2015年2月県議会 予算特別委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
   
                                              2015227
1.平成の市町村合併
(1)平成の市町村合併の光と影
(2)市町村合併から10年、県内合併市町村の財政見通し
(3)県としての合併市町村への支援

2.津波防災堤防について
(1)津波防災堤防の進捗は
(2)計画変更にあたっての国・県の協議は
(3)提案について海南市民の意見を聞くのか
(4)県、海南市及び地元企業の負担は

3.教育問題と教職員定数
(1)定数内講師は減らせるのか
(2)県単独での教職員定数確保について


1.平成の市町村合併
《質問》雑賀光夫 委員
 委員長のお許しをいただきまして、質問に入らせていただきます。
 第一の柱は、平成の市町村合併についてであります。
 いま、「地方創生」といわれていますが、地域の活性化という問題では、総括をしておかなくてはならない、そして今後どうなるのかを注意しておかなくてはならない問題に、市町村合併問題があります。平成の大合併から10年が経過しました。私の選挙区で言えば、2005年度に海南市と下津町が新海南市になり、続いて野上町と美里町が合併して紀美野町が誕生しました。
 合併を主導したのは、県の市町村課、というよりも国から派遣された課長でしたから、国主導といえると思います。
 合併に誘導した施策は二つありました。一つは、「合併特例債」、その返済時には70%が交付税措置される。したがって、借金の70%は、合併市町村のふところに入るんですよということ、いまひとつは、合併後10年間は、合併前の市町村が存在したものとして計算した地方交付税のそれぞれを保証するというものです。「合併」には反対も多かったのですが、この二つの餌で、合併を強行しました。
 合併した地域はどうなったのか。中心地からはなれた地域は、どんどん過疎化が進んでいきます。紀美野町では、合併して美里支所に22人いた職員が、いまでは12人です。海南市では、合併して下津行政局には、54人いたのですが、今では7人です。
 ところで、海南市でも紀美野町でも、かつての合併の目玉であった、地方交付税の予定されていた優遇措置がなくなる時期にきました。
 その一方で、小さい町をまもろうという自治体関係者と自治体問題研究者のあいだでは「小さくても輝く自治体」ということばが合言葉になりました。和歌山県内では、北山村が、ジャバラを名産としながら頑張っています。10年前の国から派遣された市町村課長などにいわせれば、「こんな小さい村を残すなどなんとおろかなことか」ということになっていたと思います。
 もちろん、合併した自治体でも合併のよしあしはともかく、地域のよいところを見つけ出して、活性化をはからなくてはなりませんし、その努力はおこなわれています。先日も、小学校が統合されてなくなった下津町の大崎地区で、「げんき大崎」というとりくみがあって、参加してまいりました。
 一方、大阪では、大阪都構想というものが議論され、さらに和歌山県がなくなってしまうような、道州制という議論もあります。
 平成の大合併から10年の節目に当たって、「平成の大合併」、特にこれしかないと国・県が推進したことがどうだったのかを考えてみることも必要だと思います。
(1)平成の市町村合併の光と影
 そこで質問ですが、まず「平成の大合併の光と影」について、どういう総括をされているでしょうか。総務部長からお答え下さい。

《答弁》 総務部長
 合併市町村においては、施設整備や住民サービス提供体制の充実強化が図られる一方、にぎわいが低下したとの声もあるため、地域振興施策等を通じて支援していく。

(2)市町村合併から10年、県内合併市町村の財政見通し
《質問》雑賀光夫 委員
 第二に、県内合併市町村の財政見通しについて、県としてどうお考えでしょうか。これも総務部長からお願いします。

《答弁》 総務部長
 平成26年度から5年間かけて普通交付税の制度改正が行われ、これにより措置される額は合併算定がえの終了に伴って減少する119億円の約7割に相当する85億円程度となる見込みである。

