1.新型コロナウイルス感染症拡大の抑止について
(1)感染症拡大防止
①PCR等検査の抜本的な体制拡充
②インフルエンザとの同時流行への備え
③感染防護のための物資不足への対策
(2)経済対策
①支援策のサポート状況について
2.カジノ含むIR誘致問題ついて
(1)現状のとりくみ状況
(2)基本方針未確定のなか、実施方針案は撤回を
(3)コロナウイルスによるカジノ事業への影響を踏まえ、IR誘致の見直しを
(4)住民からのカジノ誘致反対署名の受け止め
3.和歌山市西庄太陽光発電計画について
(1)審議会に意見を求めるのはどのような場合か
(2)太陽光発電について(要望)
2020年9月18日
1.新型コロナウイルス感染症拡大の抑止について
(1)感染症拡大防止
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので通告に従って3つの項目について質問をさせていただきます。
1項目目は新型コロナウイルス感染拡大の抑止について3点お伺いします。
1つ目はPCR等検査の抜本的な拡充についてです。
東京、大阪などで一定の地域に多くの感染者がおり、そこから感染が広がるという状況がおこりました。和歌山県内の第2波の感染拡大も、東京や大阪などからの県内への持ち込みによるものが非常に多かったと報告されています。
東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦氏は参議院予算委員会で、無症状の感染者の集積している感染震源地(エピセンター)の危険性を指摘し、感染震源地を制圧するために1日20万人以上のPCR検査が必須と主張しました。
今回のような都市部での感染拡大に対して、感染震源地を明確にし、そこに集中的に大規模で網羅的な検査を行い、無症状感染者を見つけ出し、保護、隔離し治療する、その必要性を訴えたわけです。
もう一つは感染者が多くでたり、クラスターが発生した地域にある、医療機関や介護施設など集団感染リスクのある施設の職員や入所者への定期的検査の必要性です。世田谷区では感染症の疑いがある有症状の人や濃厚接触者のPCR検査と社会的インフラを継続的に維持するためのPCR検査(社会的検査)を行っていくとしました。
政府対策本部が8月28日に出した「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」では、「感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、いわば一斉・定期的な検査の実施を都道府県等に対して要請する。また、地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、現に感染が発生した店舗、施設等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であることを明確化し、都道府県等に対して、積極的な検査の実施を要請する」としています。
県ではこれまで、感染症の疑いがある人への検査、感染者の濃厚接触者、場合によってはその周辺への検査は徹底して行われてきたと思います。これは有症状者、感染者が起点です。しかし新型コロナウイルス感染症の重大な特徴は無症状の感染者からの感染がおこることです。これを早く見つけ出す、そのためにPCR検査を抜本的に広げることが重要です。
①PCR等検査の抜本的な体制拡充
そこでお聞きします。感染震源地が疑われる場合はその地域への集中的で網羅的な検査、また感染者が多くクラスターが発生している地域で、医療機関、介護、障害者福祉、保育、学校など集団感染のリスクが高い施設の職員や入所者に、検査対象を広げることについて、どうお考えですか。またそのためにはPCR検査能力を大きく引き上げる必要がありますが、見通しはどうでしょうか。お伺いいたします。
《答弁》 仁坂知事
本県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を行う和歌山方式を着実に実行し、その要であるPCR検査については、積極的に実施して参りましたことは、奥村議員ご指摘の通りであります。
特に、医療機関や介護施設等で感染者が確認された場合においては、広く迅速に徹底したPCR検査を行い、早期発見、早期隔離に繋げることで感染者を最小限にくい止めてきたところです。現在、いま感染者が確認された場合と申し上げましたけれども、これは有症者だけじゃなくて、例えば濃厚接触者でこれは危ないというような方が、介護施設などに入っていた場合には、より広範にPCR検査なんかもしたらいいということで、やってきたどころでございます。
