2019年9月県議会 総務委員会
 楠本文郎委員の質問概要記録
                               2019924

《質問》楠本文郎 委員
 お祝い品の献上ということで議案予算化されており、それについてお尋ねしたい。憲法にもとづく手続があると聞いているが、どのようなことか説明してほしい。

《答弁》 秘書課長
 日本国憲法の第8条に、皇室の財産授受についてという規定があり、「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない」とされている。これにより、去る6月21日に国会の議決を経て、献上する品を受け取っていただくことができるようになった。

《質問》楠本文郎 委員
 6月の国会の議決ということだが、予算がこの9月議会への上程となったことについて説明してほしい。

《答弁》 秘書課長
 6月21日に国会の議決があり、これを受けて7月2日に内閣において献上できる団体が閣議決定された。この閣議決定により、宮内庁から全国知事会を通じて都道府県に通知があった。こういう経緯であり、6月議会への補正予算上程は間に合わず、9月議会となった次第である。

《質問》楠本文郎 委員
 献上品を受ける日まで指定されると聞いたが、いつごろどうやって献上するのかが次のテーマになる。天皇の即位の儀式というのは、2通りあると思っている。
 憲法や法にもとづく手続の部分と、神事として昔ながらの天皇家という家に関わる儀式がある。大嘗祭というのがあって国事行為ではないとされている。国事行為ではない大嘗祭に献上品をお供えするなら、政教分離の原則から逸脱することになるのではないか。
 そういうことも留意をされているかと思うが、いつごろ献上されるのか。

《答弁》 秘書課長
 まず献上の日程については、予算の確定後、10月10日までに宮内庁に献上品の申請をし、了解を得る必要がある。受納期間も10月11日から10月29日と国会で議決されているので、時期や方法について宮内庁と協議して進めていく。
 委員ご指摘の大嘗祭は、皇位継承に伴う皇室の儀式であると認識している。今回のお祝い品の献上は、大嘗祭にお贈りするのではなく、県民の慶祝の気持ちを代表して伝えるものである。大嘗祭に対して贈るものではないので、問題はないと考える。

《質問》楠本文郎 委員
 素敵な根来塗りの漆器、いわば和歌山県の地域財産が中央へ行くことになる。正倉院のような形で国民に公開されるのが望ましいと考える。個人的にいただいたものでもなく、個人的に贈ったものでもない。和歌山県内の素敵なものを贈って、ちゃんと後世に残っていく、これは素敵なことだ。
 献上品の保管はどうしているか、代替わりがあったらどうなるか、わかれば紹介してほしい。

《答弁》 秘書課長
 献上品は、適切に倉庫に保管されていると伺っている。平成の即位で献上された品については、引き続き上皇陛下のもとにあるということも聞いている。なお、平成の即位の際の献上品は、後に1週間程度一般に公開されたと聞いている。
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《質問》楠本文郎 委員
 6月議会にも、議案として出されて質問したが、同じような形で権利の放棄が今議会に上程されていることから、同じように聞かせていただく。今回の土地の評価、それから権利放棄の原因についてお答えいただきたい。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 今回上程した権利放棄の議案の理由については、先の6月定例会等と同様である。
 コスモパーク加太の売却対象の土地に、県の土地開発公社に対する債権を担保する目的で抵当権が設定されており、売却先に土地を引き渡すためには、抵当権を抹消しておく必要があるため、今回の議案の上程となった。

《質問》楠本文郎 委員
 経過的なものについては同じような経過だろうと推測できるので、その点では既に企業とは契約もしくは仮契約しているのか。また、進出企業の概要や信頼性についてどう考えているのか示されたい。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 売却先とは既に契約を締結済みである。
 この契約には解除条件がついており、今回の抵当権放棄の議案が議決されなかった場合、この契約は無効になるという条項となっている。
 進出企業の信頼性等については、まず、議案第159号に係る進出企業は和歌山市の株式会社小松原で、当社はゴム設備機械やマイクロ波加熱設備機械等の産業用機械を製造しており、昭和31年に設立し、堅調に業績を重ねて来ている。
 次に、議案第160号に係る進出企業は、大阪府和泉市の友信化学株式会社で、当社は船舶用や工業用の特殊塗料を製造しており、昭和42年の創業以来、堅実に業績を重ねて来ている。
 両社とも、土地の買取申込にあたって参考資料として決算書等を添付しており、それにより業績を確認している。
 今回は、両社とも生産設備を増設するため、コスモパーク加太に工場を新設するものであるが、新設に当たっては、土地開発公社や県との調整事項もあるため、今後も緊密に連絡を取っていく必要がある。このことから、進捗状況について十分把握していく。

