2016年6月県議会 雑賀光夫 一般質問 概要記録   議会中継録画
  
2016614

1.核兵器廃絶と平和行政
(1)核兵器廃絶についての所見
(2)原爆の悲惨さを語り継ぐために
(3)「核兵器廃絶平和宣言」を形に

2.熊本地震の教訓と地震対策
(1)熊本地震の教訓と地震対策
(2)「あなたの住まいは大丈夫?」をめぐって
  ・公共施設の地震対策と到達点
  ・一般住宅の耐震化の目標と現状
  ・一般住宅耐震化がすすまない原因
  ・耐震ベッド、耐震シェルターの申し込み状況
  ・申し込み方法の改善
  ・耐震ベッド、耐震シェルターは地元企業でできないか
  ・予算の拡大
  ・住宅リフォーム助成制度と結合して

3.運動部活動をめぐって
(1)運動部にかかわる教員の勤務
  ・勤務の状況
  ・長時間勤務をどう補償するのか
(2)運動部の実情はどうか
(3)適正な運動部活動の時間や日数
(4)運動部活動についての教育委員会の指導


1.核兵器廃絶と平和行政
(1)核兵器廃絶についての所見
《質問》雑賀光夫 県議
 議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第一の柱は 「核兵器廃絶と平和行政」であります。
 今年は、戦争がおわって71年の年になります。
 オバマ米大統領が広島を訪れ、原爆慰霊碑の前で演説したことが大きなニュースになりました。原爆を落としたアメリカの大統領が被爆地を訪れて原爆の悲惨さとしっかり向き合ってほしいということは被爆者のみなさんの長年の願いでありました。
 アメリカの核兵器保有国としての基本戦略は変わっていませんから、謝罪の言葉はなかったし、「核兵器即時廃絶」とまでは言わなかった。しかし、短時間ではあったが原爆資料館をみて、核兵器の悲惨さをかったったことは、一歩前進であり、こころにしみるものがありました。この「前向きの一歩」を「核兵器廃絶」への確かな一歩にしなくてはなりません。
 そんな中で、戦争被爆国日本国民として、核兵器廃絶を世界に訴えていかなくてはならないと思います。
 ところで、和歌山県議会は、平成10年6月24日に「核兵器廃絶平和宣言」を可決しています。

 「核兵器を廃絶し、恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより人類共通の悲願である。
 現在世界には、地球上のすべてを破壊して余りある核兵器が貯蔵されており、人類は常に核兵器の脅威にさらされている。
 和歌山県議会は、人類永遠の平和確立のため、いかなる核兵器も廃絶するよう強く訴え、県民の総意として、ここに核兵器廃絶平和県を宣言する。
    平成10年6月24日    和歌山県議会」

 私たちは、この悲願を実現するために、一歩一歩前に進まなくてはならない。
 この立場から、仁坂知事のご所見をお伺いいたします。

《答弁》 仁坂知事
 先日のオハマ大統領の広島訪問は、現職大統領として初めての訪問であり、私も恒久平和を望む一国民として、核兵器廃絶を目指す国際的機運を盛り上げる上で大きな機会となったと感じております。
 核兵器廃絶に関しては、議員ご指摘のとおり、平成10年6月、和歌山県議会において「核兵器廃絶平和県宣言」が議決されています。この宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求するすべての県民の願いが込められたものであると認識しております。
 私としては、県政を預かる者として、今後とも、県民が平和で安全な暮らしができることを、常に念頭に置きながら県政に取り組んでいく所存であります。

(2)原爆の悲惨さを語り継ぐために
《質問》雑賀光夫 県議
 8月には原水爆禁止世界大会が開かれます。原水爆禁止世界大会は、核戦争・核兵器の完全禁止・被爆者援護・連帯の立場をかかげ、世界中の核兵器禁止をもとめる団体・個人、さらに国連からも代表者が参加します。その世界大会を前にして、全国から広島へ平和行進が行われます。和歌山コースは5月9日、新宮を出発して6月8日、三重県に引き継がれました。
 この平和行進にあたって、原水爆禁止和歌山県協議会、核戦争防止県医師の会、非核の政府を求める和歌山県民の会、和歌山県原爆被災者の会が県庁を訪れ、県に協力を申し上げてまいりました。残念ながら県原爆被災者の会は、被爆者の高齢化のため組織を維持することが困難となり、解散されました。
 しかし、3年前にこれらの団体が県庁を訪れた際、被爆者団体が作成した「原爆と人間」(原爆写真パネル)を県で購入していただきました。その時の議長さんも「私からも声をかけましょう」と言って後押しをしていただきました。こうして、県庁本館から北別館への渡り廊下で、8月上旬に、「原爆写真展示」がおこなわれるようになりました。原爆資料館を持つ広島・長崎を別として、県庁内での写真展は、石川県につづいて和歌山県が全国二番目だそうです。
 県が腰を上げることの影響は、大変大きなものがあります。市町村でのパネル展は、31か所から45か所に増えました。ひきつづき写真展をさらに発展させていただきたいと思います。福祉保健部長にご所見をお伺いします。

