2019年6月県議会 総務委員会
 楠本文郎委員の質問概要記録
                            2019624

《質問》楠本文郎 委員
 (行政報告会は)県政の重点施策、地域の課題などについて、知事自ら説明をする行政報告であり、「県民の皆さまから御意見を頂戴している」との表現であるが、時間がなく質問できなかった会場が2ヵ所あったと聞いている。そのような意見を聴く時間が取れなかった会場が何ヵ所あったか、チェックを行っているか。

《答弁》 広報課長
 90分の説明の後、残って質問をお受けしている。質問を受けなかったことはないと認識している。

《要望》楠本文郎 委員
 昨年と今年度について、質問を受けた会場について統計をとっているか。後ほど報告をお願いする。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第130号「権利の放棄について」に関して質問する。権利の放棄なので法的ルールに基づくことになるが、委員会ではルールよりも実態を聞く方が大事と思い質問する。
 これまでの抵当権放棄の案件は積み重ねられてきており、平成26年9月に消防学校移転用地、平成26年12月に変電所用地、平成30年2月に工場用地、平成31年2月に大型クレーン基地用地に係る権利放棄があったが、それぞれの案件での売却単価について報告いただきたい。併せて、今回の化粧品製造業用地の売却単価についても報告願う。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 売却価格に関しては、土地の持ち主である土地開発公社で不動産鑑定をとって、売却時点での適正な価格を決定している。
 平成26年の消防学校移転用地は、造成後引き渡しで1平方メートル1万3,000円であった。同じく平成26年の変電所用地は未造成で1平方メートル5,808円であった。平成30年の工場用地については造成後引き渡しで平米1万4,000円であった。前回、議決をいただいた大型クレーン用地は未造成で平米当たり9,000円であった。今回、議決をお願いしている工場用地は、造成後で1万5,000円となっている。
 今回の土地の評価については、これまでの造成用地に比べ、土地と前の道とに高低差がないことが評価され、若干高い評価となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 単価にばらつきがあるのは、答弁にあった未造成、造成という違いによって差が出るということのようだが、今回は未造成のままで全く手を入れないのか、例えば、進入道路はこの場所にはないのではないか、また上水、下水、それからガス、電気の提供の有無はどうなっているのか。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 今回の土地については、造成しなくても平面の状態になっており、新たな造成は必要としない。評価については、造成後の評価で1万5,000円となっている。
 この土地は、幹線道路である県道粉河加太線から奥まった位置にあるので、進入路を設けないと売れる状態にはならない。このため、進入路、上水道、下水道については、我々の方で工事をして土地を引き渡すことになる。ガスについては、プロパンガスで対応すると聞いている。電気については、関電と事業者が直接交渉して、幹線道路添いから電気を引き込んでもらうことになる。

《質問》楠本文郎 委員
 道路、上下水道はどこが担うことになるのか。和歌山県土地開発公社か県なのか。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 道路、上下水道については、和歌山県土地開発公社が工事を行う。

《質問》楠本文郎 委員
 現代は土地を購入する企業の信頼性、安全性が必要となる時代になっていると思う。買ったが進出しないとなると大変なことになる。今回の進出企業の概要と信頼性について説明されたい。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 今回、コスモパーク加太に進出する企業は、上富田町に本社を置く有限会社柏山理化学研究所である。当社は、ブランド化粧品の原材料を製造しており、昭和50年の設立以来、堅調に業績を伸ばしてきている。土地の買取申込に当たっては、参考資料として決算資料等を添付いただいており、業績を確認している。
 新工場の建設については、土地開発公社や県との調整事項もあり、これからも緊密に連絡を取っていく必要があるので、進捗状況については十分把握していく。

《質問》楠本文郎 委員
 最後に関連だが、近隣にカゴメの屋舎があるが、それは今どんな現状で、今後どうなっていくのか。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 和歌山県に進出したのはカゴメの子会社である加太菜園であるが、当社は昨年9月の台風21号の被害によって、操業継続が困難になり、残念ながら廃業という決定をされた。
 現在の状況は、栽培していた温室等建物の撤去工事を行っており、今年の10月か11月には撤去工事を完了すると聞いている。土地が原状に戻って県に返却されることになる。

