2013年12月県議会
       文教委員会
   松坂英樹委員の
    質問概要記録




12月16日
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《質問》松坂英樹 委員
 まず1点目は、いじめ防止対策推進法への対応についてお伺いする。
 教育長の説明の最初にもあったが、いじめ防止対策推進法の施行に伴い、県教育委員会として、いじめ防止対策基本方針の策定に着手されることになった。
 この法律の施行を受けて、国を初め地方公共団体、そして各学校単位でいじめ防止対策の具体化に取り組むことになるが、いじめ防止のための基本方針、対応する組織の立ち上げ、こういった作業や準備は県や市町村、学校において今後どのように進められていくのか。スケジュール的なものも含めて、改めてお示しいただきたい。

《答弁》 学校指導課長
 いじめ防止対策推進法の施行を受けて、県としては、いじめ問題に対する県民の関心を高め、社会総がかりで対応できる体制づくりが必要であろうと考えている。また、法律の上で、各学校が学校いじめ防止基本方針を策定しなければならないという義務が課せられている。そういった学校の対応の方向性を示すためにも、県のいじめ防止のための基本方針を年度内に作成することを目指し、今、庁内の関係課と協議を深めているところである。
 また、作成に当たっては、いじめ問題に関わる多くの方々の御意見をいただきながら策定をしなければならないということもあるので、学校、保護者の代表の方、あるいは弁護士、臨床心理士等の方々からも意見をいただく機会を持って中身の充実を図っていきたいと考えている。
 また、いじめ防止対策を進める上で、法律の中では、いじめ問題対策連絡協議会を設置するよう努力義務として課せられているが、本県においても、各関係機関と連携・協力をして、いじめ対策を進めていく上で必要な組織であると考え、今、設置する方向で議論を進めている。
 また、学校がいじめの防止等に対する措置を実効的に行うためにいつまでに学校いじめ防止基本方針を作成しなければならないかについては、国の方針では、できる限り来年度から新しい方針のもとで対応を進めていただきたいということでもあるので、年度内に作成していただくことが必要であろうと考えている。ただ、全ての学校がつくらなければならないが、どのようなものをつくっていけばよいのか、学校は不慣れなところもあるので、県として、作成の手引のようなものを来年1月の中ごろをめどに作成して各学校に配布し、学校のほうで順次作成できるような支援を行っていきたいと考えている。

《質問》松坂英樹 委員
 制度的対応の概略をお示しいただいた。現場や教育委員会では、これからこの法律に基づいて、紹介いただいたように、この方針を十分に活用しながら、いじめ防止のための組織の立ち上げ等の取り組みを進めるわけであるが、そこで、この法律に基づく対応のスタートということで教育長にもお話を伺いたい。
 和歌山の教育を考える上で、いじめ防止のためにどんなことを大切にして取り組んでいきたいと考えているのか、また決意をしているのか、お聞かせ願いたい。というのは、私の思いとしては、いじめ対策の仕組みをしっかりと整える、充実させるというのは当然のこととして、そうした法律に基づく議論や取り組みを通じて学校が変わっていく、子供が変わっていくという、そんな取り組みにしたい。学校も子供たちも深刻ないじめを許さない力をつけていこうということである。学校のほうは、子供たちのことをしっかり見つめ、担任や担当者任せにせずに、小さなことでもみんなの問題として相談できる学校や教職員集団にしていく。そして、子供たちのほうは、友人とのトラブルや仲間外れなどを克服していく経験を通じて、いじめを許さない力をつけていく、成長させていく。そういうことが大切であると思うが、どうか。
 付け加えるならば、法律ができたぞ、いじめたら罰するぞ、という厳罰主義では、いじめを防止し、いじめを克服する力をつけることにはならないと私は思うが、いかがか。教育長の所見をお伺いする。