《答弁》 福祉保健部長
 県では、広島、長崎での原爆の惨状を伝える写真パネルを活用し、毎年、ふれあい人権フェスタや県庁内において、原爆写真展を実施しております。
 唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて多くの人に伝えていくことは大切なことであり、今年度も8月に県庁渡り廊下において、また、11月にふれあい人権フェスタで原爆写真展を予定しており、平和に対する県民の意識がより一層、高まるよう、取り組んでまいります。

(3)「核兵器廃絶平和宣言」を形に
《要望》雑賀光夫 県議
 よろしくお願いします。
 平和行進は、昨年から30の市町村をすべてまわるようになっています。市町村ごとの出発集会では、市町村長のご挨拶やメッセージがある。募金に協力もいただける。30の市町村長すべてが平和首長会に所属し、「非核・平和宣言」をしている市町村は「平和宣言自治体」としての看板やプレートを立てて、「非核・平和」への願いを表明しています。新たに青桐や楠木を植えるという自治体もあります。
 和歌山県議会は、せっかくの「平和宣言」をしていながら、そのことが県民に知られていない。
 大きな看板を立てるという方法もあるでしょうし、県庁の前にプレートをたててもいい。「核兵器廃絶・平和宣言県」として表示をしていただきたい。要望といたします。

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2.熊本地震の教訓と地震対策
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱は 熊本地震と地震対策 であります。
 熊本の大地震、最初はこんなひどいことになるとは思いませんでした。
 最初の地震を上回る本震、いつまでも続く余震。多くの皆さんが犠牲になり、被害を受けられました。お亡くなりになったみなさんにお悔やみを被害を受けられてみなさんにお見舞いを申し上げたいと思います。
(1)熊本地震の教訓と地震対策
 まず、危機管理監にお伺いします。
 和歌山県も中央構造線が走り、地震の危険が十分あるだろうと思います。南海トラフにかかわる地震・津波の危険もあります。
 ただ、南海トラフ、南海東南海地震というものは、今後30年間におこる確率が70%といわれるが、直下型地震のほうは、そういうふうにはいわれない。その危険性をどう考え、どう心構えすればいいのでしょうか。また、熊本地震の教訓から、どういう対策が必要だとお考えでしょうか。

《答弁》 危機管理監
 今回の熊本地震は、主に布田川(ふたがわ)断層帯や日奈久(ひなぐ)断層帯の活動であると言われております。
 文部科学省の地震調査研究推進本部によりますと、平成28年1月1日現在の30年以内の地震発生確率は、同断層帯ではマグニチュード7.0クラスが最大0.9%で、主な活断層の中で「やや高い」と評価されており、一方、中央構造線断層帯の和泉山脈南縁での地震はマグニチュード7.6から7.7クラスが最大14%で「高い」と評価され、また、南海トラフ地震ではマグニチュード8から9クラスが70%程度と評価されております。
 今回の地震では、他の活断層と比較して、特別に危険性が高いと考えられていなかった活断層のある地域が、震度7の地震に2度も見舞われ、甚大な被害が発生いたしました。改めて直下型地震の恐ろしさを実感するとともに、地震は、いつ、どこで発生しても不思議ではなく、県民一人ひとりの防災意識を高め、常に準備を怠らず備えることが重要であると考えているところでございます。
 本県では、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても震源域に近く、南海トラフ巨大地震では県内のほぼ全域が震度6弱以上と、直下型と同様の非常に激しい揺れが予想されます。
 そのため、東日本大震災直後から、「防災・減災対策の総点検」を実施し、地震対策として公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について、全国でトップクラスの補助制度を用意するとともに、家具固定等についても「わかやま防災力パワーアップ補助金」により、手厚い支援を行うなど、地震に対する対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は、他の先進県と比較して決して進んでいるとは言えず、「県民減災運動」として、住宅の耐震化、家具の固定、ブロック塀の安全対策をより一層推進するとともに、併せて発災後に初期消火や救出・救助等の防災活動を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などにも取り組み、地震による災害等に備えてまいります。

