2019年12月県議会 総務委員会
 楠本文郎委員の質問概要記録
 
                            
20191216

《質問》楠本文郎 委員
 議案177号、178号、179号、180号、181号は給与改正の議案だが、人事委員会としての見解を聞きたい。県の人事委員会の役割、やっている中身を十分に把握するためにいくつか質問したい。
 まず、人勧による給与改正ということなので、ベースとして、県の人事委員会で行った調査というのが一番のポイントだと思っているので、その調査の内容、方法について、質問する。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 本人事委員会では今年の10月10日に県議会、知事に職員の給与等に関する報告及び勧告をしたところである。公務員の給与と民間従業員の給与を比較するための資料を得るため、本委員会と人事院、全国の人事委員会が共同して給与等の調査を実施している。調査は、職員が直接事業所を訪問して、給与の支給や改定状況を調べている。調査の内容は、従業員別の4月分の給与支給額や、事業所別の給与改定の状況や諸手当の支給状況等である。今年度は、4月26日から6月13日にかけて、調査を実施した。

《質問》楠本文郎 委員
 とても大事な要素は、直接事業所に出向いて、全ての所から報告をもらうことが前提であり、その内の回収率が約9割の116事業所について、調査を完了した。これがベースだと思うが、この確認でよいか。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 そのとおりである。

《質問》楠本文郎 委員
 その調査の結果を、報告に反映するのだが、概要を簡単に報告してほしい。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 人事委員会の調査の結果と勧告の内容について説明する。具体的には月例給については、民間給与が職員給与を392円上回っていたため、初任給及び若年層の給料月額を引き上げること、またボーナスについては、0.05月分引き上げ、それを勤勉手当に配分すること等を勧告している。

《質問》楠本文郎 委員
 人事委員会勧告が職員給与を高いと見たら、マイナスの勧告をすることがあった。プラスなのかマイナスなのかというところで問題になったのが、遡及という考え方である。遡及する、しないの考え方の問題と、今回はどうなのかということを説明してほしい。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 基本的に民間給与と職員給与の比較については、4月時点の民間事業所における従業員の給与と職員の給与を比較するものであり、この較差を解消するために4月に遡り適用することとなる。今回の改定については、民間が公務を上回っていたということで増額の改定になっており、4月に遡及するという取扱いになっているが、引下げの改定の場合は、直近で言うと平成23年の勧告においては、給料月額が民間が公務を下回っており、このときは4月に遡及するのではなく、条例の施行の日から適用するという勧告をしている。
 この考え方については、給料の減額改定の場合は遡及すると職員に不利益になることから、遡及して適用することは適当でないという考え方で、適用の日を条例の施行の日と勧告したところである。

《質問》楠本文郎 委員
 プラスの場合には、4月の統計だから4月に遡って支給する。不利益の場合には、払いすぎたから持ってこいということはしない、できないという考え方をもって、不利益不遡及という原則でやっている。今回は少額だが0.10というプラス勧告なので、結論としては4月遡及というふうに認識しているが違うか。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 今回の勧告については、4月に遡って適用するということになっている。

《質問》楠本文郎 委員
 職員給与の場合は、事業所の調査をやって、較差があるか否かということで比較検討できるのだが、特別職、それから我々議員というのは、比較検討する土俵が全然違う。そこに、人勧を適用していくという考え方はどうか。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 人事委員会の地方公務員怯上の職務としては、一般職について給与の勧告を行うとなっており、特別職についてはその適用外となる。

《意見》楠本文郎 委員
 地方自治体はみなそうだが、特別職や議員の給与改定というのは、大体は第三者委員会の評価という形でやっているが、この人勧の時に一緒にとなるのが悩ましい。それで結局、文句を言っていても貰うのだろう、ということをよく言われる。ところが、返還は寄附行為になるので認められていないということだった。
 ただ、理屈がどうも通らないという問題がある、という意見だけ申し上げておきたい。

《質問》楠本文郎 委員
 人事委員会勧告の中身は給与改善だけではなく、他の問題にも言及している。特に大事だと思うのは、公務運営の改善でかなり詳しく述べられているところである。
 例えば、人材の確保及び育成の問題、女性職員の活躍推進の問題、能力実績に基づく人事管理の推進、高齢層職員の能力及び経験の活用、勤務環境の整備、柔軟な働き方の推進、仕事と家庭の両立支援の推進、心の健康づくりの推進、会計年度任用職員について服務規律の確保という、職員に関わるすべての問題について勧告をしている。これに基づいて、具体的に今年度の勧告で、特に変更もしくは力を入れた部分の説明を求める。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 人事委員会の勧告においては、給与勧告以外に、公務の運営について、報告を行っている。これは、各任命権者が実施している施策の状況を調査の上、必要な事柄について報告している。その中で、今回特に報告しているのが、勤務環境の整備の中での超過勤務の縮減であり、この4月から人事委員会規則を改正し、超過勤務の縮減に努めることを規則の中に盛り込んだところである。また、会計年度任用職員については、来年の4月から制度化され、開始されるので、その点について、特に制度の円滑な推進を進める必要がある、という報告をしている。

《質問》楠本文郎 委員
 特に会計年度任用職員の採用というのは、アルバイト、非正規の職員の待遇改善を図るというのが眼目なわけで、その点で人事委員会の主たる大きな目玉的に進めていかなければならない。具体的には、それぞれの任命権を持っている部署の中で、その改善を図っていく流れになるのだろうと思う。それも取りも直さず、正職員も含めて、勤務環境の整備という問題があろうかと思った。これは、これから和歌山県庁の職員の中でも、もっと充実を図っていくテーマがあるのではないかと私は思った。
 また、議案179号では、育児休業に関する対象はどのくらいあるのか。議案180号であれば任期付研究員ということだが、これも対象者数はどうか。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 10月の人事委員会勧告については、任期付研究員等の給与についても勧告はしているところであるが、具体的な人数等については、任命権者に確認をしていただければと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 了解した。しかし、育児休業に関する中身も任期付研究員についても、この人勧を適用しているかどうかという答弁だけ最後にお願いする。

