2.自然エネルギー開発と自然保護
(1)紀美野町のメガソーラー計画の問題点
・かしこ池の改修計画と開発の影響
・メガソーラー業者との協議
・地元自治会からの陳情書について
・地元同意の取り扱いについて
(2)海南市・紀の川市周辺での超大型風力発電計画
(3)自然破壊しない自然エネルギーについて
(4)企業との協力のための企業倫理の確立
3.プレジャーボート係留施設について
(1)プレジャーボート係留施設の進捗状況
(2)係留施設の利用状況とその促進
・利用状況はどうか
・利用しにくい点があるのではないか
・利用を促進するための方策
(3)海南市の費用協力のみなおし(要望)
1.「交通弱者」にやさしい交通政策
《質問》雑賀光夫
県議
議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
第一の柱は、「交通弱者」にやさしい交通政策という問題です。
私たちは最近、海南市で「市民要求アンケート」を行いました。年金・国保・介護にかかわる要求が多いのですが、それに加えて、「交通弱者」の悩みが多くなっているのが最近の特徴です。
高齢化の進行が一つの要因です。もう一つは、歩いて行ける範囲に商店がなくなったという問題があります。それに加えて、人口減少に伴って、利用者が減ったため路線バスの廃線や運行回数の減少もあります。
「高齢になって、免許証を返納したいが、返納すると生活ができない」「病院にいくのも買い物に行くのも、誰かに車に乗せてもらわないといけない」という声がたくさん寄せられています。
最近、高齢者がかかわる交通事故についての新聞報道も多く目にします。こうした問題に、行政として対応しなくてはなりません。
(1)高齢者の交通事故と免許証返納
まず、高齢者の交通問題の一端を明らかにするために警察本部長にお伺いいたします。高齢者の交通事故の状況、免許証返納のとりくみ、そこにはどんな課題があるかをお伺いしたいと思います。
《答弁》 警察本部長
本年7月末現在における高齢者の関係する交通事故は、発生件数564件(前年同期比-49件)、死者数6人(前年同期比-6人)といずれも減少しておりますが、全事故に占める割合は37.7%、全死者に占める割合は42.9%といずれも高い割合を占めております。
また、高齢者ドライバーが関係する事故につきましても、発生件数は475件(前年同期比-32件)と減少していますが、全事故に占める割合は31.8%と高い割合を占めております。
こうした実態から、警察では、高齢者の交通事故防止対策は喫緊の課題であると考えており、関係機関・団体と連携して、運転免許の自主返納の働きかけや参加・体験型の交通安全教室の開催、街頭指導活動の強化などの対策を推進しております。
続きまして、運転免許証の自主返納状況ですが、平成10年に「申請による運転免許の取消」制度が施行された当初は、自主返納者は、年間僅か20人~30人でありましたが、年々増加し、昨年は、2,566人の方が自主返納されております。
警察といたしましては、交通事故の未然防止の観点から、身体機能の低下を自覚された高齢者の方が自主返納制度を利用されることは大変好ましいことであると考えておりますが、その一方で、免許返納後の交通手段の確保が課題でありますので、自治体や関係機関に対して、コミュニティバス利用時の運賃助成等の働きかけを実施しているところであります。
(2)人口減少のもとでの地域交通の確保
《質問》雑賀光夫
県議
住民のニーズに合わせて知恵を絞らなくてはなりません。
次に、人口減少のもとでのバス路線の廃線などもあり、コミュニティバスの運行、最近導入されつつあるデマンド型乗合タクシーなどいろいろな努力をされていると思うのですが、その実情やご取組について企画部長からお聞かせいただきたいと思います。
《答弁》 企画部長
市町村が運行するコミュニティバスにつきましては、路線バスの廃止などに伴う代替手段として、平成29年8月末現在、21市町村で運行され、そのうち、10市町で予約に応じて運行するデマンド型を導入しております。
しかしながら、本来、路線バスを補完するためのコミュニティバスが路線バスと重複運行する要望が出され、調整ができなくなったり、住民の要望に基づきバスやタクシー事業者も含め関係者が協議し、コミュニティバスの運行を始めたものの、利用者が少ないとか、デマンド型に運行形態を見直したものの予約が面倒で利用者が減少したなどの課題が出ております。