(2)「あなたの住まいは大丈夫?」をめぐって
・公共施設の地震対策と到達点
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、公共施設の耐震化はこれまでも強調されてきたと思います。どのくらい進んでいるでしょうか。また、どのようにとりくんでいくのでしょうか。

《答弁》 危機管理監
 公共施設の耐震化についてでございます。平成27年3月末現在の「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査」として消防庁に報告した調査では、県及び市町村の公共施設合計5,691棟の耐震化率は79.6%、前年度と比較してプラス2.2ポイントとなっております。
 施設区分別では、文教施設が96.7%、庁舎は78.2%、それ以外が71.4%で、うち県有施設1,105棟の耐震化率については、96.7%と前年度と比較してプラス0.6ポイントとなっております。
 なお、県有の文教施設の耐震化率は100%となっており、また、未耐震の庁舎等についても、消防学校や海草振興局建設部の移転等の計画、整備を進めているところであり、県有施設については耐震化が概ね完了しております。
 市町村の役場等の庁舎は災害対応の司令塔として、また公民館等の公共施設は住民の避難施設等として重要であることから、公共施設の耐震化が更に進むように市町村に対して働きかけてまいります。

・一般住宅の耐震化の目標と現状
《質問》雑賀光夫 県議
 このたび熊本地震で大きな被害をよんだのが、一般住宅の地震倒壊の問題です。亡くなった方の7割が家屋の倒壊の下敷きになったといわれます。
 みなさんの議席に、「あなたの住まいは大丈夫?」というリーフレットを配っていただいています。
 実は、4月初めに、要求運動団体の役員会で県政報告をする機会がありました。私はこんな話をしました。
 「みなさんから強い要望がある住宅リフォーム助成制度については、県がなかなか受け入れてくれません。
 今日は、県が発行している「あなたの住まいは大丈夫・・・住宅耐震改修のすすめ」のリーフレットをもってきました。使い勝手がよくないかもしれないのですが、国3分の1、県3分の1という結構有利な補助がある。一般的な住宅リフォーム助成をやらないから駄目だというだけではなく、この制度があることも県民にお知らせして、利用を研究していただけないだろうか」
 そこには、大工さんたちも会員にかかえている民商の代表の方もいらっしゃったからです。担当課から昨年のリーフレットを50冊ばかりもらって、お配りしたわけでございます。
 その10日ばかり後で、熊本地震が起こりました。私は街頭演説で、熊本地震へのお見舞いを申し上げながら、このリーフレットの紹介をしました。
 海南市の場合、回覧板を回してこの制度を紹介しています。「耐震ベッド」「耐震シェルター」について、申込期間は、5月16日から6月3日まで、応募枠は「3件」ということです。
 そこで、県土整備部長にお伺いします。
 住宅耐震化の現状と目標、昨年度の実績をお示し下さい。

《答弁》 県土整備部長
 本県の住宅の耐震化率は、平成25年度で74%であり、平成32年度までに95%とすることを目標としております。
 県の補助制度を利用した耐震診断等の昨年度の実績は、県全体で、耐震診断616件、補強設計169件、耐震改修161件となっております。

・一般住宅耐震化がすすまない原因
《質問》雑賀光夫 県議
 これでは、なかなか進みません。なぜ進まないのか。
 県民に知られていない、関心がもたれていないためなのか。予算の上限があるのでしょうか。
 耐震設計までは全額補助できるとか、もう少し近づきやすいものにできないでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 耐震ベッド・耐震シェルターを平成27年度から補助対象に加えるなど、和歌山県の現在の補助制度は、全国でもトップクラスの制度になっていると考えております。
 県では、これまでにも、住宅の耐震化促進のため、建築関係団体との連携による広く県民の皆様を対象とした住宅相談会の開催や、事業者等を対象とした説明会などを実施してまいりました。
 今後も、より一層、住宅の耐震化の必要性と補助制度の周知を図ることによって、耐震化を推進してまいりたいと考えております。

・耐震ベッド、耐震シェルターの申し込み状況
《質問》雑賀光夫 県議
 耐震ベッドや耐震シェルターについては、耐震設計はいらないようです。どれだけ予算化されているのでしょうか、さらに昨年は県下で、また海南市でどれだけの申し込みがあったのでしょうか?