こうした取り組みの中で、PCR検査の重要性を認識し、感染者の早期発見に不可欠な検査体制を強化するため、県では県環境衛生研究センターにおいて、PCR検査機器をどんどん増設をしてまいりました。また、これちょっと目的が違うんですけど、当初はですね、地域の中核病院において、時間短縮型のPCR検査機器の整備を行い、これで院内感染を防いでいただくとともに、一般的な検査の時に助けていただく、こういう風に思って検査体制の整備を行ってきたところで、今後も更なる検査体制の拡充は、図っていったらよろしいという風に思っております。
しかしながら、PCR検査はですね、感染者を早期に発見し、早期に入院させて隔離するための検査というのが基本でございまして、希望する全ての人を対象に実施することは現実的に不可能なので、また、その公費負担でそれを行うことは不可能なので、感染すると集団感染に繋がり、重症化して病床を逼迫する恐れがある医療・介護施設等の関係者についてもトリアージを行って、それで十分に必要性を判断しながら取り組んでいくところでございます。よく、議員のご質問もそうかなというふうに若干推察するんですが、よく、あらかじめですね、たくさんある色々な福祉施設の職員とか病院の人は、全部、定期的にPCR検査をどんどんやれ、と言う方がいらっしゃるわけであります。それができればもちろんやって悪いわけではないのですが、しかし、テレビの素人のコメンテーターと違って、看護師でいらっしゃる議員はよくお分かりのように、そもそもPCR検査は、一定の潜伏期間を含んだ検査前の感染の有無を判定しているものであって、検査最終時点後の陰性は全く保証することができない訳でございます。
すなわち、一度検査をして、例えば陰性になったといってもですね、検体採取後、暴露を受けていれば、その人は必ずしも感染をしていないという保証はないということでございます。
従って、よほど直後にですね、時限的に大事なイベントがあるというような特別な場合は別として、定期的な検査で陰性の確認を行うことで、安全が保たれると考えることは、ちょっと現実的ではない。
従ってですね、定期的な検査で陰性確認を行うことを、やらなきゃいけないというのはですね、これは非効率かなというふうに思う訳でございます。やっては悪い訳ではないんですけど、現実的にはなかなかできない。
いずれにしても、本県では、これまで取り組んできた和歌山方式を継続していってですね、それで早期に囲い込みをする。それから、重要な施設は、持ち込まないようにですね、色々な他の方策も含めて努力をしていただくということが、現実的であろうなというふうに考えております。
《再質問》奥村規子 県議
答弁いただきましたが、全ての人を対象に検査を実施することを求めているわけではありません。無症状の感染者を見つけだすことを言っているのです。検査体制については、インフルエンザや第3波などを想定されて検査能力を上げる努力していただいていると思いました。
今やっている有症者から濃厚接触者への検査というやり方も含めて、無症状の感染者を見つけ出すというお考えについて、もう一度おうかがいします。
《再答弁》 仁坂知事
よくご理解いただけたと思って安心しておりますが、実はですね、和歌山というのは、濃厚接触者を割り出したら、症状があろうと無かろうと、とにかく濃厚接触者は全員検査。濃厚接触者の定義にちょっと当たらなくても、ちょっと外側に、ちょっと怪しいかなと、ひょっとしたら可能性があるという人も症状があろうと無かろうと全員検査。こんな風にやってきた訳でございます。
実は第1波の時に大阪がどうなっていたかというと、実はもう手が足りなくなって、濃厚接触者は分かっていても症状がある人だけしか検査しないという原則でやっていて、これは本当は厚労省なんかは良くないと言っておるんですけれども、そういう形であって、こういうことをやっていると無限に感染が広がるぞと言って、一生懸命大阪に色々意見を申し上げたことがあるんです。
ですから、奥村議員おっしゃるように、症状がないという事ではなくて、この人はうつっている可能性が高いんじゃないかという方は、無症状者でもちゃんと検査をしなければいけない。その検査ができるような体制をですね、どうやって維持していくか、つまり、検査をする人って、若干やっぱり資源は有限でございますんでね、色んなことをやり過ぎるとその人達が大事なことができなくなるということもございますんで、従って、一番大事なことをきちんとやるというのを、和歌山で一生懸命やっていきたいと思っております。
《要望》奥村規子 県議
せんだっての「Go To」が実施されて、感染者が少ない和歌山が安心だということで来てくださった方もあるとお聞きしました。県民が安心できる状態をつくる意味でも、またイベントなんかができる状況にするためにも、一定の検査を広げていくことをお願いします。
②インフルエンザとの同時流行への備え
《質問》奥村規子 県議
2つ目はインフルエンザとの同時流行への備えについて、お聞きします。