こうした課題に対応するため、県では、昨年度から全市町村を訪問し、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークを再構築することを目的とした地域公共交通網形成計画の策定を働きかけるとともに、公共交通の現状や課題が把握できるよう、市町村ごとにバスや鉄道のルートと利用状況などを図示した公共交通マップを作成し、地域公共交通の確保に向けた意見交換を実施しております。
今後とも、地域公共交通の確保に向けて、路線バスやコミュニティバス、乗合タクシーの組み合わせ方や、利用促進策などを市町村や事業者の方々と一緒になって検討してまいります。
(3)特に「デマンド型乗り合いタクシー」に対する国庫補助について
《質問》雑賀光夫
県議
いまも触れられましたが「デマンド型乗合タクシー」というものがあります。自治体がタクシー会社と委託契約を結び、予約して利用する。紀北地方のある自治体の場合、決まった路線を走るのですが、一回の運行で利用者は200円払う。自治体は2,110円をタクシー会社に払う。2,110円というのはタクシー30分の利用料金相当額だそうです。一人で乗れば1,910円、二人で乗れば1,710円が自治体の負担です。
コミュニティバスも一緒なのですが、自治体の負担額の半額を国庫が補助するという制度がある。さらに残りの80%が特別交付税で算定されます。それだと自治体負担は10%ですむことになる。この自治体の場合、年間利用者183人、自治体の負担は約28万5,000円。その10%というと2万8,500円で183人の方が利用できる、かなりの支援があります。
しかし、一つの問題は、国庫補助制度には、コミュニティバスも含めて限度額があってこの自治体の場合、平成28年度は、前年度より365万円もへらされているということです。
私は、住民の願いにこたえる自治体の施策を守るために国が支援する必要があると思いますが、企画部長はどうお考えでしょうか。
《答弁》 企画部長
国の地域公共交通確保維持改善事業の予算につきましては、近年横ばいで推移していますが、申請件数の増加に伴い、補助上限額が引き下げられているという状況です。
国の補助事業の予算確保につきましては、地域公共交通の確保維持を図る上で非常に重要であると考えており、全国知事会で要望しているところであり、また、あらゆる機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。
一方で、せっかくコミュニティバスなどを運行させても、地域住民が乗らなければ市町村の負担が大きくなりますので、地域住民がより利用する方策も必要であり、例えば、県内には、地域住民が運行経費の一部を負担し主体的にバスを運行する事例もあることから、このような取組を広めていくことも重要と考えております。
《要望》雑賀光夫
県議
国政の方ではこうした支援が減らされている中で、県としての支援も今後検討していただけるように、要望しておきたいと思います。
2.自然エネルギー開発と自然保護
《質問》雑賀光夫
県議
第二の柱は、自然エネルギー開発が自然破壊や健康破壊を引き起こしているという問題です。
私たちは、原発廃止の立場から、ソーラー発電など自然エネルギー推進を主張してきました。しかし、自然エネルギーであっても企業の利潤追求が優先されると、自然破壊、健康破壊につながることが、明らかになってきました。
その一つが、風力発電の低周波公害であり、何回かこの場でもとりあげてまいりました。その被害者の一人である由良町にお住いだった谷口愛子さんが、最後まで、低周波の苦しみを訴えながらお亡くなりになりました、謹んで哀悼の意を表したいと思います。
「自然エネルギー」の美名のもとで、環境破壊が心配されているもう一つが、メガソーラーの問題であります。その一つが、奥村県議ほかのみなさんが取り上げてきた、泉山系を切り開く超メガソーラーであります。さらに、私の地元・紀美野町にも甲子園球場の10倍に近いメガソーラーの計画がもちあがっています。さらに海南市では重根・田津原という地域で、山を切り開いてメガソーラー発電をするという業者が地元自治会に地図をもってまわってきています。漏れ伝わってくるところでは、18万5,000㎡の山林に3万4,000枚のソーラーパネルを敷くともお聞きしています。
