2020年2月県議会 高田由一 一般質問 概要記録
  録画中継

202034

1.新型コロナウイルスの影響と対策
(1)学校の一斉臨時休校への対応
(2)緊急対策への相談件数

2.ひきこもり支援への県の取組
(1)相談、支援の状況
(2)アクセスフリーの体制
(3)今後の取組

3.南紀・はまゆう支援学校の統合・新設にあたって
(1)今後の生徒数の見通し
(2)過大規模化の認識
(3)体育館への空調設置を

4.障害者スポーツの普及と振興
(1)参加者を増やす活動
(2)子ども・女性・障害者相談センターの体育館について
(3)紀南地方での拠点づくり

5.和歌山南漁協の補助金不正問題
(1)県の指導と補助金返還の見通し

6.クビアカツヤカミキリの防除
(1)防除対策への国の財政支援


1.新型コロナウイルスの影響と対策
《質問》高田由一 県議
 最初に、新型コロナウイルスの影響と対策についてうかがいます。
 質問に入る前に、この間、この新型肺炎で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族に心からお悔やみ申し上げます。また、現在もなお、この新型肺炎で闘病中の方もいらっしゃいます。元気に回復されることを心からお祈りします。
 また、この間の知事を先頭とした県当局のご健闘に敬意を表します。以下、質問に入ります。
(1)学校の一斉臨時休校への対応
 コロナウイルスの問題では、今回、安倍総理が一斉臨時休校の要請をしたことについて、あまりにも唐突であり、専門家や現場の意見を聞くこともなく、また必要な政府内での議論も十分でないまま発表したことに憤りを感じています。
 今、子どもたちはもちろん、社会全体が大きな影響を受けています。私ども日本共産党県議団は3月2日、知事と教育長にあてて、この問題についての緊急申し入れをさせていただきました。その内容は、今後の対応では児童・生徒の安全、安心の確保を最優先に取り組むこと、保護者が仕事を休むことにより社会の機能を低下させないこと、「春休みまで」という当初決定した休校期間にこだわることなく、現場の状況や社会情勢、他自治体の対応も見極めながら、柔軟に期間変更などの対応をすること、などです。
 そして、当面の具体的な要望として、保護者の事情により、学校で児童・生徒を預かる場合、スクールバスなどの通学手段の確保について柔軟に対応すること。学童保育などが近隣にない場合、預かり時間も通常の下校時までとすること。特別支援学校・学級等の児童・生徒については、児童デイサービス等へ受け入れ拡大を要請しているが、多人数となる場合、感染防止の観点からも学校での預かりと併用するなど特段の配慮をすること。学童保育、児童デイサービスなどについて消毒薬、マスクなどの不足が心配されており、受け入れを要請する限り、県として支援すること。以上のような内容です。
 これらのうち具体策については今後、県と市町村が協議しながら進めていただけることを要望いたします。
 そこで教育長にうかがいます。さきほど述べた要望のうち、「春休みまで」という当初決定した休校期間にこだわることなく、現場の状況や社会情勢、他自治体の対応も見極めながら、柔軟に期間変更などの対応をすること、このことについて教育長の考えを答弁願います。

《答弁》 宮﨑教育長
 県では、これまで学校における感染の防止に努めてきたところです。
 2月27日に示された国の要請により、3月2日から終業式までの期間、すべての県立学校を臨時休業としました。
 市町村教育委員会に対しても、このことについての理解を求めるとともに、同様の措置を要請しました。
 もとより早期の終息を望むところでありますが、今後、感染の状況及び国の動向等を踏まえつつ、適切に対処してまいります。

《要望》高田由一 県議
 要望を申し上げます。
 ひとつは、特別支援学校の児童のことです。なかでも、重度の肢体不自由の子どもたちが心配だと親御さんたちが言っています。休校になって、福祉施設に併設されたデイサービスなどを利用しているようですが、その施設は医療やその他のサービスもあるので、不特定多数が建物に出入りします。重い障害のため、感染症には弱い、支援学校にいることの方がずっと安全だ、という訴えです。だからこそ、今からでも現場の声をひろって柔軟に対応していただきたいと思います。
 もうひとつは、学童保育です。昨日のある学校の学童保育の話です。天気もよくて、暖かく、子どもたちも外に出て校庭で遊びたいとなったそうです。ところが、学校の方では休んでいる子どもたちに外出を控えようと言っている手前、校庭で遊ぶとそれを見た学童以外の子どもたちがどう思うだろうということになって、外遊びをやめたそうです。子どもから外遊びをとってしまって、20日以上も元気に過ごせと言っても無理な話です。
 現場ではこうしたこともあるということで、ぜひ対応を検討いただきたいと思います。

