2019年9月県議会 楠本文郎 一般質問 概要記録
  中継録画


2019920
1.台風10号における椿山ダムの放流と今後のあり方
(1)今回の椿山ダムの操作について
(2)椿山ダムの「安全神話」から脱却する
(3)ダム貯留を出来るだけ下げる

2.日高川水系整備計画の進捗状況を改めて問う
(1)西川整備の進捗と東裏川、堂閉川の対策
(2)藤井堤防の現状と今後の計画
(3)日高川樹木伐採等の箇所について
(4)県道御坊美山線藤井地内の道路整備の進捗状況

3. 紀の国森づくり税と森林環境譲与税について
(1)本県の森林・林業の課題と必要な対策について
(2)2つの税の住み分けについて

4.学校図書館への司書配置の充実を
(1)学校図書館の果たす役割と、司書の配置状況
(2)今後の県教育委員会としての取組


1.台風10号における椿山ダムの放流と今後のあり方
(1)今回の椿山ダムの操作について
《質問》楠本文郎 県議
 6月議会に続き、一般質問をさせていただきます。6月は日高川水系整備に関し時間をかなり割いてご質問申し上げましたが、おりしも8月15日。から16日に台風10号の襲来があり、今回も続けてご質問申し上げます。
 昨年は3回も台風襲来に見舞われました。今年も早々と、8月お盆にご先祖様と一緒に来た台風10号は、御坊周辺ではおとなしい感じでしたが、上流ではかなりの雨量となっていました。
 この台風10号に伴う降水量に対応するために、椿山ダムでは、事前放流を含む洪水調整が行われました。まず、今回台風に際して行われた椿山ダムの放流の操作状況を時系列データも含め概略的にご報告していただきたいと思います。

《答弁》 県土整備部長
 まず、県管理ダムの操作に関してでございますけれども、これにつきましては、知事が定めましたダム操作規則に基づいて行っているところでございますけれども、以下、台風第10号に伴いますダムの操作状況に関しまして、時系列でお答え申し上げます。
 まず、8月9日金曜日の夕方時点の話でございますけれども、台風が15日の午後から16日にかけまして最接近をしたということで6日前になりますけれども、お盆の休みの前、あるいは3連休の前という段階のその週末の夕方の時点で、紀伊半島を直撃する進路と低い気圧が予報されるということから、お盆時期の帰省ですとか、あるいは川でのレジャーと重なって接近するということが懸念されておりましたため、同日9日の金曜日に、ダムからの事前放流の可能性に関するお知らせを報道機関に提供いたしました。新聞、テレビ等におきまして、数日にわたり報道していただくなどいたしまして、県民の皆様方への事前放流に関する可能性の注意喚起を行ったところでございます。
 その後、14日水曜日の正午ごろより事前放流を開始し、翌15日木曜日の午後5時半ごろには、流入量が洪水調節の対象となります毎秒600立方メートルに達しましたことから、洪水調節を開始いたしました。日付が変わりまして、翌16日金曜日の午前2時20分ごろには、最大流入量毎秒約2,500立方メートルを記録いたしました。その後、同日午後5時ごろに流入量が毎秒600立方メートルを下回ったことから、洪水調節を終了したという状況でございます。
 以上が、台風第10号に伴うダムの操作状況でございます。

(2)椿山ダムの「安全神話」から脱却する
《質問》楠本文郎 県議
 椿山ダムから毎秒1,000トン以上の放流があると藤井グラウンドは被災すると言われています。平成9年にグラウンドが作られていますが、当初は浸水被害はなかったのです。ところが、平成23年の日高川大洪水と合わせ9年間で5回目です。近年は頻繁に豪雨があることになります。
 この台風で被災した御坊市藤井河川敷に作られたグラウンドの災害復旧をめぐって、御坊市民の間では、大きな問題になっています。しかし、毎秒1,000トン以上の放流はこれからもしばしば起こりうると考えるのですがどうでしょうか。
 また、今回毎秒約1,500トン以上の流入が10時間ほどあり、放流は毎秒1,000トン以上の放流は15時間、その間ダム水位は海抜184メートルから200メートルへと上昇しています。つまり、これでよく収まった。線状降水帯という言葉は最近しばしば使われていますが、もう数時間日高川流域に降雨が続いていたり降雨量が増えていたら、放流は「ただし書き操作」に移り、洪水は避けられないことになったと考えられますが如何でしょうか。
 私はこのことを前提に、ダムからの早い目の放送、早い目の洪水予報が必要な時代に入っているのではないかと考えます。この点でも見解をお示しください。