また「海南・紀の川風力発電事業の計画」というものも持ち上がっています。
これらの計画は、どれもが山地を開発、森林を伐採してメガソーラー、風力発電を進めようとする計画です。
(1)紀美野町のメガソーラー計画の問題点
・かしこ池の改修計画と開発の影響
そこで第一点、私の地元・紀美野町のメガソーラー計画は、安全対策が課題となっている樫河(かしこ)池の上流域の山林を切り開くものです。この池は、かつて決壊したこともあるとお聞きしています。どのような改修を計画しておられるのか、池の上の森林が伐採されればどんな影響があると考えられるのか、農林水産部長からお聞かせください。
《答弁》 農林水産部長
樫河池は平成28年6月20日に土地改良法手続きによる事業計画が確定し、その計画に従い平成28年度よりため池改修事業を実施しております。改修内容につきましては、老朽ため池対策として堤体、洪水吐(こうずいばき)、取水施設等、ため池施設全体を改修することとしております。
森林伐採の影響ですが、メガソーラー事業による森林伐採で降雨量の流出量が増加することから、樫河池を含む下流域への影響が懸念されているところです。
・メガソーラー業者との協議
《質問》雑賀光夫
県議
この業者が、地元住民への説明会を開催しました。業者は、安全対策について県の担当者と協議していることを縷々説明しておりました。かしこ池に関して、そのような協議はなされているのでしょうか。
《答弁》 農林水産部長
安全対策に関する協議状況ですが、業者より平成29年3月27日付けで林地開発事前協議の申し出書の提出があり、県が改修を計画している樫河池を調整池として活用することとなっておりましたので、県の改修計画では調整池機能は付加されていないため関係機関と協議が必要な旨、意見を付し平成29年6月2日付けで通知したところです。
その後、現時点までメガソーラー業者と県担当課との具体的な協議は行われておりません。
・地元自治会からの陳情書について
《質問》雑賀光夫
県議
当該メガソーラー事業の地元から、県に対してメガソーラー事業反対についての陳情を出されたとお聞きしていますが、お受け取りになっているでしょうか。
《答弁》 農林水産部長
県への陳情書につきましては、平成29年8月17日、海草振興局農林水産振興部林務課に、動木(とどろき)区長名と希望ヶ丘自治会代表者名で、紀美野町小畑(しょうはた)地区での太陽光発電計画に反対する内容の陳情書がそれぞれ提出され、受理しております。
・地元同意の取り扱いについて
《質問》雑賀光夫
県議
地元が明確に反対の意思を示しているわけですから、小畑地区のメガソーラーは、できることはないと解釈してよろしいですね。
《答弁》 農林水産部長
6月議会でも答弁したように、「和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、事業者からの申請に地元自治会や隣接する土地所有者、水利組合等の同意書の添付を求めており、事業者からの申請に同意書の添付がなければ、その申請書は受け付けない」という対応に、なんら変わりはございません。
《要望》雑賀光夫
県議
こうした中で、海南市重根田津原地域の山林を切り開くメガソーラー計画がありまして、海南市長への届け出があり、市長からは「指導通知書」が出されています。
私たちは、地元の関係者、地質の専門家と一緒に山をあるいてきました。
「藤白断層が走り、斜面崩壊の危険がある地域である」「斜面崩壊があったばあい、すぐそばを流れる日方川をうずめて、洪水の恐れがある。」など心配の声があがっています。現地ではモノレールなどつけて資材の運び込みの準備をしているようです。それ自体、なんの許可もいらないのですが、地元住民の皆さんには、「説明会」を開くといってきています。
県に「林地開発事前協議申し出」が出され、それに対する県各課の「意見とりまとめ表」がだされれば、それにもつづいて私たちは問題を検討するのですが、「事前協議書」が出されないので、正確な全貌をつかめないでいます。
「事前協議書」が出された場合には早急に公開していただけるようにお願いしておきます。
(2)海南市・紀の川市周辺での超大型風力発電計画