これから秋・冬にかけて、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行がたいへん心配されます。発熱などの症状が出たとき、医療機関としてはインフルエンザなのか、コロナ感染なのか、どう対応するのか、という問題です。
県は当初から、コロナ感染が疑われるとき、かかりつけ医に相談するよう指導していました。しかし地域の医療機関では混乱もありました。和歌山保険医新聞によると、保険医協会での緊急アンケート(4月20日~24日)がおこなわれ、394医療機関から回答が寄せられています。コロナ感染を疑う患者の来院が「あった」と答えた医療機関は医科で半数近くありました。そういう患者が来たとき、慢性患者や高齢の患者が同時に受診していることがあり、一般受付とは別に発熱外来を設けたり、診察場所や動線を区別することが求められるが、それば難しいという声や、個々の医療機関では困難なので検査センターを設置してほしいという要望が多く出されています。
インフルエンザとの同時流行に備え、国は診療の流れを変えるとしています。厚生労働省の事務連絡によりますと、配布した資料にあるとおり、地域の実情に応じて、多くの医療機関で発熱患者等を相談・診療・検査できる体制を整備すること、とされています。
これまでは保健所に帰国者・接触者相談センターを設置し、また疑い患者の診療・検査を行う帰国者・接触者外来を設置し、和歌山のように近くの医療機関を受診した場合でも、保健所に連絡して帰国者・接触者外来につないでそこで検体を採取するというのが基本的な流れでした。今は検体を採取する協力医療機関も出てきているということです。
それを、10月中をめどに、都道府県は、発熱患者等が、帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関を相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる体制をつくる、多くの医療機関で相談・診療・検査を担う体制を構築していく、とされています。つまり「診療・検査医療機関(仮称)」を指定し、そこで診療を受け、検査を受ける。これは検体採取だけでなく、検査の実施も含めてその医療機関で行えるような体制をつくるということです。医療機関で検体をとって、環境衛生研究所に運ぶという今の体制から、医療機関で検査実施までできるようにするということだと思います。
政府の事務連絡では、この体制について、地域の医療機関で簡易・迅速に行えるよう、抗原簡易キットによる検査を大幅に拡充するとともに、PCR検査や抗原定量検査の機器の整備を促進し、必要な検査体制を確保する、新たな検査体制整備計画を策定するように、とあります。
インフルエンザとの同時流行に備え、診療や検査体制をどのようにしていくのか、また住民への周知をどのようにしていくのか、福祉保健部長にお伺いします。
《答弁》 福祉保健部長
インフルエンザの流行期を控え、発熱等の症状を訴える患者が増加することが想定されますが、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難です。このため、県としては、医療機関の負担の軽減や、公衆衛生上の観点から、まず新型コロナウイルスを診断する必要があると考えており、両方の検査を実施可能な医療機関を増やすよう取り組んでいるところです。
また、地域の医療機関において、抗原検査キット等を活用し、簡易・迅速に検査ができる医療機関をこれまで以上に拡充するとともに、PCR等検査機器を配備する病院を現在の10病院から16病院に拡充する予定としており、更なる検査体制の強化に努めているところです。
受診体制については、国は、これまで帰国者・接触者相談センターで相談することを促していましたが、インフルエンザの流行に備え、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関でも相談ができる仕組みに改新するよう指針を出したところです。
本県では、従来から地域の医療機関でも相談や診療を行い、検査に繋げる体制をとっておりますが、国の指針も踏まえ、医療機関においては感染防止の取組を一層すすめるとともに、発熱等の症状がある方が地域のかかりつけ医等に相談を行った際に、検査が可能な医療機関を紹介できる体制を構築するなど、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の整備に努めてまいります。
また、県民の皆様には、県のホームページや県民の友などを通じて、発熱等の症状が生じた場合には、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関にまず相談を行うよう広く周知を行っていきます。