《答弁》 県土整備部長
 まず、毎秒1,000立方メートル以上の放流に関するお尋ねを頂戴いたしました。
 椿山ダムからの毎秒1,000立方メートル以上の放流でございますけれども、これにつきましては平成元年のダム管理開始しました以降、約30年になりますけれども、概ね2、3年に1度の頻度で発生しているという状況でございます。
 それから次にただし書き操作の可能性に関するご質問をいただきました。
 ご指摘のとおり、仮にダムの洪水調節能力を超える降雨があった場合には、平成23年の台風第12号の際のように、ダムへの流入量とダムからの放流量を同程度とする異常洪水時防災操作、いわゆるただし書き操作を行なわざるを得ないという状況でございます。
 それから3点目、最後に早めの情報提供ということでお尋ねをいただきました。
 この早めの情報提供に関してでございますけれども、異常洪水時防災操作に限らず、ダムからゲート放流を行う前には、ダム管理事務所から市町、警察、消防等に対してその旨を事前に通知いたしますとともに、河川敷などの利用者に対しましては、安全確保のため、川沿いに設置しております警報局からの放送を行うとともに、ダム管理事務所職員が警報車に乗り込みまして目視で確認を行いながら警報活動を実施すると、こういう状況に努めているところでございます。
 また、洪水予報に関してでございますけれども、椿山ダムから下流の日高川を水防法に基づく洪水予報河川に指定してございまして、県と気象台が共同して、3時間後までの水位を予測し、その結果を踏まえ、氾濫警戒情報や氾濫危険情報などを発表していると、こういう状況でございます。
 このようにダムからの放流情報や洪水予報に関する情報は、市町に対して速やかに提供しております。市町におきましては、住民などに対しまして発令する避難勧告等の判断基準の1つとなっているというふうに承知をしてございます。
 なお、ダム管理事務所におきましては、市町への情報提供とは別に、県のホームページやテレビ和歌山のデータ放送において、ダムの運用状況の見える化も行っているところでございます。
 今後も、県管理ダムの適切な運用を行いますとともに、ダム下流の地域の皆様方へのわかりやすい情報発信に努めてまいりたいというふうに考えております。

(3)ダムの貯留を出来るだけ下げる
《質問》楠本文郎 県議
 椿山ダム関連の3点目に、ダムの貯留を大きくしておくためには堆砂が少ないほうが良いわけですが、堆砂容量は毎年調査をされているでしょうか。
 堆砂を除去できないのでしょうか。
 また、椿山ダム全体の貯留容量が小さくなっているのではないでしょうか。
 さらに、海抜184メートル以下に事前放流しておくことも視野に入れるべきだと思いますが、その際の不都合な問題についてお答えいただきたいと思います。

《答弁》 県土整備部長
 まず、堆砂の調査とそれから堆砂の除去についてお尋ねをいただきました。
 椿山ダムでは、貯水池の測量を毎年行い、土砂の堆積状況を把握してございます。また、少しずつではございますけれども、堆積土砂の除去も毎年行っているところでございます。
 次に、ダムの容量についてのご質問をいただきました。
 治水容量につきましては、土砂の堆積も含めた安全率を加味していること、また、治水容量とは別に、100年分の堆砂容量を事前に確保していることから、現時点におきましては、堆積土砂が洪水調節能力に影響を及ぼしている状況であるとは考えておりません。
 ただし、このダムの堆積土砂につきましては、椿山ダムのみならず全国的な課題、検討項目になっておりますことから、引き続き国の動向も注視するなどいたしまして、情報収集に努めてまいりたいとこのように考えております。
 最後に、184メートル以下の放流ということでお尋ねをいただきました。
 標高184メートル以下に事前放流の目標水位を低下させることにつきましては、物理的には可能でございます。
 仮にそのようにダムの貯水位を低下させますと、貯水池内は池ではなく川のようになり、速い流れが発生いたします。そうしますと通常でありますとフロート式の流木止め、我々一般的には、「網」という字に場所の「場」とかいて網場と呼んでおりますけれども、この網場で捕捉されるはずの流木が、網場を乗り越えましてダム堤体付近に到達することが想定されると、こういう状況でございます。そういたしますと、椿山ダムでは、県が管理いたします他のダムと比較して低い位置にコンジットゲートを設置しておりますことから、この流木がコンジットゲートで詰まる危険性が非常に高くなるという状況でございます。万が一そのような事態となりますと、ダムのゲート操作が不可能となりまして、洪水調節機能を喪失するということになります。
 こうしたことから、楠本議員ご指摘の標高184メートル以下に目標水位を低下させた事前放流を行いますことは、ダムの正常な機能を確保できなくなる恐れが高いということから、困難であるというふうに考えております。