《要望》楠本文郎 委員
 このことについては、いろんな経過があることを聞いているが、そのことはさておき、廃業されるのであれば、更地にして返してもらうというのが、とにかく必要なルールではないかという事案が私の方でもあり、その点だけ要望しておきたい。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第113号「和歌山県税条例の一部を改正する条例」について質問する。難解な税の問題で、一定の確認をしながらと思っているが、まず、個人住民税の非課税の対象に加えることとなった単身児童扶養者の人数は把握しているか。

《答弁》 税務課長
 今回対象に加える、いわゆる未婚のひとり親を正確に集計した統計は無いので、実数としての把握はしていない。

《質問》楠本文郎 委員
 ただ予算取りをしないといけないと思う。大まかな見込み数でいいので、把握している数字はあるか。

《答弁》 税務課長
 これについては、令和3年度以降の対象となるので、現在のところ予算での見込みは行っていない。

《質問》楠本文郎 委員
 了解した。これは私たちが相談に乗っているなかでいうとありがたい。次に自動車税等の各改正について、これは消費税率10%への引上げと密接に関係のある部分ではないかと思っているが、関係する部分を説明いただけたらと思う。

《答弁》 税務課長
 消費税率10%への引上げに関係する車体課税の改正であるが、まず自動車の取得に課税される自動車税環境性能割においては、10月から1年間、1%引き下げることとなっている。これについては消費税率引上げに対する臨時的措置ということになっている。
 次に、自動車の保有に対して課税される自動車税種別割においては、10月以降に新規新車で登録される自家用乗用車等の税率を恒久的に引き下げることとなっている。これについては、自動車ユーザーの負担軽減が主目的ではあるが、10月から施行ということになっているので、消費税率引上げに対する需要平準化対策にもなっている。

《質問》楠本文郎 委員
 自動車税種別割の恒久的な税率引下げについては良いことだと思うが、国の制度による県税の減収になるので、国で措置しないといけないということがあると思う。そういった措置される部分は条例案に反映されないのか。

《答弁》 税務課長
 今回の減税分について、まず自動車税環境性能割の減税分については、全額国から地方特例交付金という形で措置される。
 また自動車税種別割については、主に国からの税源移譲があり、自動車重量税や揮発油税から税源移譲される予定となっている。その他にも、エコカー減税の基準見直し等で、県税で措置するものもある。

《質問》楠本文郎 委員
 平準化というのを、簡易に説明いただきたい。

《答弁》 税務課長
 消費税率を10%へ引き上げるので、それまでに駆け込み需要が生じる、これが前回の状況。それに対して今回は10月以降に税率を引き下げるという措置がされているので、その駆け込み需要を抑える、10月以降も車が売れるようにという措置である。

《質問》楠本文郎 委員
 国の財源措置では、グリーン化特例の見直しで都道府県が増収になると予測されている。これは全体としては減税の者が多いが、増税になる者もたくさんいるのではないかという心配をしている。もう1点は2021年度以降に取得した自動車を対象としたグリーン化特例について、対象がすごく限定される、電気自動車に限定されると読める。減税されるのか、増税されるのか、個々の対応ではわかりにくいが、いろいろな業界からの要望があって複雑になってしまった、そういう理解でよいか。

《答弁》 税務課長
 グリーン化特例、車の保有にかかる税金を軽くする、重くするというのは、いわゆる環境負荷の大きさによって応分の負担を求めるという趣旨のものであり、概ね2年に1回基準の見直しが行われている。今回の改正についても、その基準の見直しである。委員ご指摘のように、電気自動車等にかなり限定されるのではないかという点についてはその通りで、2021年度以降については電気自動車等の次世代自動車に限定する。これは、昨今エコカーの性能がかなり上がってきたところで、エコカーの対象を絞り込むというものである。
 今回の改正全体では、自動車ユーザーの負担軽減という方向になっている。

