2018年12月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録
 中継録画


20181213

1.カジノを中心とするIR(統合型リゾート)誘致について
(1)選挙結果をどのように受け止めているか

2.オスプレイの飛行について
(1)最近の国から提供された飛行情報の件数について
(2)飛行情報の内容とはどのようなものか
(3)県の上空を飛行することに対する知事の所見について

3.外国人労働者の受入について
(1)県内における外国人労働者の雇用状況について

4.豪雨・台風被害対策について
(1)山崩れの発生原因とその予防方法について
(2)災害による停電時における住民の不安を解消する活動の強化について

5.医療提供体制と地域医療構想について
(1)高度急性期病床確保に関わる進捗状況について
(2)地域医療構想における知事の権限行使について

6.市町村国保料(税)の引き下げについて
(1)更なる公費負担を求めることについて


1.カジノを中心とするIR(統合型リゾート)誘致について
(1)選挙結果をどのように受け止めているか
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問させていただきます。
 最初に、知事には「選挙大変お疲れ様でした」と申し上げたいと思います。今回の選挙は、カジノを中心としたIR(統合型リゾート)誘致の是非を問う選挙ではなかったかと思います。
 選挙の結果は、IR反対を訴えた畑中氏は前回と比べて6,900票増、得票率では2.96ポイント伸ばし、29市町で前回より増えています。畑中候補が20%以上得票したのは上富田町、白浜町、田辺市、和歌山市、新宮市、岩出市の6市町で、これは前回の3市町の2倍です。知事の県民に対する約束事として、選挙公報にはIR・カジノの推進について一言も書かれていませんでした。マスコミのインタビューなどでは、「カジノができれば県民の所得が1割増える」「雇用が2万人増える」などと答えられていました。特にマリーナシティのある和歌山市では投票率が上がり、両者とも得票数を伸ばす結果となりました。知事は2,033票増、畑中氏3,018票増です。
 また、NHKの出口調査では58%の方がカジノ反対と答えているということでした。今回の知事選挙で、政党では日本共産党以外の多くの政党・会派が知事を応援したことから、カジノ反対の方も7割が知事に投票したとも報じられ、知事は圧勝されました。しかし、「カジノ含むIR」誘致が県民に支持されたわけではありません。
 そこで、カジノをめぐる選挙結果をどのように受け止めておられるか、お尋ねしておきたいと思います。

《答弁》 仁坂知事
 今回の知事選挙におきまして、奥村議員がIRの是非を問う選挙であったとおっしゃるように、対立候補はIR誘致の是非を一番大事な争点と主張して、誘致を阻止するためには私に投票をしてください、と訴えていたと思います。
 その結果、選挙前から「これからの和歌山にとってはIR誘致を進めるべきだ」という主張を掲げた私が信任をされた、当選をしたということは、IR誘致も推進してよろしいと考えられるのではないかと思います。
 確かに、カジノについて賛成か反対かで聞くと、「そんなものは嫌いだから反対」とか、あるいは「好きか嫌いかで言うと嫌い」という方は、特に賭け事の嫌いな人には結構いらっしゃるんじゃないかと思います。しかし、同じ方に、そうすると経済発展のチャンスがその部分失われるわけだから、人口がうんと減っていくことに歯止めはかけられませんけれどもいいですかと聞くと、「これは困る、なんとかしろ」とおっしゃる方が多いんじゃないかと思います。そこまで露骨に聞かなくても、「人口減でも構いませんか」と聞くと、「これは困る、いかなる手段を講じても止めよ」とほとんどの人がおっしゃるのではないかと思います。
 従って、「嫌い」と言われる方がいるからといって誘致を止めてしまい投資の機会を逃せば、本県の経済発展のチャンスは失われてしまいます。
 こうしたことも踏まえて、政治家としてはどうやってやるかというその手段も含めて、今後の本県の進むべき道を隠したり誤魔化したりすることなく示さなければならないと私は思っております。今回の選挙では、その点が県民に評価されたのではないかと思います。
 「バカの壁」で有名な養老孟司さんという人がおりますが、養老孟司さんの最近の著書で、これは反対、あるいは問題と言いまくるけれども、その結果、後は誰かにお任せ、不都合が起こってもその対応は誰かにお任せという態度が一番日本を悪くすると書いておりました。畑中さんのことは私は申しませんが、私はそうならないように和歌山の将来のトータルな青写真を、しかも実現可能なそれを県民に示したつもりでございます。
 とは言え、誘致に対して心配や不安を抱かれている方もまだまだたくさんいらっしゃると思います。
 従いまして、引き続き、謙虚にかつ丁寧に、また何度でも例えば「地域経済への効果」、あるいは「大阪との関係」、あるいは「懸念される社会的リスク、依存症などの排除」などについて県民の皆様によく説明し、ご理解を得ながら、IR誘致に関する取組を推進してまいる所存でございます。

