2014年12月県議会 建設委員会 松坂英樹副委員長の質問概要記録 2014年12月15日
《質問》松坂英樹
副委員長
ダムの堆砂問題について聞きたい。
先日、会計検査院が10月21日付でダムの維持管理についての問題点を指摘したことが大きく報道された。特に、ダムに土砂の堆積が進んで、洪水調節容量のうち実際に利用できる貯水容量が減少し、洪水時に本来貯留できる水量が貯留できなくなるため、堆砂の状況によってはダム下流の河川等に影響を及ぼすおそれがあるという指摘や、また、ダム堆砂が進んでいるのに、設定貯水量が建設時のままで、堆砂測量の結果が反映されていないというダムの操作の問題も指摘されている。
県内のダムでは、二川ダムと椿山ダムの名前もあげられていた。これまで、ダム堆砂の問題を定期的に聞いてきたが、このダムの維持管理が全国的に注目の課題になってきていると思う。会計検査院の指摘を受けて、国交省からはどのような指導がきているか。
《答弁》
河川課長
国土交通省からは、平成26年11月10日付でダムの適切な維持管理について、ダムの維持管理に必要な計測を適切に行うとともに、点検の結果等を分析・評価した上で必要な修繕等を行うこと、洪水調節容量内に土砂が堆積し、所要の洪水調節容量が不足するような場合には必要な対策を講ずることが重要であることから、堆砂の程度やダムの機能に及ぼす影響等を踏まえて堆砂対策について検討すること、洪水調節容量内の堆砂の状況を把握すること、堆砂の状況を踏まえて堆砂測量で得られた堆砂状況等のデータのダム管理用制御処理設備への設定について検討すること、地震発生時に速やかに臨時点検が行える体制を整備すること、予備発電設備について、常用電源の信頼度、設置場所、燃料補給の難易度の現状等を考慮した上で所要の連続運転時間の確保について検討すること、などについて周知され、今後ともダムを適切に維持管理するよう連絡が来ている。
《質問》松坂英樹
副委員長
いま説明があった国の指導や会計検査院の指摘を受け、県は二川ダムや椿山ダムについてどのように考えているか。
《答弁》
河川課長
二川ダムや椿山ダムについては、洪水調節容量内に土砂が堆積しているダムとして指摘を受けている。しかし、洪水調節容量内の堆砂はわずかであること、大規模洪水が予測されるときは事前放流し、あらかじめ水位を下げて利水容量を洪水調節用に確保する取組を行っていることから、直ちに支障が出る状況ではないと考えているが、国土交通省からの文書も踏まえて対応を検討していきたい。
《質問》松坂英樹
副委員長
わずかであるという答弁であるが、決して軽視してはいけない問題だと思う。ダム堆砂が進むと、治水容量だけではなく、利水や特に洪水調節容量に影響を与えることになる。ダム堆砂は下流からではなく、ダム湖の上流端から進んでいくため、ダムの洪水調節容量が減少するとダム操作に影響を及ぼすことをこれまで指摘してきた。
放流量を決定する際の判断に影響を及ぼし、流入量の算出にも影響するという今回の会計検査院の指摘、また国土交通省の指導を受けて、ダム操作の再検証や見直しを行うべきと考えるが、この点についてはどうか。
《答弁》
河川課長
堆砂の状況がどの程度の影響を与えるものか確認し、対応していきたいと考えている。
《要望》松坂英樹
副委員長
確認のうえ対応するという答弁であったと思う。これまでは、直ちに問題にはならないというのが議会における答弁であったので、今回は積極的な答弁として評価したい。ダムの維持管理の問題については、予算面での裏づけも含め、しっかり取り組んでいくよう要望しておきたい。
《質問》松坂英樹
副委員長
殿山ダムの発電用水利権更新の際に出された県のコメントの中で、過去最大でダムから越流した昭和33年8月の洪水に対しても、今の新しい操作ルールは大丈夫なんだ、安全なんだとコメントしているが、関西電力からどのような説明を受け、県としてどう検証したのか。
《答弁》
河川課長
殿山ダムについては、昭和33年の洪水の後、操作ルールの見直しがなされ、洪水が予測される場合には、あらかじめ水位を下げるという操作ルールに変更されている。
今回、過去最大でダムから越流した昭和33年8月洪水の実績流入量に対して、現行の操作ルールに従った場合のダムの水位の変化についてシミュレーションを行った結果、ダムの水位がダム天端を越えることがなく、ダムからの越流が発生しないことから、ダムの洪水に対する安全性を確認した。
《要望》松坂英樹
副委員長
今回の、ダムが安全に流下できるというのは、洪水が始まる前に首尾よく水位を下げておけた場合にはダムがあふれないということだと思う。
したがって、ダムの下流では堤防の整備が進まない限り洪水は避けられないという現状には変わりないし、洪水時にダム水位をしっかり下げておけるかどうかは、雨の降り方にもよるし、降雨予想やダムの操作を関西電力とよく連携をとってこそ現実のものになると思っている。
今回の水利権更新に当たり、関西電力と県建設部や地元との定期的な懇談という連携もコメントされており、これは非常によかったと思っているが、これからも安全対策を進めることを要望しておきたい。
議案に対する採決
議案第161号 平成26年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は賛成多数により原案可決
日本共産党松坂英樹副委員長は反対
議案第150号 平成26年度和歌山県一般会計補正予算
議案第163号 訴訟の提起について
議案第169号 和歌浦漁港指定漁港施設の指定管理者の指定について
建設委員会
議案第170号 和歌山県和歌山マリーナの指定管理者の指定について
議案第171号 和歌山県和歌山マリーナの指定管理者の指定について
議案第172号 加太港緑地の指定管理者の指定について
議案第173号 日置港泊地・物揚場の指定管理者の指定について
議案第174号 宇久井港物揚場の指定管理者の指定について
議案第175号 和歌山県田辺漁港海岸扇ケ浜ビーチハウスの指定管理者の指定について
議案第178号 工事請負変更契約の締結について
議案第179号 平成26年度和歌山県一般会計補正予算
議案第181号 平成26年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
は全会一致により原案可決
意見書(案)採決
委員会から「高速道路をはじめ必要な道路予算の確保を求める意見書(案)」
を提出することに全会一致で決定