2.和歌山市で明らかになった子ども会・人権啓発補助金不正問題について
(1)補助金不正問題に対する県の認識と対応について
(2)子ども会活動の県補助金のあり方について
1.カジノを含むIR誘致について
(1)カジノ汚職事件とIR誘致について
《質問》奥村規子
委員
事業者から賄賂を受け取っていたと逮捕・起訴された国会議員は、「IR推進法」を強行採決したときの衆議院内閣委員長、「IR整備法」を提案したときの内閣府IR担当副大臣であります。
それ以外にも、その当時、維新の会の国会議員はこの企業からの受領を認め、自民党の4人はこの企業からの受領は否定したものの、観光会社からの寄付の受領を認めています。
これら5人もカジノ議連の幹部、構成員であり、カジノ解禁に特別な責任を負う政治家でありました。
この問題により、日本でのカジノ解禁はもとより、その制度設計までも、海外カジノ企業の要求でゆがめられたと言えます。
IRの誘致箇所数、入場料金や回数制限、施設に占めるカジノ面積、カジノ税率などのカジノ規制策を決めるに際して、海外カジノ企業から様々な働きかけ、意見表明があり、全体的にはその要求をいれた「あってないような」規制策がまとめられた経緯があります。
知事は、「ギャンブル依存症」への「万全の規制」などといいますが、客観的には、回数制限は週3日、月10日、24時間営業のカジノでは週のうち6日いける、面積規制も全体の3%で上限なし、などという規制になったわけです。
これが決められる裏に汚職の疑惑があったことが明るみに出たわけで、その徹底検証なしに、このままカジノ解禁を前にすすめることは許されません。
国は、1月下旬としていた基本方針の決定を先送りしました。国会には野党がカジノ廃止法案を提出しています。
世論も、「産経」の調査で、「汚職の疑いで衆議院議員が逮捕・起訴されたが、政府が進めるIRの整備手続きを凍結すべきだと思うか」の問に58.4%が「凍結すべきだ」とこたえています。(「このまま進めるべきだ」27.9%)。
今回の贈賄側のカジノ企業からの要請、その影響について検証されるまで、ここはいったん立ち止まるべきではないでしょうか。
この点について知事の認識をお訪ねします。
《答弁》 仁坂知事
汚職を受けて、IR誘致について立ち止まってはどうかとのご指摘についてであるが、汚職をした人は徹底的に訴追をすればよいし、どのようにすれば汚職を排除できるのかを考えることは正しいと思うが、汚職事件があったから全部止めてしまおうというのは間違った考え方だと思っている。
例えば、公共事業で汚職があったからといって公共事業を止めることは通例はしない。公共事業がよいことか悪いことかということと、汚職をしてはいけないということは、全くの別問題である。
ただ、公共事業の場合、あの忌まわしい官製談合が何故和歌山県で起こりえたのかという検証をして、新制度的には起こりえないようにすることができた。
しかし、今回はIRをやったこともない、和歌山県には来たこともない業者が行ったことで、そこから検証をして改善をするということは、和歌山県が行っている作業では考えられない。
今回の汚職事件を受けて、国は、「IRの整備にあたっては、国民的な理解が大変重要であり、カジノ管理委員会や国会での議論も十分に踏まえて丁寧に進めていく」としている。カジノ管理委員会も、基本方針に「IR事業者のコンプライアンスの確保」や「国や地方自治体の職員とIR事業者との接触ルール」などを盛り込むことを国土交通省に指摘したところである。
でも、それすら現行の我々の取り決めの中に、既に取り入れられているものばかりであることは、今議会中でも答弁申し上げたとおりである。
県としては、今後公表される基本方針の内容に即して、よく確かめないといけないけれども、実施方針を策定し、引き続き、説明会等を通じて「IR誘致の必要性」とか、あるいは「課題への対応策」などを県民の皆様に丁寧にご説明し、ご理解をいただきながら、国への区域認定申請に向けた取組を着実に進めてまいる所存である。
《要望》奥村規子 委員
汚職については、追及をしなければいけないと言われましたが、この汚職が制度設計に影響していないとは言えないと思います。
