2021年9月県議会 文教委員会 楠本文郎委員の質問概要記録
2021922

《質問》楠本文郎 委員
 細かく言うと6点あるが、大きく2つのテーマで質問をさせていただく。大きなほうのテーマから先に質問する。
 今、北山委員が質問した学力テストについてである。これは地方新聞だが「県中学国語45位と低迷」という見出しになっている。こういう報道をされると、何をしているのだ、しっかり先生たち教えてやってくれよという気分、感情になる。別の新聞は、「中学生国数平均下回る」という報道がある。こういう報道を見るにつけて、何のためにこの学力テストをやっているのかという出発の問題が大事なポイントであるので、お答えいただきたい。

《答弁》 義務教育課長
 全国学力・学習状況調査については、子どもたちの学習の到達状況を把握して、例えば、全国の教育施策や県の教育施策がきちんとできているかを検証するものである。また、個々の生徒の到達度についての課題を把握して、その課題解決に取り組む。先生方については、課題を見た上で授業改善に取り組む。そういう目的で行っている。

《質問》楠本文郎 委員
 おっしゃるとおりと理解している。全国学力テストの中で、和歌山県の子どもたちの優れているところも、もうちょっと評価してよいと思っている。遅れているところが何かというところで指標が出てくる。進んでいる、よい分野はしっかり伸ばしてやろうというところである。遅れている部分については、どう指導を改善したらよいのかというテーマを見つける。これが答弁された課題を発見していくという営みであり、そのために、このようなテストがされなければいけない。

 全国順位をつけるためであれば、このようなことは公立ではやめればよいと私は思っている。民間の子どもの中で、全国の中でどんな順番にあるのかという話とは違って、基礎的な学力をつけて、社会人となるための力を養うという目的からすれば、何が足らないのか、ということを発見させてあげることが大事だと私は思っている。
 その観点で見たとき、どのような指導をするのかというところで、市町村教委への下ろし方をどのようにするのかが極めて大事なニュアンスだと思っている。ニュアンスが微妙なところがあるけれども、ポイントでもあるかと思っている。その点についての考えを示されたい。

《答弁》 義務教育課長
 私たちが発表するのは県全体の結果についてだが、各市町村教育委員会の結果はそれぞれ違う。よって、全体で説明する部分と、個別に各市町村に訪問して、学力向上に向けた取組の相談を、今後行っていく予定にしている。それぞれの結果に沿った話合いをしたいと思っている。

《質問》楠本文郎 委員
 大変大事な答弁をいただいた。個々の子どもたちが一人一人いて、それがクラスという集団になって、そのクラスのもう一つ大きな塊が学校である。ということは、何々小学校と何々小学校を比べてどうかということよりも、この学級の中で、達成できている子どもはここで、達成できていない子どもはここでつまずいているのだということを発見し、授業の中でこれが欠けているのだということを発見する。

 これは毎年やることになっているわけだから、昨年よりもここはよくなったが、ここはまだだ、という分析を最後まで現場に貫いてもらうのが、県としての指導のあり方ではなりかと私は強く思うがいかがか。

《答弁》 義務教育課長
 課題を見つけたら、それを改善するまで、一生懸命取り組むということが非常に大事だと思っている。

《質問》楠本文郎 委員
 結果の概要が私のところにも送られてきて、その概要を繰り返し読むと、和歌山の子どもたちの苦手分野というのは、物を読み解く、そして読み解いたことを表現する、ということで少し足らない点があるのではないか、共通した部分ではないかと思えて仕方がない。
 県としては、どう分析しているか。

《答弁》 義務教育課長
 結果の概要を県としてまとめている。その中で、例えば一番課題の大きい中学校国語について「文章に表れているものの見方や考え方を捉え、自分の考えをもつことに課題がある」といった課題が、問題を通して明らかになっている。

《要望》楠本文郎 委員
 ほぼ結論づけるところだが、結果の概要3ページの中学校国語のところで「話すこと、聞くこと」が全国よりも4ポイント、「書くこと」が3ポイント、「読むこと」も4ポイント低いことがはっきり特徴として出ている。ということは授業の中で、もしくは授業だけでなく課外活動の中で、読み解く、理解したものを人に伝える、自分の表現がちゃんと伝わったかどうかを確認しながらいくという営みをしっかりやらなくてはならないという大きなテーマが、この数字だけでも出ていると思う。
 昔、テレビで一億総白痴社会と言われた時期があったが、そのような議論は今は飛んでしまい、どのようにしてスクリーン画面で分かりやすく教えるかという世界に入っている。けれども、コミュニケーション能力というのは、成長して大人になっても絶対に必要な能力である。自分の伝えたいことを言葉に乗せていく基礎の部分を、子どもの間につけておかなければならないのが教育だと思う。