2.日高川水系整備計画の進捗状況を改めて問う
《質問》楠本文郎 県議
 次に、今回の台風10号に関連して、日高川水系の整備計画の進捗について、6月議会に続けてお尋ねしていきます。
(1)西川整備の進捗と東裏川、堂閉川の対策
 6月には、西川本川の河川整備を優先して取り組まれていることが答弁されました。まず、西川整備の現在の施工カ所の状況と今後の計画をお示しください。
 東裏川はその西川の支流ですが、台風10号でも冠水した箇所が広くあり、地域住民にとっては「何とか早く対策をとって欲しい」という要望の強い箇所です。
 道成寺参道周辺を流れる堂閉川も、同じく今回も冠水があった箇所であり、西川整備の治水効果の状況次第で一気に改善を図っていただきたいという声が高まっています。
 西川水系の整備方針としてお答えください。

《答弁》 県土整備部長
 西川の各施工箇所の整備状況につきましては、今年度中に、大川橋から尾上橋までの区間におきまして、工事用台船進入のための暫定的な河道掘削が完了する予定でございます。また、来年の出水期までに、大川橋から尾上橋までの区間の両岸、および、尾上橋から寺田橋までの区間の左岸におきまして、護岸工事が完了する予定でございます。
 この西川の河川整備につきましては、県議会の皆様、県選出の国会議員の皆様をはじめ、関係の方々のご尽力により成立いたしました「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の予算を最大限に活用するなどしまして、引き続き事業の進捗に努めてまいります。
 西川の支川の東裏川と堂閉川に関するお尋ねでございました。
 今回、この8月の台風10号によりまして、この西川の支川の東裏川と堂閉川におきまして、道路冠水等があったことについては県としても承知してございます。今、西川水系につきましては、下流の部分から順次整備を進めているところでございまして、こういった東裏川、堂閉川も含めました浸水対策につきましては、現在下流から進めております西川本川の整備に一定の目処がつき次第、着手につきまして検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

(2)藤井堤防の現状と今後の計画
《質問》楠本文郎 県議
 藤井堤防はこの間の補修工事によって、白い補修箇所が目立ってまいりました。点から面になってきているのを見ると「堤防強化が見えて、気持ちが落ち着く」という声もあります。堤防強化の取り組みとして今年度計画の進捗及び今後の計画をお示しください。

《答弁》 県土整備部長
 この藤井地区の藤井グラウンド前の約740mの区間でございますけれども、この区間におきまして、平成29年度より、張コンクリートによる護岸の修繕工事を実施しているところでございます。昨年度までに約270mが完成をしてございます。今年度は、野口橋の下流の約150mの区間、こちらのほうを施工する予定としてございます。今後も引き続き、修繕工事を進めてまいりたい、このように考えてございます。

(3)日高川樹木伐採等の箇所について
《質問》楠本文郎 県議
 すでに国の国土強靭化対策予算として日高川の浚渫、樹木伐採の方針が出させていますが、実施の時期はいつ頃で、どのような工事になっていくのでしょうか。
 また、藤井グラウンドの真正面に盛り上がった形で砂利が溜まっています。椿山ダムが放流したらすぐにグラウンドに濁流が流れ込んでしまう。これを除去しないといくら災害復旧してもアカンという声が御坊市民の意見として多いのですが、この藤井グラウンドの前の砂利の除去が欠かせないと思うのですが、計画に入らないのでしょうか、お示しください。

《答弁》 県土整備部長
 まず、日高川の樹木の伐採の件でご質問をいただきました。
 日高川本川におきましては、今年度より天田橋から野口橋の間の樹木の密集地におきまして、基本的には下流から樹木の伐採を行い、さらに、再び繁茂することを防止いたします再繁茂防止のための除根と掘削も行うこととしてございます。
 今年度の工事箇所でございますけれども、本年5月に御坊市自治連合会の通常総会でご説明申し上げているところでございますけれども、天田橋上流の左岸側、それから御坊大橋下流の左岸側など、合計約600mの区間について、これを予定してございます。次年度以降も順次実施してまいりたいとこういうふうに考えてございます。
 それから、藤井グラウンドの対岸の堆積した砂利の件についてご質問をいただきました。また、日高川本川の藤井地区及び野口地区でございますけれども、水面上に砂州があるということから、一見すると土砂が著しく堆積しているように見えるという状況ではございますけども、ここにつきましては、平成23年台風第12号によります洪水と同規模の洪水を流下させることができるということで、現時点では、議員ご指摘の藤井グラウンドの対岸箇所について、土砂を撤去する予定はございません。
 野口のところの水路の話もございましたけれども、今後、河道内の土砂堆積、あるいはいろいろな構造物の状況など、そういったところもきちっと管理をしていきまして、土砂堆積などが著しく進行しているという状況が見受けられる場合には、土砂撤去を行うなどということを含めまして、適切な管理に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