《答弁》 教育長
 委員の御指摘に同感である。基本的には一人の悩み、一人の苦しみ、一人の悲しみをみんなで支えていく、あるいは受けとめていく、そういう温かい学校集団、学年集団、仲間づくりというのが基本的なところであると思う。子供たちはさまざまな課題を抱えながら成長していくが、成長していく中で人間として何が一番大事なのかを基本的に考えられるような学校集団であってほしいと思っている。
 そういう意味で、決していじめを許さない、いじめは命に関わっていくものであるから一人ひとりの子供たちにとって何が大事なのかということをしっかりと考えて、知事が使われる言葉であるが、社会総がかり、学校総がかり、クラス総がかりで、苦しみ悩んでいる子供たちとともに悩んで頑張っていく、いじめを許さないそういう力をつけていくことが大事であると思う。先ほど課長が申し上げたように、法だけではなくて、生きた形として学校現場で実現できるような和歌山の教育でありたい、そういう取組に全力を尽くしたいと考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 教育長からの決意を聞かせてもらった。このいじめ防止対策が、学校現場と教育行政がしっかりと連携し、実りある取り組みとなるよう期待しておく。
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《質問》松坂英樹 委員
 外国語指導助手や外国語指導講師の配置と待遇についてお伺いする。
 県内の学校現場には、英語になれ親しむ、そして生きた英語力をつけるためにALT(外国語指導助手)やFLT(外国語指導講師)が配置されている。現在では、県市町村を合わせて81名配置しており、県教委としては今年度20名のFLTを配置していると聞いている。
 以前は、国の制度を使って県や市町村が配置し、当時は待遇もよくて希望者も多かったが、この間、配置人数もじわじわと減ってきている。
 また、講師の待遇という点でも、県が民間に一括契約して、その民間業者からの派遣となってからは、待遇は年々厳しくなってきているとの話も聞く。学校現場の英語の先生方から話を伺うと、給料が安くなってきて、一人でアパートを借りるのは厳しいという水準にまでなってきていると言う。
 そんな中で、やりたいという気持ちを持っていながら給料が安過ぎて続けられないという人も出てきている。通勤や学校間をかけ持ちするときの交通費も出ていないということである。
 また、少なくないFLTが任期途中で帰ってしまい、そのかわりがなかなか来てくれないというケースもあると聞いている。こういうことを県教委は課題として認識しているのかどうか。

《答弁》 学校指導課長
 今、委員から指摘があった外国語指導講師については、現在、業者と委託関係を結び、請負契約によって配置をしている。この制度によると、原則として、直接学校が外国語指導講師と業務について協議することは難しい状況にあるので、教員は、委託業者を通じて業務内容について調整しながら効果的な指導方法に協力を得ている状況にある。また、指摘もあったように、外国語指導講師の雇用条件面での問題も発生していることは承知している。年度途中で交代するなど、授業に影響を及ぼす例もあるので、このことは十分考えていかなければならないと考えている。

《質問》松坂英樹 委員
 今、お答えいただいたように、その指揮系統の問題、待遇の問題、私も非常に課題があると思うが、こういう事態となっている原因は、今も言ったように、県が直接雇用するのではなくて、もとはといえば、人件費を安く済ませるために、入札で安く落札した業者と契約して請負契約をずっと続けてきたからであると思う。毎年入札を繰り返すことにより年々契約額が下がってきて、しわ寄せがこの待遇というところにも影響してきていると思う。私は、多くの市町村が行っているように、教育委員会として直接雇用したほうが、いい人にも来てもらえるし、教育委員会、学校現場、FLT本人の3者ともにメリットがあると考えている。
 今申し上げた点から、教育現場の課題であると認識されている、その課題解決と待遇改善のために、現在の請負契約のやり方を見直したり改善すべきではないかと思うが、いかがか。