《答弁》 人事委員会事務局職員課長
 育児休業に伴う短時間勤務職員や任期付研究員等の給料についても、人事委員会として勧告をしている。
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《質問》楠本文郎 委員
 (議案第174号「令和元年度和歌山県一般会計補正予算」のIR推進不動産購入について)まず、和歌山県行政が先に条件整備をして、先に債務負担行為で土地を確定させることが、公平な場所の提供になるというところがどうも腑に落ちないので、なぜ76億円あまりの金額で土地を買うところまでやらなければならないのか、補足説明をいただきたい。

《答弁》 IR推進室長
 公平公正に事業者を選定するという観点から、いわゆるオープンアクセスの確保、これはどの事業者も同じ条件で土地を取得できるようにするというスキームであるが、これを確保するために、一旦県が購入するという形になっている。
 これは、政府のIR整備法の説明会において、公有地使用をするのが望ましいという見解が出されたこともあり、例えば県が購入しなかった場合、覚書であるとか念書という形で処理した場合には、土地の権利関係の確実性がちょっと損なわれる、法的拘束力が弱い、あるいは強制力が若干弱いと考えている。
 またあるいは、第三者がべらぼうなお金で土地の所有者に接触してくることも考えられる。
 また、土地の権利関係、抵当権であるとか、使用貸借契約であるとか、こういったものの整理についても担保を確実に我々が行うために、一旦県が購入して、権限の整理をして、事業者に提供するというスキームをとっている。

《質問》楠本文郎 委員
 背景は、国のIR整備法でかなり厳密に県が土地を確保し、逃げられないようにしておかないといけない。それだけでなく、“この辺りの土地だ”となったら第三者に先に運用され、結局その第三者が利ざやを稼いで高く売るということもあり得るということからである。
 それならば、そういうことを防ぐ方法で解釈したらよいと思う。でなければ、民設民営と言いながら、要は公設である。まずは債務負担行為で買い取るのだから、一時、瞬間といえども、和歌山県が土地を購入する約束を結ぶわけである。そこのところが、ものすごく大きなウエートを占めるものではないかと思って仕方ないのだが、そのような把握で違いはないか。

《答弁》 IR推進室長
 我々は、今後基本方針が出された後に、県で実施方針というのを公表する。その中で土地の面積、形状、価格、これを記載していかなければならないが、この価格については、今後ずっとついてまわるというか、一度決まった額で、事業者と交渉をしなければいけないので、例えば民間に任せると、A社は何十億で買う、B社は何百億で買うと、そういう形になるので、やはり一旦、県が公有地として買い、区域認定がされた後に、その土地を我々が購入した価格と同価格で売却するというスキームをとっている。

《質問》楠本文郎 委員
 やはり、その説明を聞くに及んで、一旦は公設である。

《答弁》 IR推進室長
 公設とは考えていない。IRというのは、我々が選んだ事業者と県が地域振興策をつくり、区域整備計画を一緒に出すというスキームになっているので、これについては、やはり県も一定の介入というか、そういったこともしなければいけない、権原の整理という意味で、一旦買うところである。

《質問》楠本文郎 委員
 思い出すのに一時、リゾート法が全国に吹き荒れた時期があった。成功したところはほんの数ヵ所であり、全国でたくさんの土地の売れ残りや地価の高騰を招いた。明確な失敗だという地域もあったが、そこに学んで、土地の高騰はもうさせないという形で、和歌山なりのオリジナリティを出しておいでよというのが国の考え方かなと、今お話を伺いながらそう理解が進んだのだが、よろしいか。

《答弁》 IR推進室長
 リゾート法についてはあまり深く存じ上げないが、公共整備にかかる部分は、下水道や道路であるとか、これは国や自治体が整備しなければならないとなっていたと考えている。
 今回のIRは、あくまでも民設民営であり、その部分でやはり特区のような形にもなるので、県が一旦、土地の価格を決定して、事業者に提供するというスキームがどうしても必要かと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 いずれにしても、県がとにかく上限76億円あまりで場所の囲い込みをして、ここでやってほしいと確定させようということだろうと思う。今手を挙げているのは3社だが、3社とは限らない。いわゆるオープンにしたら、4社も5社もこれは面白いという業者も現れるかもしれないし、逆に1社2社に絞られていくかもわからない。それが公平性を担保するという意味なのであろうと理解をし、一旦置かせていただく。
 次の角度は、和歌山県にとってマリーナシティとは、どんな位置付けだったのかという問題である。そもそもマリーナシティは、親子連れで楽しみに行けるところというイメージだが、県はそんなところは共有したのかということと、マリーナシティはそもそも県がかなり肝いりでつくったのではないかと思うが、その点はいかがか。

《答弁》 IR推進室長
 IRは複合的な観光施設である。カジノ施設、MICE施設のほかに、アミューズメント施設、商業施設、劇場、映画館、そういったものが併設されるものであり、今以上に、マリーナシティの中のコンテンツがアップデートされるものと考えている。
 もちろん、外国人観光客、あるいはビジネス客の方に加えて、日本人のファミリー層も来ていただいて、一日中遊んでいただける施設になると考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 マリーナシティは元々港湾用地だから、県の港湾用地として下津港の中の位置付けがあり、そこに娯楽施設を全部つくってもらっている形で、マリーナシティ株式会社という形になっている。
 ただここには、県の意向がものすごく働いていたのではないかと思う。だからこの機会に、この地域の地域振興策としてどうだったかを振り返ってほしいと思っている。

《答弁》 IR推進室長
 元々マリーナシティは、松下興産と、県も関与して埋め立てし、艇庫付きヴィラであるとか、そういったものをつくるという計画のもとに始まったと理解している。
 ただ、バブルもはじけ、うまくいかなかった。そのために現在、空き地が多く、黒潮市場の部分以外は駐車場となっている。そういった遊休地というか、使われない土地については、我々としては、過去の失敗に学び、IRを誘致して、盛り上げていきたいと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 そういう歴史的な経過を僕の方でも勉強したいし、また材料・資料提供をしていただけたらとお願いをする。
 その上で改めて、マリーナシティという地域がどんなだったか、それから今回債務負担で購入するべき地域がどこまでなのかということで、見つめ直してみた。すると、結婚式場を残してあり、外国車の販売店も残ってあり、それから、黒潮市場、魚を売り出してアピールしてというフィッシャーマンズ、それは残してある。しかし資料では、ボルトヨーロッパはIRの中に入っている。観覧車も中に入っている。等々考えると改めて、マリーナシティの遊びの機能を全部取り込んで、更に料理を振る舞うところもグレードアップをして取り込める。そういう客も含めて、結婚式でたくさんの人が来ると、ついでに遊んでいってもらう。来た人はちょっと遊んでいこうかというようにしようと受けとめたがいかがか。

