2016年3月9日
1.医療問題について
(1)県単独の重度心身障害児(者)医療費支給、乳幼児医療費助成の拡充について
(2)国民健康保険料の引下げについて
(3)地域医療構想の策定について
2.介護問題について
(1)介護報酬の引下げの影響について
(2)「介護離職者ゼロ」に向けての課題と対策について
・介護保険施策における課題と対策について
・県内企業に対する取組について
3.障害者問題について
(1)障害者差別解消法の取組について
1.医療問題について
(1)県単独の重度心身障害児(者)医療費支給、乳幼児医療費助成の拡充について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
一点目の医療問題について、県単独の福祉医療制度の拡充について、知事におたずねいたします。ひとり親家庭、老人医療、重度心身障害児(者)医療、乳幼児医療助成は、県独自の福祉施策であり、県の福祉への姿勢を具体的に示すものといえます。
老人医療は所得制限を厳しくしていらい、対象者が極端に減りました。かつてはおおむね10億円の助成事業であったのが、2016年度予算案では772万円となっています。
重度心身障害児(者)医療は、65歳以上の新規障害者を対象外として以来、年々対象者が減り、同じく予算案では、今年度より約1億円減額されています。
乳幼児医療については、市町村が独自に対象拡大し、新年度では和歌山市、海南市、紀の川市も通院も中学校卒業まで拡大、有田市では高校卒業まで拡大する計画となっています。しかし、県制度は就学前にとどまったままです。
こうしたことから、福祉医療4制度の合計では、今年度より約1億2千万円もの減額の予算案となっており、2013年度予算と比べれば、3億2千万円もの減額になっています。それだけ県から県民への助成が減っているということになるわけです。
消費税増税により、地方消費税が1.7%に上がりました。増税前に比べ、新年度予算は71億円の増収になるということで、それは社会保障に使うということです。それを財源に、今こそ県単独福祉施策である、福祉医療制度の拡充をはかるべきではないでしょうか。
これは、市町村からの要望でもあります。県予算編成等に関する要望書で、9市から「重度心身障害児者医療補助制度について、障害認定の年齢制限を撤廃されたい」、また「乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃するとともに、対象年齢を小学校卒業まで拡大すること」が求められています。町村会の要望書では、乳幼児医療費について小学校卒業前まで対象年齢を引き上げること、また、重度心身障害児者医療助成に精神障害者にたいする助成を適用することを求めています。
子どもの医療費助成など、上乗せをしている市町村が県制度の拡充を切実に求めているといえます。
こうした市町村の要望にこたえ、特に重度障害者の65歳新規の制限をなくすことや、精神障害を加えること、またこども医療費の年齢拡大をおこなうなど、福祉医療拡充をはかる考えはありませんか。知事におたずねいたします。
《答弁》
仁坂知事
県単独の医療費助成については、奥村議員からもしばしばご質問、ご意見をたまわっておりますし、市町村からも要望もございます。
重度心身障害児者医療費助成制度は、若年期から重度心身障害者である者は生活基盤が脆弱な場合が多く、これらの者が安心して医療を受けることができるようにするための制度であります。
65歳以降に加齢により重度障害になった方は、それまで職業等に就き、生活をしてきたということで、若年期から重度障害である方とは生活基盤が異なることから対象外としております。
また、精神障害者については、自立支援医療公費負担制度の活用が可能でございますので、そっちをお願いしますということで、対象外としております。
乳幼児医療費助成については、免疫が少ないため病気にかかりやすく、また、病気にかかった場合に重症化しやすい乳幼児を対象に、これは早期にとにかく医療機関で受診してもらえるように自己負担分を無料にしております。
乳幼児のこのように特殊性に鑑みて、これは市町村の意向にかかわらず、県が手当てをしておくべきだということで乗り出している訳でございます。市町村それぞれのお考えで対象年齢を拡充していることは県も承知しているところでございますが、ベースになる部分は県が下支えをし、対象年齢拡大等の上乗せの部分については、市町村がそれぞれの地域の実情等、それから、それぞれの政策のアピールに従って、施策の特色を出すために実施しているものと考えております。
これらの県単独医療費助成については、現行制度のままでお願したいと思っております。
《要望》 奥村規子 県議
今までにもおたずねをしてきて、これまでも答えていただいた中だけの答弁だった思います。
