2019年6月県議会 文教委員会
 杉山俊雄委員の質問概要記録
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《質問》杉山俊雄 委員
 文化財保護法の関係で、国の文化財保護法の一部を改正するので、県もそれに応じて変更するから、特段問題はないという説明を受けた。先輩議員に聞くと、そうでもないのではないかと。
 国の法改正の時に問題点はなかったのかインターネットで調べてみると、去年の4月の毎日新聞に、文化財保護法の大幅改正というものがあって、国指定文化財を活用しやすいように市町村に権限を移譲する、保護中心から保存と活用の両立へ大きな転換というふうな記事の内容であった。
 その時に山本地方創生担当大臣の「一番ガンなのは学芸員、観光マインドが全くない、一掃しないと」というような発言を思い出した。要は、審議される1年前の発言に改正の本音があるのではないか、保護よりもその文化財を観光に活用するということが大きな狙いで、改正したのではないかと。
 学芸員というのは、博物館法で定められた専門職員なので、観光マインドなんて持っている訳がない。資料の収集や保護とか展示とか調査研究を扱う、そういうふうな職員と位置づけられている。
 次のような問題点があるのではないかというのが一つ。国と同様に県も改正するという部分だが、保存があって活用がされるのに、活用という利益を優先されると、観光マインドじゃないけれど、客が来ない文化財が切り捨てられる恐れがあるというふうに思った。
 また、同法改正と同時に、地方教育行政法の一部改正も同時に行われ、その中で教育委員会が所管する文化財保護業務を首長が担当できるようになった。こんなふうに一部を改正するということは、文化財保護業務を教育委員会から知事部局に移管する、そうすると、知事の意向が反映されやすい。すなわち、保護よりも観光ということが表になってくると、観光で金にできないものはオミットされるということになりはしないか。教育委員会は保護を中心にやっていたのが、活用中心にやっていくことになるのではないかと非常に危険を感じる。
 概要の1の(2)に、国制度と同様の制度を創設、県指定の文化財を市町村に移譲することについて、市町村に説明をしているのか。
 2の3の①に、市町村を管理団体に指定、管理を行なわせるというのがある。③に管理団体による費用を負担、こういうふうに書いてあったが、財源措置はあるのか。要は県の文化財なのに、お金を出すのか出さないのか。これらのことについて質問をする。

《答弁》 文化遺産課長
 まず、文化財保護法の改正については、昨年6月に公布され、今年の4月1日から施行という形になっている。
 当時、委員の言うとおり、文化財の活用を少し重点的にという改正になっているということであるが、昨年、国会で決議された際にも、参議院・衆議院それぞれにおいて、文化財の保存と活用、これは保存があっての活用ということで、そこの均衡が大事だと附帯決議されている。
 そういう保存と活用の手立てをきちんととるようにという附帯決議をされた上での公布・施行であると認識している。そういう意味で、まずは文化財がきちんと保存されることが重要である。もともと、文化財の保存については少子化や過疎化というような社会情勢が変化する中で、文化財の担い手が少なくなりきちんと保存ができない。これに対して地域総がかりで文化財を守っていこうというところからスタートしての保護法の改正であった。
 このたびの法改正は、原則として所有者が管理すべきというところにおいて、管理責任者の選任の関係、今まで管理責任者については個人、自然人であったものを各地域で保存活用に取り組む団体等を市町村が指定してその団体に行わせることができるというような形で行われている。
 そんな中で県の文化財保護条例においても保護法に準拠したような形で従来改正を行っているので、その部分を取り入れたということである。
 市町村に説明をしたのかというところであるが、法改正が行われた時点で、市町村にも国・県・市町村・所有者の役割を十分担いながら今後文化財を守っていく、管理をしていかなければいけないという趣旨は説明させてもらったと考えている。
 財源に関しては、管理団体として、所有者に代わって市町村の負担の下、市町村に管理をさせるということであるが、基本的には国の指定になった重要文化財等については、特別交付税で措置されているし、市町村が県指定文化財を管理するについても、特別交付税でその他費用を要したものという形で措置をされているので、特別に県から市町村に補助をするというようなことは、考えていない。

《質問》杉山俊雄 委員
 県の文化財を市町村にお願いするのにお金を出さないのか。ちょっと考えられない。

《答弁》 文化遺産課長
 県の文化財について、日頃の維持管理については、市町村が管理する、所有者が管理する、いずれにしても、特段補助金等の予算措置はしていない。ただ、修復等を行う場合については、一定の割合で補助を出しているというような状況である。
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議案に対する採決
議案第120号 和歌山県文化財保護条例の一部を改正する条例
は賛成多数で原案可決
日本共産党 杉山俊雄委員は反対 → 奥村規子の議案に対する反対討論

議案第109号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第125号 損害賠償請求事件に係る和解について
議案第129号 財産の取得について
は、全会一致で原案可決


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