《答弁》 IR推進室長
 元々和歌山県IR基本構想では、20.5ヘクタールという土地で始めており、その中で事業者と意見対話する中で、ボルトヨーロッパ部分も使用したいと、あるいは事業者によっては、ボルトヨーロッパの部分をそのまま活用したいというふうな御意見もあったので、土地の所有者と協議をし、今回拡充をしたところである。
 ただ、黒潮市場については、あるいはそのベンツ部分、結婚式場部分については、その土地所有者の考えがあるので、私からは何も申し上げることはできないが、その中でベンツ部分については、IR事業者から、ベンツをIRの中に取り込めるだろうというふうな御意見をいただいている。

《質問》楠本文郎 委員
 今のような構想は、今手を挙げている3社とは大体認識を共有していると考えてよろしいか。

《答弁》 IR推進室長
 そのとおりである。

《質問》楠本文郎 委員
 次の角度でお尋ねする。埋め立て造成し、20.5ヘクタールにボルトヨーロッパを取り込み24ヘクタールになって、76億8600万という枠だと一般質問の中で答弁があり、平米当たり3万6,700円は、県の公有地価格審査会の適当であると意見をいただいたというが、私がいろいろなところで少し聞くと「安いな。もっと高く売れるのではないか。欲得が出てきたら高く売れる」などの言葉がたくさん出てくる。
 これはいっぱいなのか、それとも程々のところなのか、もうちょっと高く売りたかったが業者の意向があってのことなのか、この3択でいうとどうか。

《答弁》 IR推進室長
 あくまでも不動産の評価額で、県はこの評価額でしか購入できないので、選択肢はない。

《質問》楠本文郎 委員
 ものすごい一つのポイントである。だから、県が関与することによって、事業者はそういう便宜を図ってもらうことになる。なぜなら、IRでぼろ儲けする企業が絶対必要な土地を買いに来たとき、一般的には売る方は値を上げるような交渉が生じるが、そういうことを生じさせないように県が評価に基づいて買うということは、企業にとっては大変な大きなメリットである。しかも、固まって24ヘクタールという面積が取られ、この中でプランを練っていけばよいという条件は、結局、法律の建前の細部にわたって厳密にやれば、そうなるということの理解でよいか。

《答弁》 IR推進室長
 先ほどから申し上げているとおり、あくまでもオープンアクセスを確保するために、県が評価額で一旦購入をし、区域認定がされた後に事業者に売却するというスキームであり、民間にとって有利だろうと、そういうふうな考えは一切ない。

《質問》楠本文郎 委員
 続けて、オープンアクセスをして76億円あまりの債務負担行為でこうなったということだが、選定委員会の審査で決まった進出企業と県との協議で、もう少し値を上げようということは許されていないのか。

《答弁》 IR推進宣長
 許されていない。

《質問》楠本文郎 委員
 企業にとってみれば、ものすごく相撲を取りやすくする条件がそこでできたということが理解できた。
 その上で次の角度は、国際会議場と展示場とホテルという、付けなければならない物についてである。その規模は、例えば国際会議場は日本で何番目か。

《答弁》 IR推進室長
 政令の基準で、国際会議場、展示場については、3つのカテゴリーと3つの類型が示されている。
 その中で、県としては、事業者の得意な分野もあるため、事業者からの提案を受け、今後、事業計画の中身を見ていきたいと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 いずれにせよ、国内最大級の国際会議場、展示場、ホテルが生まれるという認識はほぼ間違いないか。

《答弁》 IR推進室長
 間違いない。

《質問》楠本文郎 委員
 国内最大級の物を、人口100万人を切った和歌山で、とてもでないが維持できないというのが批判的な方の意見である。私も初めはそう思っていた。
 和歌山県で、つまり県営でこの類の施設を持てと言えば、自民党の先生方も反対するのではないか。それぐらい、身の丈には合っていないものをつくって需要はあるのか。

《答弁》 IR推進宣長
 IRは民設民営事業である。
 県にコミットしていただける事業者というのは、大阪にIRができる前提で、和歌山マリーナシティに採算性があるということで来ていただいている。
 その事業者の意見としては、大阪にあっても、和歌山で安定的なMICE運営は可能であるという意見をいただいている。
 それにしても、検証はしなければいけないため、事業者公募の際に提出される事業計画、これはMICEの誘致の計画も含むが、これを事業者の選定委員会の皆さまと一緒に、しっかりと審議、審査してまいりたいと考えている。
 あと、大阪との共存という観点については、大阪はBtoBの大きな展示をメインにしたビジネス型のIRになると考えている。
 和歌山は一方、国際会議、最近では伊勢志摩サミットであるとか、フランスのドービルでのG20であるとか、ちょっと前では洞爺湖サミットであるとか、風光明媚な自然豊かな場所が好まれる傾向にあるため、これは事業者から提出される計画いかんによるが、和歌山県としては、国際会議場をメインにし、大阪との差別化を図っていきたいと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 大阪との関係と言われたので、北海道は手を降ろして、千葉が参入、東京も入ってくるかもしれないというが、関東圏は入ってこないのか。大丈夫なのか。大阪、和歌山というのは、世界という目で見れば、隣である。長崎という視点で言えば、大阪と、もしかすれば和歌山と同時に3ヵ所の中に入るかもしれない。役割分担のことを今答弁されたが、たくさんの人が入ろうが人らなかろうが、それは県としてノータッチなのか。
 例えばG7やG20では、かなりの人数が来る。現状では和歌山では絶対泊まりようがないというところも、和歌浦の絶景を見ていただきながら、G20もできるというセールスができるというわけなのか。身に余る光栄というような、身の丈を感じながら、それを一攫千金のごとく、和歌山がゲットできる可能性があるとは、夢みたいな話に私には見えてきたわけである。これで、利用率や稼働率などの心配の必要がないわけである。
 この間、総務委員会の視察で新潟の朱鷺メッセの国際会議場を見せていただいた。担当の方と話したら、採算は別に気にしなくていいですとのこと。そういうことなのだと。がらがらではいけないから、セールスしなければいけないけれども、ということなのか。
 その点では、和歌山は身の丈はこれだけだが、第三者の行為によってすごいものを持つことができる、こういう構図に間違いはないか。