子どもの医療費の問題では、子どもの貧困対策の推進に関する法律が2014年1月17日から施行されているわけですが、市町村が独自に厚い支援をずっとしているなか、市町村の要望に積極的に応えていただきたいと思います。
消費税増税分を社会保障に活用するといわれているので、県単独の福祉施策を拡充することは、財政的にはやっていけるのではないかと思いますが、ここの予算が年々減っています。再度、県単独の福祉医療制度を充実する方向で、ぜひ考えていただきたいと思います。
ひとつは子どもの健康の問題ですが、“貧困が健康に与える影響”という内容で「貧困と子どもの健康 外来診療での子育て世代の実情調査」という資料がありますが、日本ではなかなか貧困と子どもの健康についての国内調査が少ないのです。まず、せめて子どもの健康をめぐる環境やいろんな問題がある中で、また、少子化に対し厚い対策で取り組んでいこうとされる中で、子どもの健康の問題について県として実態を調査していただきたいと思います。
アンケート調査では、自由記載欄に書いた人156件のうち、48件が医療費に関わる意見であったという報告があります。「子ども医療費助成制度があってよかった」という意見や、「医療費が高いので民間療養法などで様子をみることがある」、「慢性疾患のため医療費の負担が大変」、このようにのべられています。また、あるお母さんは「3人の子どものうち長男は障害があることもあり、少しの体調変化があるとすぐに病院に連れて行ってしまいます。アトピーや花粉症、毎月のリハビリなど、医療費はけっこう大変です。月に1万円程度戻ってくるといっても、結局毎月、窓口での支払いは発生するので、その分は用意しないといけない。給料日前だと受診しても薬は後日にしてしまうこともあります。ほかの子は1日休めば元気になるかなと安静にしているだけだったり、市販の薬ですませてしまう」といったことです。
子どもを安心して育てていくために、安心してお医者さんに診てもらえる環境をつくっていくことこそ大事だと思います。ぜひ、これからも子ども医療費無料化の拡充を検討していただけるように切にお願いいたします。
(2)国民健康保険料の引下げについて
《質問》奥村規子 県議
次は、国民健康保険の問題です。
国保は、他の協会けんぽなど公的医療保険にくらべ、高齢者や低所得者層が多く加入しているという構造的な問題をかかえ、結果、「保険料が高すぎる」ことや財政悪化につながっています。
国は公費拡充による財政基盤の強化策として、2015年度から毎年、消費税増税分を財源に、低所得者対策として保険者支援制度を拡充し、国4分の2、県4分の1、市町村4分の1の負担割合で、公費を投入します。2015年度では、県負担分で約6億円が交付されていますので、合計で24億円が市町村国保に投入されたことになります。これは被保険者1人当たり5,000円の財政改善効果ということですが、平成27年度の保険料をみるとあまり下がったようには思えませんが、これを活用して保険料引下げにつなげることはできないのでしょうか。福祉保健部長におたずねします。
《答弁》
福祉保健部長
国民健康保険につきましては、平成27年度から、低所得者が多い自治体に対する財政支援として保険者支援制度の拡充が図られております。平成27年度では、拡充分も含め、約24億円が県内市町村国保に交付されることになります。
保険料は、一人当たりの医療費の伸びなどから必要となる費用を算出し、そこから公費負担などの収入を控除するなどして計算されますが、その際、今回拡充された公費も勘案し、保険者である市町村において適切に設定されるものと考えております。
《要望》奥村規子 県議
答弁では、低所得者対策の強化のための財政支援である言われたと思います。この24億円が投入されるということで、国保料が非常に高いなかで各市町村が適切に試算し保険料の引下げにつながるよう、県として助言するなどよろしくお願いします。
(3)地域医療構想の策定について
《質問》奥村規子 県議
地域医療構想の策定についておたずねします。
この問題は、9月、12月議会でもお聞きしました。各医療圏ごとに圏域別検討会をおこない、圏域別の構想案を県地域保険医療協議会で協議して県全体の構想案を取りまとめる、そのあと県地域保険医療審議会で構想案を審議するということでしたが、議論はどのようになっているでしょうか。
9月議会で知事は、政府が示した病床削減の推計値はあくまで参考値であること、将来の医療需要を推計し、必要病床数等を県が定めていくもので、地域の実情を踏まえ、市町村や医療関係者等の意見を十分聞きながら、地域医療構想を策定していくと答えられています。
12月議会でも部長は、医療需要の推計や国が示す地域医療構想策定ガイドラインに沿って算定されるものだが、県としては、県民が将来にわたり、必要な医療を受けることができるように、市町村や医療関係者等の現場の意見を十分聞きながら、ていねいに策定作業を進めているところだと答えられています。また、取りまとめにはパブリックコメントを求め、医療審議会では公開で議論するとされました。