(3)県としての合併市町村への支援
《質問》雑賀光夫 委員
 お答えいただいたように、国のほうでも多少の手直しをされて減少する地方交付税は、7割に押さえられるということです。今後5年間で海南市では7億5000万円、紀美野町では5億円へると聞いていますので、その3割にとどまったとしても大変です。
 県としてどういうご支援を考えておられるでしょうか。知事にお伺いいたします。

《答弁》 仁坂知事
 合併市町村の実態を踏まえた交付税の算定がなされるよう制度改正の動向を注視し、必要に応じて国への提案等を行うとともに財政運営への助言を行っていく。
 また、地域活性化の支援を行うとともに、市町村間の事務の共同処理や県による事務の補完についても検討していく。

《コメント》雑賀光夫 委員
 おそらく、2年、3年とたつ間に、深刻な状況がうまれるのではないかと心配しています。状況をみながら、論議していきたいと思いますし、国に対してもいうべきことを言っていただきたいと思います。
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2.津波防災堤防について

《質問》雑賀光夫 委員

 第二の柱は、海南市の津波防災堤防の問題です。
 今月18日に、「平成26年度和歌山下津港(海南地区)津波対策協議会総会」が1年9ヶ月ぶりに開かれまして、「浮上式津波防災堤防について断念する」という国土交通省からの報告がありました。
 250億円かけて世界初の浮上式堤防を建設する計画だったが、南海トラフ巨大地震による地震・津波想定に耐えられないから、沿岸を高い堤防で囲む方式に変更したいという提案であります。
 平成25年8月に内閣府から新しい地震・津波想定結果が発表され、24年10月から設置されていた「技術検討委員会」で、翌年12月に計画をみなおす必要があるという結論を出していたということであります。
 私は、この浮上式堤防について、何度も本会議でとりあげてきました。
 一回目は、平成24年12月県議会。この津波防災堤防ができるということに期待しながら、国直轄事業であるこの事業について、本来負担がないはずの、海南市および地元企業が「熱意を示すため」という名目で費用負担をしている問題でした。「そんなケースが全国的にみてもあるのか」という私の質問に当時の尾花県土整備部長が「調べてみてもそういう例はありません」とお答えになった。そのときは、この事業が挫折するなどとはおもってもいませんでした。
 その後、一昨年くれの国の検討会で問題が指摘されたらしいという情報をキャッチして、何度か担当部に問い合わせていましたが、しびれを切らして本会議で質問したのが昨年の6月県議会。そこではじめて、県土整備部長から、「想定される津波では、鋼管が曲がって上がらなくなるかもしれない」という検討内容が明らかにされ、初めて一般マスコミも報道するようになりました。それから半年たっても何の説明もないと再度とりあげたのが、昨年の12月県議会でした。
 そこでこのたびの説明であります。
 「浮上式防波堤ができなかったではすまされない」と申し上げてきました。費用が掛かっても津波対策をやっていただけることはありがたいことで、知事をはじめ議員の皆さんにもよろしくお願いしたいと思います。
 しかし、経過には問題もあり、今後の課題があります。
(1)津波防災堤防の進捗は
 そこで質問ですが、第一に、本年度は、浮上部分の工事は先送りになっていましたが、21億円の予算がついておりました。その部分はどこまですすんだのでしょうか。また、浮上式か沿岸の堤防かさ上げかという部分は、再来年(平成28年度)回しになりますが、来年度はどれだけの予算で、どれだけの工事がおこなわれるのでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 今年度の和歌山下津港海岸海南地区津波対策事業の当初予算は21億円であるが、この予算において船尾地区の津波防波堤と琴ノ浦地区の水門について工事を行っており、船尾地区の津波防波堤は全体延長237メートルが、昨年の6月に完成した。また、琴ノ浦地区の水門については水門本体築造工事を行っている。
 なお、今年度当初は、冷水側の防波堤工事に着手する予定としていたが、調査設計に時間を要した結果、当初予算から6億円減額されている。
 平成27年度事業については、事業費24億5200万円で、引き続き、琴ノ浦地区の水門工事を行うとともに、冷水側の津波防波堤工事に着手する予定である。