《答弁》 IR推進室長
 そのとおりである。IRの基本的な理念に戻るが、MICEの、国際競争力の向上という意味で、カジノ施設の健全な収益を運用して、MICE施設を回していくという考え方がある。
 そういった観点からすると、MICE施設、大きいものをつくっても、もちろんその年間スケジュールであるとか、そういったものは事業計画として提出していただくが、一年中使われないとか、そういうことはないように事業計画を出していただき、なおかつ、収益部分については、カジノ施設の方から、MICEの各施設の方に還流するような仕組みになっている。

《質問》楠本文郎 委員
 全くお客がないのでは困るけども、少しあるように取り組んだという程度でよいわけなのか。言葉は悪いけれども、県としたら腹は痛まないから、そういうことなのか。
 事業収益性を県行政として問われるならば、76億円を捨てるようなもので、これは全然議論にもならないと思う。
 それを、収益性を持たせる、なおかつ重たい部分の、公共の施設的な、国際会議場であったり、展示場であったりという部分は、利用するのは利用できるが、自分たちが赤字だからと持ち出す必要はない。至れり尽くせりの法律をつくってくれているわけなのか。それがIR法なのか。その結論で見ると、賛成するしか仕方ないという話になる。
 ところが、そこで考えなければならないことは、何の不安定要素もないのかという話である。もう1つ言い忘れたが、おまけに収益金から納付金を一般会計へ入れてくれる。固定資産税が入る、事業税が入る、プラスして何倍も入るわけだが、そこを説明してほしい。

《答弁》 IR推進室長
 カジノ施設の売り上げGGRの30%が国と地方自治体に入る。
 折半になるため、和歌山県に入ってくるのはGGRの15%、基本構想では、約210億円と見込んでいる。

《質問》楠本文郎 委員
 210億円を、一般財源で新たな財源でできることはない。何としてでも、国指定の3ヵ所に残らなければならないという気持ちが働いてくるのは、企画部長が本会議で答弁をされた説明を聞けば、8割の方が賛成してくれた。逆に僕らの友達らが投票したら、8割は反対する。企画部長の答弁は、説明をちゃんと受けてくれれば、皆賛成するのですと。このギャップを一体何だろうと、寝ずに考え、悩んだ。債務負担ということは、借金で間違いないのかと。
 和歌山県は2回失敗した。事業用地をいっぱい造成して、それが県政の大きな足かせになっている。部長のところに、過去2回も議案として出ている。企業進出があることを前提に、すごく大きなものを土地開発公社で先行取得し、県が買い取っていく約束である。土地開発公社は県100%出資の法人だから、こんなの知らないと言うわけにいかない。ここに大きな和歌山県のリスク、重い負債がある。この轍を踏まないかというのが一つの問題意識である。
 今回の76億円が「轍を踏む」ことにはならないとされているから、8割が賛成する。なぜ8割賛成かといえば、大体、企業の方々が説明会に行って、心配した点が解消され、自分たちも企業的に何か参加できることがあるかもしれないという期待に変わる部分がある。だから、その部分の説明をしていけば、賛成が増えていくという流れなのかと、そこまでは来た。
 人間とはもろいものだという部分がある。貴闘力はいまだにギャンブル依存症から抜けられない。人間が人間としての理性を働かなくしていくのは何ものなのかと突き詰めていけば、ぱっと見えたのは、やはりパチンコに突き当った。
 県議団で試算してみたが、パチンコの儲けは県内の総額で245億円。ところが、カジノ1店で、日本人からの収益が約3割としても381億円。統計上、パチンコよりもギャンブル性のリスクは1.6倍になる。
 こころの医療センターを視察して、ギャンブル依存症やアルコール依存症の克服のために、献身的に治療行為を行っていただいている施設を、和歌山として大事にしようと思った。
 カジノには7割しか日本人は行かないと。ボディチェックも、身元確認も資産調査もやると、国の方は言っているから、そのまま国に任せとけばよいと。だから、中途半端にパチンコで10万円、20万円すったよというような人は来ないから、富裕層だから大丈夫という理屈になっていく。本当にそうなのかが、結局議論の分かれ道なのかなと思う。
 この対策的には、担当課としてはいかがか、もしくは少し担当を外れてくるから、部長の答弁でもありがたい。

《答弁》 企画部長
 ギャンブル依存症については、現在日本にカジノがないため、今存在しているギャンブル依存症の方は、これからつくろうとするカジノが原因ではないというわけである。
 既に存在しているギャンブル依存症の方々は放っておけばよいのかといえば、そうはいかないため、それはまた福祉保健部が中心となって、今ギャンブル依存症対策を検討しているところである。
 それはそれとして、今回新たにつくられるカジノに関しては、まずIR整備法の中で、ギャンブル依存症の発生を抑止するために、まずマイナンバーカードを使ってチェックする。
 入場料を付すことで、パチンコのように誰でも入れるというわけではなく、一定の入場料という形の壁をつくる。
 さらに、これは事業者に対して必ず設けなさいとなっているが、本人もしくは家族からの申告があった場合には、その人を入れさせないということがある。
 併せて、和歌山県独自の対策としては、IRカードという制度を設け、あらかじめお客さんとの間で、その日に使う上限額を設定しておき、議員がご心配のように、賭け事をしている時に熱くなり、どんどんお金をつぎ込んでしまうということを事前にストップするというふうなことも考えている。事業者の方に、依存症対策の専門員を配置し、熱くなっている方と、ずっと賭け事を続けておられる方等には、お声掛けをして、少し休みましょうという形で、退場を促すなどして、ギャンブル依存症になるのを防いだり、1回で破産してしまうというようなことがないようにしていきたい。
 あと、法律上は、入場回数の制限というものもかかっている。
 そういったいろんな対策でもって、ギャンブル依存症発生を抑止するという対策を講じている。