《答弁》 県土整備部長
 耐震ベッド・耐震シェルターに関しましては、平成27年度から補助対象に加えておりまして、27年度、28年度ともに合計50戸分の予算を計上しております。
 平成27年度の実績は、県全体で、耐震ベッド6件となっておりまして、その中に海南市での実績はございません。

・申し込み方法の改善
《質問》雑賀光夫 県議
 大変申し込みが少ない。どうして申し込みが少ないのか。今年は熊本地震で関心が高くなると思うのですが、海南市の場合、受け付けは終わっていますが、どうだったのでしょうか。
 他の耐震化補助も同じなのですが、耐震ベッド、耐震者シェルターについて、補助の申し込みをする前提が、「耐震診断」を受けていることになっています。熊本地震をみて、耐震シェルターをつくろうと思っても「耐震診断」を受けている間に、申込期間が過ぎてしまう。耐震シェルターを申し込めば、自動的に耐震診断をしてくれるようにするなど「使いやすい制度」にすることは考えられますが、いかがでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 耐震ベッド・耐震シェルターの補助制度につきましては、県が市町村を通じて費用を補助する制度となっております。
 県は、昨年度当初から予算化をいたしましたが、多くの市町村におきましては、補正予算による対応となってございました。
 このようなこともありまして、県民の方々にその制度が十分浸透していなかった。このことが、申し込みが少なかった主たる要因と考えてございます。
 今年度の海南市における申し込み状況でございますけれども、6月3日までの申し込み期間中に耐震ベッドに対して2件の申し込みがあったと聞いております。
 耐震ベッド・耐震シェルターへの補助は、耐震診断をする前にすることはできないかとのお問い合わせでしたが、これらの補助は地震により建物が倒壊した場合においても、安全を確保することを目的としたものでございます。建物の耐震性が確保されていないことを前提とさせていただいているものでございますのでご理解をいただきたいと思います。

《コメント》雑賀光夫 県議
 耐震診断を前提とすることは当然なのですが、今のシステムだと、耐震シェルターの補助を受けようと思ったら、今年は耐震診断を受けて、シェルターの申し込みは来年の話になってしまう。ぜひ検討してほしいと思います。

・耐震ベッド、耐震シェルターは地元企業でできないか
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、耐震ベッドや耐震シェルターの場合、大手の規格品に限られていて、地元の大工さんの手ではできないものになっています。地元の大工さんが紀州材を使ってでもできるようなものにして、おすすめもしてもらえるようなことにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 耐震ベッド・耐震シェルターでございますが、先程もご答弁申し上げましたとおり、地震により建物が倒壊した場合においても安全を確保することを目的としたものでございます。上層階の倒壊に耐えられる強度を実験等で確認する必要がございます。
 紀州材を用いた製品の開発意欲がある事業者さん、もし、いらっしゃいましたら、ご相談いただきましたら、そういった実験等確認についてもご相談をさせていただきたいというふうに思ってございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 「開発意欲がる業者があれば」という答弁ですので、業者の方にも紹介してみたいと思います。

・予算の拡大
《質問》雑賀光夫 県議
 いったん申し込みが増え始めれば、現行の予算枠では少なすぎる。枠が少なすぎるとあきらめて、申請しないということもある。この熊本地震という機会に、耐震補強を飛躍的にすすめられるように、過去3年間の遅れを取り戻すぐらいのつもりで、「必要なら補正予算枠を組む」ことにしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 先般発生いたしました熊本地震で、住宅の耐震改修への県民の皆様の関心も高まっていると考えておりまして、住宅耐震化への補助制度への申し込みが、昨年同時期を大幅に上回っているところでございます。
 県としましては、市町村と連携しながら、この機会をとらまえまして、県民の皆様の要請に対して的確に対応してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。

《コメント》雑賀光夫 県議
 県土整備部長が「この機会をとらまえ、的確に」と言われたのは、重く受け止めたいと思います。
 知事も、この議会中に「住宅耐震化の遅れ」という問題を何度も語られた。しかも熱意を持って語られた。
 今起こっている事態は、知事がおっしゃるには全国的にも高いレベルの補助制度を用意しているが思うようにすすんでいない。
 そこへ、熊本地震が起こって、県民の意識・関心が大きく変わった。しかし、県民に十分知らせられないいまに、市町村で決めた「締め切り」期日がすぎてしまう。
 また、昨年までに耐震診断を受けて「耐震化が必要」とされた住宅しか今年の耐震化補助の対象にならない。
 市町村で再募集できるようにするとか、耐震診断を受けたら直ちに耐震シェルターなど申請できるようにするとか、制度の組み換えが必要になると思う。
 制度の運用を弾力的にして、「申し込んだが締め切りでした」というようなこのないようにしてほしい。「来年まで待ってください」では、「この機会をとらまえ的確に」ということにはならないということを申し上げておきたいと思います。

