例の第18条で、知事が認めた場合、減免できるとあるが、どういう場合を想定しているのか。
《質問》 総務学事課長
減免については、知事とも議論したが、その中で、例えば、昨年の台風12号災害のようなものがあって、それにより困窮したとか、困ったとかいう人から請求があった場合には、それを適用していこう、というように考えている。
《質問》高田由一 副委員長
なかなか限定的だと思う。先ほど、導入している都道府県として香川県を例に挙げてくれたが、実は香川県の制度というのは、手数料は取るということになっているが、公益減免という考え方があって、公の利益になる、例えば行政の無駄遣いの部分をチェックしたい、ということを理由として情報公開請求すれば公益減免の該当になって、実質閲覧の手数料がいらないという制度運営になっている。和歌山県でも、こういう公益減免ということを取り入れていく必要があるのではないかと思うがいかがか。
《答弁》 総務学事課長
公益減免についてであるが、都道府県レベルで実施しているのは香川県だけである。国においても、平成18年から後、国全体で見ても4件ぐらいしか実態としてはない。申請時点で、この申請が公益があるのかどうかの判断は極めて難しいと考えており、これを事前に条例の中に置くというのは、かなり難しいという判断で、今回は導入しなかった。
《質問》高田由一 副委員長
今のところ公益減免を導入する考えがない、ということで解釈していいのか。
あと、知事が言った情報公開相談員を置くということであるが、それは積極的に活用さすればいいと思うが、どこに配置して、具体的にどんな活動を行うことを考えているのか。
《質問》 総務学事課長
現在、県の本庁の各課室、それから振興局の各部内に公文書管理責任者というものを置いている。これは各課にある公文書の管理を全面的に責任を持って行うという立場の者である。今言っているのは公文書管理なので、内向きの仕事である。しかし、これを外向きにしたときに、県民からの問合せに対応する立場にあるだろうということで、その同一人物を情報公開相談員という形で置いていこうというように考えている。具体的には、本庁各課室では副課長、各振興局においては各部の副部長の職にある者が、その任にあたることになると考えている。この制度についても、この議会で条例が承認いただければ、条例の施行が来年の1月1日にしているので、それに併せて、本格運用をしていきたいと考えている。
《質問》 高田由一 副委員長
相談員について、ぜひ積極的に県民をサポートしていくという立場で取り組んでもらいたいと思う。
最後ですが、情報公開懇話会の記録を見ていると、平成23年度の知事部局における開示請求が1万1,467件で、そのうち建築計画概要書の請求が4,371件で約4割を占めている。これは、商売に使う目的で取ることが多いと聞いたがそうなのか。
《答弁》 総務学事課長
これについては、本来であれば、家を建てるとか、隣地に家を建てるとか、そういう人が見るために、閲覧というものがこの制度の中に設けられている。ただ、その制度を利用して隣に家を建てる業者が見に来たりということが実際のところは多いと聞いている。
《質問》高田由一 副委員長
懇話会の提言の中でも、この制度(建築計画概要書の写しを交付する制度)については、他の条例を整備して、きちんと写しの交付に係る手数料の徴収を検討すべきであると書かれている。私もそうだと思う。商売で利用して取るというのだったら、きちんと情報公開とは別立てにしてお金を取るというのは結構だと思うが、私はそういうことを具体的に検討していくのかどうかということを最後に聞きたい。
《答弁》 総務学事課長
具体的に、他の施策について検討は始まっていないが、少なくともこの建築計画概要書については、早ければ今年度中に条例を改正して、対応できるようにしていきたいと考えている。他の部分についても、今後、各部局と相談した上で、できるだけ県民の利便性を高めるという方向で、各条例の改正などに努めていきたいと考えている。
《意見》高田由一 副委員長
公文書開示の4割をそういうことで占めているのであれば、実際、情報公開担当部署にもかなり事務的な負担が掛かっていると思う。それをきちんと別立てにして、スムーズな開示、写しの交付ができるように工夫をすることが重要で、それによって県の事務負担も軽くなると思う。
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9月27日
◇ 議案に対する採決
議案第110号 和歌山県情報公開条例の一部を改正する条例
議案第112号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
は、賛成多数を持って原案可決
日本共産党高田由一副委員長は反対 → 奥村規子県議の議案に対する反対討論
議案第107号 平成24年度和歌山県一般会計補正予算
議案第108号 和歌山県防災会議条例の一部を改正する条例
議案第109号 和歌山県災害対策本部条例の一部を改正する条例
議案第111号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決