2018年度(平成30年度)和歌山県当初予算

前年度比2.1%減5535億円
◇ 議案第1号 平成30年度和歌山県一般会計予算
  予算額 5534億9935万7000円
 (前値度 5655億2730万1000円)

 一般会計は前年度比2.1%減の5535億円。わかやま国体開催で予算が膨らんだ2015年度をピークに3年連続で下がり続け、この7年間で最も低い水準となっています。
 歳入では県税収入が11億円増えますが、地方交付税とその不足分を補う臨時財政対策債は合わせて34億円減る見込みです。
 県の借金である県債残高は増え続け、前年度比68億円(0.7%)増の1兆450億円、県民一人あたりに換算すれば111万円に達する見込みです。

台風21号対策・河川整備
 昨年の台風21号災害からの早期復旧として農地や農業用施設、林道、土木施設の復旧費に13.1億円を計上しました。しかし、床上浸水した住居などへの支援はまったく不十分なままです。
 日本共産党県議団が21号被災現地の要望を申し入れた洪水対策では、県内主要河川の整備など2017年度補正と合わせて104.5億円を計上しました。

高速道路や幹線ネットワークに273億円
 大型クルーズ船呼び込み競争に呼応
 道路整備では、高速道路ネットワーク等の形成に対する国直轄事業負担金に前年度比14億円増の57.9億円を計上。バイパス道路や府県間道路、ICアクセス道路などの幹線道路整備に前年度とほぼ同額の215億円を計上しました。高度経済成長期に整備された社会資本の老朽化が今後急速に進むもとで、道路・トンネル・橋梁等の維持管理・老朽化対策にこそ重点をおくべきです。
 ムダな大型公共事業として凍結された「紀淡海峡ルート」を含む、さらに大型化された「太平洋新国土軸構想」実現のための機運醸成経費を2018年度も計上しました。
 過大な入港見込みに基づく大型クルーズ客船誘致のため、和歌山下津港や日高港、新宮港の港湾整備や誘致活動が引き続き行われます。国の大型開発路線に呼応し、全国間での大型クルーズ客船誘致競争に乗り出しています。

カジノ・IRの誘致活動と調査費を大幅増額
 刑法が禁じている賭博を認めるカジノ解禁推進法成立前から、和歌山県は率先してカジノ含む統合型リゾート(IR)の誘致に声を上げてきましたが、「地方型IRの実現めざした誘致活動や調査研究」の費用に、前年度より約6000万円増の約7000万円を計上。人の不幸の上に成り立つカジノを観光の目玉と位置付け、シンポジウム開催など積極的に運動を展開しています。

国保県単位化スタート 病床削減の地域医療構想推進
 2018年度から国保の財政運営が県単位化されることに伴い、1049億円もの大規模な県国保特別会計が新設されました。国保県単位化は県が財政の権限を握り医療費削減を進めていくうえ、市町村の一般会計繰入れをなくしていくことや市町村ごとの医療費を平準化し統一保険料にすることが県の運営方針に明記されており、今後の保険料値上がりが懸念されます。
 また、病床機能を区分し救急や集中医療病床を減らす一方、軽症とされる患者を在宅へ促す「地域医療構想」を進めるための経費6億円を計上。県内で2,800以上の病床削減が計画され、国保県単位化とあわせ医療費を抑制・削減するものです。

子ども食堂への支援は半減
 食事などを提供する「子ども食堂」への補助は半減されました。子どもの貧困問題が深刻化するもとで「子ども食堂」の役割はますます重要になっています。設備の購入や改修に限られた補助費を運営費等へも支援できるようにするなど、現場の声を反映したものに改善した上で増額こそ求められています。
 子どもの貧困問題について日本共産党県議団は、貧困実態を調査し把握した上で対策するよう求めてきました。2018年度から子どもの生活実態調査が実施されます。

保育料無料化を拡大、在宅育児への支援も開始
 2016年度から第3子の保育料無料化が3歳未満から就学前まで拡充され対象施設範囲も広がりましたが、2018年度からはさらに第2子まで無料化が拡大されます(所得制限年収約360万円)。
 また、在宅で0歳児を育児する世帯への支援も始められます。第2子は年収約360万円未満の世帯、第3子以降は所得制限なしに、子ども1人につき県が月額1万5,000円を支給し、上乗せする市町村はさらに1万5,000円を支給します。

