2017年9月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録    中継録画


2017921

1.太陽光発電所建設のあり方について
(1)太陽光発電の環境アセスメントの規模について

2.和歌山市駅前地区第一種市街地再開発事業について
(1)第一種市街地再開発事業について
(2)市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況及び今後の見込みについて
(3)住民参加のまちづくり(要望)

3.医療保険制度改革について
(1)国の医療保険制度改革をどう認識しているのか
(2)医療保険制度改革で国が取り組もうとしていることは何か
(3)県民への影響をどう考えるか
(4)次期和歌山県保健医療計画に関する県の基本的な考え方について


1.太陽光発電所建設のあり方について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
 まず1項目は、太陽光発電所建設のあり方について質問いたします。
 これまで、昨年の12月議会から毎議会、和歌山市の和泉山脈に計画されている太陽光発電所計画にかかわる質問をさせていただきました。知事は「地元同意がなければ申請を受付ない」とおっしゃってくださいました。大変心強く思っています。
 住民の皆さんの中で、この計画が明らかになってから、大変なストレスを感じながら毎日生活を送っていらっしゃる方々がおられます。事業者から説明を受けても、計画そのものへの不安や疑問が解消されないまま、自治会内での賛否の問い方などにも問題が生じ、隣近所で今まで笑顔であいさつをしていたのに顔を背けられたり、言えないような心無い言葉を耳にすることなど、精神的な苦痛を受けています。
 かつて、1988年4月、29年前、今の太陽光発電所計画地を含む場所に、総面積324万8,000㎡約100万坪、甲子園球場80個分がすっぽり入るほどの森林が、ゴルフ場や宅地開発のため、県に事前協議の申請が提出されました。
 翌年、「いずみ山系の開発を考える会」が結成され、住民がどのような思いでたたかったかが記されています。―有功の山を守ろう「乱開発にたちむかう10年の歩み」2000年12月発行―です。寝耳に水の開発計画を知ることによって、住民が立ち上がり、事業者が住民に対してきちんと説明を行わず、協力金でことをすすめようとした姿勢に、住民の怒りが広がったと書かれています。
 1993年9月、大阪地検が県・市および事業者などを国土法違反・所得税法違反などで強制捜査し、95年には会社社長らに有罪判決が下されました。97年には、県は開発許可を出したため、98年住民は提訴しました。その後、2000年まで11回の裁判が続きます。その間、99年5月会社は倒産しました。住民の長い闘いを乗り越え有功の山を守ることができました。
 本の冒頭に、住民代表者の方のあいさつ文があります。ご紹介します。「われわれの暮らしている周りには裏山があるのが普通であり、これを里山と呼び、かつては日常使う燃料を補給してくれる山として、あるいは、日常生活に必須の竹ざおやヨシを供給してくれる山として利用してきた。しかし、これらの必要性が弱まり、裏山を今度はどう利用して行くべきかを、環境問題とのかかわりの中で見出していかなければならない重要な時期にあるのが現状で、我々がこの問題にどう取り組み、どう処理しようとしたかを記録しておくことは、20世紀の終わりにあたり、必要不可欠であると感じているからである。里山をどう位置づけ、どう利用していくかが非常に重要な問題の一つとなり、次の世代を担う21世紀のはじめの世代の宿題となると考える」と述べられています。事業者も含め、それぞれの立場で今、その宿題を考える時だと痛感しています。
 昨日は、雑賀議員も企業の倫理について質問されていましたが、(和泉山脈の大型太陽光発電計画の)本事業者についても6月議会で片桐議員から、開発に同意する自治会とは協定書を締結し協力金を支払うという資料を配布し地元同意を得ようとしていることが紹介されました。
 先月、(和泉山脈の大型太陽光発電計画)事業者により、Q&A集というパンフレットが4,000部近く各戸に配布されました。その中に挟みこまれていたのが、お手元にあります※資料です。一見、和歌山市が作成したように勘違いするほどです。まだ正式に同意された地元自治会がないと聞いていますが、すでに約束した事項まで書かれています。これでは同意を誘導しているようなものではないかと思います。事業者自身が住民を分断するようなやり方では、信頼関係をつくることはできないと思います。町の人々の絆を壊すようなことは控えるべきです。このことを、私からもお伝えしておきたいと思います。
 さて、今年は新たな長期総合計画の初年度です。その中で、地球温暖化対策の推進を掲げ、再生可能エネルギーの導入促進の一方、森林吸収源対策や生物多様性の保全の推進で豊かな自然の継承をあげています。こういった中で、再生可能エネルギーの導入・普及の推進は喫緊の課題です。事業化に当たって、環境保全や住民の健康・安全にかかわる問題が引き起こされないように、きちんとしたルールや規制の整備が必要です。
 そこで再度、環境アセスについてお聞きしておきたいと思います。