(4)県道御坊美山線藤井地内の道路整備の進捗状況
《質問》楠本文郎 県議
 この項目の最後に、県道御坊美山線藤井地内の道路整備についてお尋ねします。6月の答弁を聞いて以来、地域住民からすれば、いよいよ道路拡幅に動き出してもらえる、今年度予算の調査費だから、もうすぐこれからの方向性が示されることになると心待ちをしているところです。現在の進捗状況についてご報告をいただきたいと思います。

《答弁》 県土整備部長
 県道御坊美山線藤井地内の道路整備に関してでございますけれども、先般、9月15日に堤防の地質調査ならびに道路整備に必要な現地測量の立ち入りにつきまして、地元の藤井区に対しまして説明会を実施したところでございます。
 この説明会では、堤内側、いわゆる民地側でございますけども、民地側へ道路を拡幅する考え方につきまして、ご説明を行った上で、現地測量を進めていくということにつきまして、同意を得たところでございます。
 今後、現地測量を実施し、具体的な道路計画について地元の皆様方へ説明を行いながら、道路整備を進めてまいりたい、このように考えてございます。


3.紀の国森づくり税と森林環境譲与税について
(1)本県の森林・林業の課題と必要な対策について
 日本の国土は森林が国土面積の3分の2を占め、木材の供給とともに、国土・環境の保全、水資源の涵養、生物多様性など公益的な機能を有し、国民生活に不可欠な役割を果たしています。同時に、CO2の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など「低炭素社会」の実現にも欠かせない資源です。この大事な役割を持つ森林を歴史的に維持・管理してきたのが林業だと思います。それが今危機に瀕しているといわれています。
 その現状を打開するために森林環境税が国税として創設されました。今年この配分として「森林環境譲与税」として県にも、県内30市町村にも分配されます。2019年度は全国で200億円、県分9612万5000円、市町村計3億8446万4000円の合計4億8000万円余りが和歌山県に分配されることが示されています。税の集め方は、今すでに課税されている市町村民税均等割に500円、県民税均等割に500円上乗せされている東日本復興特別税が終了する2024年から引きつづき国税として課税されることになっています。
 一方、和歌山県にはすでに紀の国森づくり税が県民税均等割に上乗せされています。個人県民税均等割に500円、法人県民税均等割に5%の超過課税です。2007年、平成19年度から始まり、2017年、平成29年から再延長され今年はその3年目となっています。年間約2億6000万円の税収見込みで紀の国森づくり基金に入れられ、基金活用事業として、平成30年度には12年間累積で約28億円の事業実施、基金残額は4億900万円と広報されています。これだけの森林環境を改善するための事業が展開されてきています。
 ちょうど1年前の9月議会に先輩議員から、とても丁寧な一般質問が行われています。森林環境譲与税が決定されてすでに9月ですから、県担当課としても市町村にしても使途が決まりつつある時期だと思います。
 何故、目的税として、二重に課税までして森林に投資するのかはこれからついて回るテーマでもあります。
 そこでまず、日本の森林・林業の現状と課題の中で、本県の特性、独自課題もあると思います。その対策も含め認識をお示しいただきたいと思います。

《答弁》 農林水産部長
 本県の森林・林業の課題については、長期にわたる木材価格の低迷や、地形が急峻であるがゆえ他県に比べ生産コストが高く、林業就業者の減少・高齢化が進んでおります。
 こうしたことにより、手入れの滞った森林が増加し、水資源のかん養や洪水防止など、森林が持つ公益的な機能の低下が懸念されます。
 このため県では、生産コストの低減に向けて、林道等の路網整備をはじめ、プロセッサなどの高性能林業機械の導入や油圧式集材機の開発などを推進しているところです。
 また、首都圏での展示会への出展や見本市の開催に加え、公共建築物や木造住宅での利用に対する支援などにより、紀州材の販路開拓・需要拡大にも取り組んでおります。
 さらに、平成29年度に農林大学校林業研修部を新設し、人材の育成に取り組むとともに、新たな担い手を確保するため、今年度から都市部での林業体感セミナーの開催や、市町村及びわかやま林業労働力確保支援センターと連携した、仕事・住まい・暮らし等をワンストップでサポートする体制を整えたところでございます。
 戦後植林されたスギやヒノキが生長し、森林資源の本格的な利用期を迎えている現在、林業の再生を図る絶好のチャンスと捉え、今後とも、森林整備をはじめ、低コスト林業の推進や紀州材の販売促進に加え、担い手の育成・確保により林業の活性化に取り組んで参る所存でございます。

