2017年度当初予算

◇ 議案第1号 平成29年度和歌山県一般会計予算
  予算額 5655億2730万1000円
 (前年度 5752億0395万9000円)

 一般会計は前年度より97億円(1.7%)減の5655億円となっています。和歌山県では一昨年の国体開催にむけ予算規模が膨らんできましたが2016年度から減少に転じ、新年度予算はこの5年間でも最も低くなっています。

高速道路・幹線道路整備に260億円
 道路整備費では、前年度より減額したものの高速道路推進の国直轄事業への負担金に44億円、高速道路を補完する幹線道路整備に215億円を計上しました。道路・トンネル・橋梁の維持改修や、住民に密着した生活道路の整備・改修を圧迫しないことが望まれます。
 大型クルーズ船誘致の港湾整備、紀淡海峡道路推進
 過大な寄港見込みに基づき、大型クルーズ船を誘致するための港湾整備を2016年度補正予算とあわせて行います。ムダな大型公共事業として凍結された紀淡海峡道路の推進や、紀淡海峡フリーゲージトレイン整備の機運醸成のための経費も引き続き計上されました。
 白浜空港民営化に道開く
 県が運営する南紀白浜空港において、運営権を民間会社に譲渡できる道を開きます。安全性の担保や利便性向上、利用促進、県の財政負担など運営の中身については契約する民間会社と協議していくとしており、それらが抱えるデメリットへの対応は不確実なものです。

 防災対策  木造住宅耐震補助、ため池改修が拡大
 東海・東南海・南海3連動地震への対策では、10年間で河川・海岸堤防や港湾・漁港施設、避難路・津波避難タワー等を整備する計画ですが、南海トラフ地震への具体的な対策については市町と協議中です。また新たに、市町が津波災害の事前復興計画を策定することに支援します。
 木造住宅の耐震化補助では、これまでは1981年5月以前に建てられた住宅が対象でしたが、阪神淡路大震災を受けて耐震基準が見直された2000年5月以前のものに拡大されました。ホテル・旅館や病院など不特定多数が利用する大規模建築物のうち避難所となる施設の耐震化を引き続き支援します。
 遅れている土砂災害警戒区域指定については、2019年度までに基礎調査を完了し、2020年度までに区域指定を完了するとしています。
 日本共産党県議団が求めてきた溜め池改修の対象拡大は、市町村所有の小規模なものにまで広がりました。

医師確保のための返還免除付資金が継続・拡充
 病床削減で高度急性期・急性期病床は半滅
 医療体制では、産科医確保のための返還免除付研修・研究資金が継続され、新たに小児科・精神科・救急科を専攻する医師が対象となりました。また、小児科医不足が深刻な東牟婁地域では、小児科医が一人増員されました。
 しかし、2016年度に策定した地域医療構想に基づき、病床を9年間で約3000床削減していきます。特に、高度急性期病床と急性期病床は半分近くが減らされる計画です。新年度では、これらをすすめる施設改修や設備整備に6億円を計上しました。また、子育て世帯や市町村から要望が強い子どもの医療費無料化は対象拡大されず、就学前のままとなっています。
 県立医科大学に薬学部を設置するための設計等に1億2700万円、東京医療保健大学の和歌山看護学部を開設するための設備整備支援に1億円を計上しました。

子ども食堂支援、大学生等給付型奨学金が継続
 安倍政治による格差拡大のもとで子どもの貧困問題が深刻化するなか、食事などを提供する「子ども食堂」への支援が継続されます。日本共産党県議団は、施設整備費(総額200万円、1件上限20万円)だけでなく運営費へも支援するよう求めています。また、地域の人が学習支援や交流活動を行う「子どもの居場所」開設への支援や、妊娠・出産・子育て等への相談に対応する「子育て支援包括センター」設置への支援、保育士確保のための返還免除付修学資金も継続されました。
 日本共産党県議団が求め続けてきた給付制奨学金の創設は、2016年度から大学生等を対象に年間60万円を4年間給付する制度が実現し、2017年度でも継続されます。給付要件の緩和や年間40人に限られている募集定員の拡大が望まれます。