《再質問》奥村規子 県議
インフルエンザと新型コロナウイルスの両方の検査が実施可能な医療機関を増やすよう、とりくんでいく、ということでした。また抗原検査キット等を活用して、簡易・迅速に検査ができる医療機関をこれまで以上に拡充するということで、検査してもらいやすくなることが身近なところで広がって、インフルエンザもコロナ感染も防いでいくということです。
こうした医療機関が現在どの程度あるのか、またそうした医療機関は「診療・検査医療機関」として10月中をめどにどの程度まで増やしていこうと考えられているのか、教えていただければと思います。
《再答弁》 福祉保健部長
インフルエンザの流行に備えて、8月からそういう両方の検査ができる医療機関を増やすことに対して、地域の医師会等の協力なんかも得ながらずっと取り組んできました。
その結果、これまでの帰国者・接触者外来、地域の医療機関に加えて、現在221の医療機関で実施可能になっています。今後も色々検査体制の強化はまだまだ必要だと思うんですけれども、10月までにどれぐらいということは申し上げることは難しいんですけれど、まだまだ色んな体制を強化して、更に増やして、住民の方が安心して、極めて身近な医療機関で受診できるような体制に取り組んでいきたいどいうふうに思います。
《要望》奥村規子 県議
地域の医療機関に安心してかかれるように、また医療機関側も安心して患者さんを迎えられるよう、十分支援を検討していただけるよう引き続きお願いします。
③感染防護のための物資不足への対策
《質問》奥村規子 県議
3つ目は感染防護のための物資不足への対策についてお伺いします。
医療現場の困難は感染症に立ち向かうために不可欠なマスクやガウン、手指消毒用アルコールの不足から始まりました。現在は市中にもマスクが出回るなど一定の物資不足は解消されましたが、擬似患者を含め感染者や濃厚接触者の診察時には、接触・飛沫感染の予防として、N95マスクや目の防護具、長袖ガウン、手袋が必要です。特にN95マスクやプラスチック手袋が手に入らず、感染対策が十分できないことへの不安と緊張が続いています。感染防護のための物資の不足が再び起こることのないように願います。
そこでどのように対策されているか、福祉保健部長にお聞きします。
《答弁》 福祉保健部長
新型コロナウイルス感染症の発生当初、マスクや消毒薬をはじめとした感染予防のための医療物資が、急激な需要の高まりにより、十分確保できない状態が続いていました。
県では、独自の流通ルートをもった業者に調達を強く働きかけたり、国からの供給を要請するなどの取組により、必要な医療物資の確保に努めたところです。
現在では、プラスチック手袋など未だ注文どおりの納入が困難な物資もありますが、医療機関における医療物資の不足は、流通が改善されてきていることもあり、おおむね解消されています。
今後、再度の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に備え、国の緊急包括支援交付金を活用し、医療機関における物資の備蓄を支援してまいります。
《要望》奥村規子 県議
N95マスクの確保は確実にされるよう、要望します。
入院病床の確保などについては、今議会のこの場でも議論がありましたので、繰り返しませんが、なかでも精神を含む障害のある方、難病の方がコロナ感染した場合の入院受入については、特別な考慮をお願いしたいと思います。またこれまでも求めてきたところですが、病院や医療機関の減収による経営難に対して、県の支援を検討されるよう、要望しておきます。
(2)経済対策
①支援策のサポート状況について
《質問》奥村規子 県議
コロナ対策にかかわって、コロナの影響により、深刻な状況となっている営業、雇用への経済対策についてお聞きします。
東京商工リサーチが発表した1~8月累計の飲食業の倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同期比13.2%増の583件で、過去最多となりました。県内でも旅館など観光業、飲食店はじめ、多くの事業者が大きな打撃を受けています。私の身近なところでも廃業した方や「廃業を考えている」という声を聞きます。
国の持続化給付金や雇用調整助成金は、対象が広げられたり、手続きが簡素化されるなど、国民からの声で改善されてきましたが、「持続化給付金も1回きりではとてもたりない」という声が強くあがっています。県は上乗せ支援を決め、支援本部担当課には県民からの相談があいつぎ、県支援策の申請は想定以上で補正予算での上乗せも行われたところです。
特に小規模事業者がこうした制度を利用するためには、きめ細かなサポートが必要ですが、どのようになっていますか。また相談は多数寄せられるが、なかなか申請、支給までいかないと言われている雇用調整助成金のサポートはどうでしょうか。また家賃支援給付金や休業手当を受けられない労働者が直接申請できる「休業支援金」については、より踏み込んだサポートが必要だと考えますが、どうでしょうか。
