2013年9月県議会 文教委員会 松坂英樹委員の質問概要記録


9月24日

《質問》松坂英樹 委員
 まず、就職状況について伺いたい。
 全国的にも厳しい経済状況が続いており、県内の就職をめぐる状況は大変厳しいと思っている。
 9月13日に来春の高校生の求人・求職状況の7月時点が厚労省から発表され、和歌山県の来春の求人倍率は0.57倍と、全国平均0.93倍と比べても大変厳しい状況であることがうかがえる。就職活動が解禁される直前の9月中旬に、地元有田の箕島高校と有田中央高校に行って状況を聞いてきた。
 両校では、面接の練習を昼休みも放課後も各教室に分かれて熱心に取り組んでいることや、就職という出口だけでなく、キャリア教育を高校教育の根幹に位置づけてどう生きるかということを中心に取り組んでいること、また、地元企業とのつながりを大事にしていることなど、学校一丸となった取り組みを聞かせていただき、生徒たちの頑張りと現場の先生方の苦労に本当に頭が下がった。
 ところが、こうした努力にもかかわらず、これまで毎年指定校求人をいただいてきた企業からの募集が今年からなくなったり、人数が減ったりするところが出てきたり、特に女子の求人が本当に少ないと頭を抱えていた。全国的に見ても和歌山の状況は大変厳しいという思いを強くしたが、本県の高校卒業生の就職状況をどのように認識しているか。

《答弁》 学校指導課長
 委員から指摘があったように、県内の高校生の就職率は大変厳しい状況にある。昨年度の就職決定率は89.9%で、200名を超える者が未就職で卒業していく状況であった。今年の求人倍率は0.57倍で、昨年度より0.09ポイント上昇したものの、全国的に見て、非常に低い、厳しい状況にあることにかわりはない。このような厳しい状況をしっかりと受けとめ、各高等学校における就職支援、就職指導の活動を一層強化していきたい。

《質問》松坂英樹 委員
 今、回答いただいたように大変な中、就職支援活動をサポートしようと、これまでもジョブサポートティーチャーや就職支援相談員を配置し、支援してこられた。就職支援相談員の皆さんは本当によく頑張っていただいており、現場も喜んでいるが、緊急雇用対策の事業として配置してきたために、毎年、人が変わってしまう。これは本当に残念である。向こうの企業の担当の方は同じ人なのに、学校側がころころと変わってしまって、せっかく築いた関係をうまく生かせていない。また、毎日の生徒の様子を本当によく見ていただいているので、今年の生徒はこんなところがすばらしいといった売りを押し出していただけるようになれば、もっと力を発揮してもらえると思っている。緊急雇用という性格上、一度就職支援相談員としてお世話になった方は、同じ学校に勤めるのはだめ、違う学校でもだめで、また新しい人を探す。また、その次の年もということで4年間こういうことをやってきた。緊急雇用の国の制度そのものも来年はどうなるかわからないという状況であるが、この就職支援相談員は大変大事な役割を果たしているし、学校現場にしっかり定着してきている。
 和歌山県の就職をめぐる状況からしても、緊急雇用が終わったから「はい、おしまい」とハシゴを外してしまっては、一層困難な状況となる。就職支援相談員については、ぜひ継続的な配置を求めるものであるが、その見通しについて示してほしい。

《答弁》 学校指導課長
 就職支援相談員については、教員による就職指導への支援や生徒の勤労観、職業観を育成するために、これまでも効果的な取組をしていただいていると認識している。
 今、指摘されたように、緊急雇用対策事業のため、来年度以降、見通しがつきにくい。また、1年ごとに雇用する方が変わるという形で、継続性に欠けるという欠点も承知している。そういう意味で、就職を希望する生徒がきっちりと就職できるように、各学校におけるきめ細かい就職指導の継続に全力を挙げて取り組んでいくことはもちろんであるが、就職支援相談員のような企業等で経験をした外部の方の力もおかりできるような制度を含め、さらなる求人開拓と教員の就職指導力強化のための仕組みづくりについて、関係部局とも協議しながら積極的に検討していく。

《要望》松坂英樹 委員
 ぜひよろしくお願いしたい。
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《質問》松坂英樹 委員
 就学援助について伺いたい。
 この8月から生活保護基準の引き下げが強行された。このことは、様々な社会保障制度にも悪影響を及ぼしている。
 就学援助もその影響を受ける制度の一つで、生活保護世帯はもとより、生活保護制度利用には至っていないながらもぎりぎりのところで頑張っている子育て世帯にも大きな影響を及ぼして、これまで援助を受けていた子供が援助を受けられなくなるのではないかと現場からは懸念の声が聞こえている。
 就学援助を利用する子供の数が全国的にも過去最多となる中、就学援助からはじき出される子供が増えれば、結局は被保護世帯を増やす結果につながってしまう。
 国の方もこの負の影響を出ることを認めて、現在援助を受けている要保護、準要保護世帯は引き続き援助対象となるようにすると言っているが、これがきちんと徹底され、また来年度以降についても予算措置が必要だと思う。
 そこで、県下の子供たちは生活保護基準の引き下げの影響で就学援助から外されるということになってはいないか、また来年度からの見通しについてはどうか、お答え願いたい。