《質問》楠本文郎 委員
 企業の資本金について報告してもらいたい。
 それと、県の共同抵当権の対象債権が9億8000万円あると思うので、抵当権を放棄したらどれだけの金額になるか示していただきたい。

《答弁》 地域プロジェクト対策室長
 まず資本金については、株式会社小松原が2000万円、友信化学株式会社が3000万円である。
 次に共同抵当権の対象債権額は9億8298万3266円であるが、県の抵当権は2番抵当権となっており、金融機関の抵当権が1番になっている。
 今回の売却により、抵当権に対する返済というものは行われるが、まず金融機関の債権への返済が優先されることになるので、県の対象債権額は減ることはない。抵当権の性格上、そのようになっている。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第146号の「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」について、何点か確認したい。
 問題は、地方自治体にとって、この会計年度任用職員制度が改善になるのかどうかということ。
 これまでの10年から20年の間、正規の職員の減少に伴い、それを補完するため、非正規の職員を増やさざるを得なかった、という認識を持っている。
 その非正規の職員が会計年度任用職員になることによって、どうなるのかというのが大きなテーマだと考えているので、その立場から質問する。
 現在の非正規職員の中で、フルタイムの職員はいるのか。

《答弁》人事課長
 現在のところ、フルタイムの非常勤職員はいない。

《質問》楠本文郎 委員
 法律を見ると、フルタイムの会計年度任用職員とパートタイムの会計年度任用職員において、その待遇が大きく違う点が多々見受けられる。
 今回、県で提案しているのは、パートタイムの会計年度任用職員に対応するものだという答弁だと考えてよいか。

《答弁》 人事課長
 そのとおりである。

《質問》 楠本文郎 委員
 午前9時から午後5時45分まで週5日勤務した場合の報酬については、報酬基礎額として示されている。仮に午後5時までの勤務の場合の報酬は、示されている14万4,100円より少なくなる。勤務日数や時間数に応じて、単純計算で報酬額が決まっていくと認識しているが、それに間違いないか。

《答弁》 人事課長
 会計年度任用職員の報酬は、報酬基礎額と報酬上限額の範囲の中で、経験年数等も加味しながら、勤務時間数に応じて算出した日額単価で、勤務日数に応じて支給する。

《質問》楠本文郎 委員
 今回の法律改正に関する国会の答弁の中で、総務省は臨時・非常勤職員の待遇の改善を図るものだと説明してきた。
 今回の条例案により、非常勤職員の待遇が今までより改善するのかどうか、もし改善しないのであれば修正案を出すか、反対するかということになる。本当に改善するのかどうかについて確認していきたい。
 期末手当の支給が今回の目玉になっているが、すべての会計年度任用職員に適用されるのか、地域手当は報酬に含めるということでよいか、特殊勤務手当、超過勤務手当、宿日直手当についても報酬に含めて、これらを含んでの上限が14万8,600円ということでよいか。

《答弁》 人事課長
 このような手当相当額の支給については、例えば、報酬上限額を支給する場合においては、その上限額に手当相当額を加算することになる。

《質問》楠本文郎 委員
 地域手当は何%か。通勤手当の支給はどうなるのか説明いただきたい。

《答弁》 人事課長
 まず、地域手当について、常勤職員の場合は、和歌山市と橋本市が5%、その他の地域が1.5%支給しており、会計年度任用職員においても、同じ率を報酬に加算して支給することとする。
 通勤手当相当の費用弁償についても、常勤職員の例に準じて支給することになる。ただし、勤務日数が少ない場合はその都度の支給になったり、勤務日数が多い場合は、常勤職員と同等の額を費用弁償として支給することになる。

《質問》楠本文郎 委員
 報酬の上限額とはどういうことか。

《答弁》 人事課長
 報酬の上限額とは、あくまで基本の報酬の上限額であって、期末手当等は含まれていない。

《質問》楠本文郎 委員
 条例が決まったら、来年に向けて、一人ひとりの方に希望を聞く予定はあるか。

《答弁》 人事課長
 会計年度任用職員の任用に当たっては、原則として公募を前提としている。
 ただし、事務補助職員については、現行で3年間は引き続き任用する制度となっており、経過措置を設けることを検討中である。

《質問》楠本文郎 委員
 非正規職員の待遇改善に関しては、空白期間を設けるか否かも大きな論点であると認識しているが、3年間は余程のことが無い限り身分保障されているという理解で間違いないか。
 また、公募が原則とのことだが、その際はどのようなテストをするのか。
 現在働いている非常勤職員については、継続して雇用することとしているのか、本人の希望を聞くこととしているのか、明確に回答いただきたい。