小規模事業者等へのサポート体制の状況はどうなっていますか。商工観光労働部長にお伺いします。
《答弁》 商工観光労働部長
県では、新型コロナウイルス感染症に係る支援本部を立ち上げ、各事業者の相談をワンストップで受けることができる相談窓口も開設し、部局を横断し30名体制で対応してきたところです。
これまで、約15,000件の相談が寄せられており、県及び国の支援策に係る申請手続きの説明等を行っているところです。
国が実施する持続化給付金や家賃支援給付金、雇用調整助成金などの支援策は、WEB申請のみの受付であることや申請書類が複雑なことなど、申請手続きが困難であるとの声が多く寄せられたことから、県内の商工会、商工会議所及び社会保険労務士の協力を得て、申請がスムーズに行えるようサポート体制の整備を行いました。
その結果、8月末までに、商工会、商工会議所には約3万件の相談が寄せられ、また、雇用調整助成金関係では、個人の方からの相談も含め約1,000件の相談が寄せられているところです。
《要望》奥村規子 県議
相談件数が15,000件、またコロナ関係では健康推進課さんの専用相談窓口なども大変な対応をしていただいています。
経済対策でいえば、持続化給付金は売上前年比50%以上減の事業者が対象であり、県の支援金もこれを受けた人への上乗せです。
観光業や飲食業などでは、8割減、9割減という事業者も多く、持続化給付金や県の支援金1回切りでは、とてもたりません。さらなる支援をお願いしたいと思います。
また売上減が2割、3割という事業者もたいへん苦労しています。こうした事業者にも県として支援策を講じていただけるよう、要望します。
2.カジノ含むIR誘致問題ついて
(1)現状のとりくみ状況
《質問》奥村規子 県議
2項目めは、カジノ含むIR誘致問題で、現在の取り組み状況について企画部長に3点お尋ねいたします。
国内のIR施設の制度設計を示す政府の「基本方針」が、「今年1月をめど」という予定から無期限先送りという状態です。秋元司元内閣府副大臣(自民党離党)らが逮捕されたカジノ汚職事件は金の力で裁判での証言を捻じ曲げようとした証人買収事件にまで発展しました。
さらに、コロナ感染拡大によりカジノは世界各地で一時閉鎖され、再開後もこれまでのように客を詰め込む事業ができず、賭博収益がほぼ消失しています。どこのカジノも対前年比9割以上の収益減少となっています。毎日新聞社説には国のIRを整備する計画が行き詰まっている。にもかかわらず政府も誘致自治体もIR推進の姿勢をかえておらず、認識が甘いのではないかと書いています。計画の前提がこのような状況であるが、現在の県の取組状況についてお示しください。
《答弁》 企画部長
カジノを含むIR誘致に関する現在の取り組み状況についてでございますが、IR誘致については、募集要項等で示したスケジュールに沿って準備を進めており、事業者が作成する提案審査書類の提出斯限である10月19日に向けて、参加資格審査を通過した2者と募集要項等の内容について対話を行っているところです。
引き続き、国の動向を注視しつつ、事業者の選定、区域整備計画の作成等、国への区域認定申請に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
《コメント》奥村規子 県議
コロナ禍の状況のなかでも着実に進めていくという、県の姿勢が明らかな答弁だったと思います。
(2)基本方針未確定のなか、実施方針案は撤回を
《質問》奥村規子 県議
8月26日、衆議院内閣委員会が開催された中で、国土交通副大臣が「今の段階、基本方針、区域整備計画の認定申請時期を、いつまでに出すという設定はない」と答弁しています。
したがって政府の基本方針の公表、決定時期が未定の中、手続きを進めるべきではないと思います。今後政府の基本方針にコンプライアンスの確保や新型コロナ対策が盛り込められると思われますが県の特定複合観光施設設置運営事業実施方針案は撤回して見直すべきと考えますがいかがですか。
《答弁》 企画部長
IR整備法では、国の基本方針に即して都道府県等が実施方針を策定することになっております。
一方、昨年9月に公表された基本方針(案)では、基本方針確定前に都道府県等が実施方針の作成等の手続きを進めていくことも想定されており、その場合は、国の基本方針確定後、必要に応じて実施方針等の内容の修正を行うこととされています。
本県では本年2月、国の基本方針(案)に即して、実施方針(案)を作成したところですが、議員ご発言のコンプライアンスの確保や感染症対策も含めて国の基本方針が修正されれば、必要に応じて実施方針(案)の内容を修正した上で、所定の手続を進めてまいります。