・住宅リフォーム助成制度と結合して
《要望》雑賀光夫 県議
 最後に要望します。
 使い勝手がいい「住宅リフォーム助成制度」が、「経済活性化」の観点からも有効だと主張してきました。高野町で始まったものが海南市でも始まった。さらにいくつもの自治体に広がり、広川町では、大変高い補助の制度が導入されています。住宅リフォーム助成に、国・県の耐震リフォーム助成を組み合わせるような方法はないのか、そういうことも研究されてはいかがか。要望としておきます。

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3.運動部活動をめぐって
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、中学校での運動部の活動についてお伺いいたします。
 早くから質問を準備し、文部科学省でのヒアリングまでしてきたのですが、6月4日の「朝日新聞」に、「中高の部活 休養日指針」「文科省作成へ」という報道がなされました。
 さらに、今朝の新聞には「週1日以上の休養日を」と、文部科学大臣の談話がのりました。
 ある意味では時宜を得た、ある意味では流動的なので、質問しにくいなと思っています。
 中学校の教育において、「部活動」というものは、文化部・運動部を問わず大事な役割を果たしています。「中学校時代の一番の思い出は?」と聞かれたとき「部活動に打ち込んだこと」と答える子どもが多いでしょう。しかし、この活動が、教員に大きな負担になり、行過ぎると子どもの生活のバランスを欠き、子どもの心身の発達にゆがみをもたらす場合もあることが問題です。
(1)運動部にかかわる教員の勤務
・勤務の状況
 まず、教員の負担の問題からお伺いします。部活動の指導は、教員にとって本務なのか、勤務なのかどうかという問題があります。教育長、勤務なのでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 部活動は、学習指導要領の総則におきまして、「学校教育活動の一環として教育課程との関連が図れるよう留意すること」と明記されており、学校教育の重要な教育活動でございます。
 運動部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により成り立っておりますが、顧問の教員の熱心な取組に支えられているところが大きいことは認識してございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 いま、「顧問の教員の熱心な取組に支えられている」とお答えになりました。勤務かどうかについては避けて通られた。実は、ここに学校という職場の難しさがあります。教員にとって本務と言えない仕事もいっぱいある。「それを子どものために」ということで協力してすすめているのが学校というものだと思います。

・長時間勤務をどう補償するのか
《質問》雑賀光夫 県議
 この部活動で、対外試合へのつきそいを含めて、長時間勤務を生んでいる実態はないのか。あるとすれば、どう補償するのかお伺いします。

《答弁》 宮下教育長
 土曜日や日曜日等に、多くの教職員が運動部活動指導にあたっているという状況は十分に認識してございます。教職員が、土曜日や日曜日等に運動部活動指導を行った場合は、特殊業務手当を支給することとしてございます。さらに、教職員が、土曜日や日曜日等に行われる公式試合等に生徒を引率する場合については、別の日に振り替えることができる制度も設けてございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 答弁いただきましたが、これも、本格的に「振替」の週休日をとれば、授業に支障が出るという悩ましい問題もあります。

(2)運動部の実情はどうか
《質問》雑賀光夫 県議
 一番問題になる、生徒にとっての生活や心身の発達のバランスの問題です。和歌山県の中学校の運動部活動の実情はいかがでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 運動部活動は、スポーツに興味と関心をもつ生徒が、そのスポーツの楽しさや喜びを味わい、豊かな学校生活を経験する活動であるとともに、体力の向上や健康の増進につながる有意義な教育活動でございます。
 平日の放課後とともに、練習試合や大会等で土日等も活動している現状があり、一部に教員の多忙化の要因となっていることや生徒のバランスのとれた生活と成長の過程に課題があること等、指摘されてございます。
 このようなことから、昨年、県教育委員会では、中学校運動部活動の在り方に関する有識者会議を立ち上げ、学校の状況をより詳細に把握するため、今年2月に包括協定を締結した大阪体育大学と共同で、様々な角度から実態調査を行っており、9月頃を目途に、本県の有識者会議のまとめを出すこととしてございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 「土日も活動している現状を承知している」といわれる。「生徒のバランスをとれた生活と成長の過程に課題がある」ともいわれる。文部科学省も教育委員会も、20年近く前から同じことを繰り返しているわけでございます。

