2.子育て支援について
(1)待機児童問題について
・待機児童とはどのような状況をいうか
・各市町村の待機児童数
・待機児童の原因と解消について
(2)母子生活支援施設と児童発達支援センターについて
・県の役割はどうなるか
・譲与にともなう支援内容の変更について
3.高齢者医療と医療提供体制について
(1)後期高齢者医療の保険料について
(2)地域医療構想策定の進め方
・医療需要の推計の方法はどうなっているか
・実情にあわせた地域医療構想を具体的にどう進めていくのか
・審議の公開
(3)在宅医療の推進と訪問看護に携わる看護師の人材育成について
1.農業における後継者養成について
(1)新規就農者の現状
(2)新規就農者への支援策
(3)後継者対策の強化
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって質問をさせていただきます。
まず最初に 農業における後継者養成についてお伺いします。
私は、農業は県民のいのちを支える食料を安定的に供給する土台そのものだと思っています。また、国土や環境の保全にとってかけがえのない役割を果たしています。しかし、農業就業者の減少や担い手不足により、耕作放棄、農地の荒廃が進行している様子をみて、消費者の立場から、大変不安を感じています。子育て中のご家庭の方からも、「子どもたちに安全安心の食べ物を」と切実な声が聞こえてきます。
こういったなかで、農業に転職した方から相談を受ける機会がありました。ひとりでも多く、農業を担う人が増えてくれればという思いで質問をさせていただきます。42歳の彼は、1人で柿や桃の果樹栽培を手がけています。農業をはじめて4年目、今まで働いてきた貯蓄も底をつきかけ、先行きの不安を感じながらも毎日がんばっています。県は、年間新規就農者の200人確保を目指すとしています。
そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
一つは、新規就農者の現状、二つ目には、新規就農者への支援策、三つ目には、後継者対策の強化についてお答えください。
《答弁》
農林水産部長
「新規就農者の現状」についてでございますが、平成26年度までの3ヵ年の平均新規就農者数は年間147名で、品目別には約6割がみかんや梅、柿等の果樹、約3割が野菜の栽培に取り組んでおります。また、形態別に見ますとUターン就農者が約5割、非農家出身の新規参入者が2割、農業法人等への雇用就農が2割、農家出身の新規学卒者が1割となっております。
「新規就農者への支援策」としては、青年就農給付金制度があります。この制度には農業技術を学ぶ研修期間に最長2年間、安心して研修を受けられるよう所得の確保を目的とした準備型と、農業経営を開始して経営が軌道に乗るまでの最長5年間、所得を補うことを目的とした経営開始型の2つのタイプがあります。平成26年度の給付実績は、準備型が22名、経営開始型が249名で、この制度は新規就農者の確保に大きな効果があると考えており、引き続きこの事業の活用推進に努めてまいります。
また、農業大学校や就農支援センター、さらにJAが実施するトレーニングファームにおいて、新規就農希望者や経営改善に意欲的な農業後継者等を対象に、収益性の高い儲かる農業の実現に向け、取り組む品目の栽培技術や特性等を学べる体制を整えております。
今後、就農者の経営が早期に安定するように、各振興局の普及指導員が中心となって、就農に際して必要となる農業経営計画の作成や技術指導、補助事業の活用助言など、引き続き農業委員会やJA等の関係機関とも連携しながら農業後継者に対する支援を強化してまいりたいと考えております。
《再質問》奥村規子 県議
青年就農給付金の制度は新規就農者の確保に大きな効果があるということですが、予算と実績はどうなっていますか。
また、目標達成のためにさらに活用を広げる必要があると思いますが、どういった取り組みをお考えですか。
農家出身の新規学卒者など、親元農業の支援の拡充も必要と考えますが、制度の要件が改善されたと聞きましたが効果はいかがですか。
また、田辺市やかつらぎ町、湯浅町、次いで紀の川市の受給者が多くなっていのはなぜでしょうか。市町村によって審査の基準が違うように思うのですが、県はどのように考えられているのか再度お伺いします。
《再答弁》
農林水産部長
青年就農給付金の予算と実績についてでございますが、平成26年度の予算は補正を含め5億5727万円で、給付実績は5億3093万円となっており、平成27年度の当初予算は2億8597万円を計上しております。