(2)緊急対策への相談件数
《質問》高田由一 県議
 次に、県内経済への影響についてうかがいます。新聞報道によると、白浜温泉旅館協同組合の調査では今年の1~3月分だけでも、あわせて7,200件、約23,000人あまりの宿泊キャンセルがあるといいます。そのうち、国内の方からのキャンセルが約6,000件、20,000人分ということで、新型コロナの流行をうけて、日本国内の旅行が極端に控えられている状況が浮かび上がってきました。白浜町内のあるホテルでは1~3月だけでも例年より1億円近い収入減少といいます。さらに地域の商店なども影響がでています。
 このようなきびしい状況のなか、県は経営支援資金の要件緩和で売り上げの減少が1か月あれば貸し付けを利用できるようにしました。また国は、旅館ホテルや飲食店などが利用できる衛生環境激変対策特別貸付を別枠でつくり、さらに雇用調整助成金の特例をだし、一時的に休業しても労働者の雇用を維持した場合には、休業手当や賃金などの一部が助成されることになりました。
 そこでうかがいます。こうした緊急対策への相談や利用は現時点でどのようになっていますか。答弁をお願いします。

《答弁》 商工観光労働部長
 県においては、事業者の資金需要に迅速に対応できるよう、2月1日から全国に先駆けて、金融支援として県の制度融資「経営支援資金」の対象要件を緩和したところでございます。当制度の現時点の相談や利用状況についてでございますが、3月2日時点では利用には至っておりませんが、県窓口への相談は29件となっております。
 雇用調整助成金については、主に観光バス等の事業者や旅館・ホテル業の事業者から相談が寄せられていると聞いておりますが、申請先である和歌山労働局に確認しましたところ、3月2日現在において相談件数が38件、申請はまだないとのことです。


2.ひきこもり支援への県の取組
(1)相談、支援の状況
《質問》高田由一 県議
 次に、ひきこもり支援への県の取り組みについてうかがいます。
 まず、相談や支援の実際についてうかがいます。12月議会で部長も答弁されたように、相談窓口への相談件数は平成30年度でのべ2,400件となっています。この相談機関ごとの内訳はどうなっているでしょうか。また、来所での相談件数はどうなっていますか。
 さらに、保健所からのアウトリーチといって家庭訪問する事業では、どれくらいの訪問件数になっているでしょうか。
 あわせて、ひきこもりの相談をあつかう民間団体へは年間どれくらいの相談があるでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 平成30年度の相談窓口における延べ相談件数、約2,400件の内訳は、県精神保健福祉センターに設置している「ひきこもり地域支援センター」への相談が151件、県内8カ所の保健所への相談が528件、市町村への相談が1,091件、著者サポートステ「ション「With You」への相談が627件となっています。そのうち、来所相談につきましては、592件となっています。
 また、県内8カ所の保健所の家庭訪問につきましては、178件となっており、民間事業所における相談件数は、1,260件と把握しております。

《意見》高田由一 県議
 答弁をいただきましたが、電話相談などでは、公的機関への相談が民間団体への相談の約2倍となっています。
 ところが、来所しての相談となると行政機関合計で年592件、月平均49件なのに対し、民間5団体への来所相談件数は月102件で、県と比べて約2倍の相談が寄せられています。実際に人と会っての相談は、民間が2倍がんばっているわけです。こうした民間団体のがんばりこそが、草の根でひきこもり者を支えていると私は実感しています。