また、しているともしていないとも言えないのだからこそ、その疑惑の追及が必要であると言っています。だから、立ち止まって検証すべきです。
県民の皆さんが、このカジノ誘致について、県も何度か地域で説明会を開いていただく中で、さらにいろんな疑問が深まったこともあると思います。
こういう事態が起きたことも含めて説明を行い、しっかりと県民の不安に答えていただきたいと思います。
(2)カジノを含むIR誘致にかかるギャンブル依存症について
《質問》奥村規子
委員
県の「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)」が発表されました。
実施方針案のなかに、カジノの有害な影響の排除のための施策、措置として、「本来刑法で禁止されているカジノ事業が例外的に認められるものであることから、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響については、徹底的に排除する必要がある」と記載されており、必要な施策を講ずることが、国、県の責務として位置づけられています。
また、方針案には「和歌山県ギャンブル等依存症対策推進計画」を2020年3月に公表する予定と書いています。
しかし、一方で、IR施設の要件は、これまでも国から示されているように、巨大な国際会議場施設、展示等施設、また宿泊施設もこれまでにないものをつくるとしており、これまでも繰り返し指摘していますが、これを動かすエンジンがカジノの収益であり、当初、知事が想定していたような地方型IRでなく、大都市型IRが国で決められたため、小型のカジノで大都市型のMICEを動かすために、高収益をあげなくてはなりません。
このことと、ギャンブル依存症対策は、まったく矛盾すると言わざるをえません。
何も生み出さないカジノが高収益をあげるためには、利用客から金を吸い上げ、かつ、繰り返しカジノに通う人をどれだけ増やすかにかかってくるわけで、これは、中国の富裕層だけでなく、日本人を対象にしたことからも明白であり、ギャンブル依存症を必ず伴うものと断言できます。
カジノに大いに儲けてもらうとするなら、県民からもどんどんと金を吸い上げなくてはならなくなるわけです。
ギャンブル依存症をまったく生みださない社会を目指すのであれば、カジノがもうけ続けることはあってはならないことであると言えます。
県として、ギャンブル依存症対策をすすめることとカジノ誘致は、矛盾する2つの政策だと考えますが、その点について知事の見解をお尋ねいたします。
《答弁》 仁坂知事
IRは、国の成長戦略の一つとして導入されるものであり、委員ご発言のとおり、健全なカジノ収益を活用して、普通であれば採算をとるのが難しい大規模な国際会議場とか、展示施設等を一体的に整備するものである。
国は、このIRの整備を通じて、観光立国政策への貢献や、地域経済の振興を目指す一方で、懸念されるギャンブル依存症への対策として、入場料の賦課や入場回数制限、本人や家族申告による入場制限措置など、重層的で多段階的な厳しい規制を設けている。加えて、本県では独自の取組として、依存症対策専門員の配置やあらかじめ利用上限額の設定をするチャージ式の「IRカード」の導入などを事業者に求めることで、論理的にはカジノに起因するギャンブル依存症は排除できると考えている。
なお、委員が国の措置として挙げたものの他に、マイナンバーカードの提示、本人及び家族の申告による入場制限、さらには、現金のみということで、クレジットカードは使えない、会場にキャッシュディスペンサーは置いてはいけないといった措置が色々ある。まさかこのようなとても有効な措置をわざと外して、印象操作をしていることはないと確信するが、申し添えておく。大体、割と理詰めの私が、県民を惑わすようなものに手を出すとお思いか。
国が手本にしているシンガポールの例を見ると、カジノ施設がIR全体を動かすエンジンとして収益を上げている中で、ギャンブル依存症有病率は、IR開業を機に4.1%から0.7%に下がっているという事実がある。依存症患者の減少に繋がったのは、オンライン等で相談を受けるヘルプライン開設や青少年に対するギャンブルリスク教育の充実、本人や家族申告による入場制限措置などの対策がとられた、或いは、闇でギャンブル依存症になっていた人が、公明正大に普通の風紀に基づいて利用するということも大きかったのではないかと、これは私の持論である。