(1)太陽光発電の環境アセスメントの規模について
 太陽光発電事業自体は、法では環境影響評価の対象ではなく、県条例では土地造成を伴う場合、環境影響評価の対象としています。しかし、アセスの対象は75ha以上です。対象事業に発電所も入っていますが、太陽光発電は対象に入っていません。
 75ha未満の事業についてもアセスの対象となるようお願いしたいと思いますが、環境生活部長の答弁をお願いします。

《答弁》 環境生活部長
 そもそも環境影響評価とは、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業の実施に際し、事業者自らが、あらかじめその事業を実施した際に想定される環境影響について「調査・予測・評価」し、事業計画に反映させる制度です。
 その考えに基づき、県条例では、環境影響評価法で規定されている第2種事業と同等規模のものを対象としているところであります。
 なお、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全については、6月議会でお答えしたとおり、土地の状況や事業内容に応じて、個別の法令による規制があることから、その中で環境の保全が図られることになります。

《要望》奥村規子 県議
 昨日の新聞に、和歌山市議会の一般質問で、尾花市長が「和泉山脈の南斜面がソーラーパネルで埋め尽くされるのは望ましくない」との考えを示したという記事が載っていました。全国でも、環境影響評価条例の対象事業(工場・事業用地造成・工業団地造成)が、神奈川県10ha、栃木県20ha、三重県20ha、滋賀県20ha、大阪府50ha、奈良県50haなど、他の都道府県でもそういう基準になっています。ぜひ、和歌山県条例において、厳しくしていただくようご検討をお願いします。
 先ほども述べましたが、太陽光自体は法では環境影響評価の対象ではありません。乱開発を規制するため、法的な位置づけを明らかにし、環境アセスメントを強化するように、あわせて国に求めてください。
 住民のみなさんに穏やかな日々が早く送れるようにしてください。


2.和歌山市駅前地区第一種市街地再開発事業について
《質問》奥村規子 県議
 現在、駅舎の解体が進んでいます。一日平均乗降客数は、37年前では4万8,000人あまりでしたが、昨年は2万人あまりです。その間、駅前の商店はどんどん廃業・閉店してしまいました。一時は市駅がなくなるのではないかと言う噂が横行していました。しかし、本事業によって、和歌山市の玄関口としてより一層の賑わいと魅力のある都心形成を目指すということで取り組まれています。ここで、お尋ねいたします。

(1)第一種市街地再開発事業について
 「第一種市街地再開発事業」とはどういった事業でしょうか。その事業目的及び補助内容はどうなっていますか。また、市駅前については、施行者と県と市の共同した取り組み内容と、総事業費・補助金についてもお答えください。どのように取り組まれてきましたか。

《答弁》 県土整備部長
 第一種市街地再開発事業は、都市計画法及び都市再開発法に基づき行われる事業であり、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としております。
 駅前など利便性の高い地域の特性を生かし、老朽化した建築物を除却し、再開発地区内の敷地を共同利用して、住宅や商業施設等を面的に整備するのが、その一例でございます。
 事業の仕組みとしては、従前の土地や建物の権利が、従後の敷地と新しい再開発ビルの床の権利に置き換えられます。
 また、事業に係る費用は、新たに生み出された床の売却費と、国、地方公共団体からの補助金等を財源とする仕組みとなってございます。
 補助金の対象は、再開発ビル等の建設のための地質調査や設計等に係る「調査設計計画費」、既存建築物の除却や補償に係る「土地整備費」、再開発ビルの共用通路やエレベーター、駐車場等の整備に係る「共同施設整備費」となってございます。
 また、和歌山市駅前地区の再開発につきましては、和歌山市、南海電鉄、和歌山県の3者で構成される「南海和歌山市駅周辺活性化調整会議」において、駅ビルの更新や周辺公共施設の集約・再編について検討するなど、取り組みを進めてきたところでございます。
 なお、総事業費は約121億円を予定しており、補助金額は国、県、市、合わせて約62億円の予定となってございます。