《再質問》奥村規子 県議
基本方針がでれば県は実施方針案の内容を修正するという答弁です。10月19日に向けて事業者2者からの提案審査書類というのは、実施方針案をもとにしたものではないでしょうか。それが変わる、しかもいつ変わるかわからない、ということですから、このまま事業者に提案提出をさせても、これは選出の根拠にはならないのではないかと思いますが、どうですか。
《再答弁》 企画部長
基本方針(案)では、基本方針確定前に県が公募等の手続きを行って、その後、基本方針を確定して、県の実施方針ですとか、公募要項等の修正が必要となった場合に、事業者から提案された計画について修正を要ずる場合、修正する機会を与えなければならないとなっております。
従いまして、まだ基本方針が出ておりませんので、最終確定しておりませんが、それを見させていただいて、事業者に対して修正を追加で求めるような事項がありましたら、それを改めてお願いするということになります。
《コメント》奥村規子 県議
国の基本方針を待たずに進めることには無理があると思います。今のスケジュールをそのまま進めることはできないと思いますので、少なくともここはいったんストップすべきです。
(3)コロナウイルスによるカジノ事業への影響を踏まえ、IR誘致の見直しを
《質問》奥村規子 県議
先ほどの質問の中で触れましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界各地でカジノ施設が一時閉鎖され、再開後もこれまでのように客が戻らずカジノビジネスの収益性が失われていると認識しています。こうした現状を踏まえるとカジノ収益をエンジンとした日本型IRは成り立たないのではないかと思いますが、県は一度立ち止まって考えるべきと思いますがいかがですか。
《答弁》 企画部長
今年に入り新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ラスベガス、シンガポール、マカオといった世界の主要地域でIR施設が閉鎖されたことで、業界全体が大きなダメージを受けているのは事実です。
今後の影響は中長期的に注視する必要がありますが、国が目指すIRのビジネスモデルが新型コロナウイルス感染症収束後に成り立たないのであれば、すべてのIR事業者が採算性を考え、日本から撤退するに違いありません。しかしながら多くのIR事業者は引き続き日本への投資意欲を示しておりますし、実際、本県の事業者公募にも2者が参加しているところです。
IR誘致については、経済波及効果や雇用創出効果など本県にとって大きなメリットがあることから、引き続き推進し、国による区域認定を受けられるよう全力を挙げて取り組む所存です。
《指摘》奥村規子 県議
世界的なコロナ感染拡大により、カジノ収益が大きく落ち込むどころか、カジノ企業が存亡の危機にあるということを指摘せざるを得ません。営業を再開してもコロナ対応が求められるため、たとえアメリカ、ネバダ州ではスロット客間の距離確保、テーブルでも人数制限が課され、たとえ「フル操業」状態でも収益の大幅低下は免れません。施設内で対面密集して賭博を行う典型的な3密ビジネスのカジノは、もはやかつての高収益性を失ってしまったのです。
経済波及効果や雇用創出効果といわれましたが、コロナ禍前につくられた県の基本構想では、カジノ施設の売り上げ1401億円(うち外国人によるカジノ売上が1020億円)となっており、そこから経済波及効果や雇用創出効果、県への納付金収入などが計算されています。しかしコロナ禍による状況の激変で、この実現性が失われているのではないでしょうか。これを見直すべきだと考えます。
(4)住民からのカジノ誘致反対署名の受け止め
《質問》奥村規子 県議
住民団体からカジノ誘致反対の署名1万6,344筆が県に提出されましたがどのように受け止めていますか 知事にお尋ねします。
《答弁》 仁坂知事
カジノについて「賛成か反対か」の二択で聞きますと、元々「好きか嫌いで言うと嫌い」と言う方は結構いると思うし、賭け事が嫌いと思っている方は署名された方もいるんじゃないかなと思います。
しかし現実の選択は、賛成なら賛成で弊害は極力無くさないといけないので、こういうふうにして無くしましょうということも考えないといけないし、反対なら反対して潰してしまった後、「代わりの和歌山再興策はこれでいこう」と言えないと、一人前の意見とは現実には言えないということだと私は思います。
IRには観光振興や雇用創出など地域経済の発展に非常に大きな効果があるため誘致を進めており、これを止めてしまえば若者の県外流出が続き、人口減少が加速するなど将来の発展の機会は失われると思っております。