《意見》奥村規子 県議
 選挙結果について、県民の声を真摯に受け止めていただいきたいと思いましたが、残念な答弁をいただきました。好きや嫌いだと県民がいっているのではないと思います。ギャンブル依存以前に様々な依存症で家庭が大変な状況になったお話をうかがいました。
 選挙中、畑中候補への街頭からのたくさんの声援を聞きました。駆け寄ってきて「カジノはやめて」といって去ってゆく人もありました。「人の不幸でもうけるカジノの反社会性」を感じ、見抜いてのことだと思います。依存症対策をすればよいというものではありません。また、経済効果を言うのであれば、カジノで生じるマイナスの影響、たとえば依存症対策費用や倒産、失業、自己破産、生産性の低下などの社会的損失についても示すべきだと思います。地域経済への効果や懸念される社会的リスクの排除について、謙虚に丁寧に説明し理解を得ながら推進するということですが、これまでシンポジウムや行政報告会・勉強会・セミナーなど県民向けに行ってきたのではないですか。その上での選挙結果ということを考えていただきたいと思います。「人口減少に対してはどうするのか」と、人口減少とカジノを引き合いに出すのは、まったく県民に対して失礼なことではないかと思います。
 今回の選挙公報のなかで、人口減少を前にして、しっかりと県民のくらしによりそう施策を皆様に訴えているのが畑中さんでした。「カジノストップ、くらしと地域を応援する県政へ」と、カジノに頼らないまちづくりを訴えてきたのだと思います。これこそが和歌山県の歩む道ではないでしょうか。そのことをしっかりと政策に書いておりますので、再度ご覧いただきたいと思います。
 知事は選挙の勝敗でいえば信任されましたが、県民がIR・カジノ推進に賛成したということではないと思います。先ほども申し上げましたが、NHKの出口調査で58%の人がカジノ反対と答えています。その70%の方がカジノ反対にもかかわらず、別の理由で知事に投票したというのが読み取れると思います。「選挙で勝ったからIR・カジノを推進してもよい」などというのは、決して謙虚とはいえないのではないでしょうか。知事に投票した多くの県民の気持ちを踏みにじるものと申し上げておきたいと思います。


2.オスプレイの飛行について
《質問》奥村規子 県議
 和歌山県平和委員会は、日高川町の椿山ダム付近に米軍機オスプレイが飛来したと発表しました。10月13日午後0時28分に、東から西に向けオスプレイが飛行しているのを、日本共産党の日高町議が確認をしています。同日午後3時44分、オスプレイ2機による西から東への飛行も確認し、カメラに収めています。オスプレイは事故多発の欠陥機です。一昨年12月には、沖縄県名護市の海岸に墜落しています。その他にも事故が多発し、県民からは不安の声が届いています。そこでお聞きします。
(1)最近の国から提供された飛行情報の件数について
 最近の国から提供された飛行情報の件数はどのくらいですか。危機管理監にお尋ねいたします。

《答弁》 危機管理監
 オスプレイの飛行情報につきましては、近畿中部防衛局から県に対し、電子メールにより情報提供がなされているところでございます。
 その件数については、直近の3ヵ年で申し上げますと、平成28年度は約90件、平成29年度は約60件、平成30年度は、12月1日現在で約80件でございます。

(2)飛行情報の内容とはどのようなものか
《質問》奥村規子 県議
 今年度は12月10日現在の集計ですから、まだ増える可能性が多いということだと思います。それでは、飛行情報の内容とはどのようなものですか。危機管理監にお尋ねいたします。