 和歌山の子どもは全国平均から見たら少し弱いということを明確にしてほしいという要望にとどめる。
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《質問》楠本文郎 委員
 予算取りの説明を見ると、読書を楽しむ習慣づくりが今年の力点として掲げられている。小さいときから読書に親しむという、体験する環境をつくってやるのは大人の責任である。それに今年取り組むのは大歓迎である。パソコンを活用して、児童生徒が読書の履歴を記録し、1人1台の端末で、自発的な読書習慣への動機づけを行うとしている。まさに学力テストの結果を見越したのだなと思うぐらいに、ここから出発しませんかというのが私の強い思いだ。私のように本を読んでいない人間は、本を読んでいる子にはかなわない。
 このような取組をサポートするのは学校司書である。学校司書は、本の楽しさや、いいところを教えてくれるということで配置しているわけであるから、学校司書の配置状況、活動状況について答弁していただきたい。

《答弁》 義務教育課長
 学校司書については、小中学校の場合は、各市町村に地方財政措置がなされ、採用している。その状況については、全市町村に問合せをして、何人配置し、どれだけの学校で活動しているかについて把握している。今年度については、26市町で学校司書が配置されている。

《質問》楠本文郎 委員
 配置が26市町。 30市町村ということを考えたら、もう少し頑張ってもらうように県教育委員会から指導をお願いしたい。
 地方交付税に算入される時代に入っているので、ある意味、必然的に司書を置いていただくのが可能な時代に入ったのだと私は思っている。同時に、学校司書が市町村で1名の配置になると大変である。小学校数校、中学校数校を掛け持ちすることになるので、子どもと触れ合う時間がない。
 そして、やはり活用してもらわなければいけないのが先生方である。先生が多忙化の中で、読書の指導で、何を子どもたちにどんなものを教材として扱うかを精選していけないからこそ、学校司書が「朝礼のときにこれを使ったらいける」と提案するといったような、担任の先生とのコミュニケーションが物すごく大事になってくる。それができるというのが、やはり規模が小さくても市町村で司書が2名いて、市町村で協議をしていく、交流していく場を設定していかなければいけないのではないか。2名以上ないと深めていけないと考えるが、見解はいかがか。

《答弁》 義務教育課長
 和歌山県内の学校司書については、平成25年から配置が始まっている。当初から、委員ご指摘のとおり、学校司書がどういった働きをすればいいのか、交流を持ちたいというご意見を踏まえて、これまでも、県のほうで学校司書を対象とした研修会を行ってきている。本年度については、県立学校も対象としてワークショップ等を行って、学校司書同士が交流できるようにしている。

《要望》楠本文郎 委員
 歴史がそんなにない。進むべき方向は学校司書の適正な配置、学校司書同士が交流をして研さんを積んでいただくこと。そして、新しい提案を担任、教員に提起するところまで高めてもらいたい。要望しておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 大きな2つ目のテーマは、コロナ感染症に関してである。県立学校の2学期再開の状況について先ほど報告があった。欠席扱いの基準と欠席者へのフォローアップについてはどうしているのか。

《答弁》 県立学校教育課長
 夏休みを短縮せずに、9月1日から2学期を開始している。9月1日からは分散登校で、実際に教室に入っての授業と自宅でのオンラインによる学習を行っている。自宅でのオンラインの学習については、出席停止扱いとなっているため、出席しなければならない日数には含まれない形で対応している。

《質問》楠本文郎 委員
 濃厚接触者等になって登校ができない場合の扱いはいかがか。

《答弁》 教育支援課長
 濃厚接触者となった場合の扱いは出席停止である。

《質問》楠本文郎 委員
 その場合のフォローはどうしているのか。

《答弁》 県立学校教育課長
 濃厚接触の場合、自宅等に2週間程度待機ということになるため、今はオンラインの活用や、課題プリント等、各校それぞれの状況に応じて対応している。

《質問》楠本文郎 委員
 換気と不織布マスクについて、学校教育活動においては欠かせないと思う。30分以内にきちんと換気をすることと、不織布マスクの着用が必要だと言われているが、その点について指導はしているか。

《答弁》 教育支援課長
 感染対策としてマスク着用の徹底については指導している。

《質問》楠本文郎 委員
 高校の部活動において、現時点までにレスリングや柔道等組手をするような競技も含めて、新型コロナウイルス感染症の陽性者は出ていないか。

《答弁》 教育支援課長
 部活動が明確な感染経路となり、感染拡大した事例は発生していない。

《質問》楠本文郎 委員
 とにかく心配である。
 次に、小中学校では2学期の再開をどのように迎えてきたのか、把握している点を教えてほしい。

《答弁》 義務教育課長
 2学期の開始については、予定を変更して夏季休業を延長した市町は、和歌山市を含めて4市町ある。9月1日からは、全ての市町村で通常どおりの授業が行われている。