(2)アクセスフリーの体制
《質問》高田由一 県議
 次の質問にうつります。
 ひきこもり当事者が、どの地域に住んでいても居場所等の支援が受けられるような体制づくりについてです。具体的には現在の制度では、民間団体と市町村が委託契約を結んで居場所づくり等をしていますが、民間団体の居場所にはやはりそれぞれ特長があって、当事者もそれぞれの好みがあります。遠くの居場所でも行きたいところもあれば、家の近くでも気に入らなければ通うことにはなりません。ところが現状では、民間団体と委託契約をしている市町村以外からの当事者の受け入れは、補助金を出しているかそうでないかの違いもあり、利用が困難です。
 県下どの地域にいても市町村の枠にとらわれず、居場所や支援がアクセスフリーで利用できる体制をつくっていただきたいのですが、このことは県と市町村の調整も必要なことなので、今後の検討をお願いしたいと思います。
 ただ福祉保健部長にうかがいたいのは、民間団体が県下どの地域の相談であっても支援できるようにする、アクセスフリーの体制が必要だという認識はお持ちですか。答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 県では、平成16年度から全国に先駆けて「ひきこもり者社会参加支援センター事業」を実施し、当該事業がモデルとなり、国庫補助事業「ひきこもりサポート事業」が創設されました。
 現在、「ひきこもりサポート事業」を活用し、23市町村が7民間事業所の協力を得て、ひきこもりの方が社会との交流を取り戻すため、自宅以外の場所で過ごすことができる「居場所づくり」事業を実施しています。
 そうした状況の中、居場所の提供などひきこもりの支援は、基本的には生活の拠点となる身近な地域で受けることが望ましいと考えますが、中には遠くても自分に合う民間事業所の利用を希望する方もおられますので、県内どの地域の相談であっても支援につなげることができる体制は必要であると考えています。

(3)今後の取組
《質問》高田由一 県議
 この問題の最後に、県として今後、どのような取り組みをすすめようとしているのか答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 ひきこもり対策については、まず、地域の中で支援が必要な方がどこにおられるかを把握し、保健所などの相談機関につなげ、ひきこもりサポート事業で行っている「居場所」へ参加することにより、社会との交流を取り戻すことが重要であると考えています。
 しかし、ひきこもりの方は、社会との関係が途絶え、孤立しがちとなり、またその家族も、いつかは、社会と交流をしてくれるだろうという期待やどこに相談したらよいのかわからないという思いから、相談につながり難い状況となっています。
 県では、今年度から相談機能を強化し、訪問相談の充実を図っており、昨年8月からは、個人の家庭を訪問し、福祉サービスを提供する事業所や社会福祉協議会などの協力を得て、ひきこもりの方と暮らす世帯を相談窓口につなげていくための取組を行っています。
 さらに、来年度から、県、市町村、民生委員・児童委員、社会福祉協議会、自治会などが連携し、地域住民が抱える様々な課題を把握し、相互に協力することにより、問題を解決していく体制を構築することとしています。
 このような取組により、ひきこもりで悩まれている方を一人でも多く保健所などの相談につなげ、社会性を回復していく取組に進んでいけるよう、より一層、市町村や民間事業所との連携を深めてまいります。

《要望》高田由一 県議
 答弁をいただきました。これは要望ですが、私はあわせて民間団体へまかせるところはまかせる、事業委託などの部分もしっかり検討いただいて、民間団体の運営がなりたつような支援の充実についても検討していただきたいと思います。


3.南紀・はまゆう支援学校の統合・新設にあたって
(1)今後の生徒数の見通し
《質問》高田由一 県議
 次に、南紀・はまゆう支援学校の統合、新設にあたっての課題についてうかがいます。
 現在、南紀、はまゆう両支援校の統合のための工事がすすんでいます。この間の関係者の努力に敬意を表したいと思います。一方で、現場を担当されている先生方から心配の声もうかがっています。その第一は今後、教室が不足することはないのかという問題です。それというのも、平成13年に本格開校した紀伊コスモス支援学校では、計画段階で39学級150人規模を想定していたのが、開校して3年後には想定規模をオーバー、現在では58学級229名と1.5倍化しています。また、平成26年に本格的に開校した和歌山さくら支援学校は、35学級130人規模の想定が、ここは開校した時点ですでに想定規模をオーバーしました。現在は49学級205名とこれも想定規模の1.5倍以上に膨れ上がっています。はまゆう支援学校でもこの10年で児童・生徒が増えています。
 そこでうかがいます。統合後の南紀・はまゆう支援学校の普通教室数、児童・生徒数はどれくらいの数を想定していますか。その算出の根拠は何でしょうか。また、開校後の児童・生徒数はどうなる見通しでしょうか。

