2020年6月県議会 福祉環境委員会
  楠本文郎副委員長の質問概要記録
               2020623
【環境生活部】 【福祉保健部

【環境生活部】
《質問》楠本文郎 副委員長
 産業廃棄物の問題について質問する。
 1つは、第4次廃棄物処理計画が今年度に終わるが、進捗状況についてはどうか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 廃棄物処理法において、都道府県は国の基本方針に基づき廃棄物処理計画を定めることとなっている。第4次和歌山県廃棄物処理計画は、平成28年から平成32年度までの計画期間である。
 まず、国の基本方針に基づき、一般廃棄物及び産業廃棄物について、それぞれ排出量、再生利用率及び最終処分量に数値目標を設定している。
 現時点での評価について、一般廃棄物は、排出量はおおむね目標を達成する見込みで、再生利用率は依然として低く、目標を達成できない見込みである。最終処分量は、おおむね達成できる見込みである。産業廃棄物については、排出量、再生利用率及び最終処分量はおおむね達成できる見込みである。
 一般廃棄物の再生利用率が低い要因は、再生利用率が高い都道府県と比較すると、和歌山県は紙類の資源化量が少ない傾向にある。また、再生利用率が多い都道府県は、廃棄物をセメントの原料などにしている施設が近くにある傾向である。
 和歌山県として、県民に分別の徹底等を引き続き市町村とともに周知していく。また市町村に先進地域の取組紹介等を行っていく。

《質問》楠本文郎 副委員長
 続けて、産業廃棄物は大阪湾フェニックスセンターで処理しているが、その処理状況についてはどうか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 大阪湾フェニックスは、近畿の港湾管理者及び自治体が出資する法人で、近畿2府4県168市町村から発生する廃棄物を大阪湾の埋立てとして最終処分し、跡地の利用を図っていく事業である。和歌山県は、印南町以北の7市12町が対象区域である。
 現在、神戸沖埋立処分場と大阪沖埋立処分場で主に埋立てており、和歌山県から埋立処分しているのは大阪沖埋立処分場で、大阪沖埋立処分場は令和14年度に受入終了する予定である。非常に重要な施設であり、現在、次期の埋立処分場を、神戸沖埋立処分場の隣に整備することで、国を中心に各関係の府県や市町村が議論を進めている状況にある。
 令和元年度の実績については、全体で95万4,526トンが最終処分された。そのうち、和歌山県の対象区域から排出された量は一般廃棄物2万8,077トン、産業廃棄物が10万8,494トン、合計で13万6,571トンである。
 一般般廃棄物と産業廃棄物のそれぞれ6割から7割が大阪湾フェニックスで最終処分されている。

《質問》楠本文郎 副委員長
 紀南環境広域施設の進捗状況についてはどうか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 まず、紀南地域の状況について説明する。
 平成26年度は、紀南地域の最終処分の7割は県外処分であったが、その後、紀北の最終処分場や御坊地域の最終処分揚が供用開始されたことにより、平成30年度は最終処分の2割を県外処理している状況である。県外依存度は変化しているが、県の方針である「産業廃棄物を持ち込ませない、持ち出さない」に沿って、民間事業者の現況を踏まえ、不足する分の埋立容量を確保していき、公的関与の広域的で安定的な最終処分場を整備する必要があり、当該事業を推進している。
 事業の進捗について、一般廃棄物として約13万3,000立方メートル、産業廃棄物として7,400立方メートルと計画し、整備状況は平成30年11月に工事の起工式を行い、現在建設工事中である。令和3年度夏頃から供用開始される見込みで作業が進められている。

《質問》楠本文郎 副委員長
 紀南環境広域施設が来年の夏に完成予定であるが、管理型処分場として水処理施設が一番大事である。また、遮水シートの敷設状況が最終処分されていくと確認できなくなる。水処理施設工事を行っているところか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 管理型処分場は、浸出水処理施設が非常に重要である。浸出水処理施設は建設中であり、今年度で工事が完了予定である。また、遮水シートが確実に敷設できるように作業をしているところである。

《質問》楠本文郎 副委員長
 県が常時、遮水シートなど点検に行くことはできるか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 県は、補助金の支給を中心に支援を行っている。また常時、組合と進捗状況や問題点がないか協議している。現場確認について機会があれば考えるが、組合と情報交換をしながら、着実に進捗していることを確認する。

《質問》楠本文郎 副委員長
 第5次の廃棄物処理計画についてはどうか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 第5次の計画に取りかかっているところである。
 考え方として、国の基本方針に沿うことがまず重要である。また、本県の基本的な状況を把握する必要があり、一般廃棄物ついては人口の将来予測も当然必要であり、産業廃棄物については経済活動に関係するのや、経済指標の推移や県内企業の状況を勘案して、検討を十分にしなければならないと考える。
 そのような中で、本県の課題として、一般廃棄物の再生利用率が低いことがあり、その対応を第5次できっちりと検討しなければならないと考える。
 いずれにしても、国の基本方針で示された数値と県内の課題や現状を踏まえ、また、国の循環基本計画やプラスチック資源循環戦略など各種国の基本的な計画も参考にしつつ、県環境審議会の委員の意見を聴きながら、計画を策定していきたい。

《質問》楠本文郎 副委員長
 御坊市内の民間のリサイクル処理・最終処分に係る増設の計画については、県に届いているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 大栄環境の最終処分場のことだと思うが、状況としては事前調査の書類が保健所に提出されている。
 事前調査とは、廃棄物処理法を含め各種法律が当該計画にどのように関係するのかなどを事前に確認している段階である。

