2018年12月和歌山県議会
  平成29年度決算の認定に対する反対討論 雑賀光夫
    
                                         中継録画09:20~)
                                           20181218
 日本共産党県議団を代表して、議案第134号、および議案第135号の決算認定2議案について、反対の立場から討論を行います。
 議案第134号は「平成29年度和歌山県歳入歳出決算の認定について」です。
 決算特別委員長からは「不認定」という報告がありました。決算特別委員長が触れられた有田振興局の港湾施設整備事業において未竣工であった事業について業者に金が支払われていたことは許されるものではなく、認められないことは言うまでもありません。
 しかし、こうしたことは普通は職員が業者からお金をもらって不正を働くということが想像されるのですが、今回はそういくことではなく業者は全く不正をしていない、職員も金銭の受け取りもしていない。工期が年度を超してはいけないというプレッシャーで不正をしてしまったと考えられる事案であります。職員がなんらかの理由で仕事の上で追い込まれたのではないかという問題についての検証が必要だということを申し上げておきたいと思います。
 歳入歳出決算にかかわる、それ以外の問題についても申し上げたいと思います。
 2017年度決算の全体像を見ますと、県債残高は、約1兆358億円と、毎年増え続けていますが、収支を見るならば、一般会計歳入約5440億円、歳出約5337億円で約103億円の黒字決算となっています。
 和歌山県財政の特徴は、全国平均と比べて投資的経費が多く、民生費が低いことです。普通会計ベースの2017年度決算でいえば、投資的経費は全国平均15.5%に対して、和歌山県20.3%。民生費は全国平均16.3%に対して和歌山県14.2%となっています。福祉重視の県政に転換させることが求められます。
 このしわ寄せは、中小企業・農業・福祉などに現れているわけです。
 商業振興費は15年間で約半分に減らされました。農林水産業費の決算額は、5年間で1割以上減っています。
 子どもの医療費無料化への県としての支援が遅れています。子どもの医療費無償化への努力が、全市町村で広がり、都道府県の制度としても広がっているなかで、県としても支援が必要であると考えます。
 地域医療構想にもとづく病床削減が進められています。計画策定された2014年から、261病床も減らされてしまいました。また「払いたいけれども払えない」という声が多く聞かれる国保料・税の問題。保険料の滞納は12%に上っています。さらに負担の軽減が必要です。
 教育の分野では、国の学力テストに加えて県独自の学力テストが続けられました。テストの順位を競うテスト漬けはやめるべきです。小学校2年生から3年生になる時に時に学級統合が行われるケースが依然としてあります。
 定数内講師も489人が残されたままとなっています。定数内講師の問題は、財政面からいえば、教職員予算が3分の2に安上がりで済まされているという問題であり、「お金がないから教員を増やせない」という理屈はなりたちません。安上がりになった分だけでも、教員を増やすべきです。定数内講師は計画的に減らすという約束はされていますが、そのことと並行してでも教職員の増員は、財政的に見ても可能だということを申し上げておきたいと思います。
 県財政がかかえる爆弾ともいえるコスモパーク加太の債務保証問題があります。なかでも、土地開発公社から1㎡580円で借りた土地を加太菜園に1㎡100円で貸すという破格のスキームで、平成29年度も約6億465万円の賃料を土地開発公社へ支出をしています。20年間で120億円以上の財政負担です。この借り上げた土地の一部を、2004年に20億2000万円かけて造成し「加太菜園」に貸しているわけですが、決算特別委員会でお伺いすると賃料収入は、20年間で4億円程度見込んでいるとお聞きしました。20億2000万円もかけて何のために造成したのかと問われることになります。その後、台風災害で加太菜園は撤退するということですから、問題が改めてクローズアップされたと考えます。
 あまりにもひどい問題の一つに、特定の子ども会への補助金が、500万円など法外な金額が支払われているという問題もあります。
 こうした問題も含めて、議案第134号、歳入歳出決算は認定できないという委員長報告には賛成するものです。
 議案第135号、公営企業決算には、工業用水事業会計と土地造成事業会計が含まれています。工業用水事業会計は黒字だというので土地造成会計に15億円貸して金利をさげているわけですが、工業用水設備の老朽化が進む中で心配です。
 何よりも問題なのは、土地造成会計が、御坊工業団地など売れない造成地をかかえて、毎年一般会計から繰り入れし、その総額は14億円以上にも上っている問題です。こうした問題は、きちんとした総括と反省が必要です。そうした立場から、議案第135号には反対いたします。
 以上で、日本共産党県議団を代表しての討論を終わります。

    2018年12月県議会    雑賀光夫プロフィール、質問一覧
    雑賀光夫ホームページ     日本共産党海南海草議員団
    雑賀光夫facebook        県議団HOME