2013年2月県議会 予算特別委員会
松坂英樹委員の質問概要記録
2013年3月8日
1.米軍オスプレイ低空飛行訓練について

2.社会資本の維持管理・老朽化対策
(1)維持管理予算の推移について
(2)防災・安全交付金の活用
(3)トンネルの緊急調査、橋梁の耐震化・長寿命化対策
(4)道路舗装や法面の維持管理と災害未然防止
(5)河川堤防の点検と強化
(6)上水道の老朽化・耐震対策
(7)維持管理事業と予算のあり方について
(8)市町村への維持管理の技術支援

3.濱口梧陵シンポジウム事業について



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1.米軍オスプレイ低空飛行訓練について
《質問》松坂英樹 委員
 通告に基づき質問に入らせていただきます。
 まず、米軍オスプレイ低空飛行訓練についての質問です。この度、突如米軍オスプレイの訓練が、和歌山県を含むオレンジルートで実施されると発表され、実際に岩国基地からの訓練が一昨日からはじまり、昨日には夜間訓練も強行されています。
 もとより米軍戦闘機による低空飛行訓練は、日本の航空法に禁じた超低空を、わがもの顔で飛んできた危険なものであり、過去にもワイヤー切断事故などを引き起こしていることからも、断じて許すことはできません。和歌山県としても米軍戦闘機の低空飛行訓練には繰り返し抗議をしてきた問題です。
 またオスプレイについては、昨年の県議会で質問したように、開発途中から墜落事故を繰り返している欠陥機で、日本の航空法で義務付けられているオートローテーション機能もない航空機です。このオスプレイが和歌山県でとうとう訓練実施か、という報道がされて以来、県民の不安と怒りの声が数多く出されています。
 県民の安全・安心を守る行政をすすめる立場から、県内の市町村、またオレンジルートに該当する他県とも連携をとりながら、国や在日米軍に対して強く抗議するなどの行動を起こすべきだと考えますが、県として米軍オスプレイ低空飛行訓練に対してどう対応するのか。知事の答弁を求めます。


《答弁》 仁坂知事
 私の本件に関しての考え方は、36日の本会議で答弁したとおりであり、その考え方に従い、今後とも政府に対して本県上空で飛行訓練する必然性を説明するよう求めていく。


《要望》松坂英樹 委員
 知事からは、本会議での答弁のとおり訓練に対する遺憾の意と、説明を求めてゆくという答弁があったわけですが、具体的な行動に出るという答弁がなかったのは残念です。
 昨年、県として国と在日米軍に対し説明を求めているのに対して、何の返事もない、これはもっと怒らないとダメだと思います。
 沖縄では、住宅地上空ではローターの向きを切り替えないとの約束を平気で無視した、わがもの顔の訓練が続いていて、全市町村の代表が東京へ抗議に出向きました。米軍機による和歌山での低空飛行訓練増加は、平穏な住民生活を脅かし、ドクターヘリ等の運航にも支障をきたす恐れのある問題です。
 県として監視体制を強めるとともに、和歌山県民を代表して、毅然とした態度と行動をとられるよう、引き続き、強く要望してまいります。