(3)適正な運動部活動の時間や日数
《質問》雑賀光夫 県議
 では、適正な運動部活動の時間、日数について、どう考えておられるでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 現在、報道にもありましたように、国においても、教員の勤務負担の軽減や生徒の健全な成長を促す面から、運動部活動の在り方について、検討が進められているところでございます。
 今後、これら国の動向や先程申し上げました本県の有識者会議のまとめを踏まえまして、様々な観点から運動部活動の在り方を示していきたいというふうに考えてございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 この問題については、「少なくても週に二日の休養日を」と20年近く前から当時の文部省が呼びかけているのですが、教育長は有識者会議で検討をお願いしている関係もあってここではお答えになりにくいのかもしれません。

(4)運動部活動についての教育委員会の指導
《質問》雑賀光夫 県議
 では、しかたがありませんから、「有識者会議」の意見などをうけて、20年前の「指針」は出したが現状は変わらないということの繰り返しにならないように、「運動部活動指導の手引き」の改定をふくめて改善・指導していかれるのでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 多くの教員の熱心な指導が運動部活動を支えてきたことは、十分に認識してございます。このため、これまで県教育委員会では、教員の負担軽減と専門性の確保のため、国の「運動部活動指導の工夫・改善支援事業」により、外部指導者を派遣する等してまいりました。
 また、成長期にある中学生の運動部活動においては、生徒のバランスのとれた心身の成長のために、適度な休養をとることが必要であり、これまでも「運動部活動指導の手引」により、適切な休養日と練習時間を設定するよう指導してまいりました。
 さらに、直接運動部活動の指導に携わる教職員等を対象とした「運動部活動指導者研修会」や「スポーツ医科学に基づく運動部活動指導法研修会」を開催し、運動部活動の在り方について指導してきたところです。
 平成26年3月に出しました「運動部活動指導の手引」につきましては、先程から申し上げております国の動向、あるいは本県の有識者会議のまとめを踏まえ、今後、改定も含めて検討してまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 文部科学省も20年近くたって、腰を上げたわけですから、一緒に問題の解決をされることを期待しますが、その困難さについて申し上げておきましょう。
 問題の難しさのひとつは、土日も休みなしに運動部活動の指導をなさっているのは、まじめで熱心な先生だというところにあります。少し逆説的になりますが、まじめにやっておられるから、それについて校長もどうこう言いにくい。
 私も中学校の教員だったころ、野球部の顧問をしたことがあります。若さに任せて、土日も出て行ったものです。けっこう強かったんです。
 親も野球熱心な生徒がいました。肩を痛めたのですが、試合の日に、痛み止めの注射を打ってきて「大丈夫です。投げさせてください」というのです。その子に投げさせればコントロールもよくて安心なので「本当に大丈夫か」と言いながら投げさせてしまったことが、今も心にのこる反省になっています。
 あるとき、和歌山市の中学校の校長と話をしましたら、「前の学校はバレーボールの強い学校だった。あまり行き過ぎないようにブレーキをかけようとしたら、親から叱られた。どうにもできなかった」という話をしてくれたことがあります。
 部活動でチームが強くなると、校長も止められなくなる場合もある。また、指導するのは、実際、熱心な「熱血先生」なのです。そのことは一面の事実ですが、子どもの発達のためにはどうなのかを考えなくてはならない。
 この問題は、性格はちがいますが、「体罰問題」と構図がよく似ています。
 これまで、学校やスポーツ指導の中で「体罰」が容認されていた時期がありました。マスコミの取材に、校長は「熱心さのあまり」とかばいました。実際に「熱血先生」である場合が多かっただろうと思います。
 指導者がスポーツ指導で成果を挙げれば、他の者が口出しできないという構図があった。それが、子どもの自殺まであって社会問題になって、「体罰は絶対許されない」となってきたのです。
 「体罰」と「運動部活動の行き過ぎ」は、同じ問題ではありませんが、その克服の難しさには、よく似た構図があるということを申し上げて、今度こそ、この難しい問題に教育長がしっかりと立ち向かわれるよう期待いたします。


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