今、すでに圏域別検討会は終わっている段階だと思いますが、どのような議論がおこなわれているのでしょうか。現場の意見を十分聞きながらていねいに策定作業をすすめるということですが、今はどういう段階になっているのですか。また、県としてはどういう地域医療構想をつくろうとしているのか、そのことで医療提供体制はどうなるのか、お答えください。
《答弁》
福祉保健部長
これまでの圏域別検討会においては、今後の人口推計、患者の受療動向、圏域間の入院患者の流入・流出の状況を踏まえ、適切な医療提供体制について議論してきたところです。
現在、第3回目の圏域別検討会で県下全域の高度急性期病床のあり方や回復期医療などの施策について議論しているところであり、今後、パブリックコメントで県民からの意見を求め、医療審議会の諮問を経て、地域医療構想を定めることとなります。
地域医療構想の内容は、地域保健医療圏ごとに将来の医療需要に見合ったバランスの取れた病床機能別の必要病床数やリハビリ機能の充実、在宅医療の推進といった施策等を盛り込んだものになります。
地域医療構想を策定することで、限られた医療資源等を効率的に活用し、各医療機関の機能分化と連携を図り、県民が住み慣れた地域で将来にわたり必要な医療を安心して受けることができる医療提供体制を促進してまいります。
《再質問》奥村規子 県議
2025年の必要病床数の推計は回復期病床を増やすというもので、急性期や慢性期は大きく減らして全体としては3,000床削減となっていると思います。3,500人程度は介護施設、サービス付き高齢者住宅、自宅など在宅に移行することになります。こういう状態で必要な医療が受けられるのか心配するところですが、推計値に対して現場から出される意見はどう反映して構想づくりに生かされているのか再度お尋ねします。
《再答弁》
福祉保健部長
様々なご意見を頂いているところですけれども、多くの急性期の病床に必ずしも手厚い医療を必要としない患者が入院していたり、慢性期病床においても、医療をさほど必要としない患者が入院しているといった意見があります。
県全体で病床数を3,000床削減し、介護施設や在宅などに3,500人程度移行するとのご指摘ですが、現状の病床数の中には、現在、稼働していない病床が含まれており、病床削減により直ちに病院から患者が出されるというものではありません。
一方、3,500人は推計した人数ですけれども、このうち、約半数は、将来、介護療養病床等に入院する医療必要度の低い患者であり、当該介護療養病床等は、平成29年度末の廃止を睨み、現在、国において新たな類型の施設への移行が検討されています。また、残り半数は、高齢化の進展により、今後新たに在宅での訪問診療が必要となる人であり、県では、在宅医療サポートセンターの設置など全県的な在宅医療推進ネットワークの構築を図っているところです。
このような状況を踏まえた上で、患者の病状に応じた切れ目のない医療提供体制を構築できるよう、地域医療構想の策定を進めてまいります。
《要望》奥村規子 県議
県民のみなさんが、どこに住んでいても必要な医療が適切に受けられる体制の下で、地域医療構想練り上げていく必要があると思います。そいったなかで、医療と介護との連携が必要ですが、在宅となれば介護の分野でも、特別養護老人ホームが要介護3以上の対象になってきているなかで、今までの要介護1、2の方がどうなっていくのかという懸念があります。医療の必要度ということについては、明らかに県民の中にコンセンサスを積み上げていくということをやっていただきたいとお願いします。
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2.介護問題について
(1)介護報酬の引下げの影響について
《質問》奥村規子 県議
昨年4月に介護報酬が改定され、基本報酬がマイナス4.48%という大幅な引き下げとなりました。和歌山県社会保障推進協議会がおこなった介護事業所アンケートでは、報酬引き下げで75%の事業所が減収、小規模適所介護では81%が減収となり、最も大きいところは減収幅40%という回答がありました。
また、介護職員は51%の事業所が不足していると答えています。その一番の理由は、賃金水準が低いからです。
しかし、処遇改善加算をとれない事業所は大きな減収となり、賃上げはできない状況です。
この介護報酬引き下げの影響を、どのように県として把握していますか。
《答弁》
福祉保健部長
平成27年度介護報酬改定は、全体としてマイナス2.27%の引き下げとなりましたが、その一方で、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化に係る加算の拡充や、介護職員の処遇改善に係る加算の拡充がなされております。