《質問》楠本文郎 委員
 その部分にさしかかると、悲しくなる。いまだにたばこを吸っている人がいる。
 たばこというのは、今は学校教育でもビデオを流し、こんなに肺が真っ黒になるのだと教育し、家の中でお父ちゃんがたばこを吸えば、子どもから外で吸いなさいとペナルティを受けるぐらいに徹底されてきている。
 だが、県庁内でも特定の場所であるが、たばこを吸っている。人的にも、肉体的にも、全然話にならない。まだ、そのようなことをしているのかと笑われるような、しかし、やめられないという。私もつい最近まで吸っていたため、よく喫煙者の会話の中で、罰則があるとか、売らないで密輸でないと吸えないようにしてくれたらやめると、たばこ吸いは大体言う。
 それともう1つは、吸ってください吸ってください、あなたは社会に貢献している、酒もしっかり飲みなさい、たばこもしっかり吸ってください、税金入りますからという。和歌山県にも半端ではないたばこ税が入っている。推進、推奨されているのを、片一方ではだめだと止めなければいけないという、この日本社会のなまめかしい部分の極限みたいである。
 部長が言われたように、チェックをいっぱいかける。この中で、それこそ何百万円と持っている人が、すってしまっても別にどうってことないよという形の人たちに遊んでいただく。そうすればバラ色の施設ができるというのはわかったのだが、それでも隠れてたばこを吸っている人がいるという人間の性で、それを公設でやる。
 実際的にここで、どっちのポジションに重みを置くのかが問われているのが、この債務負担行為だと私は思った。
 だから、収益の3割が日本人で、6,000円の高額な入場料で参加するのは一定の収入のある限られた人であり、依存症的なものはできないという説明をされても、残念ながら今の日本社会はまだそういう施設はない。そういうことをわかっているのに、私は賛成できないと思い出してきた。それについて、もう1度説得していただきたい。

《答弁》IR推進室長
 先ほど部長が申し上げたとおり、我々は入口規制でギャンブル依存症を防止しようと考えている。
 我々としては国の重層的で多段階的な規制、あるいは、県独自のIRカードであるとか、そういったものの運用を徹底することによって、論理的に考えて、ギャンブル依存症を排除できるだろうという考えのもとで推進している。

《意見》楠本文郎 委員
 ほかに、否定できない不安な問題として、本会議でも出された交通の問題がある。必然的に交通渋滞対策をしなければならないと答弁されているが、今後どのように対策していくのか。
 もう1つは、展示場など大きな施設ができて、大阪も同じようなものができたとなれば、やはり一定の採算性が出ないと対外的にもよくないだろうから、例えば県民文化会館やビッグホエールの使用料・使用率は、そちらに流れる可能性がある。そうしたら、公的な施設だけでなくて民間でも、ホテルなどがかなりそちらへ流れて、マイナス要因ももう少しシビアに検討していってもらわなければならないと思っている。

《質問》楠本文郎 委員
 議案第183号について、いま手を挙げている3社、もしくは新たに名乗りを上げる等々も含めて、どの事業者が法律に適合し、和歌山のビジョンと合うのかを選定するという大きな任務を持った委員が10人未満で選ばれるとお聞きした。これはとても重い責任であり、その選考基準について分野があるかと思うので、どのような構成になるのかお示しいただきたい。

《答弁》 IR推進室長
 区域認定の評価基準としては、建築物のデザインであるとか、あるいは観光、地域経済の効果、また事業運営能力、有害な影響の排除に関する取り組み、そういったものが示されている。
 県としては、これらの分野を評価できる視野の広い実務家の方を想定して、今、具体的には、観光、建築、依存症分野におけるスペシャリストあるいは公認会計士、弁護士などを想定して人選に当たっているところである。

《質問》楠本文郎 委員
 全国的に著名な方か。

《答弁》 IR推進室長
 全国的に著名な方という縛りはない。ある程度、事業内容を見ることができる実務家という形で考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 なぜそのことを尋ねるかというと、春から秋のこの期間にやらなければならない。それは一定のキャパシティを持っていて、いろんな事例事象なんかも把握されている方たちだとすると、全国を股にかけているとか、世界を飛び回っているとか、あまり忙しすぎるような方たちが集合して、こんな短期間で集中的に行わなければならないとなれば難しくなる。例えば、2泊3日のようなことも想定されているのか。

《答弁》IR推進室長
 審査期間は今のところ約2ヵ月間を想定しており、提出された事業計画などを精査していただくために複数回集まっていただくことは考えている。その中でしっかりと議論していただいて、審査会を取りまとめていただきたいと考えている。

《意見》楠本文郎 委員
 そのような程度で決められるのかという疑問を投げかけておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第184号は「デジタル手続法」と略称で呼ばれている法律の改正による条例改正の一部改正でよいか。

《答弁》 情報政策課長
 議案第184号の条例改正は、法律が改正され、条例の一部で法律を引用している所があり、法律名が変わったのでそれに合わせて条例を修正するものである。

《質問》楠本文郎 委員
 情報政策課の範ちゅうで言えば、書面の保存等改正部分の具体的な中身、県民生活にかかわる部分の中身は何か。

《答弁》 情報政策課長
 民間事業者等が和歌山県の他の各条例や規則で書面による保存を義務づけられている文書があるが、それを書面ではなく、個別の条例改正することなくフロッピーやCD-ROMの電磁的なもので保存してよいとした条例である。

《質問》楠本文郎 委員
 和歌山県に独自の課題部分というのはあるか。

《答弁》 情報政策課長
 この条例自体は国の方でも同様の法律があるので、直接和歌山県自体というよりは国全体の方針を踏まえた条例となっている。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第174号について財政課長にお尋ねするが、歳出に対する財源の裏付けについて説明いただいたが、交付税についての説明が全くなかった。基金繰入が4億9000万円ということだが、交付税との関係を教えてほしい。

