2013年2月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
3月12日


《質問》雑賀光夫 委員
 議案第54号の職員定数条例は事務局職員を201人から211人に増やすということであるが、増やすのは体育指導員と聞いている。この体育指導員は、現在何名いるのか。

《答弁》 生涯学習局長
 体育指導員は、昭和42年度に5人が採用され始め、それ以降採用が続き、平成13年度をもって採用が中止になった。平成24年度に新たに採用された3人を含めて、現在で284人が採用されている。

《質問》雑賀光夫 委員
 現在、284人も体育指導員がいるのか。

《答弁》 生涯学習局長
 採用が昭和42年度からであるので、もう退職した方もいる。今、申し上げたのはトータルの採用者数である。現在は、事務局に16名の体育指導員がいる。

《質問》雑賀光夫 委員
 去年から何人増えているのか。来年度10名増やすことになるが、再来年度は採用の見通しがあるのか。

《答弁》 生涯学習局長
 平成24年度は3名採用している。25年度は10名程度採用する予定であり、現在9名の採用が決定している。26年度以降も関係課と協議して採用を進めていきたい。

《要望》雑賀光夫 委員
 国体を前にして、体育指導員は大切な役割を果たしてくれると思う。しかし、黒潮国体のときには選手を集めるために相当無理な人事をしており、30数年もずっと引きずった部分があるのは事実である。ただ、体育指導員はよく頑張ってくれており、今度10人増員になることには反対しないが、即戦力になるということで選手を集めるために安易に体育指導員の職を広げるということには非常に問題が残ると思うので、今後は慎重に進めてもらいたい。

《質問》雑賀光夫 委員
 議案第57号の教職員定数の問題であるが、小学校2年から3年に上がるとき、35人学級の学年進行で進むと期待していたものの、国のほうで予算がつかなかった。そのことに伴って学級数が2から1になったり、3から2になったりというケースは幾つぐらい予想されるか。

《答弁》 学校人事課長
 これからまだ動くが、現在、10校程度影響を受けると捉まえている。

《質問》雑賀光夫 委員
 予算のことで子どもが振りまわされるのは困ったことである。
 38人学級でずっとくるのと、一旦18人、16人の学級であったのが38人に戻るというのとでは、子どもにとって大きな違いがある。
 私が思い出すのは、もう15年ぐらい前の話であるが、本宮中学校というのが統合したとき、すごくいい学校ができた。グランドにいい土を入れてもらって、私も見に行った。ところが、統合して4月になり、その学校が荒れているという話を聞いた。今まで小さい学校で、「先生が僕のことをよく見てくれている」と子どもたちが思っていた。ところが、大きな学校になり大きなクラスになったら、「立派な校舎になったが、先生は僕のこと見てくれないの」という気持ちを子どもが持ったのではなかろうか。子どもに「人数が多くなったから仕方ない」と言い聞かしてもだめである。それで子どもが非常に荒れたことを思い出す。
 統合の場合は仕方がないが、政治の問題で予算が付かなかったからといって、2学級だったのが1学級にされるのは、大変大きな問題である。同和教育をしていたころ、同和地区の35人学級を県独自で負担していたことがある。そのときは、県単で100何人の教員を持っていた。このくらいのことは県で負担をして、定数条例そのものを10名ほど増やすことはできないのか。

《答弁》 学校人事課長
 国の動向を申し上げると、現在、小学校1年生が35人学級、小学校2年生以降は、法的には40人学級であって、平成24年度は加配で35人学級をしているという状況である。
 そのような中で、本県では、小学校3年生から6年生が1クラスまたは2クラスは38人、3クラス以上については35人学級を国の加配を活用しながら行っているところである。
 今、委員のご指摘のその部分については、予算措置できなかったということで、残念ながら新たに県単ということで行うことはできない。現在行っている県の措置を何とか維持、継続していきたいと考えているし、また国に対しても要望していきたいと考えている。

《意見》雑賀光夫 委員
 何とかやりくりしてほしいが、この条例は、国で予算措置されなかったことをそのまま反映しているということであれば、私としてはこの条例に賛成できないということを申し上げておく。
………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》雑賀光夫 委員
 旧県会議事堂の保存について、移転先の遺跡は今後、どのような形で保存されるのか。

《答弁》 文化遺産課長
 移転先となっている場所は、埋蔵文化財の調査を行ったところ、階段や井戸等の遺構が確認されている。
 県としては、今回の調査結果で、遺構の残存状況が悪く、全面保存ではなく、一部記録保存の措置が妥当であると考え、文化財保護審議会に報告し、承認されたところである。
 遺構の保存については、尾根の上層部に位置する井戸、溝と通路は記録保存の措置をとった上、削平し、それ以外の階段、溝、地下式倉庫など主要な遺構は現地で保存することとした。

《質問》雑賀光夫 委員
 専門家の間で意見の違いはあると思うが、基本的な合意はしているのか。

《答弁》 文化遺産課長
 文化財保護審議会での合意は得られている。ただ、一部の歴史学者グループと県には考え方の相違があり、一部の歴史学者グループには移転予定地に城郭が存在するという意見があるが、県としては、調査した結果、それを示す文献資料や絵図がなく、坊院があったと考えており、現在のところ、平行線のままである。

《意見》雑賀光夫 委員
 できるだけ合意があればと思うが、審議会でそういうふうに認められているならいいかと思う。
………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》雑賀光夫 委員
 本会議でも質問した学力テストの問題である。
 今回のテストは、国のテストとも従来のテストとも目的や性格が違うと言われたが、よくわからない。もう少し具体的に説明してほしい。