《コメント》雑賀光夫 委員
 予算がついた部分は、遅れずにすすめるように国に働きかけていただきたいと思います。

(2)計画変更にあたっての国・県の協議は
《質問》雑賀光夫 委員
 次は、肝心の「見直し」にかかわっての問題です。
 海南市民・県民にはなにも知らされずに1年が経過したのですが、県知事や海南市長との間では、いろいろなやりとりがあったのだろうと思います。
 県とのあいだでは、どういう時期にどういう協議がおこなわれたのか、知事から説明をお願いいたします。

《答弁》 仁坂知事
 平成25年8月に、国土交通省から、南海トラフ巨大地震のような最大クラスの津波を起こす地震に対して、防波堤が浮上しなくなる可能性があると説明があった。
 その後、同年12月に、国土交通省の技術検討委員会において、南海トラフ巨大地震クラスの津波に対して、防波堤が浮上しなくなる可能性があること、また、それに対して、周辺地盤の改良、鋼管の剛性強化等の追加対策を講じる必要があるということが示された。国土交通省からは、この計画をそのまま実施するとそういうことになるが、大変な事業費がかかるし、事業期間も長くかかるので、代替案の検討もあわせて行いたいという意向が示された。
 国土交通省は、その後時間がかかったが、代替案として、浮上式防波堤を補強する案、あるいは、これは浮上式でなくて海岸の堤防で、防護レベルを昭和南海地震レベルまで下げて事業費増を極力抑える案や、それから防護レベルを3連動地震として沖合に防波堤を整備する案、あるいは航路を狭める案、港湾内に水門を整備する案などさまざまな検討がされてきた。
 県としては、こういうさまざまな代替案について、市民・県民の安全を守るための技術的な妥当性とか、海南市や企業の負担の可能性とか、あるいは県の財政が長期的にこれをカバーできるかどうかとか、いろいろ検討してきた。
 その結果、補強案では事業費の増加が大きいこと、津波防護レベルを下げるということは、地元住民や企業の理解が得られないと考えられること、それから防護レベルを3連動地震とする場合でも、港湾の利便性や船舶の安全性及び県の負担額等を勘案すると、これが一番いいということで、国土交通省と県において結論を出し、去る2月18日に「和歌山下津港海南地区津波対策協議会」において説明をしたところである。

(3)提案について海南市民の意見を聞くのか
《質問》雑賀光夫 委員
 計画見直しの、中身の問題です。計画を見直すにしても、いろいろな見直し案があってしかるべきです。国土交通省の提案では、浮上式には、770億円かかるし、平成43年までかかるからやめよう、港内護岸のかさ上げなら450億円で、平成35年までにできるから、これでいきたいということですが、それ以外の選択肢の検討の経過などは報告されていません。
 協議会の席上でも海南市議会関係者からは、護岸を高くして海が見えなくなることには、市民からいろいろ意見もあるのではないかという心配の声もありました。
 私がその場で考えただけでも、たとえば、浮上式堤防を計画していたあたりに、船の通航はできる「一文字堤防」のようなものをつくって、津波の勢いを弱めることはできないのか。
 あるいは、港湾の内部に小さい深く入りこんだ港湾があるのですが、その部分だけを堤防でふさいで水門をつくって小さい船ははいれるようにするということも考えられる。それなら堤防のかさ上げの長さは半分になるように見える。沿岸企業の都合もありますが、どうなのだろうか。
 知事のお話では、私が思いついたものも検討されているようで、私が考えたことも見当はずれでもないようです。
 私が申し上げたいのは、知事から紹介されたものも含めて、さまざまな案の中から、「費用対効果」、「海南市民が望む安心で住みよい海南市」の観点から、納得できる提案と説明がおこなわれなくてはなりません。それでないと、海南市民は国土交通省を信用しないでしょう。
 そこで、県土整備部長にお伺いしますが、海南市民からは、さまざまな前向きの意見が出されると思います。提示された案だけにとらわれずに、論議されるように尽力いただけるでしょうか。