県としましては、事業者に対し、これらの加算の取得を促すべく、集団指導や実地指導を通じ関係事業者に対して、今回の報酬改定の趣旨、各種加算の説明などを行ってまいりました。
また、介護職員処遇改善加算の未取得事業所に対しては、県内7箇所で研修会を実施するとともに、研修会を受講していない事業所に対し、研修会資料を送付するなど、処遇改善加算の取得の促進に努めてきました。
この上で、平成28年1月時点の指定事業所件数は7,463件であり、平成27年4月から12月までの指定事業所の新規指定件数は387件、廃止届出件数は166件となっています。
廃止届出件数については、平成26年度の255件、平成25年度の274件と比較すると、今のところは、例年を上回るとは言い切れない状況にはありますが、県としましては、引き続き、事業者の経営状況に注視してまいります。
《要望》奥村規子 県議
処遇改善加算をとっている事業所の実際の賃上げの実態や、事業所の経営状況について、県として実態を十分把握していただきたいと思います。
(2)「介護離職者ゼロ」に向けての課題と対策について
・介護保険施策における課題と対策について
《質問》奥村規子 県議
安倍政権は、年間10万人超にのぼる「介護離職」をゼロにするための緊急対策を打ち出しましたが、実際は介護サービスの改悪を連続させています。
介護現場が、深刻な人手不足になっています。全産業平均より約10万円低い介護職員の平均賃金の引き上げなくして、人手不足の解消はできませんが、逆に大幅に介護報酬を引き下げました。
また、特別養護老人ホーム入所を要介護3以上に制限し、年金収入280万円以上の人の利用料負担を2割に、補足給付を縮小するなど、昨年から改悪をおこないました。
介護離職ゼロとは、まったく逆行する改悪です。さらに今後も、利用料を全員2割負担にする、要介護1、2の人の在宅サービスは原則自己負担にするなど、いっそうの負担増と給付の削減が検討されています。これでは介護離職ゼロどころか、さらに介護離職を増やさざるをえないのではないでしょうか。
このような中で、県として「介護離職ゼロ」に向けての課題と対策をどう考えているのかおたずねします。
《答弁》
福祉保健部長
「介護離職ゼロ」に向けた、介護保険施策における課題としては、将来を見据えた介護サービスの整備、介護サービスを支える介護人材の確保、介護する家族の不安や悩みに対する相談支援体制の整備の3点が挙げられます。
このうち、介護サービスの整備については、75歳以上の高齢者がピークを迎える2030年を見据えて、必要な介護サービスを計画的に整備するため、昨年3月に「わかやま長寿プラン2015」を策定したところです。平成27年度補正予算で前倒しもできるように措置された基金も活用しつつ、引き続き、同プランに基づき必要な整備を進めてまいります。
介護人材の確保については、就職を希望する高校生等を対象に介護資格の取得を支援する事業など必要な対策を進めているところであり、来年度には、介護福祉士の修学資金等の貸付、介護事業所内保育所の整備など介護人材確保対策の更なる充実を図っていきたいと考えております。
相談支援体制の整備に関しては、現在、各市町村に設置された地域包括支援センターが相談窓口として機能しており、引き続き、同センターの周知に努めていきたいと考えております。
《要望》奥村規子 県議
2015年長寿プランの介護人材需給・供給推計では、今のままでは介護職員の需給差が広がるばかりと推計されています。平成29年度では2,380人が不足する予測になっています。
答弁にあったように、資格取得の支援や保育所整備などは評価するものですが、人材確保の最も必要なのは、賃上げなどの処遇改善を行うことであり、その財源を国でしっかり充てていくよう、県として国に要望をあげていただきたいと思います。
・県内企業に対する取組について
《質問》奥村規子 県議
平成24年の就業構造基本調査によると、和歌山県内の介護を理由とする離職者は、平成23年10月から24年9月までの1年間で、1,100人となっています。
親などの介護が必要な人のうち、介護休業制度等を利用している人は14%程度にとどまっていると聞いています。県内の介護離職の状況をふまえ、その解消のための対策をどのように考えておられますか。介護離職ゼロへむけて、県としてどう取り組むのかおたずねします。
《答弁》
商工観光労働部長
介護離職をなくすため、国においては、介護の状況に柔軟に対応出来るよう介護休業の分割取得、所定外労働の免除制度の創設、介護休業給付金の給付率の引き上げなど、介護をしやすくするための育児・介護休業法等の改正が今国会に提出されております。また、介護休業の取得促進に取り組む企業や、実際に介護休業を取得させた中小企業に対して一定の条件のもとで助成金を交付する制度も設けられる予定です。