《答弁》 学校指導課長
 今回、本県が実施する学習到達度調査と全国学力テストの違いは、まず実施する学年が異なる。本県で新しく実施する調査は、小学校4年生、5年生、6年生と中学校1年生、2年生が対象となっている。つまり、経年で子どもたちの学力の推移を追跡しながら課題を解決し、学力の向上につなげていきたいということを一つの大きな目的にしている。
 また、全国学力・学習状況調査が4月実施であるのに対し、本調査は12月実施を考えている。当該学年の担任の先生が、自分の教えてきた学習内容がどの程度、子どもたちに定着してきたかしっかり確認して、年度が終わる学年末までに改善に向けて取り組めるという一つの改善サイクルを考え、計画した。そういう点で性格が異なる調査と捉えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 今の話を聞いても、わざわざ別のものをする必要がわからない。学力テストが全国平均よりも低いということで、何かしないといけないと思っているようであるが、教育の問題というのは単純ではない。
 先日、福井県へ視察に行ってきたが、福井県の小学校や中学校の学力テストの成績が非常によい。福井県では、おじいさんやおばあさんのいる家庭が多くて、宿題でも家でゆっくりおじいさんとおばあさんがついてくれ、福井県はいいところであるなと思いながら話を聞いた。その後、高志高校へ行ってイメージが一変した。ここでは、進学塾から講師に来てもらって大学受験のための特化した授業が行われていた。教育委員会で聞いた小・中学校の教育の話と高校へ行って聞いた話とでは、全然違っていた。そこで、桐蔭高校と向陽高校の進学状況を調べてみたが、高志高校と余り違いはなかった。福井県は学力テストで和歌山県よりレベルが高いと言うが、福井県の子どもが高校まで行って学力はどうなのかというのは、そう簡単に言えるものではないというのが福井県に視察に行っての印象である。
 教育長も局長も一緒に行ったが、学力についてどんな印象を持ったか。

《答弁》 学校教育局長
 教育委員会で説明を受けて、義務教育についてしっかりやれていて、力が上がっているという印象を持った。高志高校については、他府県の学校なのでコメントを控えたいと思うが、特に大学の進学状況が高いという印象は受けなかったのは委員と同じである。ただ、この学校がどのくらいの学校かわからないのでどうという判断はできない。

《意見》雑賀光夫 委員
 学力が低いかどうかというのは単純に言えることではない。若い苗を育てていくときに「伸びろ、伸びろ」と引っ張れば枯れてしまうのと同じで、肥やしをやってお日様に当てて全面的に育てなければならないように、教育はそういう側面を持っている。
 私の地域で、ものすごく頑張っている中学校があった。海南高校へ大勢入る学校が良い学校であると言われていたころ、よその学校に比べたら海南高校に入る数が断トツに多かった。しかし、そこの中学校から高校へ入るとあまり伸びないという言われ方をしたこともある。私も文教委員会で質問したときに、駒井先生が教育委員長で、和医大の学長の立場から県立高校をどう思うかと質問したところ、私見とした上で、受験指導優先の私学から来た子より県立高校から来た子のほうが大学では伸びると言っていた。
 教育の問題はそう簡単ではない。テストの成績が低いからもっとテストをして上げるというような単純なものではない。もっと多面的に見ていく必要があるのではないかと思う。
………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》雑賀光夫 委員

 高校生の就職問題について、相当厳しい中でいろいろと頑張っていただいている。就職指導のためにつけていただいている教員を、現場では非常に喜んでいる。
 ただ、1年交代であり、もう少し続けて慣れた人にいてほしいという希望が高校の現場にはあるが、今後検討できないか。

《答弁》 学校指導課長
 委員ご指摘の点は、課題であるとは思っている。現在、就職支援相談員18名を県立高校に配置し、高校生の就職活動の支援に当たっているが、緊急雇用対策を活用しての配置である。緊急雇用対策の趣旨が雇用の拡大にあるので、1年以上の継続雇用ができないという状況にある。来年度も、この緊急雇用対策を活用して18名の配置の継続をお願いしている。しかし、いつまでも緊急雇用対策があるわけではないので、今後は何らかの支援活動が継続できるような方策を研究していかなければならないと考えている。

《要望》雑賀光夫 委員
 現在、県庁でも雇用していただいているが、高校生が卒業したとたんに働き口がないということのないよう、しっかりと支援をしていただきたい。
………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》雑賀光夫 委員
 (ダンスの必修科目化について)ダンスは結構であると思うが、学校によっては「南中ソーラン」などに一生懸命取り組んでいるところもある。そのような学校にまで「南中ソーラン」などをやめてこのダンスにかえろということはないのか。

《答弁》 健康体育課長
 地域や学校によっては「南中ソーラン」などを一生懸命やっているということは聞いている。それに加えて、今回のダンスプログラムを取り入れていきたいと考えている。
………………………………………………………………………………………………………………………………………
議案に対する採決
議案第57号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
は賛成多数で原案可決
日本共産党雑賀光夫委員は反対 → 松坂英樹県議の議案に対する反対討論

議案第54号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
議案第55号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第56号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
は全会一致で原案可決

調査議案に対する意見聴取
 日本共産党雑賀委員から議案第1号「平成25年度和歌山県一般会計予算」について賛成できない意見表明。


  2013年2月県議会     雑賀光夫プロフィール、質問一覧
  雑賀光夫ホームページ     日本共産党海南海草議員団