新規就農者200名確保の目標達成に向けた取組ですが、東京、大阪など県内外において就農相談会を年間10回程度開催しております。また、就農支援センターや各振興局においては随時相談者の状況に応じた対応を行うことで、就農に向けて着実に進めるような支援を引き続き行ってまいります。
農家子弟の就農支援についてですが、先ほど申し上げた青年就農給付金制度も平成26年2月に要件が緩和され、5年以内の経営移譲を前提に親とは違う新たな品目に取り組むなどした場合、また、親と別に農地を借りるなどして、経営を異にして独立する場合には給付対象となり、現在156名が本事業を活用しております。
田辺市等で給付金の活用が多い理由は、田辺市、かつらぎ町、湯浅町ではみかんや梅、柿などの果樹農業が盛んな地域であり、紀の川市では多様な品目で特に新規参入者が多かったものと考えております。
市町による給付金の採択ですが、それぞれの市町において実施されている青年就農給付金に係る審査会において、本人との面接を行い、就農計画実現の妥当性等を審査し、適正に決定されているものと考えてございます。
《要望》奥村規子 県議
さきほど紹介した42歳の方は、和歌山市から市外で畑を借りてはじめましたが、そういった方が農業をはじめていく上で情報などをもっと身近に知ることができるように、普及をどんどんしていただきたいと思います。
部長は、教育委員会などいろんな機関と連携するといわれましたので、若い人たちにも農業の魅力を紹介するなど連携を強めていただき、農業を志す若い人がもっと増えていけるよう、お願いします。
戦後、日本の農業を中心に支えてきた世代の「引退」が加速し、農家や農業就業人口の減少になっています。農業就業者の超高齢化もすすみ、担い手の面から農業と農村が崩壊しかねない事態をなんとかしていかないといけません。そういう思いで当局も取り組んでくださっていると思いますが、日本の国の食糧生産をだれが担うのか、国土や環境をだれが守るのか、農村地域にとどまらず日本社会が真剣に向き合うべき待ったなしの課題です。国や自治体、関係団体が、営農や暮らしの条件の根本的な改善と一体で、農業・農村の現在と将来の担い手の確保・育成に、特別な力を注ぐことが求められています。この制度は効果があるということで、5年後のことも含めて支援策を考えていく必要があると思いますが、引き続き継続し強化していくように、しっかりと国に働きかけていただくことをお願いして、つぎの質問に移ります。
2.子育て支援について
(1)待機児童問題について
・待機児童とはどのような状況をいうか
・各市町村の待機児童数
・待機児童の原因と解消について
《質問》奥村規子 県議
次に、子育て支援についてお尋ねいたします。
県の長期総合計画では、保育を必要とする家庭が子どもを預けることができないというようなことがない育児環境(待機児童ゼロ)を引き続き市町村とともに確保するとあります。
午前中にも、山下議員(自民党)から子育て支援についての県の取り組みが質問され、お話をいただきました。私は特に、待機児童の問題についてお尋ねします。「出産後働きに行こうと思っても預かってもらえない」という声もお聞きします。
そもそも、待機児童とはどのような状況をいうと県は考えられていますか。また、市町村ごとの待機児童の数はどうなっていますか。そしてその原因と解消をどのように考えられているのか福祉保健部長にお聞きします。
《答弁》
福祉保健部長
待機児童とは、保育を必要としており、保育所や認定こども園への利用申し込みをしているにも関わらず利用できていない児童を言いますが、保護者の私的な理由により待機している場合等は、待機児童には含めないこととなっております。
ここ数年の傾向として、4月1日時点での待機児童はそれほど発生していないにも関わらず、10月1日時点では、0歳から2歳の待機児童が発生する傾向にあり、特に、今年の10月1日時点では、県全体の待機児童数が215人と、昨年の倍近くに増加しました。
待機児童が発生した市町村は8市町で、多いところでは、和歌山市が152人、岩出市が31人、橋本市が13人となっております。
出産後、早期に就労を開始することを希望する女性が増えていることや、昔でいうところの「孫守り」の役割を担ってきた親世代も就労しているケースが増加していることなども、3歳未満の待機児童が増えている要因であると考えています。
待機児童の解消につきましては、子ども・子育て新制度における直接の実施主体である市町村がそれぞれの地域のニーズを把握のうえ、計画的な保育所整備等に取り組んでいるところですが、県においては、保育所や認定こども園の整備補助や、保育士人材確保に取り組むとともに、市町村に対し待機児童が生じないように、強く要請してまいりたいと考えております。