2.社会資本の維持管理・老朽化対策 (配付資料)
(1)維持管理予算の推移について
《質問》松坂英樹 委員
 昨年の中央自動車道・笹子トンネルにおける天板崩落事故もあり、トンネルをはじめとする社会資本やインフラの維持管理・老朽化対策をどうするのか、この問題が大きく注目されています。
 高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が今後急速に老朽化することにより、今後20年間で、建設後50年を超えるものが半数程度になると言われています。配付資料の左上の図は国の資料に掲載されていたもので、この10年、20年で急速に老朽化割合が高くなることを例示したものです。
 この急速な老朽化と維持管理にどう向きあうのか。このことは、国・地方自治体あげて、予算のあり方でも、また計画的事業化や技術的対応もふくめて、対応が求められている問題だと考えます。
 たいへんショッキングであった昨年の笹子トンネル事故の要因としては、2005年に国が道路公団の民営化をした際に、ネクスコに対して、管理コストの3割削減の義務付け、検査・補修の規定緩和などがおこなわれたことにより、補修や改修の先延ばし、ずさんな点検という結果を生んだと問題視されています。こうした「民営化」や「機械的な予算削減」が問題の根っこにあるということを指摘するとともに、今後の教訓としなければならないと考えます。
 また、今議会に提案された和歌山県の補正予算・当初予算でも、国に呼応した景気対策として公共事業予算が大幅に確保されていますが、維持補修などの身近な小規模工事というのは地元業者が受注する仕事起こしにもなり、地域の雇用拡大につながることからも、維持補修の事業にも、足元からの経済対策として、しっかり取り組むべきだと考えます。
 以上のような問題意識から、社会資本の維持管理・老朽化対策について質問をさせていただきます。まず第一点目に道路や河川の維持管理予算の推移について県土整備部長に伺います。
 本県では道路や河川をはじめ、社会資本整備の遅れが顕著であり、新設や改良事業の要望が多いため、この間の景気対策・災害対策ともあいまって、建設予算の確保に力を入れてきています。しかし、県財政の負担の少ない事業をできるだけ活用したとしても、一般財源からの必要な予算確保、県債残高の増加による後年度負担が課題となります。それゆえに、県の単独予算が必要となる維持管理予算には、財政運営上コスト縮減の力がかかることが心配されます。
 この間の投資的経費と維持費の増減を調べてみると、投資的経費は、内需拡大外圧による大型公共事業最優先の時代、小泉改革による交付税しめつけによる緊縮時代、そしてこの間の経済対策としての公共事業発注増と、国の動向に左右されで増減をしています。
配付資料の左下のグラフは、県土整備部が発行した事業概要に掲載されていたものですが、過去の推移をみてとることができます。
 配付資料の右側の数表とグラフは、この6年間のいわゆる投資的経費、新規事業や改良事業の予算と、そしていわゆる維持費、道路維持費や河川維持費の予算書の数字を拾ったものです。
 経済対策の補正予算が数度にわたって措置されたこともあり、当初予算ではなく最終補正後の予算額で推移をみているわけですが、この6年間の推移をみると、投資的経費は積極的に予算化されて伸びている傾向にあります。その一方で維持費の方はというと、2011年の台風災害への対応等を除けばほぼ一定の4億円程度の規模をキープしていることが見て取れます。この傾向は最近だけではなくて、約15年前の1998年を調べてみると4億4千万円、約10年前の2003年でも3億4千万円と、ほぼ同じような水準で推移しているんです。
 そこで質問ですが、維持管理の必要な施設やインフラの総量は整備すすめばすすむほど、守るべきものが増えたことになるわけです。そして毎年毎年、設備も本体も老朽化がすすみ、老朽化施設の割合は増加してゆくわけです。このことからすれば、維持費の予算は必然的に増加傾向であるべきであろうとも考えますが、県として維持管理の予算の推移について、どのように考えているのか。社会資本は多岐にわたるわけですが、今回の質問では、道路や河川の維持管理予算について答弁を願います。


《答弁》 県土整備部長
 施設管理者として県が単独事業で実施している維持管理の経費については、必要額を計上しており、道路も河川も管理延長がほぼ一定であることから、毎年度ほぼ一定水準の予算額で十分であると考えている。
 また、橋梁や排水機場については、すでに長寿命化修繕計画を策定し、効率的に事業費の平準化を図るよう工夫しながら、国の交付金を活用して対策を実施しているところである。今後も適切に管理を続けていく。


《意見》松坂英樹 委員
 一定規模で十分だという答弁には、どうにも守りの姿勢が見えていただけませんが、その十分かどうかの中身が大事だと思うんです。
 維持管理は基本的に国の補助はなくて全額県の予算ですることになっているわけですが、新設や改良と合わせて更新もしているし、耐震化など最近の国事業に乗せてがんばっているということだと思います。そういうこともありながらも、県の単独費用の部分は、結果として、これまではそれぐらいで済んできていたということ、予算確保にあたっては前年度並みという慣習が続いてきたということではないかと思います。


(2)防災・安全交付金の活用
《質問》松坂英樹 委員
 それでは次に、県も苦労してきた、この維持管理・老朽化対策の財源についての質問に移ります。この老朽化対策は、国あげて取り組むべき待ったなしの課題であり、国レベルでの対策会議も発足し、今回の補正予算から、老朽化対策や通学路対策に特化した「防災・安全交付金」が創設されました。先ほどの部長答弁でもありましたが、従来の「社会資本整備総合交付金」でも一部維持管理的事業も認められてはいたものの、今回から新規事業に含まれていた老朽化対策を切り分けて制度化されました。
 こうした有利な交付金制度は積極的に活用して、老朽化対策をすすめ、県単独事業で苦労する部分を交付金事業として進めてゆくべきだと考えますが、県としては今回の補正・当初予算において、また今後の予算編成においてどう活用し、対応してゆこうとしているのか。県土整備部長より答弁を願います。