《答弁》 危機管理監
 近畿中部防衛局からの飛行情報につきましては、オスプレイが本県上空を飛行するか否かにかかわらず、機体の数、離陸及び着陸予定基地名のみ提供されることとなっております。

《再質問》奥村規子 県議
 危機管理監にもう一度確認しますが、飛行ルートや飛行目的については情報提供されていないということですか、再度お尋ねいたします。

《再答弁》 危機管理監
 先程も答弁いたしましたとおり、近畿中部防衛局から提供されている飛行情報は、機体の数、離陸及び着陸予定基地名のみでございます。

(3)県の上空を飛行することに対する知事の所見について
《質問》奥村規子 県議
 飛行ルートも飛行目的もはっきりと情報が提供されないということだと思います。
 そこで知事にお尋ねしたいのですが、和歌山県の上空を飛行することに対する知事の所見をお聞かせください。

《答弁》 仁坂知事
 オスプレイを含む回転翼機、固定翼機、ドローンに至るまで空を飛ぶもので、100パーセント安全なものは存在いたしません。ゼロリスクを求め過ぎると、全ての飛行体は、飛ぶな、特に県の上空を飛ぶなと言うことになりかねません。
 オスプレイがヘリコプターや他の航空機に対し、危険度がより高いということを示す根拠が、奥村さんにはございますでしょうか。私に関しては、今入手しているデータでは、少なくともそれはございません。奥村議員がオスプレイが上空を飛ばない、飛ぶな。そのリスクは、オスプレイが特に危ないということをお示しできないのに飛ぶなということは、例えば、よりリスクが高い機体として、よりリスクが高い機種として防災ヘリも飛ぶな、あるいはドクターヘリも飛ぶなという風におっしゃるのでありましょうか。
 また、南海トラフ地震のような大規模な災害が発生したとき、いかに県民を守るかが私の任務でございます。航続距離が長くて、速度が速いオスプレイを含む、あらゆる資源を活用しなきゃいけないというふうに私は思います。
 オスプレイについて問題となるのは、県民に危険が及ぶ可能性が高い低空飛行訓練であって、オスプレイに限らず、県民から危険と感じるような米軍機の飛行についての情報提供があった場合は、外務省、防衛省に対して、米軍に訓練中止を申し入れるよう要請していきたいと思います。
 また、米軍機一般について、住宅地域及び工場地帯上空での飛行制限等、徹底した安全対策を講じるよう、全国知事会を通じ要望しているところでございます。
 山本七平さんという人がいましたが、日本では空気というものが大きいと言っております。空気が決まると、すぐ皆がそうだそうだと考えてしまう。それが問題だと言っております。オスプレイも一度、どこかのマスコミが危ないと言ったものですから、皆がそれが本当かどうか確かめることなく行動してしまっているような気がします。私は人間の尊厳はほんまかいな、なぜ、どうしてと考えることにあると思っております。オスプレイについても、聡明な奥村議員におかれましては、空気とか何々党の方針とか離れて、一度じっくりお考え願いたいと考えている次第でございます。

《意見》奥村規子 県議
 オスプレイは、1990年代の開発段階から現在にいたるまで、墜落事故をはじめ様々な事故が相次いでいます。普天間所属のオスプレイが沖縄で墜落して以降、オーストラリア沖で着艦に失敗、シリアで墜落と、わずか10ヵ月間に3回も重大な事故を起こしています。
 さらに、沖縄県名護市の海岸に墜落した際には、日本の捜査機関が原因究明の蚊帳の外におかれました。基地外での日本の警察権行使を拒否し、証拠を隠滅する行為は日米地位協定上も許されない無法が通っていること事態、県民の命を脅かしているものです。
 県民の命とくらしを守る知事におかれましては、このオスプレイの上空飛行に抗議をするべきではないかと思います。