《答弁》 県士整備部長
 先ほど知事の答弁にあったように、津波に対する防護効果や県の負担額を考慮すると、今回の港内護岸のかさ上げ案については、現状では最善の選択肢だと考えている。
 委員ご提案の「一文字堤防」は、港内護岸の整備が依然として必要であることや、タンカークラスの大型船舶の航路を確保しようとすると、堤防を沖合に出さざるを得なくなり、効果が薄くなるなどの課題がある。
 また、ご提案の港湾の内部に水門を設置する案は、狭い水域がさらに狭くなり、船舶航行がふくそうし、安全面への影響が大きいこと、水門で津波が反射されるため、港内護岸をさらにかさ上げする必要があること、水門の高さ、幅とも大規模になることなどが予想され、かえって事業費が増加するとともに、地震時に確実な作動を確保しなければならないなど、多くの課題がある。
 そのため、いずれの案も実現には難しく、今回の提案が最善の選択肢と考えているが、今後、地元住民等から要望等が出された場合には、適切に対応するよう努めていきたいと考えている。

(4)県、海南市及び地元企業の負担は
《質問》雑賀光夫 委員
 最後に、県と海南市と地元企業負担の問題です。
 県の負担も大変でしょう。やはり3分の1は負担するのでしょうか。さらに、海南市と地元企業負担は、国直轄事業では、本来ないはずの負担です。まえに質問したときにも、前例がないとお答えいただきました。世界初の浮上式堤防というので、海南市長が地元企業も海南市議会も説得したのでしょう。その分を返すということでなくても、これ以上の負担を求めるべきではないと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。

《答弁》 仁坂知事
 県の津波対策の基本は、人の命は絶対に守ろうということである。それから、財産についても守ってほしいというところが県下至るところにある。海に面しているところは全部そうだと思う。その中で海南市を、特に巨額のお金をかけて優先的にやらなければいけないというのは、地元がそれがなければ、津波が来た後、復興もできないというようなことで、負担もするから是非頼むということで、この話が始まっているわけである。したがって、やはり他の地域との関係で考えると、海南については御負担はやはりお願いしないといけない。もちろん、制度が許す形でそれをお願いしようということであるが、御負担願うからには、この御負担を願う方々にちゃんと納得して払っていただかないといけない。そういうことも、また我々は検討の課題で発表までの間にいろいろと話をしてきた。

《再質問》雑賀光夫 委員
 多額のお金を使って、この海南市をやっていただくことは大変ありがたいことです。海南市も地元企業も国土交通省と県に対しては大変気を使っていて、追加負担もするよというふうに言われるのかもしれません。
 しかし、それでいいんだろうかという気持ちが、私にはまだ残ります。地元負担をするから国の直轄事業を選定する優先順位を上げたというふうに聞いていたのですが、この国直轄事業の採択基準としてそれでいいのでしょうか。そういうことになれば、今後、採択してほしい事業では、地元負担競争が起こりはしないでしょうか。
 国がここでやるという場合は、例えば、世界初の浮上式の堤防をやるためには、海南市のあの湾がちょうどその実験をするにも都合がいい、入り口が割合狭くて、奥が深くて、しかも地元の企業や住民が大勢いる、だから世界初の実験をあそこでやろうではないかということだと思います。
 もちろん、やってほしいという地元の熱心な熱意があり、このやってほしいという説得、陳情があったのは当然です。しかし、そのときに地元で負担するということが、国のそういう事業の採択基準の優先順位を決める要素に入ると知事が言うと、後に問題が残りはしないかと私は大変心配をします。それでよろしいのでしょうか。

