2017年9月県議会 文教委員会
  雑賀光夫委員の質問概要記録
               2017925


《意見》雑賀光夫 委員
 今回、質問・意見交換しようと思っていたが、やめたテーマがある。
 9月3日に開催された、結婚・子育て応援企業同盟の結成式典「わかやま子育て応援シンポジウム2017」に参加し、そこに“尾木ママ”と呼ばれる尾木直樹氏がきた。
 議員でも参加した方がいると思うが、尾木氏の話は、9月1日に子どもの自殺が多いという話から始まって、学校というのは義務教育というけれど、子どもにとっては義務じゃないとか、学校を選ぶか自分の家で勉強するかの選択があるとか、教育先進国であるオランダやフィンランドでは、いっせい学習でなく個別学習をしている、それは20人学級だからできるんだとか、そういう内容であった。
 話は私たちには理解しにくいところもあったが、教育とは何かということを考える上で、私たちには「学校とはこういうものだ」という固定観念があったりするものだから、文教委員会で意見交換できたらいいなと思い、それをテーマとして用意していた。
 ところが、教育長は行っていないし、私がこの問題で接した人で、行った人はいなかった。自由に意見交換したいと思っていたが、そうなりそうもないので、このテーマで質問するのはやめたという経緯があったことを申し上げておきたい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 「差別のない社会をめざして」のパンフレットを学校に配付しているということであるが、その目的、冊数、どのくらいの予算でやられたのかについて聞きたい。

《答弁》 人権教育推進室長
 目的は、保護者、教職員及び社会教育関係者等に対して、法律を広く周知するとともに、同和問題について正しく理解してもらうことを目的に作成した。
 発行部数は13万部。予算は、人権教育総合推進事業の予算の中で作成している。パンフレットを作った平成28年度予算は、1121万5,000円のうち、印刷製本等に係る予算は137万円である。

《質問》雑賀光夫 委員
 部落差別は大きく解消の方向に向かっている。しかし、差別は完全になくなっているわけではない、という点がお互いの共通認識だろうと思う。
 部落差別の古い差別意識をどうするのかという問題であるが、古い差別意識を持っている人は、そのことが社会から相手にされない、今どき何を言っているのかと笑い飛ばされる状態にすることが必要であり、それにかなり近づいてきていると思っている。
 このパンフレットには、今も部落差別が残っていることを一生懸命書いている。法律には、部落差別があることを書かないと仕方ないのはわかる。
 しかし、たくさんの保護者向けにパンフレットを配付するのであれば、まずは部落差別が、例えば結婚の壁も含めてどんどん乗り越えているという段階であり、今どき同和地区や結婚問題で差別することは時代遅れであり、古いことだということをわかってもらうパンフレットを作ることが必要ではないか。そのようなことを言うのは恥ずかしいことだという気持ちになるようなものを作ることが必要であると思う。意見として申し上げておくが、何かご意見はあるか。

《答弁》 人権教育推進室長
 委員ご指摘のとおり、部落差別については、多くの人たちの努力により、33年間に渡る特別措置法その他の経過のもと、解消に向けて進んできてはいるが、今なお、インターネット上の差別書き込みや県庁等への同和地区の問い合わせなど、たくさんの差別事象が起こっている。それらを解消していくために、まず、同和問題について正しく認識していただくことが、教育委員会としての考えである。

《意見》雑賀光夫 委員
 差別をなくす方向へどういう啓発をするかが問題である。
 ここで、差別落書きについてのエピソードを紹介しておく。
 10年以上の前のことだが、県内のある高校のトイレに差別落書きがあった。校長先生は、どのようにしたらいいかと思い、当時の和歌山県同和教育研究協議会の会長に相談した。「それは消したらいい」と言われたが、消したら後から何か言われないか心配したが、校長と会長の2人で、バケツと雑巾を持って差別落書きを消した。
 もうひとつの事例を紹介する。ある高校では、トイレにあった差別落書きはすぐには消さなかった。そこの校長は、「消したらあかん。しばらく置いておけ。しばらくトイレは使用禁止だ」と言った。こんな差別があるということを知ってもらうために、生きた教材として1週間、みんなに見せた後で、やっと落書きを消した。
 どちらが、差別をなくすためにプラスになるのか。言い換えれば、差別をした人は、どちらを喜ぶのか。そういうことを付け加えて、次のことを紹介する。