3.外国人労働者の受入について
(1)県内における外国人労働者の雇用状況について
《質問》奥村規子 県議
 外国人労働者の受入れ拡大のための出入国管理法の改定が強行採決され、12月8日未明、参議院本会議で自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決成立しました。
 毎日新聞朝刊の一面見出しには「外国人就労 議論半ば」「審議38時間 中身後回し」という大見出しでした。このような短い審議時間のなかでも、外国人技能実習制度をめぐるデーターねつ造が明らかになりました。同制度の下で、失踪する実習生が昨年7,000人超と深刻化していることなどについて、政府はまるで実習生が勝手に仕事を投げ出したかのような印象を与える資料をまとめていました。しかし、実際は野党の調査などで、最低賃金違反や暴行・パワハラ・セクハラなどの違法・無法がまかり通っていることが明らかになりました。そこでお聞きします。
 県内における外国人労働者の雇用状況についてお尋ねします。

《答弁》 商工観光労働部長
 外国人の雇用について、すべての事業主は、雇用対策法に基づき、外国人の雇い入れと離職の際に、その氏名、在留資格、在留期間などについて確認し、ハローワークに届け出ることが平成19年より義務づけられており、県内の届出状況については和歌山労働局から年に1回公表されています。
 平成29年10月末現在、県内の外国人労働者の状況につきましては、外国人労働者数は2,260人で、前年に比べ262人、13.1%増加し、3年連続で過去最高を更新しています。外国人を雇用している事業所は617ヵ所で、前年と比べ70ヵ所、12.8%増加し、「製造業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「卸売業、小売業」、「医療、福祉」で全体の6割以上を占めています。
 県におきましても、経済団体やいくつかの企業と外国人労働者等に係る意見交換を行っているところであり、その中では、人手不足を補うため、外国人労働者を受け入れている企業や現在の受入人数を今後増やしていくことを考えている企業、また近く外国人労働者を受け入れることを検討している企業もあります。
 県としましては、今回の「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」の成立を受け、外国人労働者の受入を考える県内企業に対し、制度や受入方法について、様々な機会を通じて周知してまいります。

《意見・要望》奥村規子 県議
 外国人労働者の受入も増えているというお話です。その中で、今起こっていることをお伝えしたいと思います。
 ある市の議員の生活相談でわかったことですが、福祉法人で働いていたフィリピンから来られた方が相談にみえました。フィリピンの送り出し機関で多額のお金を支払い、日本に来ることになったのですが、当座の生活費にお金を借り、給与から毎月3万円引かれるという状況の中で、失踪することになりました。パスポートは事業者に「大事なものなので預かっておく」といわれて事業所においたままになっており、スマホなどの手続きの際に必要なので取り戻したいという相談でした。
 また、食品加工に働く中国の方は、毎日働いて月6万円しか受け取っていないという話も聞きました。
 和歌山市内でも、アパートを寮にし、そこに7~8人の方が住まわれているということを聞いています。
 ぜひとも、日本で働くことを希望する外国からの人たちや家族をどのように受け入れ、安心して働いて暮らせる共生社会をどうつくっていくかは、日本の国のあり方の基本と将来にかかわる大変重要な問題です。外国人労働者の人権と尊厳を最優先で保障する姿勢を和歌山県として率先して取り組んでいただきたいと思います。また、働いている環境や状況の把握など、労働基準監督署など国とも力をあわせた取り組みをよろしくお願いいたします。


4.豪雨・台風被害対策について
《質問》奥村規子 県議
 台風7号は、7月4日に日本海中部で温帯低気圧となり、この低気圧から伸びる梅雨前線に南側から暖かく湿った気流が流れ込み、梅雨前線の活動が活発となり西日本では大雨となりました。和歌山県北部では、7月5日夕刻から降り始めた雨が、翌6日朝にかけて降水量が300ミリを越える大雨となり、土砂災害、浸水被害が発生しました。大規模太陽光発電所が計画されている千手川、高川流域でも多くの斜面崩壊、土砂の流出が発生しました。
 ※資料をお配りしています。千手川上流では斜面崩壊、土砂流出も発生しています。資料左側の地図の上の方の黄色の部分ですが、細長く千手川に流れ込んでいる所があります。その他にも、千手川の各箇所で土砂流出が起こっていることを黄色で示してます。これは大変暑い夏の日でしたが、台風の後すっと調査をしてきた調査報告書の一部です。
 土砂流出によってコンクリート橋が押し流され流木が積み重なり、道が塞がれてしまいました。そこでお尋ねいたします。
(1)山崩れの発生原因とその予防方法について
 一般的に山崩れの原因としてどのようなことが考えられますか、また山崩れを予防するためにはどのようなことが重要と思われますか、お聞きします。