《質問》雑賀光夫
県議
次は、海南市・紀美野町・紀の川市周辺の風力発電問題の問題です。
「計画段階環境配慮書」の縦覧があるというので、私も海南市の環境課で縦覧してまいりました。
まず驚いたのは、4,500KWの風車、72基という計画の規模であります。
私はこれまでも風力発電にともなう被害を訴えている人たちの声をとどけてきました。しかし、国の規制基準が確立していないことや風車との因果関係がみとめられないといってそれを救済できていない問題に私は胸を痛めてきました。
これまで私が紹介した事例では、平成20年に、由良町畑地区周辺に広川明神山風力発電所が稼働しはじめた。先に述べた谷口さんは胃が重たいような異常を感じた。平成23年9月に由良風力発電所2,000KWが稼働し始めて症状が激変したということを、県議会で紹介いたしました。この度は4,500KWという途方もない大規模な風力発電であります。
この計画についての環境アセスメントの審査はどのように進められていくのでしょうか。
《答弁》 環境生活部長
ご質問の風力発電事業につきましては、環境影響評価法に基づき、去る9月1日に事業者から県をはじめ国及び関係市町に「配慮書」が提出されたところです。
「配慮書」とは、風車の設置場所、また、その大きさなど、具体的な計画が定まっていない検討段階で、どのような点で環境に配慮すべきなのかを事業者自身が文献調査などにより、取りまとめた図書です。
これを広く公開することで、地域の環境をよく知っている住民、専門家及び地方公共団体の意見を取り入れて、より計画内容を具体化し、次の手続きである、調査・予測・評価の方法を検討する「方法書」につなげていくものです。その後、その結果を検討する「準備書」、さらに最終的な取りまとめとなる「評価書」が作成されることとなっており、県ではそれぞれの段階に応じて審査していくことになります。
なお、今回、提出された「配慮書」に対する知事意見については、関係市町や和歌山県環境影響評価審査会の意見を参考にし、10月末に事業者に通知する予定であり、第1回目となる審査会を9月12日に開催し、第2回目は10月4日に行う予定です。
《要望》雑賀光夫
県議
4,500KWというものです。環境への悪い影響が疑われるものは作らせないという立場で臨んでいただきたいと要望しておきます。
(3)自然破壊しない自然エネルギーについて
《質問》雑賀光夫
県議
私は、自然エネルギーだ、地球温暖化を防ぐといって、森林を切り開くのは、本末転倒だと思います。豊かな森を切り開かなくても、荒れ地や建物の屋根はいくらでもある。そうした場所をソーラー発電に政策誘導して、自然エネルギーへの転換をはかるべきだと思います。
和歌山県の消費電力の中で、自然エネルギーはどのように推移しているのか、太陽光・風力などの設備の容量はどのように推移しているのか、政策的にどういう方向で発展させようとしておられるのかお答えください。
《答弁》 商工観光労働部長
本県の自然エネルギーの推移につきましては、固定価格買取制度の導入以降、県内消費電力に占める自然エネルギーの割合は、同制度導入前の平成23年度の約12%から、平成28年度には約20%となっています。このうち、太陽光発電の設備容量は約10.7倍に、風力発電の設備容量は約1.3倍になっています。
次に、本県における自然エネルギーの政策の方向についてですが、自然エネルギーは、国産のエネルギーであるとともに、発電時には温室効果ガスを排出せず、地球温暖化の防止につながるエネルギーであることから、これらの発電事業を行おうとする事業者のためにワンストップ窓口を設けるとともに、県のホームページにおいて、県や市町村が保有する未利用地の情報を紹介するなど、その推進を図ってまいりました。
こうした取組の結果、利用困難であった産業廃棄物中間処理場跡地に太陽光発電所が設置されるなど未利用地の有効利用が図られた例もあります。
しかしながら、例えば、森林の伐採を伴って太陽光パネル等の設置が行われるような電源開発の場合には、防災や景観、周辺の自然環境に悪影響を与える懸念もあることから、これらの懸念に対応しつつ、地元の意向にも十分配慮し、適切な形での立地が進むよう対応していくことが必要であると考えております。
《要望》雑賀光夫
県議