《答弁》 県士整備部長
 今回の国の補正予算で創設された「防災・安全交付金」は、「命と暮らしを守るインフラ再構築」と「生活空間の安全確保・質の向上」の実現に資するものとして、計画に基づき実施する老朽化対策や事前防災・減災対策等の事業を対象とした交付金であり、本県には市町村分も含めて、74億3500万円が配分されている。
 県の補正・当初予算では、この交付金制度を活用し、道路関係では、老朽化対策としての道路ストックの点検、緊急輸送道路等における橋梁の耐震化や法面強化、また通学路の緊急合同点検に基づく安全対策等、さらに河川では、これまでは交付金等の対象とならなかった、流下能力の向上に資する河道掘削や伐木、漏水・侵食対策としての護岸整備などをすすめていく。


《質問》松坂英樹 委員
 県と市町村あわせて、ずいぶん活用がすすむのではないかと期待してゆきたいと思います。それでは総論はこれくらいにして、具体的な維持管理・老朽化対策の事業と予算の関係について順次お尋ねしたいと思います。

(3)トンネルの緊急調査、橋梁の耐震化・長寿命化対策
 昨年の笹子トンネルでの事故を契機に、国はトンネルの緊急点検と必要な対策をすすめるよう予算もつけました。今回の措置により和歌山県内では、トンネルの点検・補修をどう進めようとしているのでしょうか。
 また、橋梁については、耐震化が阪神大震災後よりとりくまれ、長寿命化についても、全国的にも早い時期から、県として計画をたてて対応をすすめてきました。橋梁の長寿命化と耐震化はどこまで進み、今後どう事業化されようとしているのか。県土整備部長より答弁を願います。


《答弁》 県土整備部長
 トンネルの緊急点検については、補正予算で県が管理する国道・県道における148本全てを点検し、修繕計画を策定することとしている。今後、この計画に基づいて、緊急度及び優先度の高い所から順位をつけ、修繕を行っていく。
 橋梁の長寿命化については、平成20年度に策定した和歌山県道路橋長寿命化修繕計画に基づき、442橋について計画的に点検及び修繕を実施することにしており、平成25年度までに328橋の修繕を行う予定。
 残りの114橋につきましては、平成30年度を目標に対策を行う。
 また、橋梁の耐震化については、緊急輸送道路等における平成8年より前の道路橋示方書に基づき設計された橋長15メートル以上の橋梁において重点的に取り組んでいるところであり、対象365橋のうち、平成25年度まで324橋の対策を行う予定。
 残りの41橋については、平成28年度を目標に対策を行う。


(4)道路舗装や法面の維持管理と災害未然防止
《質問》松坂英樹 委員
 道路の舗装更新は、地域から要望の多い身近な課題です。しかし、地域から要望をあげても、県からの返事は「限られた予算の範囲内ですが、重要度に応じて順次対応してまいります」というような、窮屈な返事・対応になっているというのが現状で、なかなか要望に応えてもらえないんだという声も聴ききます。特に一歩幹線から外れると、まあ県道とは名ばかりで、長い間手が入れられていない、気の毒ではすまされない実態を見ることがしばしばあります。
 道路の舗装更新という維持管理予算は、どう積算され確保されているのでしょうか。現場の舗装が傷んだ状況や、地域から要望に応じて、必要な額が確保できる仕組みになっているのでしょうか。お答えください。
 また、道路わきの法面の管理が、中山間地の多い本県ではたいへん重要な課題となっていることも指摘しなければなりません。切り土や盛り土の法面をコンクリートで固める工法が採用されて30年以上がたち、昔つくったままの法面が県内各地に膨大な量で存在します。しかし、法面の対策工事は、一部で計画的に改修工事をすすめていただいてはいるものの、自然災害がおこってからようやく予算がついて対応がされるという「事後的管理」が多いのが現状です。今後は「予防保全的管理」こそが求められると考えますが、この法面の維持管理、危険度の調査、計画的な対策事業化はどのようになっているのでしょうか。以上、県土整備部長より答弁を願います。