《再質問》奥村規子 県議
子ども・子育て新制度がこの4月から実施され、多様な保育を提供するということだったと思いますが、保育が必要と認定されたにもかかわらず、年度途中に215人の待機児童が出ていることは大変な状況です。私は一人、二人の方からしかお聞きしていませんが、例えば、母子家庭で看護師をされている方で、育休も3年までとれますが経済的な問題もあり、早く仕事をしたいと復帰したくても、受け入れてもらえなかったことがありました。また、ある人は出産後、しっかりと求職活動したいということで保育所に預けることを希望しましたが、なかなか預かってもらえないということもありました。215人の中で本当に困られている方が、大変な思いをされていると思います。働くためのいろんな環境を目の詰んだ形で支援できるような保育体制にしていく必要があると思います。
新制度になって状況の変化の途中であると思われますが、待機児童は平成25年までは30人から60人程度でしたが、26年は127人、27年は年度途中に215人と一気に倍々になっています。途中からの保育を想定した体制はどうなっているのでしょうか。4月になると一定、子どもが小学校へ上がるので、また受け入れができるのはわかりますが、出産などいろんな事情で保育が必要なことが生じるなど、途中からの保育を想定した体制がとれなくなってきているのではないでしょうか。さきほど、市町村がすすめていくことといわれましたが、県として、目の詰んだ取り組みをしていただきたいと思います。そういった対策をどの様に考えていますか。
《再答弁》
福祉保健部長
年度途中で待機になるという状況の大きな要因の一つに、保育士の不足ということがあります。
また全般的に保育士が不足している中で、年度途中に保育士を確保するということが非常に難しく日数を要するということで、保育士を確保することが重要となっています。
そういうことで、県では平成26年度から保育士の人材確保事業を始めたところです。そういったことに力を入れながら、待機児童が生じないようにしっかりと体制作りを進めて行きたいと考えております。
《要望》奥村規子 県議
保育士の人材不足対策については、ぜひしっかりと取り組んできたい。
もう一つ、保育士不足の状況があるのは、0歳児3人に1人の保育士という基準があるわけで、0歳児が増えたときに保育所側が1人の保育士を採用することが経営的に大変な面があるのではないかと思います。新制度の中で、保育所の経営もでき、子どもも受け入れていけるよう、実情もつかみ対応していただきたいと思います。
本来、保育・子育て支援の政策は、将来を見据えて、だれもが子育てをしながら安心して働き続けられる社会条件の整備を目指すべきものです。いつでも利用できる保育所の整備とともに、安心安全で子供たちが健やかに育つ豊かな保育環境の保障が不可欠です。
「子どもの最善の利益」を掲げる、子どもの権利条約から見ても当然です。
「育児休業からの復帰期限が迫っているが入所できない」、「共働きでないと生活できないのに、子どもを預けられなくて困っている」など、子育て世代のくらしを脅かしています。
年度途中も待機児童が発生することのないように、県も市町村と一緒になって取り組んでいただきたいと強くお願いします。
(2)母子生活支援施設と児童発達支援センターについて
・県の役割はどうなるか
・譲与にともなう支援内容の変更について
《質問》奥村規子 県議
母子生活支援施設と児童発達支援センターについてお聞きします。
母子生活支援施設とは、配偶者のいない母と子が安心して自立に向けて生活ができ、児童が心身ともに健やかに成長することを目的としている施設です。
児童発達支援センター「若竹園」は、県下で唯一の「医療型」の児童発達支援センターです。就学前児童で通園可能な児童を対象とした、「総合療育」を実施している施設です。
今議会において、「県児童福祉施設設置及び管理条例の一部を改正する条例案」と「建物の譲与に関する議案」が出されています。その中身は、母子生活支援施設である「和歌山すみれホーム」と「白浜なぎさホーム」、児童発達支援センター「若竹園」の施設を譲渡し、これまで指定管理者制度の下、運営されてきたそれぞれの運営主体の団体に移管するというものです。これは、自治体が本来担うべき公共サービスや公的責任を放棄することにつながると考えます。そこでお聞きします。