答弁にあったように、産業廃棄物で利用できない用地をソーラー発電に利用するなどというのは大変結構かと思います。海南市下津町には、マリーナシティを造成した土とり跡地があります。ある企業が格安で手に入れ、社屋をたて、土地の一部ではソーラー発電をしている。しかし、土地はたくさん余っているように見えます。この企業は社屋の照明にも太陽光線を直接取り入れるような先進的な取り組みをされていることを、県議会でも紹介したことがあります。
企業として余った土地の活用、住宅ソーラーなどもっとできないだろうか。要望です。
(4)企業との協力のための企業倫理の確立
《質問》雑賀光夫
県議
次に、企業との協力のありかたです。まじめな企業もたくさんあります。しかし、住民を恫喝したり分断する企業もある。
海南市下津町大窪では、被害の訴えがあり、私が県議会でも取り上げ、何度も低周波の測定をお願いしています。
ところが、周辺には、もっと風車に近い集落もあるのですが、被害の訴えが表に出てきません。なぜだろうかと不思議に思っておりました。
最近、ある自治会(区といいます)が企業との間で交わした「覚書」を手に入れました。「覚書」では、「区費」としてお金をはらうことになっています。
その見返りが問題です。要約すれば、
1 会社が区にお金を渡す。
2 区は、風車運転について苦情を言わないし、区民に苦情をいわせない。
3 意見があれば、区長などを通じていう。
4 あとから移住して区民になった者にも守らせる。
5 覚書の内容を第三者にもらさない。
このような覚書を、企業が住民と結ぶことが許されるのか、人権侵害ではないのか。こうした覚書は、拘束力を持つのかなと思います。
自然エネルギーを巡って、企業はこれでいいのかと思う問題はほかにもあります。県との協議もしていないのに住民には県と協議を進めていますという紀美野町のメガソーラー企業もその一つです。
また、合意してくれた自治会とは協定を結べるが、合意してくれないと協定もむすべませんよと自治会をおどす。
地元自治会にお金を渡すから、被害で苦しんでいる人への救済はそのお金の中でやっておいてくれという企業もあります。
私は、企業が和歌山県で仕事をしてくれるのなら、口をふさぐような覚書を結んだり、被害者への救済を自治会に丸投げしたり、脅したりするのでなく、一緒に地元の発展と、自然と健康を守ることを考えてほしい。そういう意味で、企業倫理ということを申し上げたいのですが、知事はどうお考えでしょうか。
《答弁》 仁坂知事
今の同意書ということについてお答え申し上げる前に、雑賀議員のご発言をお聞きしておりましたら、雑賀議員は原発は反対であるが4,500KWのメガソーラーは途方もない大きさだと仰いましたが、原発は大体標準的なやつで100万KWぐらい一つでありまして、この途方もないやつを200ぐらいで代替しなければならないと思ったら、今のようなお話がもっとあっちこっちでたくさん出てくるだろうなというような感想を持たせていただきました。辻褄を誰かが合わさないといけないので、責任のある政治あるいは行政をしようと思ったら、どこかで辻褄を合わせなければならん。そういうことについて思いを致した次第であります。
さらに、同意書についてお聞きしておりましたら、何か民主主義とか人権とか無いような国の話の約束事みたいな感じが致しました。サインをしている人は拘束されるんでありましょうが、サインをしていないかもしれないような人まで文句を言わせないとかですね、それから新しく来る人にも文句を言わせないとか、そんなことが法律的にありうる話では日本ではありませんのでいったいなんなんだろうな、という風に思いました。
とは言え、さらに申し上げますと、企業が、企業を受け入れる地元の住民に対してですね、虚偽の説明をする、あるいは脅したりするというような不誠実な方法で無理矢理企業の受け入れを求めるというようなことがあるんじゃないか、というようなご懸念がありましたが、そういうことは本当に許されないことだという風に思います。
一方、そういう脅しとか嘘とかではなくても合理的な理由もないのに、文句を言わないということだけの対価として金銭を要求するという方法も私は良くないという風に思っております。場合によっては、こんなことはたかりになるわけでありまして、こういうことが頻発していればその地域の評判も落ちて参ります。