《質問》楠本文郎 委員
 小中学校では分散登校もなく、通常の形で2学期が始まっているということだが、もしものときのために、文部科学省から新型コロナウイルス感染症の抗原簡易キットが各学校に配布されていると思う。この使用の状況や利用の注意点、どういう講習会をやっているかなど、そういう点の把握はいかがか。

《答弁》 教育支援課長
 高等学校については、9月上旬以降に順次届いている。使用状況について、現時点で、使用はしていない。市町村の状況については分からない。
 使用に当たっては、登校後に体調の変調を来し、速やかに医療機関を受診できない場合に限っている。やむを得ず、学校で使用する場合は、研修を受けた教職員が立会い、有症状者自らが検体を採取することとしている。
 その際、立会人が特定の教職員に偏ることがないよう、校内における体制を整備するよう周知していく。

《要望》楠本文郎 委員
 使うには厳しい制限を受けているようで、送ってきたけど使用価値がないとまで言うところもあったが、使うと便利という側面もある。
 例えば、僕は今朝、寝不足で調子が悪かったが、委員会があるため病院に行くか行かないかは昼から考えようかと。こんなときに、僕が皆さんに陽性でうつしたら悪いから、抗原簡易キットを使って、陰性であることを確認してから委員会に出る。その後、昼からも調子悪ければかかりつけ医を受診するというためには、有効な手段であるというのが文部科学省の考え方だと思う。なかなか医者へ行かないということも大いに考えられることから、そこの活用方法をこれからもぜひ検討を重ねていただきたい。
 今は感染者数も減少しているため、危機感はないが、第5波のかかりのときには、皆さんかなり神経をとがらせたと思う。全ての方が医者にかかって受診をして、PCR検査をするとは限らない。その入り口の緩衝地帯の方には有効だと申し上げておく。
 文部科学省は、周辺検査対象者という規定もつくった。そこで行う検査は行政検査で、全て本人、学校の負担にはしないという通達を出したと聞いている。そういう点もぜひ研究して市町村にもお知らせしていただきたい。要望しておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 ワクチンについて、6月に支援学校、病棟と密接しているから希望者へのワクチン接種を急ぐべきではないかとお願いした。すぐに対応していただき、その点の機敏さには感謝を申し上げる。
 先生方のワクチン接種を、希望者ができる体制をつくるのは教育委員会の任務だと思っている。その仕組みについて説明願いたい。

《答弁》 教育支援課長
 職域接種のことかと思うが、紀北・紀南で実施できると周知していると聞いている。

《要望》楠本文郎 委員
 誰が受けたか受けてないかというプライバシーに関わる部分はするなと。一方で、教職員や学校関係者が子どもたちのところにコロナウイルスを持ち込まない制度をつくることは大事である。
 例えば、子どもがスイミングでかかった。それを家の中へ持ち込んできた。それで家族がかがり、家族が職場でうつした。こういう事例が第5波の中で何件もある。何件もあった事例を基に、教育現場では持ち込まないためにはどうするのか、ぜひしっかりと検討していただきたい。
 和歌山県の健康推進課は、そういうところまできちんと計画を立てているため、その分を学校教育関係、社会教育関係でもノウハウを徹底していただくよう要望しておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 あと2つ。1つは就学援助について心配している。コロナの影響で店が回らなくなったので、子どもの文房具代も払えないような状態になることがあり得る時期である。そこで、令和2年度の就学援助の実施状況について示してほしい。

《答弁》 教育総務課長
 現在、文部科学省が就学援助の実施状況を調査中のため、確定数ではないが、令和2年度に市町村が就学援助の対象とした児童生徒数は1万237人で、令和元年度より33人の減少となっている。

《コメント》楠本文郎 委員
 33人の減少というのが驚きである。これは市町村から上がってくるもので、県が実施主体ではないので、その報告だけ受けておく。
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《質問》楠本文郎 委員
 県が実施している大学等進学支援金について、家庭のコロナによる影響等を受けている状況があったら大変だと思う。今年度の申請状況、所得の把握については難しい面があるが、国民健康保険で今年、倒産したときには減額という措置があるぐらいだから、そういう所得の状況はどうか。

《答弁》 生涯学習課長
 令和3年度の大学生の進学支援金については、令和2年中の所得を把握、確認している。その結果、申請状況は、令和3年度の申請数53名ということで、2年度も3年度も同じ数である。

《要望》楠本文郎 委員
 実態がどこまで把握、反映しているのかは別にして、そういう形の視点だけ置いていただくように要望して、私の質問は終わらせていただく。
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議案に対する採決
議案第130号 訴訟の提起について
は全会一致で原案可決


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