《答弁》 財政課長
 交付税についても若干の上振れ額があるので、そちらを充てることもできたが、今回の補正予算については財政調整基金を充てている。交付税の上振れ額については、2月補正予算において、歳入予算の補正をさせていただきたい。

《質問》楠本文郎 委員
 確認であるが、交付税を充てる部分は人件費もその他もあるということでよろしいか。

《答弁》 財政課長
 今回の補正で基金を充てている部分が全て交付税措置されるということではない。交付税は夏の時点で総額が確定しているので、今回の補正予算で基金を充てた分については、引き続き基金を充てるか、交付税の上振れ分を充てるか、税収の分を充てるか、2月補正予算の段階で判断したい。

《質問》楠本文郎 委員
 議案第179号職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例について、本条例の対象となる育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員の人数について説明いただきたい。

《答弁》 人事課長
 育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員とは、育児短時間勤務を行う職員の代替職員のことであるが、現在、知事部局で1名、教育委員会で1名、合計2名いる。

《質問》楠本文郎 委員
 この条例改正によって、育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員に期末手当を支給することになるのか、条例改正と関係なく支給することになるのか。

《答弁》 人事課長
 今回の条例改正は、給料を改定するものである。
 本条例に、育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員への期末・勤勉手当の支給に関する根拠規定がないが、一般職の給与条例の規定を適用して支給することになる。

《質問》楠本文郎 委員
 議案第180号、181号について、任期研究員や任期付職員という表現があるが、この対象職員の人数について説明いただきたい。

《答弁》 人事課長
 対象となるものとして3種類の職員がいる。まず任期付研究員は平成15年度に工業技術センターにおいて1名、特定任期付職員は平成19年度に監察査察監1名、そして特定業務等従事任期職員は平成20年度に医師1名をそれぞれ任用していた。

《質問》楠本文郎 委員
 かつてそのような職員がいたということでよいか。現在はどうか確認したい。

《答弁》 人事課長
 現在はいない。

《質問》楠本文郎 委員
 対象となる職員がいない条例は一旦なくしてもいいのではないか。
 会計年度任用職員という制度が新たに構築され、処遇改善を図るだけでなく、ばらつきのある臨時採用の職員を整理するというのが法律の建前でもあったかと思う。
 それを踏まえると、任期付研究員や任期付職員の雇用形態を、一度検討し直してもいいのではないか。

《答弁》 人事課長
 任期付研究員や任期付職員の任用は、複数年に及ぶことがある。
 一方、会計年度任用職員の任用期間は一会計年度内に限られる。任用期間の点からも両者は異なる制度である。

《要望》楠本文郎 委員
 制度上、使われなくなったものに係る条例について、条例として残る限り、その改正はついて回ることになる。見直しについて、一度検討していただくことを要望する。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第182号の「和歌山県税条例の一部を改正する条例」について、デジタル手続法と呼ばれている法律改正による一部改正か。また県税条例改正部分の内容はどのようなものか。

《答弁》 税務課長
 今回の県税条例の改正案は、いわゆるデジタル手続法の中で「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」が一部改正され、県税条例で引用しているこの法律の名称と条項にずれが生じるため、改正するものである。
 具体的には、この行政手続法の中で、書面で行うとされている手続を電子情報処理組織、いわゆるインターネット等で行うことができる旨、規定されている。
 現在、自動車の取得時に行う自動車税の申告・納付は、利便性向上のため、従来の書面による申請のほか、インターネットからもできるようにしているので、この条文を引用し、手続等を規定している。

《質問》楠本文郎 委員
 パソコンやメール等が苦手な方が自動車の取得において、その手続きを代行してやってもらうことで便利になるというのがデジタル手続き法の改正部分であると私は聞いた。私のようなアナログ世界の人間にはあまり関係ないのか。

《答弁》 税務課長
 自動車の登録手続については、従来の書面による方法に加えて、これら全てをインターネットを利用して、原則24時間365日申請できるようにして利便性を図っている。
 現在、県税では、インターネットなどの利用方法を増やすことで、納税者の方それぞれの状況に応じて、書面によるか、インターネットを使うか、どちらか利用しやすい方法を選択していただけるようしている。

《質問》楠本文郎 委員
 自動車保有関係手続のワンストップサービスということで、書面に加えてこれもできるということなので、基本的には賛成しようと思っているが、これでやろうとするとマイナンバーが必須となるか。

《答弁》 税務課長
 個人がインターネットで申請する場合には、従来の印鑑証明書のかわりにマイナンバーによる認証を行うこととしている。

《意見》楠本文郎 委員
 印鑑証明かマイナンバーカードかという代替手段だということであれば問題ないかと思う。(国は)マイナンバーカードを半強制的に取得させるように見えてきているので、いいかげんにしてはどうかという個人の感想を申し上げておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第190号の使用料・手数料条例についてであるが、二級建築士・木造建築士の試験手数料が600円の値上げで、免許取得は5,100円も値上げするという。単なる消費税増税の影響かと思ったら、そうではないようなので説明いただきたい。

《答弁》 財政課長
 今回の二級建築士、木造建築士の試験手数料等の引き上げについては、建築士法の改正に伴うものである。これまでは試験を受けるときに受験資格を審査していたが、法改正により、その審査事務が試験を受けるときから免許を登録するときに移ったので、その事務量を踏まえた値上げというのが、免許手数料の値上げの理由の主なものとなっている。
 一方、試験手数料についても、試験の受験資格を審査するにあたり一部事務が残るが、その事務についても今回の建築士法の改正に併せて審査の厳格化を行っており、その厳格化に伴う手数料の値上げというのが、試験手数料の値上げの理由となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 私の問題意識で言うと、二級建築士・木造建築士は市中では少なくなっている。棟梁、大工さんがなくなってきて、裾野をもっと広げようということで、免許を取る人を増やそうという制度改正をしないといけない。今の課長の答弁であれば、手数料がかかるし、免許を取るのに難しいところが出てきて、遠ざけることになってしまう。そういう中身にならないか。