県におきましては、これまで主に仕事と育児が両立できる職場環境づくりを進めてまいりましたが、今後は、介護についても、経営者の意識改革を図るセミナーや経済団体等への出前講座、就業規則の見直し等を助言・指導するための専門家派遣、支援制度の周知啓発などを行い、仕事と介護が両立できる職場環境づくりに取り組んでまいります。
《要望》奥村規子 県議
介護離職の問題では、今度の国会に、これまでより介護休業をとりやすくするための法改正が提出されています。それが実際に活用されていける職場環境づくりを、公務職場も含めてすすめていけるように県として指導し、また、県の職場でもそれができるようにしていただきたいと思います。
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3.障害者問題について
(1)障害者差別解消法の取組について
《質問》奥村規子 県議
最後に、4月から施行される「障害者差別解消法」についてお伺いします。
この法律は、障害のある人への差別をなくすことで、障害のある人もない人も共に生きる社会をめざすという法律です。
例えば、「障害がある」という理由だけでスポーツクラブに入れないことや、アパートを貸してもらえないなど、障害のない人と違う扱いを受けているので「不当な差別的取扱い」になります。また、聴覚障害のある人に声だけで話すことや、視覚障害のある人に書類を渡すだけで読み上げない、知的障害のある人に分かりやすく説明しないことは、障害のないひとにはきちんと情報を伝えているのに、障害のある人には情報を伝えないことになります。障害のある人が困っているときに、その人の障害に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えてそれを相手にしてもらうことを「合理的配慮」といい、役所や会社、お店などが障害のある人に「合理的配慮をしないこと」も差別となります。これらは、内閣府から出されている「わかりやすい版 障害者差別解消法ができました」というリーフレットに書かれている内容です。
この法施行にむけて、必要な対応を県としてどのように考えていますか。
また、県条例制定の必要性があると私は思うのですが、その点について福祉保健部長におたずねします。
《答弁》
福祉保健部長
県としましては、障害や障害のある方について一層理解を深める必要があると考えており、県が事業や事務を実施するに当たり、障害のある方の社会参加が促進できるよう、具体的な配慮事例やそれぞれの障害特性に応じた配慮事項を盛り込んだ職員対応要領を策定したところであり、今後、研修等を通じて職員に周知徹底を図ってまいります。
また、市町村や民間事業者における取組みも重要であると考えており、各省庁が策定した事業分野ごとの指針に基づき、適切な対応が図られるよう、所管する各部局から周知してまいります。
なお、条例の制定につきましては、障害を理由とする差別の解消を推進し、障害のある方の権利擁護を一層図るため、法律の円滑な施行に取り組むことが必要であると考えており、法律の施行後の状況を踏まえ、関係の皆様の御意見を伺いながら、その必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
《再質問》奥村規子 県議
県職員の対応要領ができたということです。例えば、不当な差別的取扱いや合理的配慮をしない事例が起きた場合、県として相談体制をつくり個別の事例に対応できるようにするべきだと考えますが、そういった窓口はあるのでしょうか。また、窓口の体制というものは考えられていますか。
《再答弁》
福祉保健部長
これまでも障害者の人権に関する相談については、障害福祉課や振興局の健康福祉部で受けてきたところです。障害者を差別するなどの事案が生じた場合、障害者差別解消法を所管する障害福祉課が主になって対応するとともに、関係者で協議する場を設け、意見を伺いながら、差別の解消に取り組んでまいります。
《要望》奥村規子 県議
障害福祉課が窓口になるということです。県民の相談窓口として、周知徹底していただきたいと思います。その際に、個別の相談に適切に対応するために、相談や斡旋に弁護士や弁護士会がきちんと関わる体制をつくっていただければと考えます。単に法律相談を要する事案は弁護士会に振るということではなく、障害者差別解消法にのっとって、一人ひとりの個別の事案について、親身な相談と差別解消に向けての対応ができるように、相談体制を充実していっていただきたい。どういう合理的配慮があればいいのかということについても、当事者や企業と一緒になって考え、弁護士とも関わっていけるような形で、障害者差別解消法に沿って、障害のある人もない人も安心して暮らせていける和歌山県にしていくために、よろしくお願いします。