《答弁》 県土整備部長
 道路の舗装については、道路パトロールや通報等により舗装の状況を確認し、対策が必要な箇所を抽出し舗装補修の予算を計上している。
 今後は、一斉点検を実施して、修繕計画を立案し、計画的に対策を行う。
 道路法面については、緊急輸送道路等において、平成8年度の法面点検で対策が必要と位置づけられた491ヶ所を計画的に法面強化に取り組んでおり、平成25年度まで305ヶ所で行う予定である。残りの186ヶ所については、平成30年度を目標に対策を行う。
 また、道路パトロールや通報等により、その他の道路を含めて、危険度と重要度に応じて、毎年度、必要な箇所で対策を行う。


(5)河川堤防の点検と強化
《質問》松坂英樹 委員
 河川の維持管理、堤防の点検強化や堤防強化、堆積土砂の撤去も大事な課題です。河川整備は河川整備計画にもとづいて長期間かけて少しずつ改良してゆく仕組みになっているわけですが、計画に基づく改良どころか、現在の低い堤防機能ですら低下しているものがあると聞きます。県内には昭和28年の水害時の突貫作業で建設されたものの多く、維持管理が先か改良が先かと、なかなか予算化されていない現実があるのではないでしょうか。河川堤防について、日常的な維持管理と点検と堤防強化はどう予算化・事業化されているのか。県土整備部長より答弁を願います。


《答弁》 県土整備部長
 河川堤防の日常的な維持管理については、これまでも定期的な除草等に加え、小規模な修繕は河川の実情を踏まえた必要額を河川修繕費等で計上し対応している。
 河川堤防点検については、職員による巡視等により堤防の亀裂、破損、はらみ出し等の状態を調査している。
 また、質的改良となる堤防強化については、国の交付金事業等を活用し、詳細調査を行った上で堤防強化事業を実施しており、現在、有田川、左会津川で事業を実施している。


(6)上水道の老朽化・耐震対策
《質問》松坂英樹 委員
 先月も広川町で、偶然に水道管の破裂現場に行き当たりました。しかもその当該箇所は、1年半前に水道管が破裂した現場のすぐ横だったんですね。これは突発的な事故ではなくて、この区域の水道管の老朽化が原因だと考えられます。
 全国的にも老朽化した水道管の更新は思うように進んでいません。しかし新聞報道によると、この事態を放置できないと、他府県では新年度予算から対策予算を増やす自治体も出てきたと紹介されていますが、県内市町村の対応状況はどうなっていますか。水道管だけでなく、浄水施設・貯水施設の耐震化と合わせてどう取り組んでゆこうとしているのか。この問題は環境生活部長より答弁を願います。


《答弁》 環境生活部長
 上水道の老朽化について、耐用年数の目安となる40年を超えた管の割合は、平成22年度末で全国平均7.9%に対して本県は6.9%となっており、耐震化率は全国平均より約1割低い状況である。
 老朽管の更新及び耐震化事業について、平成24年度で上水道・簡易水道併せて延べ11市町村が事業化しており、平成25年度では延べ15市町村が事業化する予定で、予算規模は平成24年度比で約1.5倍となっている。
 県としては、市町村に対して、水道施設の耐震化計画を策定した上で、重要度・緊急度の高い施設から順次、計画的に耐震化を進めるよう指導しており、国に対しては補助制度の拡充の要望をしている。


(7)維持管理事業と予算のあり方について
《質問》松坂英樹 委員
 まだまだほかにも、様々な県有施設の建物の問題や、港湾施設、工業用水、下水道と多岐にわたって課題はあるわけですが、今日はその一部ですが具体的な問題を例にとって質問をさせていただきました。
 そこで、これまでの質問と答弁で浮かび上がってきたことをふまえて、今後の維持管理事業のあり方について県土整備部長にお尋ねします。
 私が今回の質問で提案したいことは、社会資本の急速な老朽化に備え、例年の予算の範囲内での対応、いわゆる「枠取り型」予算計上ではなく、計画的・戦略的な事業の見通しを持ち、それに裏付けられた維持管理経費の算出が必要ではないか。一時に更新費用が集中するのを避け、負担の平準化のための時期調整も必要でしょう。こういうふうに事業化・予算化のあり方を根本から変えてゆく必要があると考えますがいかがでしょうか。
 また、そういう見通しをもった仕事をするためにも、維持管理を必要とする対象をしっかりと管理する台帳化やカルテ化が必要です。また、日常点検だけでは把握できないものを発見するための時には特別な点検、「総合点検」や「緊急点検」等で対象箇所を洗い出すことも必要でしょう。あるいは、法面のように約20年前におこなった調査にもとづく点検個所などは、もう一度総点検する、今後は定期的に見直す、こういったことが必要ではないでしょうか。
 こういう点検をしっかりやる、老朽化の度合いを継続的にかつ客観的に評価できる仕組みを作る、そうやってこそ維持管理費用を計画的に必要額に応じて予算化・事業化ができます。
 このように、維持管理事業のあり方を切り替えてゆくべきではないでしょうか。県土整備部長の見解を求めます。