カジノが「嫌い」あるいは「カジノが嫌いだから反対」と言う方に「このように、例えば人口減少が続いて若者が流出して雇用がなくなって、これに代わるものがないんですが良いですか」と言うと、「それは困る、それは知事が考えることだ」とそういうふうに言われると思うのですが、一昔前と違ってIRに匹敵するような大規模な投資とそれによる効果が望めるような施策は見つからない。で、これは千載一遇のチャンスだと私は思うわけでございます。従って、カジノが「嫌い」あるいは「嫌いだから反対」と言う方がいるからといって、誘致を止めてしまうというのは、将来世代と和歌山県に対して無責任であると考えております。
その.うえで、署名をされた皆さんがお持ちのご不安、ご懸念に対しては、それを払拭できる十分な手立てを国、県ともに講じており、それをちゃんと実現するように物事を進め、それを出来るだけ多くの機会を捉えて、ご説明していくということが必要で、できればご理解を得たいとは思います。ただどうしても反対だと始めから固く決めていて、その反対の私が賛成するようになるまでは説明不足だと言い続ける人は、どうも手が出ないな、と感じることが結構あります。物事を進めようとする者には、どうしてそうなのか、どうしてそんなに進めたいのか、それでも本当に大丈夫か、ということを説明する説明責任があることはもちろんですが、反対する人もどうしてそうなのか、反対のままでも大丈夫か、という説明責任があるのではないかな、というふうに、これは感想でございますが、最近感じるところでございます。
《要望》奥村規子 県議
そういう意見に十分耳を傾けて説明するということを優先するのではなくて、理解を求めるだけではなくて、しっかりとその意見を聴いていくという、県民によりそって意見を聴くという姿勢のなかで将来を考えていく、子どもたちの未来を考えていくということは同じ思いだと思うんです。和歌山県が今後どのように発展していくのか、発展させていくのかという点を十分考えるなかで、一方ではカジノありきで推進していく立場で着々と手順をふんでいっているなかで、同じ土俵で意見を聴く状況かと大変疑問に思うわけです。
国の方でカジノが大変遅れている状況のなかで、嫌だとか嫌いだとかいうのも一つの大きな県民の思いだと思います。そういうことを受け止めて、将来の和歌山県の姿を一緒に共有していける議論を深めていただきたいと思いますので、今後も意見交換をお願いしたいと思います。
3.和歌山市西庄太陽光発電計画について
(1)審議会に意見を求めるのはどのような場合か
《質問》奥村規子 県議
3項目めは、和歌山市西庄太陽光発電計画についてお尋ねします。
事業者が県に対して認定申請を提出し、それに対して住民のみなさんが約3,500通もの意見を提出しました。県は和歌山市からの意見聴取を終え、現在、事業所に対して住民などの意見への見解書を求めている段階だとお聞きしています。
そこで、お尋ねいたします。太陽光条例では事業計画の内容が認定基準に適合しているかどうかの判断の際、必要に応じて有識者からなる県太陽光発電事業調査審議会に意見を求めることがあるということになっていますが、どのような場合、意見を求めることになるのか環境生活部長にお聞きします。
《答弁》 環境生活部長
和歌山市西庄で計画されている「旭メガソーラー和歌山西庄発電事業」につきましては、住民意見に対して事業者から提出された見解の記載内容が不足していること等から、補正を指導しているところです。
和歌山県太陽光発電事業調査審議会は、防災、安全、環境、景観分野の専門家で構成され、事業計画の内容、市町村長の意見、住民の意見及び事業者の見解について、自然環境、生活環境、景観等環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から必要と考えられる場合に意見を求めることとしております。
(2)太陽光発電について
《要望》奥村規子 県議
その際、住民の声が十分反映できるように、よろしくお願いします。
県条例の対象となる太陽光発電事業については、条例で適切に対応していただいていることは充分理解しています。一方、県条例の対象とならない太陽光発電事業については、県内のいくつかの市町が独自に条例を制定し対応していると聞いています。しかし、市町村においては職員数も少ないなか、太陽光発電事業者に対する指導ノウハウを蓄積することは困難だと思われます。県条例の対象とならない規模の事業であっても、市町村に対する適切なアドバイスを、また、違法な行為などが認められた場合には、県から国に対し、FIT法上、何らかの対応をしてもらえるよう求めていただきたいことを要望します。
仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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