また、企業が安易にこういう要求に乗る、またはこれを利用して目的を達するということも良くないことだという風に思っております。こういうことを防ぐために、一例でございますが、和歌山県は公共調達の制度があるのですが、この公共調達においてですね、このような正当な理由もないのにいわば口止め料を払った、そういうような業者はですね、公共事業を受注できないような制度を作っているところであります。ただし、そうした判断は、合理的か不合理か、正当な理由があるのか無いのか、慣行上許されるのかどうか、そういうことについては個別の事情を踏まえて行う必要があると思います。場合によっては合理的な対価ということかもしれません。したがってですね、一概には言えませんけれども、我々は行政を預かる者としてはしっかり監視をしていかなければならないと思います。
いずれにせよ、企業の活動は、地域社会に与える影響が大きいんでございますので、地域社会の一員として適切な事業の実施を行うことが必要だと考えておるわけで、また、企業と関わる住民、あるいはその企業と関わる他の事業者、そういう方々もですね、そういう意味で和歌山県はみんなが倫理を重んじるような、そういうところであって欲しいという風に思っております。
《コメント》雑賀光夫
県議
知事はいろいろいわれたので、私からも少し申し上げます。
一つは、問題をすり替えてはいけない。
風力発電の4,500KWという大きさを申し上げたのに対して、それなら原発はどうなのか、もっと大きいではないかという論理だろうと思います。
しかし、原発と風力は全く違う。原発は事故があったらどうなるか、廃棄物はどうするかという問題がある。風力発電は、あまりに大きくなると低周波被害がある。原発の危険と風力発電の問題は全く違うわけです。
こういうすり替えは、子どもでもおかしいんじゃないかと思うのではないかと思います。
次に、「覚書」について、「人権のない国の話かなと思った」というのは正常な感覚でございます。ただ、「住人がたかってはいけない」という発言がありました。
この「覚書」がどこのものかはわかりませんが、こうしたことが出てくるのは、まず、地域から「風車を止めてほしい」などの要望が出てくる。そこで、会社から「お金を渡すから、協定を結んでくれ」という申し入れがある。
ここからは想像ですが、地域には低周波の被害を感じる人もない人もいますから、地域の意見が割れる場合がある。中心になる人は大変悩む。こういう場合が多いのです。この「覚書」の経過はわかりませんが、私も長い間、住民運動などにかかわってきましたから、こういうことだろうと想像しています。
ただ、知事がおっしゃったことには問題もありますが、結論としては「企業は『企業倫理』を大事にしなくてはならない」という、私の主張に同意していただいたと思っています。
3.プレジャーボート係留施設について
《質問》雑賀光夫
県議
次に、プレジャーボートの係留施設についての質問です。
私が海南市周辺のプレジャーボートの放置問題をとりあげたのは、平成19年6月議会のことでした。おそらく当局も、この問題を放置できないと検討をはじめていただいていたのでしょう。ちょうど私の質問が背中を押したような形になって、プレジャーボート放置の規制条例をつくること、合わせて、停泊施設をつくることが表明されたのは、その直後の仁坂知事記者会見ことでした。
海南市の船尾や内海地域のみなさんだけでなく、和歌山市琴の浦の皆さんからも大きな期待をいただきました。
あれから8年たって、係留施設の整備も一部進み始めましたが、放置艇の景色はあまり変わりません。
そこで質問です。
(1)プレジャーボート係留施設の進捗状況
係留施設は、海南市が費用負担するもの、県が費用負担するものがありますが、それぞれどのような進捗状況になっているのでしょうか。その施設への放置艇の移動の計画はどうなっているのでしょうか。それぞれタイムスケジュールを含めてお示しください。
《答弁》 県土整備部長
下津地区を含めた海南市周辺地域の放置艇を対象とした小型船舶係留施設につきましては、地域全体で7施設の整備を計画しており、平成32年度中の完成を目標に進めております。
このうち4施設を海南市が整備し、現時点では、海南地区の2施設が供用中、冷水地区の1施設が整備中です。下津地区の1施設につきましては、地元関係者と調整を実施しているところでございます。