今後、施設に対して県の役割はどうなりますか。また、若竹園については譲与に伴い支援内容が医療型から福祉型に変わるということですがその理由と違いについて、それからリハビリ訓練と保育を一体的に実施されてきた医療型の児童発達支援センターが和歌山県からなくなることについてどのように考えているのか、福祉保健部長にお聞きします。
《答弁》
福祉保健部長
今議会に提出しています母子生活支援施設及び児童発達支援センターの建物の譲与につきましては、運営主体を民間法人に移管することにより、施設利用者のニーズに柔軟に対応することができ、提供サービスの向上が期待できること、また、移管先法人の職員の雇用が安定することなどのメリットがあります。
県としましては、移管後においても、適正な施設運営が行われるよう、移管先法人から事業報告や会計報告を提出させるなど、指導監督を行うとともに、将来にわたり不安が生じないよう譲与先と県の責務を明確にした取り決めを契約条項に盛り込むこととしております。
次に、譲与にともない若竹園が事業種別を変更する理由等についてお答えします。
若竹園が、現在実施している医療型児童発達支援の事業については、全国的にも利用者が減少しており、このまま医療型を継続した場合、さらなる経営状況の悪化が予想されます。
こうした中で、現在の利用者の支援を継続するため、医療型から福祉型へ変更することで、利用者へのサービスの向上と収支の安定を図ることができると考えております。
なお、医療型と福祉型の違いについてですが、医療型は、機能訓練等の医療サービスと保育サービスを両方提供する施設であり、福祉型は障害児に対する保育サービスのみを提供する施設となります。
また、若竹園においては、医療型児童発達支援センターとして提供していた医療サービスは、福祉型に移行後も、併設する琴の浦リハビリテーション付属病院が、これまでどおり、同一建物内で実施することになりますので、利用者へのサービスは低下せず、医療型児童発達支援センターが本県からなくなる影響はないと考えております。
県においては、児童相談所や県立保健所において児童の発達相談に応じており、その児童にとって適切な福祉サービスにつなげられるよう、市町村や関係機関と連携を図りながら、引き続き支援をしてまいります。
《再質問》奥村規子 県議
部長の答弁では、福祉型になってもあまり変わりないということですが、今いらっしゃる子どもさんはそうかもしれません。しかし心配するのは、例えば食事をするときに嚥下困難と言って飲み込みが難しいといったときに、医療スタッフと保育士が一緒になってやっていくことが必要な子どももいると思います。そういった場合に、医療型の児童発達支援センターがなくなるということは、県民のみなさんにとって必要な支援に応えられないのではないかと思います。
福祉型に変わることの理由としてお話を聞いていく中で、国の制度の影響が大きいと思いますが、医療型では経営が成り立たない、続けられないという印象を持ちました。ぜひとも県の責任で、保育と医療が一体的に提供できる体制の確保をしていけるようにお願いします。
そういうお子さんがある場合には県がどのように対応されるのか、もう一度お聞きします。
《再答弁》
福祉保健部長
今後、新たに支援が必要な児童が出てきた場合も今までとなんら変わることなく、保育が必要な児童に対して、若竹園がサービスを提供できると考えています。
ということは、同じ建物内でリハビリ等の訓練がうけられるという体制を今後もとっていきますので、そういう面は安心してうけていただけるというふうに思います。
経営の問題ですけれども、医療型が福祉型に比べて単価が低かったということと、利用する児童数が、年々減少してきたということが経営が悪化してきた原因でありますので、それが今回の変更によって改善されるというふうに考えます。
《要望》奥村規子 県議
これも、子育ての安心につながる問題だと思います。障害を持たれて療育や保育する場合のご苦労は大変で、子どもが小さいということは保護者のみなさんが若いということです。収入も厳しい中で子どもを育てていることからも、しっかりと安心できる療育環境をつくっていくことが、子育て支援の大きな役割だと思います。保育と医療が一体的に提供できることが非常に大事だと思いますので、ぜひ存続を考えていただきたいと思います。
3.高齢者医療と医療提供体制について
(1)後期高齢者医療の保険料について
《質問》奥村規子 県議
最後に、高齢者医療と医療提供体制についてお伺いします。
まずは、後期高齢者医療の保険料についてお伺いします。