《答弁》 宮﨑教育長
 南紀・はまゆう支援学校統合校の児童生徒数については、校区内の出生数に対する入学率や、小・中学校に設置されている特別支援学級からの入学者数をもとに算出をいたしました。
 その結果、普通教室は48教室、児童生徒数を190人前後と想定し、統合校の施設設備を計画しました。
 推計算出当初に比べ、はまゆう支援学校では児童生徒数の増加が予想されますが、統合校での対応は十分に可能な人数であると考えております。

(2)過大規模化の認識
《質問》高田由一 県議
 答弁をいただきましたが、先生方がこのような心配をするのは訳があります。
 この特別支援学校の教室不足の問題は、普通の小中高校では起こり得ないからです。子どもが増えることがわかっていれば、校舎を増設したりプレハブでも校舎を作ったりします。ところが特別支援学校では、教室が不足しても、特別教室をつぶしたり、普通教室を分割して対応したりするのです。このようなことになるのは、特別支援学校にだけ学校教育法第3条に基づく「学校設置基準」がないからです。普通の学校はこの設置基準に従って、施設や学級編成や教職員配置などを決めることになっているのです。なぜなら、一定の準拠すべき基準がなければ、設置者の財政事情や教育に対する情熱の相違などによって、学校教育が一定の水準を下回ることになる懸念があるからです。
 そういう重要な学校設置基準が、特別支援学校だけにないということは、以前から日本共産党が国会でも繰り返し取り上げてきた問題です。これは国がしっかり定めるべきだと考えます。
 そこで教育長にうかがいます。特別支援学校の学校設置基準がないなか、和歌山県内、特に和歌山市内において支援学校の過大規模化がすすみ、教室が不足するといった事態になっていますが、こうした状況にあることをどう認識されていますか。

《答弁》 宮﨑教育長
 県内特別支援学校における過大規模化にいてでございますが、特別支援学校では、在籍する児童生徒等の障害の状況に応じ、必要となる施設や設備が様々であることから、国は一律の基準を設けていません。しかしながら、平成28年に文部科学省が策定した「特別支援学校施設整備指針」に基づき施設整備が行われています。
 現在、特別支援教育への理解が進んでいることから、在籍する児童生徒数が増加している傾向があると認識しています。
 今後も、各校の状況を見極めながら、学習環境の整備に努めて参ります。

(3)体育館への空調設置を
《質問》高田由一 県議
 教室不足などの事態にならないようしっかり対応していただきたい。
 この問題の最後に、統合後の南紀・はまゆう支援学校の体育館に、空調設備が設置されていないことについて質問します。
 この間、猛暑が続く中、学校内での熱中症が大問題になり、国も予算をつけて普通教室、特別教室への空調設備の設置が進んできました。必要なところはほぼ終わってきた状況だと思います。配布した※資料をご覧いただきたいのですが、体育館、なかでも特別支援学校の体育館への設置は都道府県により大きなばらつきがあります。端的にうかがいます。
 なぜ今回、病弱な子や体温調整が十分できない子が多い支援学校を新築するのに、体育館に空調設備がないのですか。

《答弁》 宮﨑教育長
 南紀・はまゆう支援学校の再編整備におきまして、体育館への空調設備の整備は予定しておりませんが、軽運動や集会などを行う講堂には空調設備を整備することとしております。
 体育館については、温度や湿度など子どもたちの健康に十分留意して活用してまいりたいと考えてます。

《再質問》高田由一 県議
 今回、予定されていないと言いますが、今後はどう考えていますか。

《再答弁》 宮﨑教育長
 先程申し上げたとおり、特に夏季の体育館の使用にあたっては、温度や湿度など適切に見極めながら、体育館と講堂を有効活用していきたいと考えております。
 体育館につきましては530㎡、講堂につきましては300㎡ございます。講堂には空調を設置しますので、上手く活用し、暑いときは体育館の使用を避け、講堂で対応できると考えています。

《要望》高田由一 県議
 卒業式、文化祭などいろんな行事があります。南紀支援学校では、式典や行事のときには、体育館となりにある訓練室の空調設備の空気を体育館に流して使っていました。
 どの県も、支援学校の体育館優先でやっています。
 新しく校舎が計画されている紀北支援学校では、ぜひ今日の議論を活かしていただきたいと要望します。