このように、大切なのはリスクを回避する手立てである。よって、国の依存症対策や県独自の取組から考えると、「カジノ事業で高い収益をあげるためは、ギャンブル依存症を必ず伴うもの」との委員のご指摘はあたらず、本県の施策に何ら矛盾するものではない。
企業経営をされた方だったら、よくお分かりと思うが、一遍に大儲けをして入れてしまうというようなことをすれば、投資資金は十分解消できない。
世の中が大混乱している中で、利益を上げ続け、事業を継続できることはありえない。従って、みんなで事業者も含めて、元々のルールがきちんとしていれば、事業継続のためにはリーズナブルにやっていかなければいけないということは期待してもいいと思う。
最後に申し上げておくと、私は何も賭け事が好きだから、IRを導入したいわけではない。国際情勢とか経済構造、産業構造などはどんどん変わるのだから、もうこれでいいだろうということを言っていると、それだけでは、どんどんとみんな年をとっていくし、必ず地域が衰退する。これは歴史がよく示しているとおりである。残念ではあるが、日本製鉄の高炉が一つ停止したという一例がある。今、日本で考えられている起死回生の大型投資はこれしかないというふうに思うわけである。
しかも、世の中はサービス産業がどんどん儲かっており、その一つの機動力として、せっかくのチャンスを見逃すいわれはないと私は思うし、ここがシンガポールが見事にうまくとらえた点だと思っている。
委員は、和歌山県が衰退を止められなかったときに、私がIRを止めたからといって胸を張れるか。あるいは、波及効果3000億円の所得控除になりそうな他の代替手段はあるか。ロケット、IT、企業誘致、観光など、私が必死になって積み上げてきたもの以外に果たしてそれがあるか。そういうことも全体として考えていただき、リスクは委員が心配されるように、本当にそういうものが心配になったら、それを極小化していかなければならない、みんなで力を合わせてやっていけばいいのではないかと私は思う。
《意見》奥村規子 委員
県民を惑わすようなことと言われましたが、県民を惑わすようなこと、カジノ誘致をするということでやっているという、自覚をしていただきたいと思います。
それは、今、住民の皆さんの中でも、カジノ誘致してほしくないという声も上がっています。そういった声も、まだまだ知事のところに届いていないのだなというふうな思いがしました。
先ほど、シンガポールの例を国が参考にしていると言われましたので、私どもの中でシンガポールに調査に行った報告書のことを紹介したいと思います。シンガポールでは厳しい入場制限や、カジノ内にアンバサダー(問題あるお客を相談機関につなげる人)を配置して、依存用対策に取り組んでいるといいますが、例えば、マリーナ・ベイ・サンズの売り上げは年間約2830億円です。これはお客が失った金額で、依存症の相談を受ける市民団体がグループカウンセリングを行っています。「妻はカジノに通って自分が稼ぐ以上のお金を失ってしまった」とか、「借金で苦しんだ、寝ることもできず、これ以上生きてゆくこともできない」など、ギャンブル依存症は深刻な問題になっています。
依存症なしには、年間2830億円の売り上げは生み出せないと考えます。国内のギャンブル依存症の8割はパチンコと言われていますが、県内のパチンコ店の粗利益245億円に比べて、カジノは1401億円、破格の規模で客が負けるギャンブルです。
これだけのお金が吸い上げられるということによって、経済が成り立つとは考えられません。
そういった点で、これからも私はカジノ誘致について、立ち止まっていただくことを求めていきたいと思います。
2.和歌山市で明らかになった子ども会・人権啓発補助金不正問題について
(1)補助金不正問題に対する県の認識と対応について
《質問》奥村規子
県議
和歌山市では、地域子ども会活動支援交付金で、市職員である平井子ども会事務局長が2013~17年度の間、架空の領収書等をつくり、子ども会活動で使用したように装って、1017万1278円を使用したということです。