残る3施設につきましては、県が整備することとなっており、琴ノ浦地区の1施設が供用中、冷水地区の1施設が整備中でございます。琴ノ浦地区の1施設につきましては、来年度より工事に着手する予定でございます。
放置艇の移動につきましては、平成32年度の完成後、できるだけ速やかに、すべての放置艇を収容することを目標に、一定の施設の整備が完了した時点で、順次、段階的に進めることとしてございます。
(2)係留施設の利用状況とその促進
・利用状況はどうか
《質問》雑賀光夫
県議
すでに完成している施設もありますが、船の入り具合はどうでしょうか。
《答弁》 県土整備部長
既に完成し、利用を開始している施設は、7施設のうち3施設でございます。3施設の収容隻数は、収容能力218隻に対し59隻で、約3割の利用状況となってございます。
・利用しにくい点があるのではないか
《質問》雑賀光夫
県議
地元の利用者の方からは、「船が入りにくい」「船から上がりにくい」という声が上がっています。設計に問題があったのではないですか。
《答弁》 県土整備部長
県の放置艇対策は、津波来襲時の放置艇の流出による二次被害を低減することを目的としてございます。小型船舶係留施設の設計につきましては、他の地区の施設と同様に標準的な仕様に基づいてございます。
これまで、放置艇として、一定の区画に係留されておられなかった方々は、利用しづらいとの印象を持たれるのではないかと推察をいたしますが、設計に特段の問題があるとは考えてございません。
・利用を促進するための方策
《質問》雑賀光夫
県議
使いやすい係留施設であったとしても、それを使ってもらうのはなかなか大変です。放置艇の所有者の方が、これまで、無料で一番便利な場所、たとえば車で行ってすぐに船に乗れる場所に係留してきたのです。「係留施設ができたから希望者は移ってください」と募集しても希望してくれない。すべての放置艇を収容する施設ができるまでは、強制できない。部分的に「係留禁止」で撤去を強制してもトラブルがおこりかねません。
私は、長い間認めてきた放置艇を撤去する大仕事だから、率先して係留施設を利用する方への優遇など、誘導措置もいるのではないかと思います。
そういう観点から、利用料金も、先に利用した人には10年間は半額にするなど考えてはどうかと思っていますが、利用料金はどうなっていますか。私が提案するような優遇措置は考えられませんか。
《答弁》 県土整備部長
放置艇対策として整備された小型船舶係留施設につきましては、その目的、施設の内容を考慮して、他の公共マリーナや民間マリーナに比べて、廉価な利用料金を管理者である県又は市が、それぞれの条例で設定をしてございます。
放置艇のスムーズな移動・収容を進めるために、議員からご提案のありました優遇措置を講じることについては、既に対策を実施済みの他地域でも優遇措置を執っていないこと、また、海南市周辺でも、既に小型船舶係留施設に放置艇を移動された方もいらっしゃることを踏まえ、他地域や現係留者との均衡を欠くとの観点から困難であると考えてございます。
(3)海南市の費用協力のみなおし(要望)
《要望》雑賀光夫
県議
この係留施設への海南市の財政負担には問題があると、私は申し上げてきました。もともと、私どもは、国・県の直轄事業の市町村負担は軽減・廃止を求めるという立場です。
海南市周辺で、国直轄事業である津波防災堤防建設がすすんでいます。その費用の3分の2は国が負担する、3分の1は県が負担するわけですが、その規定外協力、いわば「おもいやり負担」として地元企業が4%、海南市が4%をそれぞれ負担することになっています。企業の協力金は雑収入として県が受け入れる、海南市の協力内容は、放置艇の係留施設の整備を肩代わりするというものであります。
私が「こういう規定外の負担の例は全国にあるのか」と質問したところ、当時の尾花県土整備部長・現和歌山市長は「調べてみたけれども全国に例がありませんでした」とお答えになった、いわくつきのものです。その費用が、当初の浮上式堤防の場合で、それぞれ10億円、それがほぼ海南市が行う係留施設建設の海南市負担額にあたります。
計画変更に伴って、18億円になるといわれています。このような協力金の増額はやめていただきたい。十分検討されるよう要望いたします。