後期高齢者医療制度を廃止し老人保険制度に戻して医療差別をなくすという立場ですが、これ以上、保険料を引き上げないようにということからおたずねします。昨年の4月から70歳から74歳の窓口負担が1割から2割へ引き上げられています。
また、毎年の年金の引き下げ、今年の4月から消費税5%から8%になり、介護保険料も引き上げられました。生活が苦しく生きづらくなっているといわれています。今までも申し上げてきましたが、県の後期高齢者医療財政安定化基金を活用して保険料の増加抑制の措置をとるべきではないかと考えますが、福祉保健部長お答えください。
《答弁》
福祉保健部長
平成28年度、29年度の和歌山県後期高齢者医療の保険料は、現在、和歌山県後期高齢者医療広域連合で試算中であります。和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金は、原則として、医療費の急増による財源不足など短期的な変動に対応するためのものであり、保険料の増加抑制に活用することは特例であるため、まずは和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用することになります。
《再質問》奥村規子 県議
剰余金を活用して保険料を引き下げに充てていくかどうかは、広域連合が決めることになってくるかと思いますが、剰余金というのは医療給付の見込みを入れて、みなさんから保険料を集めたお金で、広域連合ではこの間、20億以上の剰余金があるかと思うので、後期高齢者のみなさんの生活状況を見ながら保険料の引き下げをしていくべきと思います。県として「下げなさい」というようなことは言えないのはわかっていますが、ぜひ協議をしていただきたいと思います。
もう一つは、国からの通知で「平成28年度、29年度保険料率の試算について」というのが来ていると思います。「広域連合において、保険料増加抑制のために財政安定化基金からの交付を見込む場合には、各都道府県と協議を行っていただきたい」と書かれていることから、取り崩しをできないということではないと受け止めてよろしいですか。負担が重くのしかかる暮らしを考えて引き下げを検討すべきと思いますが、取り崩しは絶対ダメではないということでよろしいですよね。その点について、再質問させていただきます。
《再答弁》
福祉保健部長
和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用しても、なお保険料が大幅に上昇する場合には、和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金の活用を検討することになります。
《要望》奥村規子 県議
広域連合が医療給付費をかなり多く見込んだ想定から保険料を集め、実際は剰余金が出てきています。介護保険料や後期高齢者医療保険料など様々な負担が増えて、消費税増税でも一人暮らしの女性の方は年間10万円増えたと言われている中で、生活が非常に大変です。そういったところにぜひ心を寄せていただいて、保険料引き下げを考えていただきたいと要望します。
(2)地域医療構想策定の進め方
・医療需要の推計の方法はどうなっているか
・実情にあわせた地域医療構想を具体的にどう進めていくのか
・審議の公開
《質問》奥村規子 県議
次に、地域医療構想策定の進め方についてお尋ねします。
昨年成立した「医療介護総合確保法」に基づき、都道府県は2015(平成27)年度中に地域医療構想を策定することが義務付けられました。全国で43万床、県内で3,000床の病床削減指標が示され、地域からは不安の声が上がっています。
地域医療構想とは、病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類し、国が示した指針に基づき、2次医療圏ごとに2025年における機能別の必要病床数を明らかにしたもので、病床機能の再編を進めることを目的にされています。
国によって示された「地域医療構想策定ガイドライン」では、2025年における病床区分ごとの医療需要を推計し、これをもとに都道府県が推計値を出すことを定めています。この推計値をもとに、県内7つの医療圏ごとに地域の医療・介護・福祉・自治体関係者で構成する「圏域別検討会」で圏域ごとの必要病床数が議論され、今年度中に各圏域の案を策定する予定です。その後、県は各圏域の案をもとに「県地域医療構想」を策定します。
そこで福祉保健部長にお伺いします。医療需要の推計の方法をどう考えていますか。実情に合わせた医療構想を具体的にどう進めていこうとされていますか。議論の公開をすべきと考えますが、いかがですか。