また、人権教室、識字教室の活動実態がないのに、講師謝金を支払っていたということで、2013~18年まで平井児童館で596万5670円、鳴神児童館で333万5050円の不正支出が判明しました。
いずれも、県補助による事業での不正使用です。
子ども会活動支援交付金は、平井子ども会には1単位50万円、8単位分で年400万円が交付されており、5年間で2000万円のうち半分以上、1000万円を超える額が架空の支出であったということです。
架空の領収書で詐取するという重大な問題で、これが何に使われたのか、究明されなければなりません。それが補助金合計の半分以上にのぼるということは、この補助金そのもののあり方が問われるものです。
平井児童館、鳴神児童館での人権教室・識字教室の補助金については、教室をやっていないのに講師に謝礼を渡すという、考えられないことが起こりました。
そこで、県としてこの補助金不正使用問題をどうとらえ、なぜこんなことが起こったのか、県としての認識をお聞きします。
また、今後どのような対応をするのか。
環境生活部長、企画部長、それぞれお答えください。
《答弁》 環境生活部長
地域子ども会活動支援交付金については、和歌山市が交付した額の2分の1を和歌山県青少年育成事業補助金として、県から市に対して交付している。
いうまでもなく、補助金等の交付事務については、関係法令及び地方公共団体の規則等に基づき、厳正に執行されるべきものであり、発表されたような不適正な処理は、決して許されるものではなく、厳しく対処したいと考えている。
子ども会は補助対象経費のうち、指導者の養成のために要する経費を一定の割合以下とするように和歌山市から指導を受けていたにもかかわらず、平井子ども会においては、その割合を超えて指導者養成にお金を使ったことから、交付金の交付を受けられるよう指導者養成以外の子ども会活動にお金を使ったことにするため、架空の領収書等に差し替えたと和歌山市から報告を受けている。
県としては、立入検査を実施し、補助金交付の要件に該当しない部分について、和歌山市に返還を求めることとしている。
また、今回問題になった子ども会以外の子ども会についても、同様の問題がないかどうかを確認するため、立入検査を実施していく。
《答弁》 企画部長
議員ご質問のうち、人権・識字教室関係について回答する。
まずは、県はどのように捉えているかについて、これまで県は市町村と協働して人権尊重の社会づくりに取り組んできたところであり、今回、和歌山市で不適正な支出事案が発生したことは、大変遺憾である。
和歌山市からは、平井及び鳴神児童館に配置された職員が、人権教室・識字教室について、前任者から引き継がれたままに実際の開催実績と異なる内容の報告書を作成して和歌山市教育委員会へ提出し、それに基づき講師に報償金が支払われたと聞いている。
なお、講師については、受領した報償金が教室の講師謝金ではなく、児童館等における別の活動の報償金と理解していたとのことである。
県の今後の対応については、当該事業の一部に和歌山県人権啓発市町村助成事業補助金が含まれていたことから、現在、和歌山市に立ち入り検査を行っているところであり、検査結果を踏まえ、和歌山県補助金等交付規則の規定に基づき、補助金を返還させるなど厳正に対応していく。
県では市町村に補助金を交付する際に、これまでも支出の根拠となる書類や、事業の実施状況が分かる書類を実績報告書に添付させるとともに、抜き打ちで啓発事業の実施状況の現地確認を行ってきたが、今後さらに、事業の実施状況を把握するためのより詳細な書類を添付させるとともに、現地確認の回数を増やしていく。
加えて、機会あるごとに厳格な補助金事務の執行について指導していく。
(2)子ども会活動の県補助金のあり方について
《質問》奥村規子
委員
平井子ども会の交付金の不正使用については、公益通報外部相談員からの調査結果報告によると、8単位あるが単位子ども会としての独立性がなく、各会が交付金対象団体とは認められないと指摘しています。
また、本渡の5つの子ども会に対しても、個別の活動実態はないという通報に対して、同じく相談員の調査結果は、交付金の在り方を根本的に見直すべきとしています。