《答弁》 財政課長
 今回の建築士法の改正については、試験時の受験資格、具体的には実務経験の審査というものをこれまで試験を受ける際にやっていたが、免許登録時に行うことで、試験を受けた後に実務経験を積んだ者でも免許の登録ができるということが今回の改正の趣旨と認識しており、建築士の人材確保につながっていくものと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 その答弁を先にお願いしたかった。
 放置違反車の督促手数料の値上げ、これは消費税の単なる増額分と考えてよろしいか。

《答弁》 財政課長
 正確に申し上げると消費税率が引き上がったことに伴い、放置違反金の督促手数料の積算根拠としている郵便料金が値上げしたことに伴って、今回、放置違反金の督促手数料を値上げするものである。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第200号「工事請負及び委託変更契約の締結」については、先に承認を受けた金額を1.08で割って原価を出し、1.10を掛けると防災ヘリも郵便手数料も大体提示している金額になるが、消防救急デジタル無線は提示している金額にならないので、計算のやり方の説明を求める。

《答弁》 災害対策課長
 防災ヘリの方は、質問のとおり消費税の上昇分ということである。

《答弁》 危機管理・消防課長
 消防救急デジタル無線であるが、平成25年度から令和2年度までの債務負担となっているが、工事自体は終わっており、令和元年度と令和2年度の保守管理費用が2ヵ年合わせて2億1060万円あり、その分について8%から10%に増税となった分の増額となっている。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第192号、当せん金付証票の発売総額についてであるが、宝くじは県営だということを初めて知った。令和2年度の発売総額は議会議決事項だから、総務委員会に付託をされている。平成30年度の決算について発売実績と収入額について教えてほしい。

《答弁》 財政課長
 平成30年度決算に係る発売実績については、72.4億円となっており、収入額については、26.3億円となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 72億円県内で発売して、県としての収入が26.3億円と。300円の券を何枚買うかによってドカスカがあると思うが、管理運営はどのように行われているのか。
 それから、銀行が関わっているから、実行的なものはまさか県の窓口で宝くじを売っていないと思うし、大体、銀行にお任せしているのが実態だと思うので、その運営・費用を誰がどのような形で計算をしているのか。チェックの機構としては、どこが監査的なことを行っているのか。
 この間、各会派を回った「幸運の女神」という女性が7人おられるそうであるが、こういう募集業務などは、どんなふうにやられているのか。

《答弁》 財政課長
 宝くじの発売については、委員ご指摘のとおり、法律上、都道府県と政令指定都市が主体となっている。
 一方で、全国の宝くじ、例えばジャンボ宝くじなどについては、全国の自治体で全国の自治宝くじ事務協議会を設置して、その発売等の事務について共同で管理している。近畿の宝くじもあり、それについては同様に近畿の事務協議会を設置して共同で管理しているというのが、基本的なスキームである。
 発売計画などの企画事務については協議会で実施しているところであるが、それ以外の販売等にかかわる事務については、当せん金付証票法の規定に基づき、金融機関に委託を行っており、みずほ銀行などが受託している。受託銀行による宝くじの幸運の女神などの宣伝等に係る経費については、法律の規定及び委託契約の内容に従い、売上額の一部が充当されている。
 また、みずほ銀行等に対する監査については、当せん金付証票法の規定に基づき、事務協議会の方で定期的に監査を行っている。

《質問》楠本文郎 委員
 2つ追加で尋ねる。1つは、こんなところで住民監査請求などは聞いたことがない。かなり大きなお金が動いているので、監査を誰がやっているのかというのが1つの関心事である。和歌山県の監査委員が監査はしないはずである。どこで監査をやっているのか。チェック機能がどこにあるのか。今定かにならないようであれば、資料で出してもらってもよい。
 もう1つは、先に議論をされた本委員会に付託されているIRとの関係性である。宝くじのギャンブル性、中毒性をどのように考えているか。

《答弁》 財政課長
 宝くじについては、当せん金をあてにして購入されるものであるが、ギャンブル性があるのかないのかについては、私の方で把握はしていない。少なくともギャンブル対策については県の相談機関等で対応していくものと考えている。

《答弁》 総務部長
 宝くじについては、いわゆる賭博ではなく、富くじである。ばらで買うとか連番で買うというのはあると思うが、予想するというのは基本的にはない。ある意味運まかせという形であるので、若干、違いはあると考えている。
 例えば、1億円当たったことによって身を滅ぼすという話もあるが、みずほ銀行等でも高額当選者に対しては啓発を行っており、当選金の使い方や使い道を慎重に行い身を滅ぼさないように努めていると承知している。

《質問》楠本文郎 委員
 身を滅ぼさないように指導しているのか。その話は初めて聞いた。

《答弁》 総務部長
 聞くところによると冊子があるようで、そういったものを渡すと聞いたことはある。

《質問》楠本文郎委員
 私は宝くじに関して、初めて審議するジャンルなので悩んでいる。県にとっては、財政収入でドル箱とまでは言わないが、毎年30億円近いお金が宝くじ収入により入る。
 昭和23年から、財源を広く集めるという類いで始まったと類推した。国家財政がない中で地方財源をどうするかというところから宝くじが始められたのが、延々と続いている。
 庶民の収入をピンバネするのか、そこが重要である。300円を300枚買う。依存症に至るか至らないか。宝くじが依存症の要因になりうるか。

《答弁》 総務部長
 宝くじについて依存症という議論はあまり聞いたことはない。宝くじに関してどういう経緯で始まったのかと申し上げると、戦後すぐは、国家財政も厳しかったが、輪をかけて地方財政も厳しかった。その中で刑法によって禁じられた富くじの特例として、法律で定めるところによって、地方財源を確保する手法としてこの宝くじというのが始められたと承知している。
 現在も宝くじについては、宝くじの協議会や新聞とかで広報させていただいているように、地方の公共的なものに活用されていることは広く伝えているところである。購入されている方についても、当たることを期待されているところであるが、当たる可能性はそんなに高くないので、高くないものについては公共的に使われているというふうに皆さんも承知して購入されている。その形で購入されているということは、地域に自らも貢献しているという気持ちを持って購入されていると私どもも考えている。宝くじはそういう性格のものだと承知している。