《答弁》
福祉保健部長
地域医療構想は、急性期、回復期、慢性期から在宅に至るまで、将来の医療需要を二次保健医療圏ごとに推計し、病床機能別の必要病床数など、必要な医療提供体制の構築を目指すものです。
医療需要の推計の方法は、今後の推計人口、現在の患者の受療状況や保健医療圏域間の入院患者の流入・流出などの状況を踏まえて、国が示す地域医療構想策定ガイドラインに沿って算定されるものです。
県としましては、県民が将来にわたり、必要な医療を受けることができるように、現在、保健医療圏ごとに圏域別検討会を開催し、地域の実情を反映するため、市町村や医療関係者等の現場の意見を十分聞きながら、丁寧に策定作業を進めているところです。
今後、地域医療構想を取りまとめるにあたり、県民の皆様にパブリックコメントを求めたり、医療審議会において公開で議論することを予定しています。
《要望》奥村規子 県議
どれをもとに推計して医療構想を考えていくかということが、非常に大事だと思います。
レセプトをもとに推計した「必要病床数」を出すということは、地域の実態や潜在的医療需要がどう考量されていくのかを含めないと、機械的な当てはめになってしまうことを危惧しています。今でも「医療費の支払いができない」と、毎月病院に行く必要があるのを2ヵ月に1回にするとか、毎週を2週間に1回にするなどの実態があり、そういうことで推計も変わってきます。また、「無保険」「通院困難」などの切実な理由で病院に行きたくてもいけない実態もどう反映されていくのか。しっかりと必要病床数を考えていってほしいと思います。
国は、許可病床数に対して稼働病床が少ないことを理由に病床削減の正当性を強調していると思います。こういったやり方をすれば、本来必要とされる病床の利用率が低いことを理由に、際限なく病床が減らされる恐れがあることを指摘しておきます。
さきほど、パブリックコメントを求めるとおっしゃられましたが、各7つの2次医療圏域の保健医療計画があります。その中では圏域ごとの医療需要などがかなり分析されていると思います。そういったことを反映させて、検討していただきたいと要望します。
(3)在宅医療の推進と訪問看護に携わる看護師の人材育成について
《質問》奥村規子 県議
地域医療を守り、すべての患者さんに安全でゆきとどいた治療を保障することを基本のうえ、本人が希望すれば在宅での医療が受けられる充分な体制が必要です。
そのためには、今後ますます訪問看護の役割が大きく求められると考えます。人材育成をどのように考えていますか。祉保健部長にお尋ねします。
《答弁》
福祉保健部長
居宅、介護施設や高齢者住宅などを含めた在宅医療提供体制の構築につきましては、在宅医療の総合相談窓口として丁在宅医療サポートセンター」を二次保健医療圏ごとを基本に設置し、かかりつけ医登録・退院時の紹介制度、急変時受入病院の確保、主治医・副主治医制などかかりつけ医の支援体制、訪問看護ステーションや薬局同士の連携体制などのネットワークづくりを進めることにより、地域で安心して在宅療養を継続できるように取り組んでいるところです。
とりわけ、在宅医療を推進する上では、かかりつけ医の指示のもと、直接、在宅療養者の支援を行う訪問看護に携わる看護師の役割が大変重要と考えています。
そのため、訪問看護ステーションと医療機関に勤務する看護師の相互理解を深める研修や訪問看護ステーション等の看護職に専門的な知識を習得してもらうための出前講座を実施してきたところです。
今後、訪問看護ステーションの管理者の資質向上と新たに訪問看護に参画する看護師に必要な知識と技術を習得させるための研修などを実施し、人材育成に取り組んでまいります。
《要望》奥村規子 県議
在宅医療は患者さん自身の希望といいますが、“病院から在宅へ”とされて困っているとか、入院していた人が次の行き場がない、といったことをしばしば聞きます。
在宅医療は、その人自身が人間らしくすごしていけることが基本にあったうえで、医療を受けられることが大事だと思います。在宅医療は家族の条件もあり、介護のために離職しなければいけないなど、様々なことが起こってくると思います。「最後はどこで人生を閉じるか」ということも含め、県民みんなが議論できるなかで、在宅医療がどうあるべきか、しっかりと考えて取り組んでいただきたいと要望します。
福祉保健部長の答弁を聞く、奥村規子和歌山県議(右)
2015年12月議会 奥村規子プロフィール、質問一覧
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