2020年9月県議会 建設委員会
 高田由一委員の質問概要記録
    
                                2020924

《質問》高田由一 委員
 空き家対策について聞きたい。
 先ほど部長の説明にもあったが、空き家問題については、県内でも心配の声、不安の声が起こっている。総務省が平成31年4月に発表した調査でも、平成30年度は、空き家のうち別荘などの2次的住宅を除いた空き家率が最も高いのは、和歌山県が18.8%でトップになっている状況である。
 そんな中で、やはり危険な空き家についての相談や苦情がよく寄せられるが、空き家対策は、空き家法によって市町村が主体になっていたと思うが、これまで県として、市町村の取組にどのような援助を実施されてきたのか、まずはお答えいただきたい。

《答弁》 建築住宅課長
 県では市町村や学識経験者等と組織する「和歌山県空家等対策推進協議会」を設立し、特定空家等の判断基準の策定や専門家団体と協力して「空き家なんでも相談会」を開催するなどして、市町村の取組を支援している。

《質問》高田由一 委員
 努力していただいているが、和歌山県内の空き家対策の取組状況について、法では助言・指導・勧告とか、いろいろなことが市町村から発出できることになっているが、そうした空き家対策への取組状況について、県内ではどのようになっているか。

《答弁》 建築住宅課長
 県内の特定空家等に対する助言・指導の件数は108件となっており、そのうち勧告を行ったのは32件、略式代執行を行ったのは6件で、命令や行政代執行の実績はない。

《質問》高田由一 委員
 今も答弁いただいたが、命令や行政代執行、略式代執行も含めて、そこに至るにはかなりのハードルがあるように思う。
 これは、全国的な状況もそうだが、府県によっては命令に力を入れたり、行政代執行あるいは略式代執行に力を入れている県もあると聞いている。
 実際に命令や代執行に至らない案件というのが非常に多いわけだが、どこにネックがあるのか、認識を伺いたい。

《答弁》 建築住宅課長
 県内の市町村に話を聞いてみると、費用の回収が困難であるということのほか、自主的に改修や除却を実施された所有者等との不公平感というのを懸念しているという意見がある。

《質問》高田由一 委員
 費用の負担や自主的にされた方との不公平感ということだが、たしか費用負担についでは補助もあったと思う。それでは足りないということなのか。

《質問》 建築住宅課長
 命令等を行ったものについては補助の対象になっておらず(後段訂正)、そういうこともあり、費用の回収が困難になるということを伺っている。

《質問》高田由一 委員
 具体的に、私の住む白浜町でもそうだが、役場も努力をしていただいているのは重々分かっている。しかし、所有者あるいは相続人との関係で、なかなか命令というところまでいかないもどかしさがあると聞いている。
 私の近所の話で言うと、木造2階建ての空き家があるが、もう何年も前からこれが問題になっており、去年、2階部分が中へ全部落ちてしまって、この間の大風が吹いた時もさらにそれが落ちて、2階部分がほぼなくなっているという状態である。2階部分が内側へ落ちたので1階の部分が外へ張り出している。
 前には町道があり、観光客や地元の住民が通るので、即、行政代執行に至らないにしても、人に危害を加えてからでは遅いから、この危険な空き家を何とかしてほしいと地元からも大分要請している。こうした応急的な措置への対策というものは、なんらか考えられないものか。

《答弁》 建築住宅課長
 先ほどの答弁で「命令した場合に補助の対象にならない」というふうに申し上げたことについて、私の勘違いで、行政代執行については補助が使えるということだが、やはり費用の回収が難しいということで進んでいない状況である。
 応急措置については、やはり代執行となると助言や指導、勧告、命令等の手続きを順次時間をかけて行う必要があり、緊急を要する場合には、全国的には条例等に基づいて、緊急安全措置を実施している自治体もある。県内でも、かつらぎ町や湯浅町で空家等の適正管理に関する条例を定め、対応している。

《質問》高田由一 委員
 緊急対策としてのやり方は、条例等をつくってやれば、かつらぎ町や湯浅町のような事例もあるということだが、そういうことについても県内の市町村に対して、県の方から助言やアドバイスをされているのか。