《答弁》 教育総務課長
 生活保護の基準がこの8月から見直しがなされたが、県内市町村で生活保護の基準の見直しに伴い就学援助の基準を見直した市町村はない。
 来年度以降は、これから国の方でもいろいろ検討されると思うので、国の動向等を見ながら適切に対処していきたいと考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 よろしくお願いする。
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《質問》松坂英樹 委員
 学力テストにかかわってお尋ねしたい。
 子供たちの学力問題は大変重要であって、子供たちにしっかりとした学力をつけてあげたいというのは、父母、教育関係者を初め、全国民的な願いでもある。しかし、学力テストの順位が注目を集めて、子供たちの学力をどうつけていくかというところに焦点が当たらないことを残念に感じている。
 昨今、学力の格差という問題が叫ばれて、学力の統計をとると、「ふたこぶラクダ」と呼ばれるように、できる子とできない子の二極化が起こってきているのではないかとの指摘がされている。いたずらに順位を上げることに目がいけば、点数がとれる対策、できる子の山を引っ張る対策に走ってしまうのではないか、苦労している子をどう引き上げていくのかという学習指導に力が入れられることが大事ではないかと思うが、学力テストを踏まえてどう学習指導に生かしていくのか。

《答弁》 学校指導課長
 指摘の件であるが、全国学力・学習状況調査の結果からは、本県の児童生徒の学力がいわゆる「ふたこぶラクダ」と呼ばれるような状況ではない。
 ただ、学力の定着が不十分な児童生徒が一定いるというのは事実で、とりわけ、本県の子供たちの学力向上のためには、学力が定着していない児童生徒に対して確実に学力が身につくように取組を強化していくことが重要であると考えている。そのため、市町村教育委員会と連携しながら、12月には県独自の学習到達度調査を実施し、個々の児童生徒の課題を明らかにして補充学習等において個に応じた指導を行い、わからないところはわかるまでしっかりと教えていく、こういう体制を学校の中で築いていきたいと考えている。
 さらに、家庭への啓発を行い、家庭学習の時間をふやすなど、家庭学習にも力を入れていくよう学校として働きかけていきたいと考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 本県のテストの結果を見れば「ふたこぶラクダ」という現象は見受けられないという説明であったと思うが、この問題をさらにもっと詳しく突っ込んで、学校現場を初め教育関係者で分析・検討を深めなければならない問題だと思っている。学力テストの点を上げることが目的となってしまわないよう、子供に確かな学力を身につけさせるためのツールとして位置づけられるよう留意し、何よりも学習指導の充実を要望しておきたい。
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《質問》松坂英樹 委員
 高校再編計画についてお尋ねする。
 伊都地方の県立高校再編が提案をされ、本会議の一般質問でもこの間題が取り上げられた。現在、パブリックコメントを実施している段階ということであるが、県民の幅広い御意見をいただいて、その意見に十分に耳を傾けながら進めなければならない、そういう問題であると思っている。
 そのためには、再編計画の趣旨や方向、いわゆる教育委員会が考えている課題とか、こうやっていくんだという方向をしっかりと説明していただく。決して形式的なもので終わってはいけない。県民の皆さんの関心も高めてもらい、熱心な議論をしていく、このことが大切だと思うが、今後どのように進めていこうとしているのか示してほしい。

《答弁》 教育総務課長
 伊都地方の高校再編については、御指摘のとおり、再編を進めてきた経緯や今後の学校の方向性について、地元の方々に丁寧に説明していく必要があると思っている。それで、今月の下旬から来月の初めにかけて当面、具体的には、9月26日には中学生を持つ保護者の皆様方を中心にお集まりいただいて説明をしたいと思っているし、9月30日と10月1日には伊都地方・那賀地方の中学校校長、それから進路指導担当の方等に説明をして理解を求めていきたいと考えている。

議案に対する採決
議案第112号 和歌山県体力開発センター設置及び管理条例を廃止する条例
は、後日採決

議案第 97号 平成25年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決

請願に対する採決
議請第9号 天王塚古墳と大谷山22号墳を特別史跡に含めるための請願
は、採択すべきものと決定


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議案第112号に対する意見
《意見》松坂英樹 委員
 本会議でも、この委員会でも議論があった。大変様々な意見がある中で、私どもとしては、慎重審議を期するという意味で継続審査を求めたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

議案に対する採決
議案第112号 和歌山県体力開発センター設置及び管理条例を廃止する条例
の継続審査について、賛成少数で否決
日本共産党松坂英樹委員は継続審査を提案

議案第112号は、賛成多数で原案可決
日本共産党松坂英樹委員は反対 → 高田由一県議の議案・請願に対する反対討論 議会中継録画 (19:20)


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