《答弁》 学校指導課長
 その点については、私たちも問題意識を持っている。ただ、いわゆるJETプログラムという国のやり方を市町村でとっている例もあるが、県では20名という単位での大規模な雇用状況をつくらなければならないということもある。そうした面で、業者との関係でのやり方というものもあるのではないかと考える。教員と外国語指導講師がより効果的に連携しながら授業を進める展開というものも必要であろうと思うし、また外国語指導講師が意欲を失うことなく勤務ができる状況も確保していかなければならないというふうにも感じている。そうした環境を整えて、生徒がネイティブスピーカーによる英語になれ親しむ機会をぜひ積極的につくりたい。そのような意味でも、次年度は現在の請負契約という形を改善して、より充実した内容になるように検討していきたいと考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 改善を検討していただくということであるので、しっかり検討していただきたい。
 要望を付け加えさせてもらうが、これは配置人数の問題である。いただいた資料を見ると、民間委託が始まった平成17年度当時は26人くらい配置をされていた。予算額的には、1億ちょっとあった。ところが、その26人から平成25年度では20人に減ってきている。予算額で言えば、1億円から9000万円、8000万円、7000万円、6000万円、そして今はもう6000万円を切って5900万円台ということになっているが、こうした人の問題では、逆に市町村教委では苦労して年々増やしてきているというふうに感じている。
 高校の英語の先生方も、全校配置とまではぜいたくを言えないかもしれないが、週3日来てくれているのを少しでも増やしてほしいという要望を聞いた。
 この事業の予算がこの調子で毎年シーリングをかけられていくと、減らされる一方であると思う。「国際人育成」とスローガンを掲げて力を入れている和歌山県であれば、しっかりと予算も人数も確保して前を向いて進んでいただくよう、来年度以降の予算編成に向けて、この点でも強く要望しておきたい。
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《質問》松坂英樹 委員
 学校事務職員の一括採用についてお伺いする。
 来年度の採用試験から学校事務職員の採用が県庁知事部局の一般行政職との一括採用になるという説明をいただいた。これまで、学校事務職員は県教育委員会として採用してきたし、警察事務職は県警が採用しているが、今回、県教委だけが一括採用するに至った目的と動機について、まず説明を求めたい。

《答弁》 学校人事課長
 統合により採用枠が拡大し、そのことにより優秀な人材を取りこぼすことなく確保することができると考えている。
 また、幅広い業務を経験することで職員の資質能力の向上や広い視野を持った職員の育成が図れるものと考え、今回、この統合を実施した次第である。

《質問》松坂英樹 委員
 優秀な人材確保、能力向上ということであるが、いわゆるごく当たり前な、一般的な話だと思う。これまでも県教委として独自に採用試験をするのに、そもそもの経過や理由があり、その方がよかったので手間暇かけてわざわざやってきたと思うが、独自採用してきたメリットは何であるのか。独自採用を続けられない大きなデメリットでもあるのか。

《答弁》 学校人事課長
 これまでの採用方法に特段不都合があったとは考えていないが、この統合により、ただいま申し上げたように、これまでであれば学校事務職員の採用枠数が非常に小さいので、枠を外れてしまうと優秀な受験者を採用することができなかったという実情もある。こうしたことから、今回、導入することとした。

《質問》松坂英樹 委員
 メリットを生かしたいということであると思うが、今までわざわざ少ない募集の学校事務職員の採用試験を志望された方は、やはり学校現場というものに魅力を感じて受けていただいている方であると思う。子供たちと触れ合う仕事がしたい、損得よりも人間的成長を喜び合える、そういう仕事に魅力を感じて志望されている方であると思う。採用試験自体、一般行政職と同等の競争率で、昨年度は一般行政職で10倍程度に対し学校事務職員で16倍であり、その意欲のある人材を確保するという点でもよかったと思う。
 やはり問題は、意欲のある職員を採用し配置していく、学校現場での専門性を高めていくということが、いずれにせよキーポイントであると思う。独自採用のメリットをなくしてしまう代償まで払って一括採用のメリットを生かしていこうというのであるから、一括採用によるデメリットを少なくすることが大事であると思う。学校事務の仕事を、出先の腰かけ仕事のように思われるようなことになってはいけない。採用はもちろん、人事交流等においても、学校現場で働くことに強い意欲を持つ職員の採用や配置に注力すること、そして、学校事務職員の仕事の中身についても経験や実践交流を通じてしっかりと人を育てていくことが大変大事であると思うが、いかがか。