《意見》楠本文郎 委員
 同意できる部分と平行線の部分が出てくる。消費税が導入されることに伴っていろいろな制度を変更せざるを得なくなるという側面がここに出ていて、同時にいわゆるグリーン化特例で2年ないし3年ペースでやらなければならないところもいっしょに盛り込まれているというように理解をして、これは賛成できないなという思いが強いということだけ申し上げておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第114号及び115号の報酬及び費用弁償の一部改正についてであるが、見直しの根拠はなにか。

《答弁》 市町村課長
 公職選挙法等の規定により、国会議員の選挙等に要する経費は国庫負担とすることとなっている。
 当該国庫負担の細目を定めるものとして、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律があり、参議院議員通常選挙の有る年の定例改正として、最近の物価変動の動勢等を踏まえたものとして単価改正が行われている。
 この単価改正に準じて、県の条例をそれぞれ改正するものである。

《質問》楠本文郎 委員
 そのような理由であれば、3年に1回の改正があることが理解できる。
 それでは、引き上げ幅はどのように考えればよいか。
 また、施行予定日が公布の日からとなっているが、7月4日公示の参議院議員選挙には適用されるのか。

《答弁》 市町村課長
 引き上げ幅については、先ほど答弁したとおり、最近の物価変動等を踏まえた額となっている。
 2点目の参議院選挙に適用されるのかということについては、参議院選挙の選挙日は確定していないが、世間で言われている想定スケジュールで執行されるのであれば適用されるものと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 3つ目の質問は、議案第121号「和歌山県使用料及び手数料条例の一部改正」についてである。手数料の額の値上げの根拠について、まずご説明いただきたい。

《答弁》 財政課長
 今回の条例改正については、国で定めている地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正が行われたことに対応して、手数料の額を改正するものである。
 手数料の積算については、手数料を徴収する事務に係る人件費、物件費といったコストを積み上げて計算している。その積算のなかで、物件費は消費税の課税対象となることから、今回の消費税の引上げを踏まえて単価を積算し直した結果を反映している。

《質問》楠本文郎 委員
 消費税引上げに関するものや、人件費等を含めて積算しているということだが、例えば別表第2第2項消防法の施行に関する事務、(1)法第11条第1項前段の規定に基づく危険物施設の設置の許可の申請に対する審査、イ貯蔵所、(オ)浮き屋根式特定屋外タンク貯蔵所及び浮き蓋付特定屋外タンク貯蔵所、c危険物の貯蔵最大数量が10,000キロリットル以上50,000キロリットル未満のもの1件につき158万円が値上げをされ、159万円となる。現行の158万円を消費税率8%で割り戻して原価を出し、それに10%をかけたら、約160万円になるが、これは手数料を安くしているということか。
 また、別表第2第4項高圧ガス保安法の施行に関する事務、(12)法第31条第2項の規定に基づく販売主任者試験の実施、ア第一種販売主任者免状に係る販売主任者試験1件につき7,600円が7,900円に値上げされる。これを同様の計算をすると7,740円となるが、これは便乗値上げではないか。
 それから、別表第2第5項電気工事士法の施行に関する事務、(1)法第4条第2項の規定に基づく第1種電気工事士免状の交付1件につき5,900円が6,000円に値上がりする。これを同様に計算すると6,009円となり、9円が切り捨てられ6,000円となる。それぞれどういった基準で積算されているのか、ご説明いただきたい。

《答弁》 財政課長
 まず一般論から申し上げると、先ほど御説明したとおり、人件費や物件費等を積み上げて積算しているが、人件費については消費税非課税であるため、消費税増税の影響は受けない。そのため、人件費・物件費がどのような割合で含まれているかによって引上げ額の割合が変わってくる。
 また、中には、前回の消費税引上げ時に改定されていない手数料があるため、そういった手数料については、今回5%から10%への引上げが反映されている。
 委員御指摘の1点目の消防法の施行に関する事務では、物件費の割合が100%ではないため、8%から10%相当の引上げが行われていないということである。
 2点目の高圧ガス保安法の施行に関する事務については、前回消費税が5%から8%に引上げられた際に改定されなかったため、今回は5%から10%への見直しを反映している。そのため、8%から10%相当以上の引上げが今回行われているということである。
 最後に電気工事士法の施行に関する事務については、物件費の割合が100%ではない事務であり、8%から10%相当以下の引上げ額になっている。
 政令改正においては、それぞれの事務について積算があり、しっかり積み上げたもので改正をされている。