4.障害者スポーツの普及と振興
(1)参加者を増やす活動
《質問》高田由一 県議
 次に、障害者スポーツの普及、振興についてうかがいます。
 東京オリンピック、パラリンピックの開催がせまっています。新型コロナウイルスの影響が心配されますが、無事に開催できますことを祈っております。
 障害者にとってスポーツを行うことは「もっとも自然なリハビリテーションン」といわれ、全身的な機能の回復、心理的な効果、社会への適応への大きな自信になることなどがあげられています。私も参加したある講習会で、健常者にとってスポーツは選択科目、障害者にとっては必修科目と講師の方が言われていました。障害者がスポーツをすることは、必要不可欠であり、大きな意義があります。
 そこで、県内の障害者スポーツの推進に関していくつかうかがいます。
 まず、和歌山県において障害者スポーツの参加者を広げていく活動はどうなっているでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 県では、障害者スポーツの振興を図るとともに、障害のある人の自立と社会参加を促進するために、平成13年に県内で最大のスポーツの大会である「和歌山県障害者スポーツ大会」を開始したところです。
 併せて、障害のある人のスポーツ参加の機会を増やすため、卓球、テニスをはじめとし、広く障害者スポーツ教室を開催してまいりました。
 これらの大会や教室の開催に加えて、障害のある人が安心してスポーツができるよう、障害者スポーツ指導員養成講習会を開催し、約250名のスポーツ指導員を養成してきたところであり、各地域で開催される障害者スポーツ教室や各種大会において、運営や参加者の支援を行っています。
 そうした中、平成27年10月に本県で開催された全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の開催を契機に、新たな競技に取り組む方が増えるなど、障害のある人のスポーツ人口が大幅に増加しました。
 こうした取組により、和歌山県障害者スポーツ大会は、開始当初約400人であった参加者が、今年度は約900人になるまでに発展しました。
 また、さらに、重度の障害のある人にも参加できるスポーツ・レクリエーション大会や教室を開催し、障害のある人もスポーツに親しむことができる取組を行っているところです。
 今後も、引き続き、障害のある人が広くスポーツを楽しむことにより、自立と社会参加の促進につながるよう取り組んでまいります。

(2)子ども・女性・障害者相談センターの体育館について
《質問》高田由一 県議
 次に、施設整備の点でうかがいます。障害者スポーツの普及の中心的な役割を担っているのが、県障害者スポーツ協会だと思います。その拠点となっている、県子ども・女性・障害者相談センターの体育館、プールでは年間を通じて様々な取り組みが行われています。車いすバスケや卓球、テニス、グランドゴルフ、カヌー、アーチェリー、バドミントンなどです。
 この間、利用する用具が充実されてきたことは評価したいと思います。ただ、平成23年に改築された体育館には空調設備がなく、窓を閉め切って行う卓球や、激しい運動量の車いすバスケでは、夏場の利用は本当にきびしい状況となっています。先日、和歌山県立医科大学の、みらい医療推進センターに行ってきました。障害者スポーツ医科学の研究を活発に行なっておられ、また障害者スポーツ日本代表選手の公式医療機関として指定も受けております。地域のパラスポーツを楽しむみなさんも、トレーニングによく利用されているようです。そこでいただいた資料にもありますが、たとえば首から下がマヒした頸髄損傷者は汗をかけないため高温・多湿環境においては体温が上昇しやすい、腕や脚の切断者は健常者にくらべて体表面積が減少するため皮膚血流による熱放散が減少し、かわりにたくさんの汗をかくため脱水に陥りやすい、さらに知的障害者は「暑さ」に対して自ら判断し、適切な体温調整へ対応することが苦手であり、ときには熱中症のリスクを高めてしまう。などの特徴があります。空調設備は障害者スポーツの施設にはなくてはならないものです。
 県障害者センターの体育館にぜひ空調が必要だと考えますが、今後の施設整備について答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 子ども・女性・障害者相談センターの体育館は、主に車椅子バスケットボールや卓球に活用されてきましたが、平成27年の全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の開催を契機として、障害のある人のスポーツ人口が増加したことに伴い、現在では、季節、昼夜を問わず、活用されるようになりました。
 そのような中、特に夏期など気温の高い日の利用については、障害のある人の中には、体温調整機能が失われている人もいることから、今年度から夏期など気温の高い日に体育館を使用する際には、スポットクーラー2台を設置して、体温調整を行えるように配慮しているところですが、体育館の利用頻度が増加している現状から、常時室温管理ができるよう、空調設備が必要であると考えているところです。
 本県が所有する公共施設については、平成28年度に策定した「和歌山県公共施設等総合管理計画」に基づき、「個別施設計画」を作成することとなっており、当該空調設備については、整備にむけた検討を行ってまいります。