《要望》楠本文郎 副委員長
 産業廃棄物の再生利用について推進していく課題がある。一般的に最終処分場を減らさなければならないが、一方では、必要な最終処分場を確保する事業もあり、難しい問題である。
 また、公共だけでなく民間も関係してきており、状況をよく把握した上で第5次の計画を作成するよう要望しておく。

議案に対する採決
議案第91号 令和2年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決


【福祉保健部】
《質問》楠本文郎 副委員長
 他の委員からも質問はあったが、新型コロナウイルスの検体を多く採取できる体制は県内全ての中核病院も含めて整えており、県と市の衛生研究所を含めてフルパワーで100幾つであり、頑張ればもっと取れると言われているが、和歌山市に全ての検体を移送することになるのか。

《答弁》 健康推進課長
 中核病院でのPCR検査は病院で検査ができる体制にあり、早期に検査結果が出る。

《質問》楠本文郎 副委員長
 とあるドクターから、8時間かかる本格的なPCR検査は1回目で50%の確率で陽性反応が取れる、2回目で25%、3回目で12.5%の確率という意見があった。リアルタイム検査と言われるのは、もう少し精度が落ちると聞くが、これについてはどうか。

《答弁》 技監
 リアルタイムPCRは、遺伝子を検査する核酸を増幅し検査をするものであり、精度は極めて高い。ただし、検体採取の場所等によっては、陽性の感染者であっても陰性のこともある。
 ただ、委員からの数字は、やや違うという認識である。例えば、70%から80%と言われているものもあり、正確に検査をすれば、それ以上の結果が出ると認識している。

《質問》楠本文郎 副委員長
 いかに早く、たくさんのPCR検査体制をつくるかというのが、第2波、第3波を考えた場合には最優先になると思う。
 国の2次補正予算からいっても、はっきりしていると思う。県が6月の補正、追加補正とやっている中で、現時点でいえば、本県のPCR検査体制については、ここまででよいと判断をしているのか。部長か、技監にお答えいただきたい。

《答弁》 技監
 検査の方法について、最も精度が高いのが、リアルタイムでやるPCR検査である。抗原検査は、今現在感染しているかどうかを見る検査となる。
 PCR検査については、喀たん、便、唾液の検査も可能となっている。その他、患者の臨床症状により検査を実施している。例えば、便の検査も実施をして患者の特定を行う。
 あと、抗原検査についても、鼻咽頭と唾液で検査できるものが販売されたが、この唾液の抗原検査も特殊な機械を要する。例えば、唾液によるPCR検査についても、発症後、一定の日数を経過しないと陽性が確認されない。
 こういう制限もある中で、リアルタイムPCR検査が一番精度が高いが、県の衛生研究センターの場所や人員の問題等があるため、一定数に限られたものである。
 ただし、先ほど申し上げたように、様々な検査があるため、流行期においては、唾液の抗原検査等もスクリーニングに活用できると考えている。
 また今後、様々なキットもたくさん出てくることが想定されるため、いろいろと組み合わせることにより、コアの検査の体制は充実すると考える。

《質問》楠本文郎 副委員長
 最後の最後だが、将来に向かって、第2波、第3波が起こることを考えると、紀南地域の新宮市、東牟婁、西牟婁、田辺市、この辺りにセンターがいるのではないか。

《答弁》 福祉保健部長
 先ほども申し上げたと思うが、県の環境衛生研究センターの機能を充実させるとともに、各圏域で感染症患者の入院を受け入れる病院において、院内感染を広げないために配備した検査機能を活用することにより、紀南地方に限定せずに、各圏域で対応できる体制を取ったつもりである。
 今は、機械の使いこなしも含めて、一つの施設の処理能力を上げ、対応することで、検査体制は充実していると考えている。

議案に対する採決
議案第 91号 令和2年度和歌山県一般会計補正予算
議案第103号 令和2年度和歌山県一般会計補正予算
議案第104号 令和2年度和歌山県立こころの医療センター事業会計補正予算
は全会一致で原案可決

請願に対する審査
請願に対する質疑
《質疑》楠本文郎 副委員長
 ひだか病院は1市5町で経営しているが、経営面は赤字である。
 そのため、この1市5町に交付税の前倒し措置と一般会計から3億円を1市5町で賄うよう追加の補助を要望している。
 新型コロナウイルス感染症対策により病床確保してきた県内の病院では、赤字となっているのではないか。
 これは、中核病院の状況だけではなく、高度医療の病院など全ての病院がそのような状況ではないかと思っている。
 一般外来も減った。これから新型コロナウイルスの第2波、第3波を考えたとき、これに対して、きちんとした支援、保障などが実現できるのかというところがポイントだと考えている。
 お答えいただきたいが、国の2次補正の緊急包括支援事業でかなりの部分がカバーされている。それに基づき、今回の県の補正と追加補正があるが、これをもって病院経営も診療所についても立ち直れると考えているのか。

《答弁》 福祉保健部長
 個々の病院の経営状況があるため、補正予算で全てがうまく行くかは分からない。確かに、行動自粛等があり外来控えなどで軒並み減ったということは承知している。
 その中で、感染症病床を確保していた病院が、コロナ感染症患者を受け入れるために空床を確保してくれていた。また、動線確保のために空床を確保してくれていた。それに対して、1次補正では低い単価のままであったが、我々も国へ働きかけた中、2次補正で一定の単価アップが示されており、病床を一定数確保していただいたことと、診療を行っていただいたことのギャップは、かなり改善されるのではないかと考えている。

請願に対する採決
議請第2号 地域住民の医療・福祉を支える医療・介護従事者への支援を国に求める意見書の提出
      を求める請願書
は不採択すべきものと決定
日本共産党 楠本文郎副委員長は採択すべきと主張
楠本文郎の議案と請願の不採択に対する反対討論


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