《答弁》 建築住宅課長
 空き家問題等に関する会議等を通じて、紹介させていただいている。

《要望》高田由一 委員
 先はどの補助の問題もあるので、条例をしっかりつくって、人が命を落としたり、けがをしてからでは遅いので、そういうところだけでも、しっかり早急な対応ができるように、今後とも取組をしていただくよう要望する。
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《質問》高田由一 委員
 中小の河川における水害の問題についてであるが、国交省の方で、危機管理型という簡易な水位計をたくさん設置し、住民がそれに気軽にアクセスをして地域の河川の水位の状況を把握できるようにしようという取組が進められている。国交省の説明によると、1カ所当たり100万円以下の費用で設置できて、メンテナンスも1台あたり月1,000円以下と、安価で性能の良い水位計であり、国交省も推奨をしている。
 国交省の和歌山事務所に聞くと、国交省管轄では紀の川で32カ所、熊野川で6カ所に危機管理型の水位計が設置されている。パソコンで地図の水位計をクリックすると河川の断面が出てきて、水位がどうなっているか分かるというもので、県が設置してきた水位計と比べても遜色ない機能を持っている。
 危機管理型の水位計については、自治体での導入事例も全国でどんどん増えてきている。宮崎県では62河川70カ所でこれを設置している。高知県では県管理で94河川、102カ所である。神奈川県でも、きめ細かい水位情報やリアルタイムの映像情報を避難に活用する目的で、学校や病院、福祉施設など重要な施設が周辺にある箇所に、危機管理型水位計などを設置することを進めている。
 そのほか、市町で独自に設置しているところもある。橋本市では、紀の川に合流する大谷川の樋門のところについている危機管理型水位計を、市が独自につけたと伺った。担当者に電話で確認すると、平成29年の水害を契機にして、ここにどうしても必要ということで設置したとの回答であった。
 国も推奨している危機管理型水位計だが、和歌山県でも取り組んでいただきたい。この危機管理水位計のメリットは、どのようなものがあるか。

《答弁》 河川課長
 国交省が洪水時の水位観測に特化した水位計として開発が進められたもめで、メンテナンスフリー、5年間程度無給電で稼働できる、また機能を絞っているので省スペースで共用等に設置が容易にできる、初期コストが通常の水位計に比べると低減されている、洪水時のみに特化しているので、通信料などが比較的削減できるといったことが、国交省が挙げているメリットである。

《質問》高田由一 委員
 国管理部分については、紀の川、熊野川で国交省がこの形のものを設置したが、県管理の部分で特に最近、市町の方から要望が上がってきている。支川と本川が合流する、特に支川の側で土砂降りがあった場合に心配の声があり、測る機械が設置できないかといった要望も出ている。県として今後の取組について、どのように考えるか。

《答弁》 河川課長
 県内では87カ所に水位計を設置している。市町村の要望を踏まえ、必要な箇所に県仕様の水位計の設置を進めている。危機管理型の水位計には先ほど説明したメリットがあるが、県仕様の水位計と比べると耐用年数が短い、また低水位を観測できないことがある。総合的に考慮すると大きな優位性がないと考えており、今後も県仕様の水位計の設置を必要な箇所に進めていきたいと考えている。

《要望》高田由一 委員
 県仕様の水位計を否定するつもりはなく、よりきめ細かな観測ができる危機管理型の水位計の普及をしていただきたい。今後、研究をしていただきたい。
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《質問》高田由一 委員
 議案第127号の権利の放棄、債権放棄について確認したい。
 平成27年に県の公募に応じた紀ノ川マリンクラブが和歌山市青岸にて同年から船舶保管事業を開始したと聞いている。また、紀の川にて1980年から船舶の保管事業を行っていたとも聞いているが、青岸に移動するまでの紀ノ川マリンクラブへの県の対応及びその後の経緯はどうか。

《答弁》 港湾空港振興課長
 委員ご指摘のとおり、平成27年に公募をした。平成26年時点では、紀の川にて、紀ノ川マフリンクラブの放置艇が50数隻あり、国土交通省が同社に対して、行政代執行を視野に入れて、紀の川からの撤去を指導していた。
 平成27年に県は事業用定期借地権設定の公募を実施し、議案書にもある紀ノ川マリンクラブを含めた3者が入札し、最高額を提示した同社が落札し、同社が事業を開始した。その後、平成28年度から賃料の未納が発生し、平成30年に県から契約解除をした。約4760万円の債権が発生したため、同社が県へ納入した保証金の3000万円や差押え金等の約2万4,000円、これらの金額を債権に充当した。この保証金を超えた残額の約1760万円について、事業者の資力が無いことを確認できたことから、今回、債権放棄の議案として提案した。

《質問》高田由一 委員
 県が公募した時に、賃料が1000万円で、県へ納入した保証金が3000万円あったことは確認したが、経過を確認すると、紀の川にて放置艇を50隻保管する事業者であるにも関わらず、公募のときに、最高額を提示した事業者であったことから、それまでの事情を判断せずに、県はその事業者を選定したのか。

《答弁》 港湾空港振興課長
 当時は、価格競争入札の結果により選定した。また、事業の継続性に関する審査項目はなかった。公募翌年の平成28年度に未納が発生したことから、事業の継続性については、問題があったと考えている。

《質問》高田由一 委員
 当該地については、土地の需要は今後もあると思われる。ついては今後、このような事態を招かないための教訓や方策はあるのか。

《答弁》 港湾空港振興課長
 今回のような公募での選定に当たっては、事業の継続性を確認する手法を検討する。

《意見》高田由一 委員
 この件については、県の債権審査会においても「やむなしとの結論」と聞いており、「やむなし」とも思われるが、経緯を聞くと100%議案に賛成するものではないので、県においては、紀ノ川マリンクラブの船舶や施設の管理状況を、もっと把握すべきであったことを指摘しておく。
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議案に対する採決
議案第115号 令和2年度和歌山県一般会計補正予算
議案第120号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
議案第121号 令和2年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第127号 権利の放棄について
議案第128号 工事請負契約の締結について
は全会一致により原案可決



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