《答弁》 県土整備部長
 これまでも、社会資本の維持管理については、各種施設に応じた適切な維持管理を計画的に行っている。
 大規模構造物で更新時期が近づいている道路の橋梁及び河川の排水機場等については、長寿命化修繕計画に基づき、点検及び修繕を予防保全的に行っている。
 また、点検を実施して修繕計画を立案するようなトンネル、舗装については、計画的に対策を行っている。
 それ以外の道路の法面や河川の堤防、護岸、堆積土砂等については、台帳やカルテなどを活用した日常の巡視点検等により、適時的確な対策を行っている。
 近年、社会資本に関する維持管理については社会的関心事であり、今後の技術開発の動向を注視して研究し、国の交付金を活用しながら、計画的に維持管理を引き続き行っていく。


《要望》松坂英樹 委員
 一連の部長の答弁には、これまでの延長線ではない積極的な部分もあったと受け止めました。一斉点検や計画的な対策、台帳やカルテの活用などにもお答えいただきました。しかし、維持管理・長寿命化は社会的関心事ですねと、ちゃんとやってきましたが、これからも勉強してゆきます的な答弁は、まだまだ位置づけが弱いなと感じました。
 計画的な維持管理、長寿命化は、決して机上の事務的管理を煩雑にする結果だけとなっては本末転倒です。現場の状況第一なんですね。ですから、対象となるものの実態に即しながらも、ぜひ、この維持管理・老朽化対策の強化に、新年度から本格的に取り組んでいただきたいと思います。
 答弁に対して要望をさせていただきますが、トンネル調査は今回ひとつ残らずすべてのトンネルが対象なのですが、橋にしても、法面にしても、緊急輸送路という重点がまず対象になっています。大事な所ですが、それは全体から見ればほんの一部なんですね。橋も15メートル以上が対象なんですが、それ以下の短い橋も老朽化は着々と進むのです。河川も堤防補強にまで行けているところ、そこまでの調査ができているのはわずかなんですね。ですから、相対的重点や、まず着手すべき順番ははっきりさせつつも、維持管理・老朽化は、全体をどう掌にのせるかをしっかり検討していただきたいというのが1点目。
そして、対策対象箇所、対策状況を公表して、県職員だけの目ではなく、県民みんなの目でしっかりと危険個所・要対策箇所をみつけて早めに手をうってゆく、県の努力や工夫もお知らせしてゆく、このことも検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。


(8)市町村への維持管理の技術支援
《質問》松坂英樹 委員
 この問題の最後に、市町村への維持管理の技術支援についてお伺いします。県内には市町村管理の道路延長も長く、トンネルや橋梁も多数存在します。しかし市町村による点検管理・長寿命化の計画や事業化はまだこれからというところだと思うんです。
 市町村にとっては維持管理の技術的な問題や人材の問題など課題は多いと聞いています。県としてどう市町村を支援してゆくのか。県土整備部長より答弁を願います。


《答弁》 県土整備部長
 市町村への技術支援については、これまでも市町村に対し技術研修の実施など支援を行ってきたが、平成25年度の組織改正により、「検査・技術支援課」を設置し、市町村への技術支援を強化することとしている。
 これにより技術研修の更なる充実を図るとともに、技術者OBを登録する人材バンクを構築し、大規模災害時の技術者の派遣や検査業務など技術支援の拡充を図っていく。
 特に、維持管理の支援については、こうした体制を活用し、公共インフラの点検業務をはじめ、長寿命化計画策定の受託など、積極的に市町村の支援を行っていく。