(2)市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況及び今後の見込みについて
《質問》奥村規子 県議
 次に、市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況、今後の見込みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。

《答弁》 県土整備部長
 人口減少に対応したまちづくりは、それぞれの市町村において、都市の外縁部への拡大をやめて、既存市街地などの拠点の再開発等により、都市機能や居住機能を集約するとともに、必要に応じて各拠点間を交通ネットワークで結ぶことが重要であると考えてございます。
 和歌山市駅前地区の再開発事業においても、商業施設、市立図書館やホテル等、多様な都市機能の集約による賑わいの創出や駅前広場の再整備と合わせた利便性の向上などを目的に、老朽化し耐震性の不足する駅ビルを更新し、和歌山市駅を魅力ある拠点として再生していくこととしております。
 進捗状況といたしましては、和歌山市が、平成28年3月に都市計画決定を行いました。その後、南海電鉄が施行者となり、今年4月から既存施設の除却工事に着手しており、平成31年度末には建築工事が竣工予定となってございます。
 なお、建築される各施設は、和歌山県福祉のまちづくり条例に基づいて、高齢者や身体障害者等が安全かつ円滑に利用いただけるよう、バリアフリー化される計画になってございます。
 地元住民の声の事業への反映につきましては、様々な手法が考えられますが、市駅前広場の再整備にあたっては、地元の自治会、商店街組合、南海電鉄、バス・タクシー事業者、学識経験者、警察、市、県で構成される「和歌山市駅前広場整備推進協議会」において、公共空間の整備方針を検討しているところでございます。さらにその利活用方策についても、広く提案を募集するなど各方面のご意見を伺いながら進めているところでございます。

(3)住民参加のまちづくり(要望)
《要望》奥村規子 県議
 高度経済成長期は、日本の人口・産業が急増した時代で、増える人口・産業が大きな課題だったように思います。無計画に工場用地を造成すると、効率の悪い工場地帯になるため、道路、工業用水等が整備された工場用地の効率的な造成が求められ、各地で工業団地の整備が行われました。また、都心部では高容積のオフイスビルが必要となり、密集して立ち並んでいる木造家屋を撤去して、高層ビルを建てる制度が必要となりました。そのため、都市再開発法や土地区画整理法、また新住宅市街地開発法が制定されてきました。増え続ける人口を効率的に受け止めるためだと考えます。
 しかし今、直面している問題は、人口減少という社会的問題が大きく変化していることではないでしょうか。人口の減少に対応したまちづくりが必要と考えます。福祉のまちづくりも含めて、住民参加のまちづくりが大切です。地元みなさんの声、また商業関係の方だけでなく、そこに住み続けているご高齢の方がその場から出て行かなければいけなくならないように、お願いしたいと思います。
 地域で暮らし続けられる街づくりが必要です。高度経済成長期のように、大工場で雇用を確保することは無理です。それに変わる重要な雇用先は、第一次産業や教育・医療・福祉などではないでしょうか。
 人口が減少する時代、大切なことは、人口が減っても生活の質が低下しないようにすること、さらに生活の質を向上させることです。そして、住民の定着が進むようにしなければなりません。市民参加のまちづくりこそ、地域の活性化の力になってゆくと思います。
 本事業が、その点で住民の生活とどうかかわるのか、地区レベルでのきめ細かな施策が必要です。高齢者施設や障害者施設、街づくりがばらばらに動くのではなく、相互に調整しながら動くようにすべきです。そのためには、地域のみなさん、各関係のみなさん、団体のみなさんとあわせて、行政職員がきちんと配置されることが大事です。ハード面だけではなく、本当の活性化のためには、どのような仕組みでどのようにしていくのかお考えいただきたいと思います。
 今、広場整備推進協議会の中で話をされています。しかし、それだけではなく、広場の活用や、市民会館の移転跡地の活用なども含め、和歌山市全体の玄関口として、十分みなさんの意見が反映され、議論できるような仕組みをご検討お願いします。


