2014年12月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録       20141215


(県教育委員会が選んだ和歌山の先人たちのなかに、「大逆事件」で処刑された大石誠之助医師が含まれていることはいかがなものかという、自民党議員の意見に関する議論について)
《意見》雑賀光夫 委員
 今日は、この問題についてこのような議論をすると思っていなかったので資料の準備をしていないが、少しだけ気になるのは、大石医師が大逆事件に連座して捕まったというのは事実である。連座したという大逆事件、大逆罪という法律がその当時あった。それはともかくとして、命を狙った、連座したということが既定の事実のように語られているのは、果たしてよいのであろうか。むしろ当時の社会に対して批判的な意見を持っていたために、官憲によって、幸徳秋水にしても首謀者というふうに言われているが、そのこと自身が歴史的に正確なのかどうか。今日はあまり議論できないが、正確にしてみる必要があるのではないか。一般的に言われているように、幸徳秋水が首謀者で天皇暗殺を計画したということ自身が歴史的にどうなのか、それから大石医師は一説では幸徳秋水が新宮に来たときに相談したことになっているが、そのこと自身がどうなのか、もう少し歴史的に検証してみる必要があるのではないか。今日は、このことだけは一応申し上げておく。

《意見》雑賀光夫 委員
 連座して、大石医師が相談に加わって一緒に計画したという意見もあるが、むしろそういう意見は少数でないかと思っているので、もう少し資料を調べてみたいと思う。この場所で、とにかく幸徳秋水は首謀者であった、あるいは大石医師が連座して天皇の命を狙ったということがわかり切ったことのように語られたのでは、いろいろ問題あると思う。私も調べてみる。
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《質問》雑賀光夫 委員
 伊都高校と紀の川高校と2つの学校が消え、伊都中央高校が開校に向けて準備されているということで、いろいろ気も使いながらやっておられると思う。
 「新しいタイプの学校です」とパンフレットで書かれている。新しいタイプの学校と言うが、今まで紀の川高校は昼間定時制、夜間定時制、通信制とずっとやってきており、内容からいって、紀の川高校を引き継いだものではないのか。それをさらにどう発展させるのかと思っているが、その中身についてどう理解すればよいのか。

《答弁》 学校指導課長
 伊都中央高校について説明する。まず、資料があるので配付する。(和歌山県立伊都中央高等学校のパンフレットを配付)
 今お手元に配付したのは、11月に伊都地域、那賀地域の保護者、生徒、それから教育関係者に対して行った学校説明会で配付したものである。また、その説明会後、近隣の中学校を全て回り、伊都中央高校について直接説明を行っている。説明に関しては、現在の紀の川高校、伊都高校の両校の職員で行っている。
 今、委員ご質問の全く新しい形という部分については、我々が伊都中央高校に望むものは、今後少子高齢化していくが、特に生涯学習の面について、我々大人、リタイヤされた方を含め、地域が発展していく中核となる生涯学習センターともなるべき伊都地域の学習の発信地という形で願いを込めてつくった。
 特に、紀の川高校が今まで蓄積してきた特別支援に対する観点を持った教育、不登校に手厚い教育、また学校に出てこられない生徒に関しては通信制教育、もう一つ、働きながら学ぶ生徒の定時制教育というのを大事にしながら、午前の部と夜間の部の間に午後の時間というものを設けている。
 午後の時間というものは、もちろん伊都中央高校で学ぶ生徒たちのものであるが、それだけではなく、地域住民の方々が参画し、そのことにより、高校生と大人たちが一緒に学んで、いわゆる縦の関係というか、異世代の刺激を受けながら学んでいってもらいたい。特に、学校というものは全日制が多く、16歳から18歳までの大変狭い間隔で学ぶことが多い。今言われているように、社会的な教育力という問題では、家、それから学校でしか学ばない、もしくは限られたクラブ活動でしか学ばない子供たちが多い中で、もっともっと大きな大人の姿を見せてもらいたい、またともに学んでもらいたいというのが1点。
 地域の方にとっては、逆に伊都中央高校という校地を中心にして、自分たちの学びを深めていってもらいたい。伝統産業について後継者不足なども言われているが、後継者をつくるにはまず伝統産業に対する理解も必要ではないか。そういう部分も積極的に伊都中央高校では取り入れられるのではないかという理念を持って新しいタイプの学校とさせていただいた。
 従来の紀の川高校が持っている資産を生かしつつ、実は定時制にはない、全日制高校が持っていた施設設備、そういった専門的な部分も生かして地域に開放し、高野口の教育の中心にしていきたいと思っている。