《質問》雑賀光夫 委員
 このパンフレットでは、全ての漢字にルビを振っている。教育委員会のパンフレットで、このようにルビを振ったものは見たことがない。どうして、このようにルビを振るのか。

《答弁》 人権教育推進室長
 このパンフレットは保護者用の学習教材として作成しているが、地域の方々にも学習できる教材として活用してもらっている。誰もが読めるようにということでルビを振っている。

《質問》雑賀光夫 委員
 私は昔、解放新聞を愛読していた。学生時代のことであるが、京都のある部落で、そこには子ども会があり、解放新聞にはルビが振ってあった。60年代で、同和対策審議会答申が出てすぐで、特別対策が出るまでのことだ。その時代は、同和地区には学校に行っていないため漢字が読めない人もいて、解放新聞にルビを振っているのは、そういう人向けのものであり、社会的アピールの意味もあったと思う。
 しかし今、こういうルビの振り方は、ちょっと異常だ。例えば、相談窓口のところだが「地域振興部 総務県民課」と何度も出てくる文字の全てにルビを振っている。これでは、同和問題は特殊な世界であると思われがちであり、かえって偏見を与えるのではないか。

《答弁》 人権教育推進室長
 人権教育推進室では、特に社会教育の分野では、識字教育についても担当しており、推進のため様々な研修会や学習会を開催している。それも含めてルビを振っている。同和問題だけ特別にルビを振っているわけではない。
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《質問》雑賀光夫 委員
 6月議会の文教委員会で、教育長に大変大事な答弁をしていただいた。他の議員さんも繰り返し言っている定数内講師について、5年間で半分にすると言われた。500人を250人にするということは、1年間に50人減らすということである。もちろん、30人しか減らせないこともあるし80人減らせることもある。
 とこらが、今年の教員採用の募集人数が少しは増えるのかと思って見ていたが、増えていない。退職者を学校人事課のほうで一生懸命計算して、相談をして判断をしたのだろうが、毎年平均50人減らすと言われて、今年は募集定員が前よりも減っている。これで本当に、定数内講師を減らすという「公約」が実現するのか大変心配している。

《答弁》 宮下教育長
 「公約」というよりも、その時は「腹づもり」ということで話をさせてもらった。5年間というめどの中でお話しをさせていただいている。その時々の状況があるので、それを私どもも先を見越して学校人事課のほうでやっている。しかし、これは採用だけで左右される訳ではなく、詳しい話は課長の方からさせていただくが、1年1年積み重ねた上で努力していきたいという話をさせていただいた。

《答弁》 学校人事課長
 議員のご指摘にもあったが、今年度、採用検査の募集人員は306名としており、昨年度と比べて80名程度少なくなっている。採用検査の募集人員については、児童生徒数、退職者の数、再任用を希望する方、こういったものを基本とし、当然、定数内講師等の数についても勘案しながら決定している。教育長が申し上げた目標に向かって予定どおり進むものと考えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 もちろん減らす腹づもりだと、これをはっきり言われたわけで、その腹づもりで来年の募集定員は決めるというふうに学校人事課では決められた。学校人事課の方で募集定員を80名減らすということで、それでよろしいと決裁された。その結果についてまた議論することになるのだろうが、目標で終わったということにならないようにしていただきたい。

《答弁》 宮下教育長
 積み重ねの中ということであるので、5年間で半分にする腹づもりで努力したいと話をさせていただいた。それは、今年必ず50人減らすということにはならないと思っている。その時々状況が違うので、多いときもあると思うし、少ないときもあると思う。5年後はどうなっているかということになるかも分からないが、私個人の話だけではなくて、教育委員会全体として取り組むということである。例えば、今年も国で定数の数え方が変わった、というようなことが出てきている。私どもが思った以上のことが起こり得るので、どう飲み込んでいくかということを考えている。毎年毎年努力して全体として達成していきたいと申し上げた。そのことを理解していただきたいと思う。

《意見》雑賀光夫 委員
 責任を果たしていただくよう期待をしている。



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