3.医療保険制度改革について
(1)国の医療保険制度改革をどう認識しているのか
《質問》奥村規子 県議
 国は、社会保障予算の「自然増削減」を基本方針として、医療制度を次々と変え、医療にかかれない事態が深刻化しています。
 70歳から74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げが、2014年度から対象年齢を1歳ずつ引き上げる形で実施され、すでに70歳から73歳の方が2割負担となっています。2015年に可決された「医療保険改正法」による入院食費の負担増、「患者申し出療養」の導入、紹介状なしで大病院を受診した患者からの追加負担徴収など、患者負担を増やし、保険外診療を拡大する改悪も実行に移されました。
 市町村によっては更なる保険料(税)引き上げにつながりかねない「国保の都道府県化」、「医療費適正化計画」による給付費の抑制、「地域医療構想」による病床削減など、住民に負担増と削減を押し付けるものになっていると思います。
 また、介護保険制度についても大改悪がすすめられています。「医療・介護総合法」により、「要支援1・2」と認定された人は、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護が、介護保険の給付から外されました。これらのサービスを保険給付から外すかわりに、自治体が実施する地域支援事業に新しいメニューを設け、代替サービスを提供すると国は説明しています。特養への入所は「要介護3」以上に限定され、利用料の2割負担を導入し、介護施設の食費・居住費に対する「補足給付」の対象は限定されました。
 他にも、年金や生活保護費の切り下げなどを行っています。
 特に今回は、医療の分野について福祉保健部長にお尋ねいたします。これまでの国の「医療保険制度改革」について、どう認識していますか。

《答弁》 福祉保健部長
 誰もが安心して日常生活を送るためには、必要なときに適切な医療を受けられることが重要であります。
 そのため、我が国では、国民皆保険制度の下、保険料や税負担によって医療保険制度を充実させ、その結果、長寿社会が実現してきました。
 一方、少子化が進展する中、制度を持続可能なものとしていく必要があることから、これまで国が行ってきた医療保険制度改革は、税収の確保とともに、負担能力や世代間の公平に配慮した負担の仕組みづくりや生活習慣病の予防などによる医療費適正化の取組を推進するという方針で実施されてきたものと認識しております。

《意見》奥村規子 県議
 全ての人が憲法25条の下で、安心して生活を送るための一つが、社会保障制度をきちっと提供していくことだと思います。部長は「必要なときに適切な医療」といわれましたが、私は「必要なときに必要な医療」を受けられることが大切だと思います。
 「必要な医療」と「適切な医療」は、違うのではないかと意見します。

(2)医療保険制度改革で国が取り組もうとしていることは何か
《質問》奥村規子 県議
 「医療保険制度改革」で、国が取り組もうとしていることについてお伺いします。
 国は、今年度から、後期高齢者医療保険料の特例軽減を打ち切り、低所得の高齢者に大幅な負担増を押し付けるなど、さらに県民負担が増えています。今後どこまで増えていくのか、果てしない不安が広がっています。
 今後、国が取り組もうとしていることは何ですか。

《答弁》 福祉保健部長
 今後、国が取り組もうとしている医療保険制度改革の内容といたしましては、所得の低い方に配慮した上で、入院時の食事代の負担額や高額療養費の自己負担限度額引き上げなどにより負担の公平性を図ることに加えて、都道府県が国民健康保険の保険者となり財政運営の安定を図ることや、医療費適正化計画を見直すことなどがあります。
 なお、国が決定した「医療保険制度改革骨子」では、医療保険制度の安定化と持続可能性の確保に向け、負担能力に応じた負担のあり方などが、今後さらに検討を進めるべき事項として示されております。

(3)県民への影響をどう考えるか
《質問》奥村規子 県議
 このような状況のもとで、非正規雇用が増え、労働者の平均年収はここ20年で50万円以上も下がっています。貧困が拡大する一方、医療保険の負担増は、暮らしを破壊し脅かすものとなっています。
 県民の暮らしへの影響を、どのように考えていますか。