《質問》雑賀光夫 委員
 きのくに青雲高校の場合であれば、定時制・通信制が一緒になって定通制の拠点ということでよくわかる。紀の川筋における定通制の拠点というのが基本ではないかと思う。それに加えて生涯学習的な要素を加えていきたいというのはわかる。
 伊都中央高校は、海南高校と大成高校が一緒になるのとは違い、異質な学校が一つになるのである。紀の川高校の校地でそれをやるのであれば、別に校舎を無理に動かさなくても移行していける。伊都高校に校地を移すということであるが、一つの学校に全く異質な全日制の高校生、来年で言うと2年生が上にいるが、紀の川高校の生徒はどうなっていくのか。新1年生が入ってきて、2年生、3年生がいるが、その生徒たちも全部伊都高校の方へ移るのか。

《答弁》 学校指導課長
 伊都中央高校が完成するまでの経緯について説明する。
 まず来年度は、昼間定時制、夜間定時制の伊都中央高校の入学生については、伊都校地で学ぶ。伊都中央高校通信制については、通信というのは大変多様な科目が含まれているので、それを伊都中央高校で開設し、なおかつ紀の川高校の2年生、3年生、4年生の科目を開設するのは大変ロスが大きいので、通信制については来年から3年間は紀の川高校の校地で行いたい。4年後には完全に伊都中央高校の生徒になってしまうため、伊都中央高校の本校である伊都校地に伊都高校の高校生もいないので、伊都中央高校として伊都校地に通信制を移転する予定である。来年に関しては、今懸念があったように1年生は伊都中央高校生、2、3年生は伊都高校生となる。
 定時制に関しては、基本的な校則というのは、いわゆる社会市民的な規則であって、厳しい校則はない。一方、伊都高校は通常の全日制高校にあるように制服も決まっている。そういうふうに、一つの校地に異なる制度があるが、そのような不具合で苦労するところもあるが、共存することで学び合うこともある。我々が求めているのは伊都中央高校はきのくに青雲高校とか南紀高校と同じように定時制・通信制の拠点であるが、生涯学習を学びたい、いろんな活動をしたいという場合、今、伊都高校が持っている活動というのは受け継がれるようになっている。伊都高校のクラブ活動の中に伊都中央高校のクラブ活動が融合していき、伊都高校がなくなってしまっても受け継いでいかれる。定時制高校にはブラスバンドがないが、伊都高校にはブラスバンドの機材等があるので、将来的にどうなるかわからないが、そういったことでいろいろな活動ができるチャンスが一緒にすることによって引き継がれていく。それから、大きな設備、化学実験室、物理実験室というような専門的な実験室もあるので、新しい学校としてつくっていきたいと思う。

《質問》雑賀光夫 委員
 そうすると、紀の川高校2、3年生は現校舎に残るが、その学校は伊都中央高校と名乗るのか、それとも紀の川高校のままでいくのか。

《答弁》 学校指導課長
 今の2、3年生は紀の川高校生となる。紀の川高校は基本的には4年制の学校であるので、来年は2年、3年、4年生が紀の川高校の校地で紀の川高校生として学ぶ。再来年は3年生、4年生というふうにして閉じていく。

《質問》雑賀光夫 委員
 非常に複雑な形での統合になるので、現場の先生などの意見を聞いてやってもらいたい。また、複雑な統合であるだけにいろいろ苦労もあると思うので、教員の加配などの配慮をしていただきたい。かつて、和歌山高校に総合学科を置いたときは思い切って教員の加配をしたこともある。その点、十分な配慮をするのか。