《答弁》 学校人事課長
 委員御指摘のとおり、そういう人材を育てていくことが大事であると思っている。今回、統合で採用することになるが、学校事務に意欲のある方については、いろいろな配置を経験して資質能力を向上した後に、いわゆる学校事務畑ということで学校事務のほうで長く働いていただくことも可能かと考えている。とりわけ、そういう形で採用していくため、今後、人事委員会のほうで採用していただくことになるが、配置に当たっては、知事部局の人事課とも十分連携しながら取り組んでいきたい。
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《質問》松坂英樹 委員
 最後に、少人数学級の推進と、新しい小学校3年、4年で学級統合が起こらないようにという点で質問させていただく。
 先の9月議会の一般質問で、35人学級を小学校1年生、2年生から3年生へと順次拡大されるようにと取り上げ、県の考え方や国の動向をお聞きした。この少人数学級の推進と義務教育財源確保については、昨年度の2月県議会において、全会派一致で国に対して意見書を上げて、県議会としても強く要望している課題である。
 先日、新3年生が2学級から学級統合の心配があるということで学校にも直接話を聞きに行ったが、校長先生からも、今、2年生は2つの学級に分けて班活動をしながらやっているので豊かな学習活動ができている、学校運営の点からも学級統合となると大変なので、ぜひとも2学級で続けさせてほしいという話を聞いた。3年生や4年生になった途端に35人学級から外れて大規模な学級になってしまわないよう、国が責任を持って年次進行で制度設計を延ばすことが必要であるが、国の動向はその後いかがか。

《答弁》 学校人事課長
 国においては、9月議会でもお答えしたとおり、文部科学省の概算要求の中で少人数学級の推進ということが取り上げられているところである。一方、私どもに入っている情報によると、財務省の動きとして、財務省に対して財政制度等審議会から建議が出ていると聞いている。その中では、非常に厳しい話も出ているところであるが、それに対して文部科学省も反対意見を述べているところである。したがって、現在は、委員御指摘のとおり、国の動向を十分注視している現状である。

《質問》松坂英樹 委員
 状況はわかった。
 実際に、来年度の児童数、定数の状況について、県内の新小学校3年生において、35人学級が適用されないと学級統合が起きてしまう学校数は、県教委としてどのくらいと把握しているのか。また、その中で、国が対象外だと言っている1学級の分割、児童数が36人から38人の学校は、その中でどのくらいを占めると把握しているのか。

《答弁》 学校人事課長
 平成26年度の学級数については、来年2月に実施する児童生徒数の見込み調査において、ほぼ決定する。したがって、現時点では正確な数字を申し上げることはできないが、9月に調査した児童生徒数によると、今の2年生が3年生になったとき、影響は10数校に及ぶものと考えているし、後段で御質問のあった36人から38人についても10校程度が該当すると見込んでいる。

《要望》松坂英樹 委員
 最後に、国の動向は大変厳しいということであるが、新3年生、4年生で学級統合が起こってしまわないように強く国に働きかけるとともに、県教育委員会としても手だてを検討するように重ねて要望しておく。


議案に対する採決
議案第146号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第147号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
は、賛成多数で原案可決
日本共産党松坂英樹委員は反対 → 松坂英樹県議の議案に対する反対討論 議会中継録画 (1740)

議案第148号 和歌山県社会教育委員の設置等に関する条例の一部を改正する条例
議案第149号 和歌山県修学奨励金貸与条例の一部を改正する条例
議案第150号 和歌山県立中学校及び高等学校設置条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決


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