《質問》楠本文郎 委員
 不規則発言があるくらい変な答弁だったが、側面で言えば、共産党県議団は今まで賛成してきたそうである。ささやかな庶民の楽しみとして、そこまで否定しないという側面と、依存症に至るか至らないかということ。私も多くの生活相談を受けるが、現にアルコールもパチンコも依存症になった人間と付き合ってきたが、宝くじの依存症とは会ったことがない。そこの境目をどこに押さえるのかということ。
 ランク的には、宝くじがあって、パチンコがあって、競輪・競馬があってと、どんどん掛金が膨らんでいく。掛金が膨らんでいくことによって、ギャンブル性と中毒性が拡大していく流れにあるのではないかと。その入口の宝くじの賛否をどうしようかと、ここで悩んでいる。

《答弁》 総務部長
 宝くじについては、還元率が非常に低いので、射幸性という面では極めて低いと考えている。そのため依存性も極めて低い。あるのかどうかもわからないが、あまり議論はされていないと考えている。
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《質問》楠本文郎 委員
 専決処分において、非常に懸念する部分があった。諸報第34号、出庫のため後退したときに止まっている車に衝突する。止まっている車に2台ぶつかっているのかという事故である。
 35号は、停止中の自動車にぶっかっている。賠償金が149万円出ている。軽自動車の149万円というと新車なのか、人身がついているのか、という事故である。
 その次も、止まっている普通乗用車に衝突して、19万円の軽微であるが、止まっている車にばかりぶつかりにいく。
 その次の38号も、駐車のため後退した際、駐車中の軽自動車に衝突、同じである。ちょっと多すぎないか。
 グレーチングが外れて乗用車に接触して損傷させた、県の道路側溝だから補償しましたという、不可抗力な事故の処理として伺ったらこんなところで質問するつもりはなかった。止まっている車にぶつけにいくということは、僕らみたいな高齢者に多くなっているが、現役の県職員で、よほど急ぎの用事であったら、例えば取り締まりの類といった特異なことかと思ったら、ちょっと件数がありすぎる。
 ここらあたりで考えて、もう一回分析し直した方がいいのではないかという問題意識である。そういう総論になってきたら、部長に答えてもらうしかないと思いながら質問をしているのだが、担当があれば担当の方に答えていただけたらと思う。

《答弁》 監察査察課長事務取扱参事
 専決処分の9件のうち、監察査察課が所管する知事部局の関係が2件ある。その2件とも委員ご指摘のとおり、止まっている車に追突ということで、1件は信号のない交差点で前の車が止まったが、それに気づかずに追突したケース。もう1つは、前の車が信号が赤で停車したのに気づかずに追突したケース。その2件とも監察査察課で所属長と運転手を呼び出して詳しく状祝と今後どうするのかということを厳しくヒアリングして、安全運転の徹底について注意したところである。
 今後、交通事故をどう防いでいくかというと、監察査察課としては、全所属に対して、あらゆる会議や研修等を通じて交通ルールの遵守や安全運転の徹底を図るとともに、職場研修において交通安全に関する研修を実施するように指示している。平成25年度から毎年、公用車で交通事故を起こした職員を対象に、警察本部の協力をいただきながら、交通センターで安全運転の実技研修を実施している。今年度は52名の参加があった。平成28年から、交通事故の原因を詳細に把握できるようにドライブレコーダーの設置を進めているところである。各所属においても、出張の際に安全運転意識の確認とか、安全運転7則を公用車に掲示するとか、朝礼における声掛け、安全運転の啓発、職場研修を事故がある度に行っていると聞いている。それから、毎年、警察から講師をお呼びして、各振興局で定期的に交通安全研修をしているということである。

《質問》楠本文郎 委員
 丁寧にお答えいただいたので、新たに質問することは1点である。保険の適用を受けていると思うが、過失割合であり全額出ていない。その割合は全部、数字はいいが把握されているのか。

《答弁》 監察査察課長事務取扱参事
 知事部局の職員が起こした交通事故については、最終報告で過失割合というものを確認している。

《質問》楠本文郎 委員
 全部保険適用であるのか。警察の車両であろうが。

《答弁》 監察査察課長事務取扱参事
 警察については把握していないが、知事部局の県職員の事故についてはすべて保険適用となっている。

《要望》楠本文郎 委員
 恥をさらす話だが、私が事故をしたときに、自動車屋の友達にボディの傷を見せて事故の状況を話したら、「ちょっと忙しすぎだ」と言われたことがあった。それから、精神的に何かおかしくないかと言われたときもあった。
 運転技術がどうという事故の場合と、ものすごく忙しくて急いでいたのでついやってしまったという事故の場合があるのは、今お答えがあった。
 もう1つ、精神的に逼迫している状態のときというのは、事故することが多いらしい。この前、自分は修理代20万円の事故を起こした。真正面からぶつかっていった。これは、医者へ行ってこいと言われたというようなケースがある。
 だから、「事故を起こした人がけしからん」ということも言わないといけないが、怒るだけの問題ではなくて、そういうことがないのかということも、査察の中には入れておいていただきたいという要望である。
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議案に対する採決
議案第174号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第177号 知事及び副知事の給与その他の給付条例の一部を改正する条例
議案第183号 附属機関の設置等に関する条例の一部を改正する条例
は賛成多数で原案可決
日本共産党 楠本文郎委員は反対 → 奥村規子の議案に対する反対討論

議案第178号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第179号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
議案第180号 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する
        条例
議案第181号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部
        を改正する条例
議案第182号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
議案第184号 和歌山県民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の
        技術の利用に関する条例の一部を改正する条例
議案第190号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
議案第192号 当せん金付証票の発売総額について
議案第196号 財産の取得価格の変更について
議案第200号 工事請負及び委託変更契約の締結について
議案第202号 和歌山県税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
議案第203号 和歌山県民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の
        技術の利用に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正す
        る条例
議案第204号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の一部を
        改正する条例
は、全会一致で原案可決


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