3.濱口梧陵シンポジウム事業について
《質問》松坂英樹 委員
 この間、県は郷土の偉人に焦点をあてる事業に取り組んできました。新年度予算にも濱口梧陵のシンポジウム事業が予算化されていて、昨年の同事業と比べても予算も増額されています。
 言うまでもなく、県議会初代議長でもある濱口梧陵は、稲むらの火のモデルとして津波防災の先頭に立った郷土の偉人であり、津波からの避難、被災者支援と雇用対策、堤防の建設による被災地の復興と防災対策など、その功績に光を当てる今日的な意義はたいへん大きいものと考えます。
また、わが母校でもある県立耐久高等学校のルーツである耐久舎をおこし人材育成に力を注いだ教育者でもあり、医学にも理解が深く、人気テレビドラマ「JIN―仁―」に登場した、ペニシリン製造を援助した人物も濱口梧陵がモデルとなっています。
 津波防災のリーダーとして、教育者として、経済人として、政治家として、多才ですばらしい活躍をした濱口梧陵をとりあげる事業に大いに期待をしているものですが、新年度のシンポジウム事業にどう取り組んでゆくのか、企画部長から答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 本県では、平成21年度から郷土が生んだ偉大な先人を取り上げ、その事績を全国に発信するためにシンポジウムを開催している。
 本年度は、陸奥宗光のシンポジウムを平成24年12月1日に東京で開催した。
 また、今年2月16日に和歌山市でもこの陸奥宗光シンポジウムを開催し、議員皆様方をはじめ、多くの県民の皆様にご参加していただき、大変好評をいただいた。
 来年度は、1854年の安政南海地震の際、自分で所有している稲むらに火を放ち、多くの住民の命を救い、また、巨額の私財を投じて堅固な防波堤を築造した濱口梧陵のシンポジウムを、10月26日、東京で開催する予定である。
 平成23年3月の東日本大震災以降、本県では、防災・減災対策の総点検を行い、様々な取り組みを行っているが、平成25年度には、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定し、「わかやま防災力パワーアップ補助金」を大幅に増額するなど防災対策を進めている。
 今回のシンポジウムは、防災の専門家等によるパネルディスカッションなどを実施することで、多くの方々に、防災意識を深めていただく機会を提供するとともに、本県の生んだ偉人濱口梧陵の様々な事績に強くスポットを当てて全国に発信していきたいと考えている。


《要望》松坂英樹 委員
 答弁をいただきました。ぜひ充実したものとなるよう関係各方面との協力体制をお願いいたします。付け加えてこれは要望とさせていただきますが、昨年の陸奥宗光シンポジウムは東京に加えての地元和歌山でのシンポも大変好評であったということですから、新年度の濱口梧陵シンポジウムも東京での全国発信と合わせて、地元和歌山でもぜひ計画いただけますよう要望いたしまして、質問を終わります。


3月14日
付託議案に対する採決
議案第 1号 平成25年度和歌山県一般会計予算
議案第 3号 平成25年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
議案第 7号 平成25年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
議案第16号 平成25年度和歌山県土地造成事業会計予算
については賛成多数で原案可決
日本共産党松坂英樹委員は反対 → 松坂英樹県議の議案に対する反対討論

議案第 2号 平成25年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
議案第 4号 平成25年度和歌山県母子寡婦福祉資金特別会計予算
議案第 5号 平成25年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
議案第 6号 平成25年度和歌山県職員住宅特別会計予算
議案第 8号 平成25年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
議案第 9号 平成25年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
議案第10号 平成25年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
議案第11号 平成25年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
議案第12号 平成25年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
議案第13号 平成25年度和歌山県公債管理特別会計予算
議案第14号 平成25年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
議案第15号 平成25年度和歌山県工業用水道事業会計予算
については全会一致で原案可決
………………………………………………………………………………………………………………………………………
その他 下記の意見があった。
《委員》
 今の予算委員会は一般質問と同じである。通告したこと以外質問できないのはいかがなものか。これだけ大勢の職員が出席している中で、どんな質問でもできるよう「一問一答」方式で行わなければ予算委員会の意味をなさない。今後検討する必要があると考える。

《中村委員長》
 本会議が対面式で「一問一答」と「分割方式」を取り混ぜて行えるようになったとき、本会議が予算委員会と変わらないなと感じた。他府県の状況を調べた範囲では、予算委員会を廃止したところはない。
 三重県や長崎県は、予算委員会と決算委員会を一つの委員会で開催している。この辺は参考になる。一度それぞれの会派で議論してもらいたい。


  013年2月和歌山県議会 松坂英樹 予算特別委員会質問=3月8日

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