(3)紀南地方での拠点づくり
《質問》高田由一 県議
 最後に、紀南地方での普及の拠点づくりについてうかがいます。どうしても琴の浦の県障害者センターが普及の中心になるので、紀南地方への普及は遅れています。パラリンピック陸上競技の競技別強化拠点施設に田辺スポーツパーク陸上競技場が指定されました。こうした施設をいかすことも含め、紀南地方にも障害者スポーツの拠点を県としてもつくる必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 田辺スポーツパーク陸上競技場は、パラリンピック陸上競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に指定され、今年開催される東京パラリンピックに向け、多くの陸上アスリートが練習を行うなど、広く障害のある人がスポーツを楽しむ環境の整備が図られているところです。
 県では、紀南地方においても、スポーツ教室の開催など障害者スポーツへの参加者の裾野を広げる取組を行っているところであり、はまゆう支援学校における知的障害者バスケットボールや、みくまの支援学校におけるソフトボールなど、障害のある人の団体競技も盛んになり、競技人口が増加しているところです。
 県としましては、障害のある人のスポーツを楽しむ環境が整った田辺スポーツパークを中心に、地域の指導者と障害者スポーツの競技者や 愛好家が連携する体制づくりを進め、障害のある人のスポーツの普及と振興に努めてまいります。

《要望》高田由一 県議
 さきほどの支援学校の施設整備の議論とあわせて考えると、大きなヒントがあると思います。国もスポーツ庁が「スポーツ実施率向上のための行動計画」を平成30年に発表。そのなかで障害者むけの取組ということで、身近な場所でスポーツを実施できる環境整備をするとして、医療・福祉施設との連携、特別支援学校を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくりをすすめる、卒業後のスポーツ機会の確保のため、学童期に慣れ親しんだ特別支援学校の体育施設を利用できるようにすることなどがあげられています。特別支援学校がこうした機能も果たせるよう要望をしておきます。


5.和歌山南漁協の補助金不正問題
《質問》高田由一 県議
 次に、和歌山南漁協の補助金不正問題についてうかがいます。
 昨年12月議会の農林水産委員会でも報告がありましたが、県から田辺市への補助金が2つの事業で300万円余の不適正使用がありました。また、田辺市からの同漁協への補助金では約5400万円の不正がありました。
 特に田辺市の補助金関係では、同漁協が事業費の2分の1の補助金を受けられる制度を悪用し、事業費をほぼ倍に架空計上し、事業費全額が市からの補助金でまかなわれるような仕組みをつくっており、ながらく慣例のように不正受給が行われていたものであります。この不正の背景には、5つの漁協が合併して和歌山南漁協が誕生したわけですが、合併後も業務や経理の面でも、旧漁協別で行われ、統一した漁協としての組織的な運営がなされていなかった、いわば縄張り意識のようなものを取り去ることができなかったことにあると感じています。
(1)県の指導と補助金返還の見通し
 そこでうかがいます。合併してできた南漁協の設立後、県がどのような指導をしてきたのかが問われるのではないでしょうか。これまでの県の指導の在り方について、農林水産部長の答弁をお願いします。
 またあわせて、問題発覚後に県の指導に基づきとられた漁協の改善策や今後の改善の予定、さらに不正のあった田辺市への補助金について、その返還は具体的にどういう計画になっているかについても答弁願います。