《答弁》 福祉保健部長
 今回の医療保険制度改革では、国民健康保険や後期高齢者医療制度における保険料の軽減対象となる所得基準が大幅に拡大されるなど、所得の低い方への配慮が行われております。
 一方で、改革により負担の増えた県民もおられます。
 県といたしましては、誰もが安心して適切な医療サービスを受けられることが重要であると考えております。
 そのため、国に対して要望を行ってきた結果、所得の低い方の多い国民健康保険への財政支援が拡充され、一定の成果が見られたところでございます。

《要望》奥村規子 県議
 各市町村において、国険料(税)が払えず滞納している状況がありますが、その中身をしっかり分析していただきたい。私の周りでは、納入できるのに納めていないということはありません。
 全国的にも、ひとり親家庭の半数以上が相対的貧困であると、新聞でも報道されています。生活が非常に厳しい方たちの状況もふまえて、保険制度がどうあれば良いのか考えていただきたいと思います。また、誰もが安心して「必要な医療」を受けられるよう考えていただきたいと思います。

(4)次期和歌山県保健医療計画に関する県の基本的な考え方について
《質問》奥村規子 県議
 次に、保健医療計画についてお尋ねいたします。
 保健医療計画は、「良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制を構築し、県民のみなさんの医療に対する安心・信頼の確保を図るために、医療法に基づき策定」とあります。県としての基本的な考え方について、福祉保健部長にお尋ねいたします。

《答弁》 福祉保健部長
 次期計画である第7次和歌山県保健医療計画は、将来にわたり県民が安心で質の高い医療を受けることができるよう、在宅医療や救急医療などの医療提供体制構築の方向性を示すものであります。
 また、高齢化の進展に伴い、医療と介護の連携が重要であることから、同時改定となる次期和歌山県介護保険事業支援計画との整合性を図ってまいります。
 県といたしましては、県民が引き続き住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域の実状に合った医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築に向け、計画の策定に鋭意取り組んでまいります。

《要望》奥村規子 県議
 保健医療計画については国から、地域医療構想や医療費適正化計画を含めて医療提供体制を考えていくことが示されています。県として、県民のくらしに寄り添って、くらしの実態や、医療への要求、困りごとといったことを十分把握した上で計画を作っていくという立場でがんばってほしいと思います。
 仏教大学総合研究所共同研究による「脱貧困プロジェクト・入院診療での子育て世代実情調査」というものがあります。そこでは、貧困家庭の子どもの喘息発作入院は、そうでない家庭の2倍とあります。受診を控えたのは4.3倍、入院を4回以上しているのは1.7倍となっています。貧困と病気とが密接につながっていることが、調査の中で明らかになっています。
 ある医療現場の先生の、子どもの喘息患者に関するお話です。喘息の子どもには継続した治療が必要なのに、予約の日に来きません。発作を起こしてから受診するのが常で、その都度お母さんに定期受診の必要性を説明すると「わかりました」というのですが、やはりこないという繰り返しでした。次に受診に来られたとき、勇気を出してお母さんに「予約日に来ないのは、もしかして、経済的に大変だからですか」と聞いてみると、「実はそうなんですと」打ち明けてくれたというのです。給料日のすぐ後でないと来られない、ということでした。
 また現場からは、病院にきた時にはすでに手遅れの状態だったということも報告されています。
 そういう一つ一つ、一人ひとりの状況を把握して、次の保健医療計画をつくっていっていただきたいと思います。
 現在、国において2018年度の予算案づくりが始まっています。その中で早々と、社会保障の削減を打ち出しているのが今の政府です。社会保障費の伸びを1300億円削減する大枠まで決めました。来年度は、医療・介護・障害者福祉など、各分野での報酬やサービスの改定が同時に行われる、大きな節目の年度です。国民の暮らしを支えるには、医療・介護などの分野で財源をしっかり確保して、制度を拡充させることが必要です。社会保障削減ありきではなく、県民の声をしっかりと受け止め、県政がくらし・いのちを守る防波堤になることを願って、一般質問を終わります。


 
                                           福祉保健部長の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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