《質問》楠本文郎 委員
 細かくお尋ねしたが、ここに出されているものについては、全てそういう積算根拠に基づいて、今回、5%から10%に一気に上がるものもあれば、8%から10%には上げなくてもよいものもあるという理解でよいか。

《答弁》 財政課長
 その点については、国の方で定められている政令の中で引上げ対象になっているもの、なっていないものがあり、全てが対象となっているとは限らない。基本的には上げ幅や影響額等を見ながら、今回の政令改正において、引き上げるもの、引き上げないものが決められているものと承知している。

《質問》楠本文郎 委員
 議案書に載っている項目とこういう説明書きとを全て見比べてみたら、載せてないものがいっぱいある。載せてないものが何かというと、手数料を上げないものだった。手数料を引上げるものを計算してみたら、そういう違いがあるんで、これはどう考えたらよいのかと思った。
 最後になるが、私が御坊市議会にいた時にいつもこの類いで申し上げてきたが、消費税が10%になったからといって、なぜ手数料、使用料を引上げなければならないのか。別に新たな経費はかかってないのではないか。そのぐらいであれば行政で抱えようと申し上げてきた経緯がある。
 そこで、今回、県議会がこの改正案を否決したらルール的にはどうなるのか、御説明いただきたい。

《答弁》 財政課長
 この条例案について否決された場合には、当然、手数料の額は引き上げられないことになり、据え置かれることになる。
 手数料は特定の役務提供を受けた者に負担させるという趣旨のものであるので、引き上げられないことになる手数料については、特定の役務提供を受けた者ではなく、結果として広く県民の方に負担していただくということになる。

《意見》楠本文郎 委員
 例えばグラウンドや体育館の使用料について、消費税を転嫁するのは行政判断であるわけだが、消費税が上がったからといって、それを全部転嫁してもよいということではないと思っている。
 また、県議会で議決する権限が与えられているというところがポイントだと思う。県議会では議決する権限がある。政令で決まったからといって、そのとおりやっておけよと言うのであれば、当然議決権はないはずである。そこにものすごく拘っているということだけ申し上げておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第126号の和歌山県防災航空センター事務所及び格納庫の取得について、経緯の説明をお願いする。

《答弁》 災害対策課長
 敷地は県有地であるが、建物は東邦航空株式会社が平成18年3月に建設したものを賃借している。
 建物の耐用年数は40年であり13年経っている。残りの27年間の賃借に係る費用の他、撤去費、保険料、修繕料、大規模点検費用などと、県が買い取った場合に必要な費用を比較すると、買い取った方が県にとって有利となる。
 今般、東邦航空株式会社とも売買に係る調整がついたので、取得することとしたものである。

《質問》楠本文郎 委員

 賃借料はいくらか。買取の方が有利ということか。

《答弁》 災害対策課長
 月額60万1,124円、年額721万3,488円であり、買取金額が議案書にもあるとおり7840万8千円である。撤去費等を含めて比較すると差し引き4000万円くらい安くなる。
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議案に対する採決

議案第113号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
議案第121号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
は、賛成多数で原案可決
日本共産党 楠本文郎委員は反対 → 奥村規子の議案に対する反対討論

議案第109号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第110号 和歌山県情報公開条例の一部を改正する条例
議案第111号 和歌山県行政不服審査法施行条例の一部を改正する条例
議案第112号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第114号 選挙長、選挙分会長、審査分会長、選挙立会人及び審査分会立会
        人の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
議案第115号 投票管理者、開票管理者、投票立会人及び開票立会人の報酬及び
        費用弁償の額の基準を定める条例の一部を改正する条例
議案第126号 財産の取得について
議案第130号 権利の放棄について
は、全会一致で原案可決



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