2019年度(平成31年度)県予算

過去8年で最低水準 5535億円
◇ 議案第1号 平成31年度和歌山県一般会計予算
  予算額 5530億6566万2000円
 (前値度 5634億9935万7000円)
議案と請願の不採択に対する反対討論  中継動画(23:20~)

 2月県議会では2019年度当初予算が提案されました。
 一般会計は前年度比0.1%減の5531億円で、わかやま国体・大会開催で予算が膨らんだ2015年度の5872億円をピークに下がり続け、過去8年間で最も低い水準となっています。
 歳入では、法人二税など県税収入は8億円(0.9%)増、地方交付税は18億円(1.1%)増加し、地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債は30億円(13%)減少の見込み。地方消費税収は7億円増える見通しです。

借金残高は過去最高
 県の借入金である県債は臨時財政対策債を含めて41億円(5.8%)増の737億円で、県債残高は過去最高を更新し続け1兆595億円、県民1人あたり113万円の借金を背負うことになります。借金返済のための公債費は8億円(1.1%)増加しました。
 一般会計の収支不足9億円を県の貯金である財政調整基金から取り崩し補てんするため残高は32億円に、借金返済に備えた県債管理基金残高は前年度と変わらず178億円を蓄えています。

職員数減らし人件費削減
 「新行財政改革プラン」にもとづき人員削減が進められ、2008年度から11年間で6.9%の262人が減らされてきました。19年度も人件費は前年度比で13億円減少します。近年の風水害や地震・津波への対策に人的資源の不足が懸念されるなか、18年度からの「中期行財政経営プラン」でも引き続き5年間で50人削減する目標を掲げています。

教員定数増やさず、非正規教員は増加
 教員は新たに403人を採用します。2018年度の305人、17年度の387人よりも増えていますが、教員定数全体は38人減となります。国で教員定数の改善が進まないなか、教員の多忙化の解消や30人以下学級をすすめるためにも、県独自で教員定数を増やすことが不可欠です。
 さらに、非正規教員である500人もの「定数内講師」を、5年間で半減させるため平均して年に50人ずつ削減する計画でしたが、18年度は逆に55人増えました。豊かな教育実現のため、定数内講師を減らし正規教員を増やしていくことが急がれます。

カジノ推進に2.3億円 2年で3倍以上に急増
 IR(カジノ含む統合型施設)を誘致するための予算を2億3200万円計上しました。2017年度1000万円、18年度7000万円から急激に増やしています。現在、カジノ誘致の有力候補地とされているのは和歌山県のほか大阪府、長崎県で、国が区域認定する3ヵ所に入れる可能性が高くなり、一気に勢いづいた形です。しかしこの状態は、これまでカジノ誘致に積極性をみせていた他の自治体が次々と手を下ろし始めた結果ともいえます。
 また19年度では、ギャンブルなどの依存症対策として1100万円計上。学校での教育やフォーラム開催、相談・医療体制を整備するとしています。どのような対策を講じてもカジノは賭博であり、バクチ場です。県はカジノ・IRを誘致しないと人口減少が進み経済発展が損なわれるとしています。まるでカジノ・IRだけが人口減少を食い止め、経済を発展させる唯一の道であるかのような主張です。県民の不幸を踏み台に海外の事業者がもうけるカジノはつくらせず、地域密着型の健全な経済発展にこそ力を入れるべきです。

県民の税金でムダな港湾整備すすめ、大企業には優遇策
 和歌山北港沖の関西電力LNG発電所計画のための南防波堤建設は、総事業費300億円で国が100億円、県が50億円を負担します。発電所の着工のめどのないまま、防波堤工事だけが進められています。全長1000メートルのうち600メートルがすでに建設済みで、これまで県は35億円を負担しました。毎年1億6400万円を負担していますが、2019年度は5000万円にとどめました。これは、昨年の台風被害により、18年度補正予算で県負担7億1700万円を増額して災害復旧に力を入れるためです。なお、災害復旧費については関電は負担しません。また、和歌山本港や日高港では、過大な入港見込みに基づく大型クルーズ船誘致のための港湾整備も進められています。いずれの港湾整備も、ムダな大型公共事業です。
 コスモパーク加太のカゴメ加太菜園は、昨年の台風被害を機に撤退を決めました。県は土地開発公社から103haの土地を年580円/㎡で借り、毎年6.4億円を借地料として払っています。その一部は20億円かけて造成し、カゴメ加太菜園に年100円/㎡という破格の安値で貸しているため、菜園からの賃料は期間満了まででも4億円しか入りません。撤退によりその4億円すら満額入らなくなりますが、親会社のカゴメは施設の撤去費と原状回復までの賃料を負担するだけで、期間満了までの賃料は支払わず、県もそれを許しています。大企業への県民の税金を使った優遇策はやめ、社会的責任を果たさすべきです。