(2)2つの税の住み分けについて
 森づくり基金活用事業は、公募事業と、県が取り組む事業に大別されます。
公募事業は森とあそぶ・まなぶ、森をつくる・まもる、森をいかす、の3方向に沿った内容で団体等が自ら企画立案し実施する事業とされています。
 これらの事業と、今後市町村が森林環境譲与税を活用するであろう木材利用促進、普及啓発等と管理の重なりが出てくるのではないかと思います。「住み分け」されるということですが、現在の到達点をお示しください。

《答弁》 農林水産部長
 森林環境譲与税は、市町村が行う人工林の間伐や、公共施設での木材利用などに使われることとなっております。
 一方、紀の国森づくり税は、県が取り組む施策として、小中学生を対象とした緑育活動や貴重な森林を公有化する新紀州御留林に加え、今年度から、県が実施する防災上必要な集落周辺の森林整備や、国の制度の対象とならない間伐への 助成に活用しております。さらに、議員お話しのように、県内の団体等が自ら企画実施する公募事業にも使われることとなっております。
 この公募事業については、例えば、里山を再生するための広葉樹の植栽でありますとか、竹林・松林の整備、森林の機能を学ぶ間伐や木工体験などを実施する場合に補助するものでございまして、紀の国森づくり税は、森林環境譲与税との 住み分けを行っているところでございます。


4.学校図書館への司書配置の充実を
 「第5次学校図書館図書整備等5か年計画」が平成29年度、2017年度からスタートしています。今年は第5次の3年目です。和歌山県内においては第4次までの20年間に比べ、今回の5か年計画の中で前進をしてきていることは数字的にも明らかだと思います。
 この「学校図書館図書の整備」の後に「等」があるのは、
1:学校図書館 図書の整備
2:学校図書館への新聞配備
3:学校司書の配置
の3つの柱立てを意味していますが、今回の質問では質問時間の関係から学校司書の配置に絞ってお尋ねしていきます。
(1)学校図書館の果たす役割と、司書の配置状況
 まず、「学校図書館の果たす役割」についての認識が大事だと考えますので、教育長から学校教育における学校図書館の役割についてご説明をいただきたいと思います。
 2点目に、県立高校における学校図書館司書の今年度の配置状況をお示しください。
 同じく、市町村立校での配置状況はどうでしょうか。その概要をお示しください。

《答弁》 宮﨑教育長
 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育む場であるとともに、調べ学習などの自発的な学習活動を実現する、重要な役割を担っております。
 また、学校司書の配置によって、学校図書館の整備充実が図られ、学習環境が整うことで子供たちの豊かな学びにつながると考えております。
 学校司書の今年度の配置状況は、県立高校については、全てに配置しております。また、市町村立の小・中学校については、24市町に63名、347校中217校、63%の学校に配置されておりますが、充分な状況とは認識をしておりません。

(2)今後の県教育委員会としての取組
 県立高校の配置率に対し、市町村立校の配置がかなり遅れています。原因はどこにあるのか分析が必要です。
 私は、地方交付税算入という手法が、財政規模の小さい市町村にとって厳しい選択になるのではないかという点 「総合教育会議」での、学校図書館の位置付けの違いによって格差が生まれてきているのではないか、と感じています。
 この点では、県教育長が頭ごなしに「位置づけが低い」とは言えませんが、こうした到達点を踏まえて、今後の県教育委員会としての取組をお聞かせいただきたいと思います。

《答弁》 宮﨑教育長
 市町村立小・中学校の学校司書については、1校あたりにすると、概ね年間約70万円程度の国からの地方財政措置が講じられております。こうした中ですが、各市町村では学校司書の必要性を重視し、様々な工夫を行い、その配置数は年々増えてきております。
 県教育委員会では、学校図書館担当教員や学校司書等を対象に研修会を行うとともに、ボランティアの協力も得ながら、読書好きな子供の育成と学校図書館の充実を図っているところでございます。
 今後も、これまで以上に、国に対して、全ての小・中学校に専任の学校司書を配置できるよう定数措置を要望してまいります。



                                      県土整備部長の答弁を聞く、楠本文郎県議(右)

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