このような指摘は以前からされており、08年度の包括外部監査報告書において「和歌山市で13地域に69単位子ども会があり、交付金の対象は単位子ども会であるのに、その活動は合同で活動しているのが実態であり、このやり方は、補助対象要件を満たす子ども会を多く作るために、作為的に子ども会を設けることを可能にしており、制度の趣旨から考えて妥当とはいえない」と指摘しています。
さらに、13年度の包括外部監査報告書では、市内の全児童数の1割にも満たない13地域の子ども会、対象者1,685人に3413万円が交付されていることをあげ、「地域子ども会活動支援交付金がほかの子ども会への補助と比べ多額のうえ、実態と違う単位への交付が行われており、公平性に問題がある」と指摘しています。
平井子ども会は、昨年まで8単位の子ども会に交付していましたが、今年度は3単位に減っているということは、これまでの単位子ども会の実態がなかったということを示すものと考えられます。
こうした実態を踏まえ、単位子ども会への交付金について、その半額を県が補助していますが、県として交付金のあり方を問題だと考えていないのか、認識をおたずねします。
《答弁》 環境生活部長
県では組織的、継続的な集団活動を通じて子どもたちの健やかな育成を進めるため、和歌山県青少年育成事業補助金のメニューとして地域子ども会活動支援事業を設け、市町村に対し補助を行っている。
この補助金は、地域子ども会活動支援事業の地域総合活動であるが、補助の要件は年間活動日数が50日以上かつ学習活動、体験活動、交流活動、指導者養成の4つの活動全てを行う子ども会に市町村が補助した額の2分の1以内、上限28万円を市町村に補助するもので、県内すべての子ども会を対象としたものである。
今回の問題を受けて、和歌山市では、子ども会運営の適正化や補助金事務の適正な執行のために、単位子ども会の会計管理の徹底、単位子ども会活動の充実に向けた各子ども会との協議、また、外部有識者の意見を参考に、事案の検証、是正措置及び再発防止措置を講ずることを目的とした和歌山市コンプライアンス委員会の設置などの改善策が発表されている。
県としては、その経過を注視しながら、和歌山市を含むすべての事業実施市町村に対して立入検査を実施するとともに、疑義が生じることのない適正な事務を執行するよう指導していく。
《再質問》奥村規子
委員
立ち入り検査を実施するということですので、徹底して不適正がなかったかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
補助要綱に基づいて適正にやるのは当然のことですが、そもそも要綱にある地域総合活動への補助金が、先に指摘した不公平を生むもとになっていると考えますので、見直すべきではないかと思いますがいかがですか。
《再答弁》 環境生活部長
今回の問題は、補助金制度に起因するのではなく、交付要綱に則った適正な事務が行われなかったことに問題があると考えている。子どもの減少や遊びの質などが変わり、子ども同士の横のつながり、縦のつながりともに、希薄になってきている中で、子ども会活動等を通じた子どもの健全育成はますます重要になっていることから、引き続き子ども会への補助は行っていくこととしている。
《要望》奥村規子 委員
立入検査やこれから検証をする中で、そういった点も考えていただきたいと思います。
3.地域医療構想における病床削減について
《質問》奥村規子
委員
国は2014年の法改定で、2025年の病床数を本来必要とされる152万床から119万床に、33万床削減していく計画を推進しています。そのためには、公立・公的病院に対しては、全体で5万床減らす「改革」プランを求めてきました。
県においては、地域医療構想策定以来、今日まで民間病院では551病床、公立・公的病院は67病床、合計618病床を削減してきました。また、来年度の病床機能の分化・連携のための体制整備事業にも約6億円が計上されています。
こうした状況のなか、国は全国的に病床の削減が思うようにすすんでいないとして、昨年9月26日、全国424病院を突然名指しして、プランを再検証して2020年9月までに再編統合、機能移転、ベッド数縮減などの計画を具体化するよう求めてきました。これは、市町村などが運営する公立病院と日本赤十字社などが経営する公的病院の約4分の1に相当します。全国各地から、厚労省のやり方に批判が殺到したということです。県内では、公立病院4と公的病院1の5病院が名指しされました。