《答弁》 農林水産部長
 まず、和歌山南漁協合併後の指導についてですが、和歌山南漁協は平成19年に5つの漁協が合併して誕生し、合併直後から繰越欠損金を抱える深刻な経営状態であったため、県では、県漁連などと協力して経営改善計画に基づく財務の健全化を重点的に指導してまいりました。平成27年度に繰越欠損金が解消されたことから、その後は他の漁協と同様に、常例検査による指導をはじめ、組合運営や事務処理方法等について指導、助言を行ってまいりました。
 今回の問題発覚後、漁協が設置した第三者委員会や県による調査の中で、議員ご指摘の業務執行体制等に起因する重大な問題が明らかになったため、昨年、漁協内に設置したJF和歌山南経営改善策検討委員会に県も参画し、組織体制の抜本的な見直しによるガバナンス、コンプライアンスの強化等を含む経営改善策を策定させ、その実行を強力に指導しているところでございます。
 これを受け、和歌山南漁協では、組合の業務執行の基本ルールを定めた職務規程や経理規程等の見直し、顧問弁護士によるチェック体制の強化、各支所単位での事務処理や資金管理の廃止と本所への事務集約化、資金の一元管理等の取組を既に行っております。
 今後、支所や市場の統廃合や員外監事の登用について検討を進めるなど、更なるガバナンス、コンプライアンスの強化に向けて取り組んでいくこととなってございます。
 県としましては、和歌山南漁協に対して経営改善策が確実に実施されるよう、今後とも重点的な指導を行ってまいります。
 次に、田辺市からの県補助金返還計画についてですが、不適正使用のあった県補助金に関する県の調査結果を手交した上で、納付期限を3月31日として補助金の返還と加算金の納付を請求してございます。
 田辺市では返還金及び加算金の所要額を盛り込んだ補正予算案を今議会に上程し、期限内に納付すると聞いております。


6.クビアカツヤカミキリの防除
(1)防除対策への国の財政支援
《質問》高田由一 県議
 最後に、果樹王国和歌山のモモやウメの生産に大きな影響をおよぼしかねない特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の防除についてうかがいます。昨年11月にかつらぎ町内のモモ園地で発生が確認されて以来、県も早急な取り組みをしていただいていることに感謝したいと思います。
 県としてはこの害虫に対し、農と林と環境の各課がそれぞれ農地や森林、公園での駆除に県単の補助を用意して準備をすすめておられます。今後、大規模な発生となれば、なかなか県財政にとっても重い負担になってくる可能性もあります。
 現時点では、この害虫は特定外来生物ということで物々しい名称の位置づけですが、この特定外来生物にはたとえばアライグマやブラックバスなど、もはや日本に定着したといえるものもあり、所管する環境省もすべてこれらを根絶するという立場ではなく、また予算も限られているため対策には限界があるというのが現状です。
 一方で、農業生産を守るため、有害な害虫や病気を駆除するための法律である植物防疫法では、この害虫はいまだ重要な位置づけがされていません。和歌山の果樹生産を守るためには本県独自の取り組みと、そのための国の財政支援が必要になると考えます。
 この害虫の防除対策にかかる国への財政支援の要望について、どのようにお考えか答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 植物防疫法第17条では、新たに国内に侵入し、若しくは既に国内の一部に存在している病害虫がまん延して農作物に重大な損害を与える恐れがある場合、農林水産大臣が緊急防除を行うということになっております。
 ところが、クビアカツヤカミキリにつきましては、国内に侵入した当初、農作物でないさくらで被害が拡大し、特定外来生物に指定されたことから、農林水産省による緊急防除の対象外で都道府県に対する支援も行われておりません。
 一方、特定外来生物を所管している環境省では、防除計画の策定や発生状況調査等への支援を実施してございますが、農作物に限定した防除対策への支援は行われてございません。
 しかしながら、クビアカツヤカミキリは本県農業の基幹品目であるももやうめ等を加害し大きな影響を及ぼすことも懸念されるため、今後、緊急防除の対象に加えることや、県単事業で実施している被害樹の伐採・抜根等の経費に対する支援策の創設を国へ要望してまいります。

《要望》高田由一
 最後に要望ですが、この害虫に対する防除対策の研究です。
 これまでの研究で一定の農薬がこの害虫に登録されていますが、幼虫は固い樹木のなかに生息しており、また成虫も飛翔し動きが大きいことから防除がしにくい害虫になっています。カミキリムシとしては大変多い、300~1,000個の卵を産むそうで、やはり大規模発生させないことが大切です。
 モモやウメの木に被害を及ぼすコスカシバという害虫では殺虫剤など従来の薬剤防除とともに、性フェロモン利用の薬剤による交尾させない、産卵させない防除も取り組まれています。性フェロモン剤などは他の虫や環境には負荷が少ない防除方法です。環境への影響からも物理的な防除も含めて新しい防除方法の研究が必要ではないかと思います。国といっしょになって研究していただけるよう要望して質問を終わります。



                                     宮﨑教育長の答弁を聞く、高田由一県議(右)
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