《再答弁》 仁坂知事
 ちょっと違うが、国の採択基準ということと、それから県として、どこを優先的に国にお願いするということは違う。だから、私が言っているのは、国に対して和歌山県でいろいろなところで財産を守ってもらいたいところがある。現に、要望をかなり熱心に受けているところもある。しかし、そういうところを後回しにして海南でまずやっていただきたいと我々が言うときには、やはり命は守らないといけないが、命だけでなくそれ以上に財産を守るには、それなりに自分たちも熱意を示すということは大事ではないか。それは間違えていないと思う。それで海南というところを考えると、実は命を守るには、より南部に比べると容易な、つまり津波の到達時間が結構遅い。だが、産業施設が多く集積している。一旦水に浸かってしまうと、海南が立ち上がれないのではないかというような懸念があって、自己負担をするから、是非優先的にこちらへ持ってきてくれというようなお話があった。それを多としたということが何が悪いのかと思うが、いかがか。

《コメント》雑賀光夫 委員
 全県的にも大変なところがあって、その中で海南市を選んでいただいたことは、大変ありがたいことで、あまりそれについてとやかく言いにくいのですが、しかし、物事の筋として、地元負担をしたから県も優先したんだよと言われると、ちょっとどうかな、という気がしないわけでもありません。今日はそのことだけを申し上げて、次へいきたいと思います。
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3.教育問題と教職員定数
《質問》雑賀光夫 委員
 第三の柱として、教職員定数改善などの問題をとりあげます。
 12月県議会で、私は、学力テストで和歌山県の子どもの成績が思わしくなかったことから、教育委員会が「危機的だ」などといって、大騒ぎすることに懸念を表明しました。
 「若い芽をはやく大きくなあれ」と引っぱって枯らすような愚かなことをしてはいけない。そんなことをしたら、「不登校」「いじめ」さらには、「少年犯罪」につながると申し上げました。
 このやり取りを、地域のみなさんに報告する「県政報告ビラ」をいよいよ印刷しようと思っていたとき、海南市の私の事務所の周辺で異変がおこりました。「中学生が通りがかりの女性を刺した」という情報です。加害者も被害者も私の知り合いの関係者です。私は、印刷屋に電話して、「印刷を待ってくれ」といいました。「親は決して人殺しを育てようとしたわけではない」という部分が、あまりにも生々しい形で、私の足元で起こってしまった。一週間かかって、自分の頭をクールダウンしたうえで、「県政報告」の原稿を精査して印刷に入れました。つづいて起こったのは、紀ノ川市での事件です。11歳の子どもさんと親御さんには、お悔やみの言葉も見つかりません。真相はまだわかりませんが、教育問題としてみると、加害者にも教育問題の犠牲者ではなかったかと、12月の質問で申し上げたことが思い出されるわけです。
 今日はそのことは脇においておきたいと思います。12月県議会で、教育行政がやるべきことは、「危機的だ」などということではなく、「教職員定数改善など教育条件整備だ」と申し上げました。そして、一般教員よりも14万円も給与が低い500人もの定数内講師がいる。
 「人件費削減のためではないということは信用しましょう。しかし、人件費は安上がりで済んでいることは事実です。そのことを今日は知事には横で聞いておいていただいて」と申し上げておきました。
(1)定数内講師は減らせるのか
 しつこくてすみませんが、教育長にお伺いいたします。補正予算では、退職手当が増額された。見込みより10数人多かったようです。それで、来年度は定数内講師を減らすことができるのでしょうか。

《答弁》 西下教育長
 定数内講師については、これまでも再三申し上げたように、少人数指導やチームティーチングなどのいわゆる加配定数の増減が年度末に確定すること、また、早期退職者数などが関係しており、その数については大変予測が困難であるが、今後も段階的に削減できるよう努める。