《答弁》 学校人事課長
 教員数の推移等について、基本的に新しい学校の定時制については、平成27年度から平成30年度にかけて学級数が段階的にふえていけば教員数もそれに応じてふえることになる。
 通信制については、その規模が大きく変動しなければ教員数は現在の紀の川高校通信制とほぼ同じような動きになると考えている。ただ、トータルで見た場合、募集定員や生徒数をもとに決定していることであるので、現段階では明言できない状況である。委員ご指摘のことについては、今後、慎重に状況を踏まえていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 小中学校では統合の際は統合加配がある。高校も、そういう複雑な統合であり、しかも新しい試みである場合は、人的な支援も必要ではないかということを申し上げておく。
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《質問》雑賀光夫 委員
 高校生の就職の問題について、全国的には改善されているとの報道があるが、和歌山県ではどうか。

《答弁》 学校指導課長
 昨年に比べ、11月の直近の資料では、79.4%の生徒が内定している。昨年と比べると5.8ポイント上昇しており、大変好調であると聞いている。

《質問》雑賀光夫 委員
 私も、前年よりも好転しているという資料をもらっている。ただし 近畿各県に比べると、好転の程度は少ないという資料もあるが、そのような認識でよろしいか。

《答弁》 学校指導課長
 委員ご指摘のとおり、大阪では、7月現在で求人率が2倍を超えている。和歌山県はまだ0.7倍、0.8倍という数字である。そういった状況で、大阪の高校で生徒の確保が難しいので和歌山県内の高校生を求めてきているという、別の観点での課題が出てきている。和歌山県と他府県とでは、やはり少し差がある。

《要望》雑賀光夫 委員
 前から就職支援の職員を配置していただき、特に昨年から県で独自に採用していただいたので、1年ごとにかわることがなく、現場は大変喜んでいる。引き続き、そのような方を配置してほしい。
 また、2校兼務なので、就職のとき大変忙しいという問題もあるので、そのような問題も考えて十分な支援をお願いする。ちょっとよくなったからと言って安心せずにやってほしいと要望をしておく。
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《質問》雑賀光夫 委員
 中高一貫の県立中学校の定数削減の問題についてであるが、県立中学校が1クラスになる。そうすると、6年間ずっと同じクラスになるということになり、小規模校であればそういうこともあるが、高校生という年代において、いろいろなことが起こった場合に、クラス替えができないことを心配している。そういうことはよいのか。

《答弁》 学校指導課長
 来年、古佐田丘中学校と日高高等学校附属中学校に関しては、1クラス募集になる。委員ご指摘のとおり、基本的には6年間1クラスになるが、授業のほうで、学校生活時間に関して、大半の部分で少人数指導を取り入れたりして効果的な教育に努めていきたい。
 ただ、クラス替えによって人間関係を修復するというのは、ある種、消極的な人間関係の解決方法であるので、仮に人間関係の問題が起こったとしても、積極的にそのクラスの中で解決できるように取組を進めていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 今すぐどうこうしてほしいというのではないが、中高一貫の学校ができるというときに、高校へ入った段階で外進生と一緒になって学級編制をすると思っていた。聞くと、入った学級は6年間ずっと同じでいくと言う。1学級になった場合、高校へ入ったとき、そういう外進生と一緒になるという方法も一つの選択肢であるのかと思う。
 もう一つ、中高一貫ができるときに申し上げたのは、適性検査であれば、80人いれば80人全員適性のある人がいるわけではない。適性のない人がいるということも言えるのかどうか、それも疑問であるが、例えば希望する者の中で適性のある者が200人いたとすれば、200人の中から抽選でとることもあるのではないかということを、中高一貫の学校ができるのは基本的には反対であるが、つくるのであればせめて周りの学校に影響を与えないようにそういうことをしてはどうかと言ったことがある。
 私は、周りの公立中学校に大変大きな打撃を与えたと言うが、教育委員会はそうは言わない。結果として募集定数を減少せざるを得なくなった段階でそういうこともいろいろ視野に入れて検討しておけばよいのではと思う。これは意見として言っておく。

議案に対する採決
議案第176号 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛、和歌山ビッグホエール、武道・体育センター和歌山ビッグウエーブの
        指定管理者の指定について

議案第179号 平成26年度和歌山県一般会計補正予算
議案第190号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第191号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決


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