給付型奨学金を継続
 日本共産党県議団が求め続けてきた返済不要の給付型奨学金は、大学等への進学者を対象に2016年度に実現し、2018年度も続けられます。給付要件の緩和や40人しかない募集定員の拡大が望まれます。

県の学力テストを継続 定数内講師の半減を明記
 教育では、国の学力テストに加え県独自の学力テストが2018年度も実施され、学力テスト対策にむけた管理と競争教育の強化が続けられます。
 教員定数は児童生徒数の減少に伴い、県立高校38人、市町村立中学校49人、同小学校4人、特別支援学校3人の、合わせて94人が削減されます。国の制度では35人学級の推進が小学校2年生までになっており、3年生にあがるときに学級統合される問題があります。県独自でも必要教員数を確保して少人数学級を進めていくべきです。
 本来、教員定数は正規教員で満たすべきですが、非正規の教員に置き換える「定数内講師」が県内公立学校に500人もいます。日本共産党県議団は「定数内講師」の解消を要望してきましたが、昨年6月議会で県教育長が「定数内講師」を5年間で半減することを表明。2018年度からの5カ年計画となる「県教育振興基本計画」に「半減させることを目途に計画的な取組を進める」と明記されました。

自然壊すメガソーラー規制条例を制定
 自然と環境を破壊し災害の危険性を高めるメガソーラー計画に対し、地元住民などから反対運動が起こるなかで、日本共産党県議団は毎議会質問し続け、県による規制条例の制定などを求めてきました。
 県はこの2月議会に「太陽光発電事業の実施に関する条例案」を提出。50KW以上の事業に対し、計画の作成・公表と知事の認定を受けること、説明会の開催などが義務付けられました。知事は計画の安全面や環境・景観面、法令面などを包括的に審査します。


◇ 議案第2号 平成30年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
  予算額 3億4684万2000円
 (前年度 4億1196万1000円)

◇ 議案第3号 平成30年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
  予算額 6億5628万6000円
 (前年度 5億9115万7000円)

◇ 議案第4号 平成30年度和歌山県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
  予算額 1億9544万2000円
 (前年度 1億8091万2000円)

◇ 議案第5号 平成30年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
  予算額 2億3688万9000円
 (前年度 2億4328万3000円)

◇ 議案第6号 平成30年度和歌山県職員住宅特別会計予算
  予算額 1億9011万3000円
 (前年度 1億9051万3000円)

◇ 議案第7号 平成30年度和歌山県国民健康保険特別会計予算
  予算額 1049億1120万9000円
 (前年度 ――――)

◇ 議案第8号 平成30年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
  予算額 111億0749万9000円
 (前年度 146億1864万1000円)

◇ 議案第9号 平成30年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
  予算額 5億1288万8000円
 (前年度 5億6680万3000円)

◇ 議案第10号 平成30年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
  予算額 27億8725万3000円
 (前年度 24億7273万2000円)

◇議案第11号 平成30年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
  予算額 11億7735万円
 (前年度 11億8904万5000円)

◇ 議案第12号 平成30年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
  予算額 18億0900万円
 (前年度 15億8100万円)

◇ 議案第13号 平成30年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
  予算額 61億4846万4000円
 (前年度 50億9145万1000円)

◇ 議案第14号 平成30年度和歌山県公債管理特別会計予算
  予算額 1201億6170万円
 (前年度 1233億0634万7000円)

◇ 議案第15号 平成30年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
  予算額 25億2909万9000円
 (前年度 26億2739万4000円)

◇ 議案第16号 平成30年度和歌山県工業用水道事業会計予算
  予算額 16億8599万2000円
 (前年度 20億3868万2000円)

◇ 議案第17号 平成30年度和歌山県土地造成事業会計予算
  予算額 26億4713万2000円
 (前年度 27億4583万1000円)


    → 議案に対する反対討論