《答弁》 農林水産部長
 一般的に山崩れにつきましては、雨量や地形・地質、森林の状況などの様々な因子が重なり合って発生するものと考えられます。
 また、山崩れを予防するには、間伐等の森林整備により健全な樹木を育成するとともに、林内に太陽光をとり入れ下層植生の繁殖を促すことにより、災害に強い森林に育てていくことが重要となります。
 さらに、必要に応じて災害を予防する治山施設を設置することが有効であると考えます。

《意見・要望》奥村規子 県議
 災害に強い森林を育てていくといわれました。今後とも森林整備や自然を守る、災害を予防するようがんばっていただきたいと思います。
 千手川のような、下流域が古期扇状地を形成している地形が県内の様々な川でもたくさんあると思います。砂防指定区域になっているところもあると思います。
 先ほど述べた千手川上流部の土砂流出は、災害マップには指定されていないところです。
 災害マップは、家屋や公共施設等に、土砂災害、土石流災害、洪水および地すべりなど被害の恐れがある区域が指定されているものです。災害が発生する可能性があるところすべてが指定されるわけではないことに注意する必要があり、下流域への影響を心配しています。災害に強い森林に育ててゆくということが重要と答えていただきました。ぜひ、具体的な施策をしっかりと進めていただきたいと思います。

(2)災害による停電時における住民の不安を解消する活動の強化について
《質問》奥村規子 県議
 次に、台風21号による停電時の対応についてお聞きします。
 一昨年、熊本地震などの大規模災害が相次ぐ中、災害時の部隊指揮や消防、自衛隊などとの調整役として、警察庁は、全国の警察本部に「指揮支援班」の設置を決めたと聞いています。初動の救助活動をスムーズに行うのが狙いということです。
 今回の21号台風による長時間にわたる停電被害がありました。街中では信号が消えていたところが何箇所もありました。また、一部地域では街頭も消え地区全体が暗闇のなかに置かれた状態でした。そこで、県民の安全を守るためどのように対応されたか尋ねします。

《答弁》 警察本部長
 災害発生時における住民の安全安心を確保するうえで、まずは被害情報の迅速・的確な収集と把握は不可欠であり、警察では、警察官の現場派遣や警察ヘリ等による活動を通じ、被害状況について情報収集を行うこととしております。
 このほか、事前に選定した地域住民の方から優先的に情報提供していただく制度や、一般社団法人日本アマチュア無線連盟和歌山県支部との協力関係を築くほか、自治体等との連絡用として通信機器の整備を行うなど、広く被害情報を収集できるように努めているところであります。
 また、長期停電地域に対しては、交番・駐在所勤務員や各警察署のパトカー等による警戒活動を強化して、住民の不安の解消に努めております。
 先般の台風21号、24号の被災時には、被害状況の把握に努めるとともに、信号機が滅灯した交差点での警察官による交通整理や、可搬式の発動発電機による信号機への電力供給、警察本部の自動車警ら隊や航空隊を長期停電した被災地域に派遣し、パトロールを強化したところであり、今後も災害等に際して県民に寄り添った活動に努めて参る所存であります。

《意見・要望》奥村規子 県議
 ぜひパトロールを強化していただきたいと思います。こういうときには人的な体制も非常に重要になってきます。街路灯も消えてしまって真っ暗な状態で、治安の問題やいろんな不安が起こってくると思います。
 自動復旧型信号機が全国的に設置されてきていますが、費用がかかるため中々進みにくいともお聞きしています。県民の安全や不安の解消ということも含めて、児童復旧型信号機を拡充していただきたいと思います。また、駐在所の停電時対策もあわせてお考えいただきたいと思います。
 また、警察の所管ではありませんが、避難路に設置されている誘導灯のような、停電時に消えない街路灯もぜひ検討していただきたいと思います。