《答弁》 人事課長
 3年間の任用についてだが、現行の事務補助職員制度では、最初に面接等の試験を行って採用し、任用は単年毎ではあるが、以降は勤務成績等に基づく能力実証により2回まで再度の任用ができるという制度になっている。新たな会計年度任用職員制度では全ての職員に対してこうした制度を設けたいと考えている。
 委員から、1日空けているかというお尋ねがあったが、県の事務補助職員、非常勤職員については、現行はそういったことはしていない。
 公募の際の試験については、面接試験に加え、教養試験、作文など必要な試験を実施する方向で人事委員会と協議中である。

《質問》楠本文郎 委員
 会計年度任用職員の給与と通勤に係る費用弁償等の財源はどのようになるのか。また、支出科目はどうなるのか説明いただきたい。

《答弁》 人事課長
 会計年度任用職員の給与等は原則として、一般財源で対応することになる。
 なお、期末手当等の支給に伴い、約10億円の財政負担増が見込まれるが、その財源措置については、国から地方交付税による財政措置を講じる予定と聞いている。
 予算上の支出科目については、報酬、期末手当、費用弁償及び共済費となる予定である。

《質問》楠本文郎 委員
 今、説明があった共済費に該当するものかと思うが、現在の非正規職員の健康保険の種別はどうなっているのか。また、会計年度任用職員になった場合は、どうなるのか。

《答弁》 人事課長
 現在の事務補助職員あるいは特別職非常勤職員については、すべて協会健保に加入しており、会計年度任用職員に移行後も、同じく協会健保への加入を予定している。

《質問》楠本文郎 委員
 最低賃金の改定があったときに、県の予算上の対応はどうなっているのか、また、条例改正の必要はないのか。

《答弁》 人事課長
 最低賃金ベースで報酬を支給している職員に関して、最低賃金の改定があった場合は、その職員を所管する課室において報酬単価の見直しを行い、予算については既存の予算の範囲内で対応しているものと考えている。
 また、条例改正の必要性については、現行の非常勤職員の報酬は、非常勤職員ごとの要綱で定めているため、条例改正の必要性はないと考えている。
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《質問》楠本文郎 委員
 最低賃金が上がることは経営者にとって嫌がることかもしれないが、和歌山県の経済や県民の生活のことを考えると、最低賃金が上がるのはいいことではないかと思う。
 和歌山県の最低賃金が830円に対して、大阪府は964円である。隣接する本県の雇用政策の観点から厳しいことだと思うが、この点について総務部長に答弁いただきたい。

《答弁》 総務部長
 各府県の最低賃金は、国の機関である労働局において議論をして、最終的には労働局長が定めている。
 これは、県職員に限ったことではなく、雇用政策全体の話であるため、総務部としては所管外のため答えは差し控えさせていただく。


議案に対する採決
議案第134号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第135号 職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部を改正する条例
議案第136号 和歌山県個人情報保護条例の一部を改正する条例
議案第137号 職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
議案第138号 非常勤の調査員、嘱託員等の報酬及び費用弁償条例の一部を改正す
        る条例
議案第139号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第140号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第141号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
議案第142号 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条
        例の一部を改正する条例
議案第143号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
議案第144号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
議案第145号 和歌山県人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正
        する条例
議案第146号 会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例
議案第159号 権利の放棄について
議案第160号 権利の放棄について
は全会一致で原案可決

決議(案)に対する協議
統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)」に対する質疑
《意見》楠本文郎 委員
 意見として、この決議案には、私としては同意しかねる。
 和歌山県というのは、ものすごく豊かな資源があり、その発展というのは暮らしやすいまちづくりであると私は判断基準を置いているが、その基準から見て、清水の次郎長じやないけれども、賭博場を開設することによって人を集めて、そこから和歌山県の良い所を見てくださいというようなことまでしないといけないぐらいになってしまったのかというのは極めて残念である。
 賭博場でのあがりの上前を、行政がその金を発展のために使うということで言えば、発展のあり方として、方法論としても私はものすごく懸念を持つ。
 それにプラスして、大きな収容施設を持つわけだが、ここの採算性は維持管理を含めて、その単独の部分の施設で言えば、マイナスは当然覚悟しているという形ではないのかと思う。
 そうしたら賭博場でのあがりをもって、それを賄うという形のこのシステムにならざるを得ない。賭博場にどんなにして人を集めるのかということが中心に、やがてなっていくのではないかということになる。それは本末転倒というふうに思って仕方がない。熊野古道に来てくれた人達がちょっと小遣い稼ぎか、それとも余裕があるから遊んで帰ろうかというような、付け足しというニュアンスではない。そこの疑念というのは、拭えないというところを申し上げておく。

決議(案)に対する採決
「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)」を委員会提出とすることを賛成多数で可決


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