2021年12月県議会 農林水産委員会
 杉山俊雄委員の質問概要記録

 
2021
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《質問》杉山俊雄 委員
 軽石の情報について、気象庁が11月20日に、12月中に海流が紀伊半島に蛇行してくるという予測をしていたが、これに対してどのような対策を取ろうとしていたのか。

《答弁》 水産振興課長
 軽石に関する情報は、気象庁や海上保安庁などの関係機関から随時入手しており、国立研究開発法人海洋研究開発機構のシミュレーションにおいて、軽石が12月初旬以降には本県沿岸に漂流してくるという状況を把握していたところである。
 また、関係機関から入手した情報については、漁協を通じて漁業者に周知を図っており、軽石の漂流海域の迂回を促す一方で、発見した場合の情報提供を依頼している。

《質問》杉山俊雄 委員
 本県にはたくさん漂着してくるというような情報がなかったということか。
 例えば、東京都など軽石の漂着が多いところでは、オイルフェンスを張って回収するようなことを練習していたと聞いたことがある。
 情報提供のみではなく、たくさん漂流してきた際に、どのように対応するのかについては検討していなかったのか。

《答弁》 水産振興課長
 水産部局では、漁業被害に関する対応となるが、多くの軽石が沿岸に漂着した場合に対応するため、県土整備部や危機管理局とは情報共有を図っている。
 委員指摘のオイルフェンスについては、漁港や沿岸部に漂着してきた際には、オイルフェンス等を含めた対応方法について、関係部局で情報共有して対応していきたいと考えている。
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《質問》杉山俊雄 委員
 スマート林業について、田辺市中辺路町の近露で現地を視察した。そこでは機械化されて、あっという間に木が運ばれてきて切られてすごいと思った。
 しかしながら、この機械を購入するには数千万円が必要で、いろいろな経費を加えると1億円くらいの金額になるのではないかと思う。全ての山をはげ山にするぐらい皆伐しないと採算が取れないのではないか。どれぐらいの山を切れば、また何本ぐらい切れば機械導入に係る採算が取れるのか。

《答弁》 林業振興課長
 先日視察いただいた、油圧式集材機と架線式グラップルの価格は、メーカーによると合わせて約3000万円、その他の林業機械、例えばプロセッサーでは、約2200万円である。このため、事業体は、補助率が3分の1から2分の1の国の補助事業を活用し高性能林業機械の導入を図っている。
 事業体が、高性能林業機械を1台導入するに当たっては、年間で約3,000立方メートルの素材生産が必要と考えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 3,000立方メートルというと立木で何本か。

《答弁》 林業振興課長
 立木で示すのは難しいが、約1ヘクタールの皆伐をすると500立方メートルの素材生産が見込まれるので、6ヘクタール前後の皆伐となる。

《質問》杉山俊雄 委員
 例えば、全部皆伐すると50年間収入がない。苗木も買う必要がある。本当に林業者の手元に残るのか。

《答弁》 林業振興課長
 機械の導入による素材生産の効率化だけではなく、植栽については、一貫施業ということで伐採と植栽を続けて行うことで経費が抑えられるし、植栽の本数を減らすことにより、植栽だけでなく、下刈りの回数が減るなど、施業での経費も縮減できると考えており、こうした取組により利益が確保でき、持続的な林業経営が可能となる。

《質問》杉山俊雄 委員
 全部切った後、植林すると言っているが、皆伐では土砂崩れの心配があるのではないか。

《答弁》 林業振興課長
 一般的に、植栽せずに放置された山では、土砂の流出が見られるところも見受けられるが、きちんと植栽すると、苗木の根が張り、土砂崩壊の危険性は少なくなる。

《質問》杉山俊雄 委員
 森林は土砂の流出を抑え、洪水や渇水を緩和すると記載があるが、京都大学の名誉教授によると、はげ山のほうが森林に比べ土砂の流出が多いと言われている。木を切ったら植栽してもなかなか根は伸びないし、木を切った後の切株の根は腐ってきて、土の固定化は弱くなる。森林があれば洪水を緩和するから、切ってしまうと雨水が早く流れてしまう。
 森林伐採を制御し、土壌を維持することが重要だと思うので、全部切ってしまうことについてどう考えるか。

《答弁》 林業振興課長
 皆伐し伐採した木の株は一般的に15年程度で腐ると言われている。伐採後すぐに植栽して早期に根を張らせることで、土砂崩壊を防止する機能を発揮させることができる。
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《質問》杉山俊雄 委員
 2011年の高田議員の「紀の国森づくり基金」による間伐に関する質問に対して、森林所有者の努力で進まない森林については、公共事業の間伐と線引きをして、県が主体的に間伐をし、広葉樹との混交林化を行う、また事業実施後、森林所有者は少なくとも20年間は皆伐をしない義務があると答弁しているが、10年経った中で、どんな状況なのかを教えてもらいたい。

《答弁》 森林整備課長
 紀の国森づくり基金を使った森林整備の成果については、今まで約11,000ヘクタールの間伐を実施してきている。実施してきたところについては、皆伐は20年間行わないという約束になっており、都合によって皆伐されてしまったところについては、補助金の返還を求めている。

《質問》杉山俊雄 委員
 森林の公有林化についての質問では、古座川町で400ヘクタールを買い、それについて今後も積極的に取り組むという答弁がある。
 ネットで調べると、現在の公有林化面積は1,122ヘクタールになっており、10年間で700ヘクタールを公有林化していることに県はどのような評価をしているのか、あるいは今後の予定を教えてもらいたい。

《答弁》 森林整備課長
 公有林化については、委員指摘のように、今まで1,122ヘクタールの貴重な森林を買ってきている。今後も貴重な自然生態系や景観を守っていくべきところについては、県は購入を進めて、開発をされないように取り組んでいきたいと考えている。今議会に提出している紀の国森づくり税の延長が認められれば、今後もそれを活用して取り組んでいきたい。
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《質問》杉山俊雄 委員
 県の公共施設における木材利用はどのぐらい進んでいるのか。

《答弁》 林業振興課長
 公共施設等において、紀州材利用を促進していくため、県では平成9年に副知事、各部長等で構成する「木の国プロジェクト推進会議」を設置し、全庁的に公共建築物における紀州材の利用を積極的に進めている。
 平成24年には和歌山県木材利用方針、平成29年には公共建築工事木材利用マニュアルを策定し、県が建てる4階未満で延べ床面積3000平方メートル以下の低層建築物については、原則木造にするとともに、全ての公共建築物の内装などの木質化を図っているところである。
 こうした取組により、津波等により防災上、木造化が困難な場合を除き、県の全ての低層の公共建築物において木造化が図られている。

《要望》杉山俊雄 委員
 オーストリアでは、5、6階までの公共建築物は全部木造化していることを本で読んだことがある。また私の地元では、建築家と工務店が連携して省エネで環境に優しい木造建築物を作っている。このような取組が波及して林業が盛んになっていくという例もあるので、どんどん木造化して、木材を使っていただければありがたい。
 また、木造は他の構法と比べ、省エネ効果や断熱性が高いということも言われているので、いろんな公共施設に使ってもらいたい。
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議案に対する採決
議案第141号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第161号 和歌山県植物公園緑花センターの指定管理者の指定について
議案第162号 根来山げんきの森の指定管理者の指定について
議案第163号 護摩壇山森林公園の指定管理者の指定について
議案第178号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第180号 令和3年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は全会一致で原案可決


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