5.医療提供体制と地域医療構想について
(1)高度急性期病床確保に関わる進捗状況について
《質問》奥村規子 県議
 県の資料、地域医療構想において定めた「2025年の必要病床数」と、2017年7月1日現在の病床数によると、高度急性期病床が和歌山圏域は673床オーバーとなっており、那賀・橋本・御坊・田辺・新宮の圏域では軒並み不足しています。合計すると、243床がマイナス状態ということです。那賀医療圏や新宮医療圏においても現在、高度急性期病床が1床もなく、和歌山市から遠い新宮地域で高度急性期の医療を必要とする患者が発生した際に、適切な入院医療を受けることができるのか、不安に感じるところです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。高度急性期の病床はどのようになっていますか。また、今後どのようにすすめていかれるのかお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 和歌山県地域医療構想では、2025年における高度急性期機能病床の必要病床数は、885床と定めています。
 この機能の病床は、重症疾患患者に対して緊急的かつ高度な医療を提供するため、医療従事者をはじめとした医療資源を集中させる必要があります。
 このため、圏域ごとの必要病床数につきましては、各圏域の医療需要にとらわれることなく全県的に考える必要があり、医療提供体制を考慮し、和歌山医療圏及び田辺医療圏に一定の集約化を図っています。
 現状におきまして、高度急性期機能病床が全く無い圏域は、那賀・有田・新宮の3医療圏となっています。このうち、那賀医療圏及び新宮医療圏においては、高度急性期機能を地域で担っていきたいとの意向があり、必要があると認められるため、公的病院を対象とした補助制度を設け、急性期機能病床からの転換を促進しています。
 なお、有田医療圏において必要とされる高度急性期機能病床につきましては、和歌山医療圏においてその機能を担うごととなっています。

《意見・要望》奥村規子 県議
 地域医療構想においては、まず高度急性期病床を確保して、県民に安心・安全の医療を提供する体制をつくっていくことに力を注いていただきたいと思います。
 また、有田医療圏は和歌山医療圏とあわせて考えていくということですが、有田地域は大きな面積を有する地域ですし、人口を増やしていくということも含めて、医療や教育はまちづくりの基本になっていくものなので、本当にそれでいいのかと疑問に思います。そういった点でもぜひ検討願います。

(2)地域医療構想における知事の権限行使について
《質問》奥村規子 県議
 地域医療構想では都道府県知事に、稼働していない病床の廃止について医療機関に対して命令や要請を行うなどの権限が付与されています。地域医療構想調整会議で議論がすすまなければ、知事がその権限を行使し、病床が削減されることにならないのか不安を感じます。
 知事は先日の知事選挙で、「医療の充実、健康の維持、安全な社会を実現していのちを守ります」と県民に約束されました。そのようなことから、知事の権限行使についてどのようにお考えなのか聞いておきたいと思います。

《答弁》 仁坂知事
 医療法におきましては、地域医療構想を進めていくにあたって、知事の権限が規定されております。
 その内容は、稼働していない病床の削減、急性期機能病床などの地域で既に過剰な病床機能への転換の中止、及び回復期病床などの地域で不足している病床機能への転換に限定されておりまして、県医療審議会の意見を聴いた上で、公的医療機関に対しては命令・指示を、また公的以外の医療機関に対しては要請・勧告をすることができるというふうになっているものでございます。
 なお、これらの知事の命令等に従わない医療機関に対しては、医療機関名の公表や地域医療支援病院の承認取消し、管理者の変更命令などの措置を講ずることができるものとされております。
 こうした権限はあるものの、そもそも、地域医療構想は、各医療機関が圏域における自らの役割や機能について客観的に認識した上で、相互に自主的な協議を進め、圏域の医療需要に応じた病床機能転換を図っていくというのが基本でございます。
 このため、県が、各医療圏において、全ての病院と地域医師会などの関係者で構成される地域医療構想調整会議を設置し、医療機関相互の自主的な協議をこれまでも積み重ねてきたところであります。
 県としては、地域医療構想調整会議において、個別の医療機関への意向調査やヒアリングによって得られた各医療機関の目指す方向性を共有し、お互いの医療機能について議論を深めるなど、引き続き、丁寧な合意形成を図りながら、地域医療構想を進めていく所存であります。