納付金増で国保料(税)は引き上げに
  病床削減促す補助金に6億円
 国民健康保険の財政運営の県単位化が2018年度から始められ、市町村から県に納付金を納める制度に変わりました。今年2月の県国保運営協議会では19年度の納付金が示され、県合計で2.9%の8億9100万円増え、加入者減少の影響も伴い1人あたりに割ると8103円上がります。市町村の納付金額は加入者一人ひとりの保険料算定のもとになるため、19年度の県平均国保料(税)は値上がりする見込みになります。県国保運営方針には保険料を抑制するための市町村からの一般会計繰入をなくしていくことや、医療費を平準化し統一保険料にすることが明記されており、今後のさらなる保険料値上がりが予想されます。
 2025年までに病床を2割以上の2600床を減らす地域医療構想のもとで、14年からの3年間で261床が減らされました。また、削減を含む病床機能再編を進める医療機関への施設改修・設備整備への補助が毎年行われ、19年度も6億円が計上されました。補助金で病床削減を促す仕組みとなっています。

南紀白浜空港の民間運営と国際線強化
  ロケット発射場計画進む
 南紀白浜空港では、運営権を民間事業者にまかせるコンセッション方式での運営が開始されます。また、国際便受入機能を強化するための国際線ターミナルビル建設が進められています。安全性の確保はもとより、県民の利便性の向上、地域経済の活性の観点などから、動向を見ていく必要があります。
 新たな事業として、串本町に小型ロケット射場を誘致するため、初期投資負担の軽減として民間事業者に21億円を無利子で貸し付けます。2021年度の初打ち上げを目標にしています。

保育無償化一部拡大
  こども食堂支援は3割に減
 保育料の無償化では、2018年度には厳しい所得制限(年収約360万円未満)はあるものの第2子まで進みました。さらに19年度からは対象が一部拡大されます。国が10月から予定している保育料無償化の対象は0~2歳児については住民税非課税世帯(年収約270万円未満)ですが、県は第3子以降の0~2歳児については全て無償にします。ただし、消費税増税とセットになっている国制度への上乗せであり、増税と引き換えの子育て支援策です。
 食事などを提供する「こども食堂」への支援は、17年度までの200万円から2年連続で減らされ、19年度は60万円だけです。利用実績が少ないための減額ですが、施設整備などに用途が限られている上に1/2の自己負担があり、施設にとって使いにくいためです。要望に応え、人件費など運営費へも使えるよう改善が必要です。
 また、子どもの医療費助成制度では、全ての市町村が中学校卒業までや高校卒業までなど上乗せしていますが、県の制度は就学前までにとどまっています。


◇ 議案第2号 平成31年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
  予算額 3億6393万3000円
 (前年度 3億4684万2000円)

◇ 議案第3号 平成31年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
  予算額 8億9322万9000円
 (前年度 6億5628万6000円)

◇ 議案第4号 平成31年度和歌山県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
  予算額 2億0061万2000円
 (前年度 1億9544万2000円)

◇ 議案第5号 平成31年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
  予算額 2億1982万3000円
 (前年度 2億3688万9000円)

◇ 議案第6号 平成31年度和歌山県職員住宅特別会計予算
  予算額 2億0272万円
 (前年度 1億9011万3000円)

◇ 議案第7号 平成31年度和歌山県国民健康保険特別会計予算
  予算額 1004億3556万8000円
 (前年度 1049億1120万9000円)

◇ 議案第8号 平成31年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
  予算額 128億9233万3000円
 (前年度 111億0749万9000円)

◇ 議案第9号 平成31年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
  予算額 6億4775万6000円
 (前年度 5億1288万8000円)

◇ 議案第10号 平成31年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
  予算額 10億5337万1000円
 (前年度 11億7735万円)

◇ 議案第11号 平成31年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
  予算額 15億5300万円
 (前年度 18億0900万円)

◇ 議案第12号 平成31年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
  予算額 41億4302万1000円
 (前年度 61億4846万4000円)

◇ 議案第13号 平成31年度和歌山県公債管理特別会計予算
  予算額 1236億1951万1000円
 (前年度 1201億6170円)

◇ 議案第14号 平成31年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
  予算額 25億6774万1000円
 (前年度 25億2909万9000円)

◇ 議案第15号 平成31年度和歌山県工業用水道事業会計予算
  予算額 16億6121万円
 (前年度 16億8599万2000円)

◇ 議案第16号 平成31年度和歌山県土地造成事業会計予算
  予算額  8億4399万9000円
 (前年度 26億4713万2000円)

◇ 議案第17号 平成31年度和歌山県流域下水道事業会計予算
  予算額 39億7465万8000円
 (前年度 27億8725万3000円