(2)県単独での教職員定数確保について
《質問》雑賀光夫 委員
 最後は知事にお伺いします。300人もふやせとは言いませんが、国では、学年進行での少人数学級予算さえもカットしている。
 小学校2年生までは少人数学級として予算措置をされていた。教育委員会でお伺いすると、2年生から3年生にあがると36人の学級になるかもしれない。学校が統合した直後に学校が荒れることが多いのは、小さい学級が突然大きくなったとき、子どもの側から見ると、これまで自分に寄り添っていたように見えた先生から自分がかまってもらえなくなったと感じることが原因になっているといわれることがよくあります。
 その分ぐらいは県単独で負担しようじゃないかというぐらいの心意気はないのでしょうか。

《答弁》 仁坂知事
 質問が、少人数学級に係る教員を国にかわって県で措置せよということであるならば、少人数学級を逆に人為的に、かつ意図的に県で措置するということには、余り賛成できない。
 1学級当たりの人数を少なくすれば、いろんな問題が解決するわけではないと思うからである。
 雑賀委員も、私も、少年のころは50人が通常で、ちょっと前は55人の学級であった。
 その55人のときに、いま問題になっているような話がたくさんあったか、それで先生がちゃんと教えられなかったかというと、私はそういうことではないと思う。
 ただ、いろいろな問題を解決していかなければならないということは事実であるので、現在の定員を前提にして、例えば、授業についていけなくなった子どもたちがいることは確実であると思うので、そういう子どもたちに対しては、教員が個別指導や補充学習を行うなど、実情に応じてきめ細かく対応していくことが大事であり、これを和歌山県の教育の1つのモデルとしようというのが私の方針である。
 そのときに、例えば教員が過剰な勤務状況になっているとか、そういう状況になってきたときは、その実情に応じて対策を講じていかなければならないというのは当然であり、その辺の実情をよく観察しながら、例えば生徒から要望があるのに自分が忙しいと言って応じないというような教員がいたら困るので、実情の把握も十分尽くしながら対応していけばいいと思う。

《コメント》 雑賀光夫 委員
 知事は私の言っていることを、あまりご理解いただいていないような気がします。
 1つは、30人学級、36人学級という議論が始まったときに、私らの若いときは50人学級で勉強したんだよというふうに言われる方もよくおられました。
 しかしその後、議論が進む中で、初めは文部科学省もあまり積極的ではありませんでしたが、自民党政権時代の文部科学省も含めて、やはりクラスサイズを小さくすることに教育的効果があるということは、教育関係者の合意になっていったと私は思います。
 しかしそれが、おそらく文部科学省も驚いたと思いますが、2年生まで少人数学級にしていて、学年進行でずっと4年生、5年生、6年生と少人数学級が進むと想定されていたものが、突然、予算がつかないということになった。それで、2年生まではクラスサイズが小さいことになっているので、その分、教員の定数も確保されているが、3年生になるとそれが適用されなくなるから、2つに分かれている学級が3年生で1つになってしまう。こういうことが今、問題になっているわけです。
 条例で教員の定数をたくさん確保しても、講師しか入らないというのは、また問題であるので、とにかく学校現場に身分の安定した教員が1人でも多く確保されるようにしていただき、子供たちにたくさん手が届くようにしていただきたいと思います。

議案に対する採決
議案第 1号 平成27年度和歌山県一般会計予算
議案第 3号 平成27年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
議案第 7号 平成27年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
議案第16号 平成27年度和歌山県土地造成事業会計予算
については賛成多数で原案可決
日本共産党雑賀光夫委員は反対 → 雑賀光夫県議の議案に対する反対討論 議会中継録画(24:20)

議案第 2号 平成27年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
議案第 4号 平成27年度和歌山県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
議案第 5号 平成27年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
議案第 6号 平成27年度和歌山県職員住宅特別会計予算
議案第 8号 平成27年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
議案第 9号 平成27年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
議案第10号 平成27年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
議案第11号 平成27年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
議案第12号 平成27年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
議案第13号 平成27年度和歌山県公債管理特別会計予算
議案第14号 平成27年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
議案第15号 平成27年度和歌山県工業用水道事業会計予算
については全会一致で原案可決


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