《意見・要望》奥村規子 県議
 各医療圏で、地域の実情などしっかり話し合いが行われるように知事を先頭に努力されていると思います。地域医療構想では、病床から在宅医療への移行について盛り込まれており、医療の必要度が低い人の7割が将来在宅へ移っていくものとされています。
 しかし、京都府が病院に行った調査では「在宅での対応が不可能」との回答が7割超えたそうです。推計には、貧困で病院にかかれない人が入っていません。本来は、病院にかかりたくてもかかれない方などもおられるため、実態を踏まえた上で今後の地域医療構想を進めていただくよう要望します。


6.市町村国保料(税)の引き下げについて
(1)更なる公費負担を求めることについて
《質問》奥村規子 県議
 全日本民主医療機関連合会では、2005年から「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」を行っています。50件を超える死亡事例が集まり、記者会見で発表しています。昨年は63人に上る深刻な事態です。和歌山県の団体からも報告されています。
 ある女性は離婚後、養育費がないまま児童扶養手当やひとり親家庭等医療費助成制度に頼って生活していましたが、子どもが18歳になり、収入が減った上に医療費の負担が増え、糖尿病治療を中断し、少しでも収入のよい夜間の仕事を選び、食品会社のパートの仕事をしていました。収入は約13万円、支出は家賃2万円、駐車場代6,000円、光熱費1万円台、そのほか受診料、薬代、携帯利用料、生命保険料、車のローン、滞納金などを支払うと、殆ど手元に残りません。そのうち目が見えにくくなり、体重も20キロ減り、職場の知人にすすめられやっと受診し、検査の結果、すい臓がんも見つかりました。これまで、生活保護を利用しようとしましたが、申請に至らなかったり却下されています。
 日本共産党和歌山市議団が行った市政アンケートでは、「暮らしやすいまちづくりをすすめるために、いま和歌山市に力を入れてほしいことは何ですか」との設問に、1位は税・保険料の軽減、2位は高齢者福祉・介護施策の充実、3位は保健医療サービスの充実です。
 県も国保の保険料は高すぎる、制度の構造的問題だと認識されています。全国知事会は2014年に、国保料(税)を「協会けんぽの保険料並み」に引き下げるために、「1兆円の公費負担増」を政府に要望しています。全国で「均等割」「平等割」として徴収されている保険料(税)額は、およそ1兆円です。公費を1兆円投入すれば、「均等割」「平等割」をなくすことができ、多くの自治体では、協会けんぽ並みの保険料にすることができます。
 県民みんなが楽しく暮らすために、保険料の負担軽減を考えていただきたいと思います。そして、さらに公費を増やすように強く国へ働きかけてほしいと思いますが、知事のお考えをお尋ねします。

《答弁》 仁坂知事
 平成30年度の被保険者1人あたりの県平均保険料は、1年89,244円で、平成29年度の91,586円と比較して2,342円減少しております。概ね被保険者の負担は軽減されているわけでございます。
 これは、本年度から施行された国民健康保険改革に伴う約1700億円の公費拡充の効果だと考えております。
 しかしながら、今般の改革では、健康保険などの被用者保険と比べて、「被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高い」、「所得水準が低く、保険料負担が重い」といった、国民健康保険が抱えている構造的な課題は、依然として解消されておりません。
 昨年の12月議会でもお答えいたしましたが、今後も医療費の増加が見込まれる中で、ナショナルミニマムとして、国民皆保険の根幹をなす国民健康保険制度を、持続可能なものにしていくということは、国の責任であると認識しております。
 したがって、われわれも、それに対しては一種の理解も示していかないといけないということだと思います。
 このため、県では、全国知事会を通じ、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など、さらなる財政支援の拡充を国に要望してきたところでございますけれども、今後も被保険者の負担軽減が、より一層図られるように、国の財政も大変でございましょうけれども、他の都道府県とも連携しながら要望していきたいと思っております。

《意見・要望》奥村規子 県議
 国保料の引き下げは、社会の公平・公正を確保する上でも緊急の課題です。
 国保料を「けんぽ」並に下げる上で不可欠なのは、「均等割り」など国保にしかない仕組みを廃止することです。「均等割」は世帯人数が増えるごとに負担が増えるため、子どもの多い世帯などを直撃し、「子育て支援に逆行」するものになっています。いっそう国へ働きかけていただくと同時に、県民が安心してくらせるように取り組んでいただきたいと思います。



                                             仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)

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