これについて、知事は記者会見で「厚労省はやりすぎだ。余計なお世話だと思う。」と発言されています。
また、県内ではありませんが、ある病院の院長は「どこの病院でも、できた由来がある。命を守ることで現在までやってきている。都会と違って地域全体でなりたっているし、他の医療機関と連携して成り立ってきた。画一的に評価されたこと、これまでのことを否定されたことは残念の極み。一方的に言われるのは地方の否定につながりかねない」と痛烈に批判されたと聞きました。
こうした声もあり、厚労省は、「十分な説明をしないまま唐突に病院名を公表し、住民に不安などを招いたことを反省している」と陳謝したうえで、「名前の挙がった病院に何か強制するものではない。地域の実情を踏まえて話し合って欲しい」と釈明する事態になりました。
しかし、それにもかかわらず、厚労省は2020年度予算案で、「地域医療構想の実現を図るための病床ダウンサイジング(削減)支援」(国費84億円・補助金として措置)を新たに作り、病床削減すれば稼働率に応じた1床当たりの額を交付するなどというものです。いわゆる「ベッドの買い取り」みたいな補助制度を作って、地域医療構想を進めようとしています。
そこでお聞きします。いわゆるダウンサイジングを推進するような国が新たに創設する補助制度は、どういった内容ですか。また、この補助制度を活用して削減をすすめるようなことは賛成できませんが、県はこの補助制度を活用して病床の削減を進めるつもりですか。
《答弁》 福祉保健部長
国が新たに創設する病床削減に対する補助制度は、詳細はまだ示されていないが、医療機関が稼働している病床を10%以上削減する場合などに補助が受けられる運営補助金であると聞いている。
また、この補助制度は、施設改修費等を対象とした、既存の補助金との併用も可能であり、今後、病床を一定規模以上削減する医療機関にとっては、有効な財政支援になると思われる。
一方、本県の病床削減の方針は、まずは全体として約700床ある非稼働病床を削減することとしている。
そして、各医療機関が病床を削減する際には、地域医療構想調整会議の場で報告し、地域医療等への影響を協議した上で行うこととしている。
こうした協議が円滑に進むよう、県では、各医療圏の地域特性や将来の医療需要等を詳細に分析し、客観的なデータなどもお示ししている。
稼働病床については、各医療圏において、病床機能の再編を進める中で、過剰となる病床については、地域医療に支障をきたさないことを十分確認しながら、削減に取り組むこととしている。
今後も、各医療圏において丁寧な議論を重ねながら、過剰な病床の適正化に取り組んでいく。
《意見》奥村規子 委員
住民の皆様の意見や不安に応えていただき、安心・安全の医療提供体制をつくっていただきたいと思います。
地域医療構想については、新型コロナウイルスの感染症対策で示されたように公的・公立病院の役割は重要なので、知事は、命令や指示の権限を行使して、強引に病床を削減することは、絶対にしないようにしていただきたいと思います。
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議案に対する採決
議案第 1号 令和2年度和歌山県一般会計予算
議案第 3号 令和2年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
議案第 7号 令和2年度和歌山県国民健康保険特別会計予算
議案第 8号 令和2年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
議案第16号 令和2年度和歌山県土地造成事業会計予算
は賛成多数で原案可決
日本共産党 奥村規子委員は反対 → 杉山俊雄県議の議案に対する反対討論
その他の予算関連議案は全会一致で原案可決
仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子委員
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