県の借金1兆355億円 貯金219億円はとり崩さず
 2017年度予算の歳入は、自主財源、依存財源ともに前年度より減少しました。自主財源では41億円減のうち県税収入の32億円(3.2%)減が大きく、原油価格下落の影響による地方消費税の減少や株式関連所得の減少により個人県民税が減ることなどによります。法人二税は7億円増ですが、景気の回復によるものではなく、赤字の事業所へも課税する外形標準課税の拡大などが要因です。
 依存財源のうち県債発行額は前年度より71億円減らしますが、県の借金である県債残高は前年度に1兆円を超えてからも増え続け、2017年度は72億円(0.7%)増の1兆355億円、県民一人あたり109万円に達する見込みです。
 県の貯金にあたる財政調整基金と県債管理基金は、3年連続ほぼ同額の219億円を確保していますがとり崩すことはしません。

新長期総合計画、中期行財政経営プランを提案
 2月県議会では、10年間の県政の基本指針となる「長期総合計画」と、5年間の行財政改革である「中期行財政経営プラン(素案)」が提案されました。
 長期総合計画では、2015年度に策定された「県まち・ひと・しごと創生総合戦略」にそって、人口減少社会に対応した政策がならべられています。各分野において一定の改善も見られますが、県民の生活を底から支え、地域に根差したすべての産業を応援することで、豊かな和歌山をつくっていく発想や取り組みは不十分といわざるをえません。
 観光振興では「IR(統合型リゾート)の」誘致を目指す」として、カジノ誘致を盛り込みました。刑法が禁じる賭博そのものであるカジノは、ギャンブル依存症を増やし、人の不幸を踏み台に儲けるものです。観光振興どころか地域を荒廃させます。
 中期行財政経営プランでは、削減路線の具体的な施策が提起されています。
 教職員については、5年間で
280人減らすとしています。教育的効果があり県民の要求も高い少人数学級を進めていくには、県独自でも教職員を増やすことが不可欠です。あわせて、非正規である定数内講師を減らしていくことが求められます。
 県営住宅や県立学校など公共建築物の大規模改修や建替えに必要な費用の増加が想定されますが、施設の見直しやスリム化(統合)などを進めることで経費を抑制していく方針です。


議案第2号 平成29年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
  予算額 4億1196万1000円
 (前年度 4億8141万9000円)

議案第3号 平成29年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
  予算額  5億9115万7000円
 (前年度 10億2310万円)

議案第4号 平成29年度和歌山県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
  予算額 1億8091万2000円
 (前年度 1億6656万円)

議案第5号 平成29年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
  予算額 2億4328万3000円
 (前年度 2億3219万7000円)

議案第6号 平成29年度和歌山県職員住宅特別会計予算
  予算額 1億9051万3000円
 (前年度 1億9639万3000円)

議案第7号 平成29年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
  予算額 146億1864万1000円
 (前年度 131億6429万3000円)

議案第8号 平成29年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
  予算額 5億6680万3000円
 (前年度 5億9353万5000円)

議案第9号 平成29年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
  予算額 24億7273万2000円
 (前年度 24億2457万3000円)

◇議案第10号 平成29年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
  予算額 11億8904万5000円
 (前年度  9億3704万8000円)

議案第11号 平成29年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
  予算額 15億8100万円
 (前年度 12億8879万円)

議案第12号 平成29年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
  予算額 50億9145万1000円
 (前年度 11億5487万9000円)

議案第13号 平成29年度和歌山県公債管理特別会計予算
  予算額 1233億0634万7000円
 (前年度 1058億1874万4000円)

議案第14号 平成29年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
  予算額 26億2739万4000円
 (前年度 26億6899万8000円)

議案第15号 平成29年度和歌山県工業用水道事業会計予算
  予算額 20億3868万2000円
 (前年度 16億5167万円)

議案第16号 平成29年度和歌山県土地造成事業会計予算
  予算額 27億4583万1000円
 (前年度 24億3726万9000円)


    → 議案、請願の不採択に対する反対討論